毎月の給料以外で、大きなリスクを負わずに安定的な収入を得たい。
比較的ローリスクで始める投資として「不動産ファンド投資」に興味を持ったが、実際にどのぐらいの資金でどれだけの収入が見込めるのかイメージがつかないし、いざ投資するとなった場合、具体的に何をすればよいのかわからない・・・そうお考えではありませんか?
不動産ファンド投資については、ローリスクハイリターンを実現できる投資として、数年前から各方面で取り上げられることが増えてきました。
しかしながら、ウェブサイトや書籍などでは不動産ファンド投資の「仕組み」を紹介することに終始しているものが多く、実際に投資をする際に必要な情報が欠けているとお感じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
大学を卒業し、いまの会社で働き始めて20年。
妻と小学生の二人の子供に恵まれ、給料も比較的安定している。しかし、今後収入が大きく伸びることは期待できなさそう。
将来的に子供2人が大学へ進むことを考えると、自分の給料と学資保険だけでは、学費を賄えそうにない。奨学金を返済する大変さは身をもって実感しているため、できれば子供には奨学金を借りて欲しくない。
職業柄、副業は難しく、収入を増やす方法としては投資ぐらいしかなさそう。投資知識がない中で必死に調べ、株やFXと比べてリスクが低いという「不動産投資」に興味を持った。さらに「不動産ファンド投資」であれば、通常の不動産投資よりも少額から始めることができそうだ。不動産ファンド投資について、メリット・デメリットを理解した上で、実際に投資というアクションを起こしたい。
こちらの記事では、そんなあなたが不動産ファンド投資を始めるべきかを判断するための情報を紹介するとともに、実際に不動産ファンド投資を始める際の具体的な行動について紹介したいと思います。
この記事をご覧いただいた方が、すぐにでも不動産ファンド投資を始めることができるよう、具体的な行動を含めて紹介していきますので、ご安心ください。
そして、不動産ファンド投資によってローリスクで利益を得た後には、それを元手にした、よりハイリスク(ハイリターン)な投資で、短期間で資産形成を図るということも可能になります。
そのためにも、まずは不動産ファンド投資についてしっかりと理解していきましょう!
目次
1、不動産ファンド投資の概要
本章では、不動産ファンド投資の概要について理解していきましょう。
最初に、不動産ファンド投資とは何かについて説明し、続いて、不動産ファンド投資(間接不動産投資)と一般的な不動産投資(直接不動産投資)を比較することにより、不動産ファンド投資が「投資初心者」向きの投資手法であること説明します。
(1)不動産ファンド投資とは?
まずは、「不動産ファンド投資とは何か」について、説明しておきます。「ファンド」とは、複数の投資家から資金を集め、その資金を用いて行われる事業・資産からの利益を投資家に分配する仕組みの総称をいいます。「不動産ファンド」とは、その名のとおり、「投資対象を不動産に特化したファンド」のことです。
(2)不動産投資(直接不動産投資)と比較すれば一目瞭然!
不動産ファンド投資が「投資初心者」向きである理由
次に、不動産ファンド投資と一般的な不動産投資(直接不動産投資)を比較してみましょう。
比較結果を以下の表に示します。
不動産ファンド投資 | 不動産投資(直接不動産投資) | |
必要となる資金 | 少額(ex.1万円~) | 高額(ex.自己資金で500万~) |
必要となる知識 | 少ない(専門家による運用) | 多い(自身の専門知識が必要) |
リスク | 低い | 低い(ただし、知識がある場合) |
リターン | 中程度(ex.年利7%) | 大きい |
上の表からわかるように、不動産ファンド投資は「投資初心者」向き、不動産投資は「投資上級者」向きと言えるでしょう。
リターンについては、うまく運用できた場合には、通常、不動産投資(直接不動産投資)のほうが不動産ファンド投資よりも多くなると考えられます。
しかし、高度な専門知識が必要となることや、多額の資金が必要になること等から、投資初心者が不動産投資(直接不動産投資)を始めることには、それなりに高いハードルがあると言えます。
この点、専門家によって運用されるため高度な専門知識が必要とならず、1万円~数万円から投資を始めることができる不動産ファンド投資は、「投資初心者向け」の投資手法と考えられています。
2、不動産ファンド投資は限りなくリスクを抑えながらハイリターンが見込める投資!
