総務省統計局が発表した2023年(令和5年)の住民基本台帳人口移動報告によると、全国の人口移動者数は前年に比べ減少しました。
一方で、東京圏を中心とした都市部への人口集中が引き続き顕著で、特に東京都の転入超過数は大幅に増加しています。本記事では、都道府県別の転入・転出状況や三大都市圏の動向など、最新の人口移動データを詳しく解説します。
目次
1、都道府県別の転入・転出超過の状況
下図は、都道府県別の転入・転出超過の状況を表したものです。
転入超過は東京都など7都府県。東京都が最も拡大
- 都道府県別の転入超過数をみると、転入超過となっているのは東京都、神奈川県、埼玉県など7都府県
- 転入超過数が最も拡大しているのは東京都(3万262人)
- 転出超過数は広島県が最も多く、最も拡大
- 長野県、茨城県、宮城県及び山梨県は前年の転入超過から転出超過へ転じる
2、3大都市圏の転入・転出超過の状況
下図は、3大都市圏の転入超過数の推移を表したものです。
東京圏は12万6515人の転入超過、前年に比べ2万6996人の拡大
- 3大都市圏(東京圏、名古屋圏及び大阪圏)の転入超過数をみると、3大都市圏全体では10万7635人の転入超過。前年に比べ2万6681人の拡大
- 東京圏は12万6515人の転入超過。前年に比べ2万6996人の拡大
- 名古屋圏は1万8321人の転出超過。前年に比べ2103人の拡大
- 大阪圏は559人の転出超過。前年に比べ1788人の縮小
3、市町村別の転入・転出超過の状況
下表は、転入超過数の多い上位20市町村、年齢3区分別の転入超過数の多い上位20市町村を表したものです。
転入超過数が最も多いのは東京都特別区部(東京23区)で、2021年の転出超過から転入超過へ転じる結果となりました。
- 転入超過数が最も多い市町村は東京都特別区部で2万1420人、次いで埼玉県さいたま市で9282人、大阪府大阪市で9103人と続く
- 年齢3区分別の転入超過数は、0~14歳は埼玉県さいたま市、15~64歳は東京都特別区部、65歳以上は北海道札幌市が最も多い
4、住民基本台帳人口移動報告について
住民基本台帳人口移動報告は、市町村長(東京都特別区の区長を含む。)が作成する住民本台帳により、人口の移動状況を明らかにすることを目的としたものです。
本報告は、住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)に基づいて、届出等のあった転入者に係る事項のうち、従前の住所(市区町村コード)、性別、年齢(出生年月日)、異動年月により作成したものになります。
また、日本国内における人口移動の情報を集計したもので、国外からの転入者及び国外への転出者は含まれていません。したがって、転入超過数は、社会動態の全体を表したものではないことに留意が必要です。
本記事の参照:住民基本台帳人口移動報告 2023年(令和5年)結果
2023年人口移動報告Q&A
Q1 : 2023年の日本国内の人口移動の全体的な傾向は?
国内の人口移動者数は減少傾向にあります。市区町村間の移動者数は約526万人で、前年より0.9%減少しました。都道府県間移動者数や都道府県内移動者数も減少しています。
Q2 : 東京圏への人口集中はどう変化しましたか?
東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)では転入超過数が12万6,515人となり、前年より約2万7,000人増加しました。東京圏全体での転入超過が全ての月で確認されています。
Q3 : 東京都の転入超過数はどれくらいですか?
東京都は6万8,285人の転入超過を記録し、前年より約3万1,000人増加しました。2年連続で転入超過数が増えています。
Q4 : 三大都市圏ではどのような傾向が見られますか?
- 東京圏は大幅な転入超過(12万6,515人)
- 名古屋圏(愛知県、岐阜県、三重県)は転出超過が前年より増加(1万8,321人の転出超過)
- 大阪圏(大阪府、兵庫県、京都府、奈良県)は転出超過が縮小し、ほぼ均衡状態に近づいています(559人の転出超過)
Q5 : 市町村別ではどの地域が最も転入超過が多いですか?
東京都特別区部が最多で、5万3,899人の転入超過を記録しました。次いで大阪市(1万2,966人)、横浜市(9,731人)が続いています。
Q6 : 転出超過が目立つ地域はどこですか?
広島県が大幅な転出超過を記録しました。また、名古屋圏でも転出超過が増加傾向にあります。
参考資料: 総務省統計局 住民基本台帳人口移動報告 2023年
まとめ
この記事では、2023年の人口移動報告について、不動産投資をする上で押さえておきたい内容を抜粋して紹介しました。
指標となる情報としてお役立ていただけましたら幸いです。