前章では、不動産ファンド投資とは何かについてご理解いただくと共に、不動産ファンド投資が「投資初心者」向きの投資手法であることをご理解いただけたと思います。
少額から始めることができ、必要となる専門知識も多くないことから「投資初心者」向きで始めやすい投資手法あったとしても、やはり気になるのは、どのぐらいのリスクがあり、どのぐらいのリターンがあるのか、という点ではないでしょうか?
これらの点においても、不動産ファンド投資は、一般的な他の投資手法と比べて優位であると言えます。
本章では、まず、一般的な投資手法の問題点について説明します。その上で、不動産ファンド投資が、「限りなくリスクを抑えながらハイリターンが見込める投資」であることを紹介していきます。
(1)普通のサラリーマンが投資で資産形成することは不可能?!
最近では、いわゆる「普通の」サラリーマンの間でも、勤め先からの給料以外にも収入の軸を作り資産形成を図る動きが活発になってきており、貯蓄から投資へ向かう傾向が強まってきています。しかしながら、「投資初心者」である普通のサラリーマンが投資を行った場合、失敗して資金を減らすケースのほうが多いと言われています。
「普通のサラリーマンが投資で資産形成」を実現するためには、少なくとも以下の三点を満たす必要があると考えられます。
- 条件1:少額から始めることができること
- 条件2:ローリスクであること
- 条件3:ハイリターンであること
では一般的な投資手法が上記の条件1~3を満たしているか、いくつか例をあげて確認してみましょう。
まずは投資手法として最もポピュラーな「株式投資」。特徴としては、不特定多数の人が参加する市場で売り買いが可能であり、値動きが激しいということでしょう。これが、その道のプロ(資金力のある機関投資家)ばかりが利益を得ることが多く、裏を返せばサラリーマン等の個人投資家は損をするケースが圧倒的に多いという現状につながります。すなわち、株式投資については少なくとも上記の「条件2」を満たしていないと言えるでしょう。
また、従来リスクが低いとされている「投資信託」についても、組み入れられている株式や債券の市場価格が下落することにより基準価額が大きく下落し、例えば購入価格の半分以下になってしまう、というケースも頻繁にみられます。このことから、投資信託についても上記の「条件2」を満たしていないと考えられます。
「国債」はどうでしょうか。これはそもそも金利の基準が低すぎるため、貯蓄をしているのと大きく変わらないリターンしか得ることができません。加えて、株式同様に不特定多数の人が参加する市場で売り買いが可能であるため、リスクが低い投資手法とは言い難いでしょう。以上のことから、国債については上記の「条件2及び3」を満たしていないと言えます。
これらの投資手法と比べ、リスクを小さくすることができると言われているものが、「不動産投資(直接不動産投資)」です。しかし、上述したとおり、不動産投資には必要となる専門的な知識が多く、知識がない状態で質の悪い不動産に投資してしまった場合には多額の損失を出してしまうケースもあります。そして何より、不動産投資を行う場合には、ある程度の資金を準備しなければならないことが一番のネックになると考えられます。よって不動産投資については、上記の「条件1(及び条件2)」を満たしていないと言うことができます。
以上のことから、上述した一般的な投資手法によって「普通のサラリーマンが投資で資産形成」することは、基本的にはハードルが高いと言わざるをえません。結果、「普通のサラリーマンが投資で資産形成することは不可能である」と多くの方が考えることにも、納得性があるように思われます。
(2)不動産ファンド投資なら、投資知識ゼロでも年利7%、定期預金の280倍のリターンが十分可能!
それでは次に、「普通のサラリーマンが投資で資産形成」を実現するための三つの条件について、不動産ファンド投資の場合はどうかについて確認していきましょう。
まずは、少額から始めることができるものであるか(条件1)。不動産ファンド投資では複数の投資家から集めた資金に基づき不動産投資が行われるため、各投資家は、例えば1万円等の少額から投資することが可能となっています。これは、不動産ファンド投資が十分に「条件1」を満たしていることを意味します。
続いて、ローリスクな投資手法であるか(条件2)。上述のように、株式や国債は、「不特定多数の人が参加する市場で売り買いが可能である」ことから値動きが激しくなり、リスクが高くなる傾向があります。この点について、不動産ファンド(より詳細には「私募ファンド」)は、不特定多数ではなく、「特定少数の投資家を対象とした商品」であることから、価格が日々変動することがありません。そのため、限りなくリスクを抑えることが可能となっています。よって、不動産ファンド投資は「条件2」についても要件を満たしていると言えるでしょう。
最後に、ハイリターンが見込めるものであるか(条件3)。これについては、「ハイリターンである」との定義が人によって異なるため、一意に定義することは難しいかもしれません。
ここで、不動産ファンド投資のリターンの一例について示してみます。以下は、株式会社LCレンディングのセレクトファンド(※)という商品のリターンと、銀行定期のリターンとの差異を、預け金額毎に示した表です。なお、預ける期間を1年、銀行定期の利率を0.01248%として計算しています。また、リターンは税引き後の額を示しています。
※株式会社LCレンディングのグループ会社である株式会社LCパートナーズが管理を行うSPC(特別目的会社)に対して、主に不動産取得資金を融資する目的で組成されたファンドのことをいいます。
預け金額 | 不動産ファンド | 銀行定期 |
7万円 | 1970円 | 7円 |
10万円 | 2816円 | 10円 |
25万円 | 7045円 | 25円 |
50万円 | 1万4105円 | 50円 |
100万円 | 2万8222円 | 100円 |
250万円 | 7万0549円 | 248円 |
500万円 | 14万1108円 | 496円 |
出典:小山努『ローリスクで金利7% 1万円から始める不動産ファンド投資』幻冬舎,2016年,p.124-p.125
どうでしょうか。表が示しているのは、銀行定期で運用した場合と比較すると、不動産ファンド投資では280倍以上のリターンを得ることができる、という事実です。また、不動産ファンド投資の商品によっては、年利7%を実現するものもでてきています。これらを総合すると、不動産ファンド投資は十分にハイリターンな投資手法である(すなわち「条件3」を満たす)と言えるのではないでしょうか?
以上をまとめると、「ハイリターンであること(条件3)」については人によって感じ方が違う、ということを割り引いても、不動産ファンド投資は概ね、「普通のサラリーマンが投資で資産形成」を実現するための条件を満たしていると考えられます。
3、最低限知っておくべき不動産ファンド投資の知識
前章では、不動産ファンド投資が「限りなくリスクを抑えながらハイリターンが見込める投資」であり、不動産ファンド投資によって「普通のサラリーマンが資産形成を実現する」ことは十分に可能であることをご理解いただけたと思います。
本章では、不動産ファンド投資に興味を持っていただけた方向けに、不動産ファンド投資を行う上で最低限抑えておきたい知識について紹介していきます。
(1)不動産ファンド投資の主要な2つの特徴
(「間接不動産投資」と「不動産の証券化」)
不動産ファンド投資の主要な特徴として、「間接不動産投資」と「不動産の証券化」が挙げられます。
これらの特徴を理解するためには、再度、不動産ファンド投資と一般的な不動産投資(直接不動産投資)とを比較してみましょう。
| 不動産ファンド投資 | 不動産投資(直接不動産投資) |
投資方法 | 間接不動産投資 | 直接不動産投資 |
運用主体 | AM及びPM | 出資者 |
必要となる知識 | 少ない | 多い |
不動産の証券化 | 可 | 不可 |
必要となる資金 | 少額 | 高額 |
不動産投資(直接不動産投資)で成功するためには、質の高い物件を見きわめる力や不動産を管理・運営する能力等、専門的で高度なノウハウが求められます。この点、不動産ファンド投資では、アセットマネージャー(AM)(※1)やプロパティーマネージャー(PM)(※2)と呼ばれる不動産の専門家が物件の選択や管理運営を行うため、極端に言えば、不動産に関する知識を有していなくても、十分なリターンを得ることができる可能性のある投資手法です。このことから、不動産ファンド投資は上述した直接不動産投資に対して、「間接不動産投資」といわれます。
なお、AMの役割を果たすAM会社は、主に保有する資産の選定、購入、運用を担います。また、PMの役割を果たすPM会社は、主にテナント管理業務等の不動産の管理業務を担います。
不動産ファンド投資にはもう1つ、「不動産の証券化」という特徴があります。「証券化(小口化)」とは、保有する資産を証券に換えて資金を集める金融技術です。証券化することによって、投資家にとっては少額の出資からスタートすることができるというメリットがあり、不動産を売る側にとっても、多くの投資家から出資を得ることができるため資金を集めやすくなるというメリットがあります。
(※1)投資家から集めた資金を投資信託や年金資産、不動産投資によって金融資産を運用する人、企業のことをいいます。
(※2)アセットマネージャーからの業務委託で不動産物件などの、建物・設備の維持管理とテナント管理を主な業務とする人、企業のことをいいます。
(2)私募ファンドとREITとの比較
不動産ファンドには、そのタイプとして「私募ファンド」と「REIT」とがあります(さらに細かく分類する場合もありますが、ここでは上記2タイプとして説明します)。いずれも、不動産証券化の仕組みにより組成されている点、原則として買い戻しが認められていない点等においては共通しますが、そのほかに多くの相違点があります。私募ファンドとREITの主な相違点について、以下の表に示します。
私募ファンド | REIT | |
上場の有無 | 無 | 有 |
不特定多数の人の購入可否 | 不可能 | 可能 |
価格変動の大きさ | 小さい | 高い |
投資期間 | 通常3~5年 | 任意の期間を選べる |
現金化 | しにくい | しやすい |
利回り | 10%以上 | 3~4% |
最も重要な点は、私募ファンドが上場しておらず不特定多数の人の購入ができないため価格変動が小さいのに対して、REITは上場しており不特定多数の人の購入が可能であるため価格変動が大きくなりがちであるという点です。つまり、私募ファンドに投資した場合には、価格変動のリスクを抑えることが可能となるのです。
また、利回りについても、私募ファンドのほうがREITよりも高くなる場合が多いようです。
こうしてみると、普通のサラリーマンが投資で資産形成する上で、私募ファンドへの投資は大変魅力的であるように思われますが、一般に、私募ファンドで扱う資金は億~兆単位であるため、従来は普通のサラリーマンの投資先としては非現実的と考えられていました。
しかし、昨今では「クラウドファンディング」の利用によって、普通のサラリーマンでも十分に投資可能な資金(例えば1万円~数万円)によって、私募ファンドを購入することが可能になってきました(クラウドファンディングについては、後述します)。
以下、「私募ファンド」について最低限抑えたい知識を紹介していきます。聞きなれない用語の説明もあり読み進めにくいかもしれませんが、ここを終えれば、本記事のメイン部分である「不動産ファンド投資を始めるための4つの行動」がスムーズに理解できるはずです。もう少し頑張って読み進めていきましょう!
(3)私募ファンドの組成
私募ファンドを組成する(作り上げる)際には、不動産を保有する主体(器)である投資ビークル(※)と、投資ビークルの株式または持分を保有することを目的とした(事業を行うことを目的としていない)一般社団法人とが設立されます。私募ファンドの組成では、このように、事業を行うことを目的としない一般社団法人を設立することが大変重要な点となっています。
例えば、投資ビークルの株式を持つ親会社が何らかの事業を行う株式会社であり、当該親会社が事業に失敗して倒産したような場合には、親会社の債権者が、投資ビークルの所有する不動産を処分して債務の弁済に充てることを要求してくる可能性があります。この場合には、投資ビークルのために投資した投資家の利益が損なわれることになります。
この点、私募ファンドでは投資ビークルの株式等を保有する一般社団法人が、事業を行うことを目的としていないことから、事業の失敗による倒産等が問題となることがありません。そのため、投資家らが倒産等によって利益が損なわれる、ということもないのです。このようにして投資家らが倒産等による被害を免れることを目的とした仕組みを「倒産隔離」といい、私募ファンドの重要な特長の一つとなっています。
※資産の証券化などに際して、資産と投資家とを結ぶ機能を担う組織体。資産から生じる利益を投資家に運ぶことから、乗り物や媒体を意味するVehicleと呼ばれる
(4)私募ファンドの3つの形態
私募ファンドには、ファンド形態(スキーム)として、「GK-TK(合同会社-匿名組合)スキーム」、「TMK(特定目的会社)スキーム」、「不動産特定共同事業スキーム」の三つの形態があります。
GK-TKスキームは、投資ビークルが合同会社として設立され、合同会社である投資ビークルと投資家とが匿名組合契約を結んで資金を調達する仕組みです。
任意の時期に投資家に配当を行うことができる等、三つの形態の中では最も自在性がある運用を行うことができます。
TMKスキームは、投資ビークルが特定目的会社として設立されます。投資ビークルが特定目的会社であることから、決算を経なければ投資家に配当できない等、融通性の点でGK-TKスキームにやや劣るとされています。
不動産特定共同事業スキームは、不動産特定共同事業の形でファンドを組成し、組合契約や匿名組合契約によって投資家から資金を集める形態です。現在の私募ファンドの多くは、GK-TKスキーム又はTMKスキームを採用しており、不動産特定共同事業スキームが採用されることはあまり多くありません。
(5)サラリーマンでも私募ファンドに投資できる!クラウドファンディングとは?
上述のように、扱う資金が大きいことから、従来普通のサラリーマンの投資先とはなりにくかった私募ファンドですが、最近では、クラウドファンディングを利用することで投資先として検討できるようになってきました。
では、クラウドファンディングを利用した私募ファンドへの投資とはどのようなものなのでしょうか?
「クラウドファンディング」とは、不特定多数の人が、通常インターネットを経由して他の組織や人々に資金の提供を行うことをいいます。
クラウドファンディングには、寄付型、購入型、レンディング型、エクイティ型の4タイプがあります。
「寄付型」で資金が提供された場合には、原則、出資者への対価はありません。「購入型」で資金を提供した出資者には、商品またはサービスが対価として提供されます。「レンディング型」及び「エクイティ型」は、いずれも投資で利用される資金提供タイプです。出資者への配当利回り等に関して、以下に示すような相違点があります。
タイプ | キャピタルゲイン・ロス | 配当利回り | 担保・保証 |
レンディング型 | 原則なし | 原則固定 | 原則あり |
エクイティ型 | あり | 想定にとどまる | なし |
私募ファンド投資の場合には、おおむね「レンディング型」が利用されています。
私募ファンドに関して、クラウドファンディングが利用された場合の貸し出し期間は、一例として、超短期型の6か月、短期型の1年、中期型の2年、長期型の3年等とされます。返済期間が長いほど出資した資金が返済されないリスクが高くなることから、返済期間が長いほど利率は高く設定されます。
4、早速始める!不動産ファンド(私募ファンド)投資を始めるための4つの行動
ここまで、不動産ファンド投資の魅力、特に私募ファンド投資の魅力について紹介しました。ここからは実際に私募ファンド投資を始める方向けに、私募ファンド投資を始める際に実行していただきたい4つの行動について紹介していきます。以下(4)で説明する投資の手続きが最後の行動になりますが、(1)~(3)は必ずしもこの順番で実施していただかなくても大丈夫です。それでは4つの行動について説明します!
(1)不動産ファンドを選ぶ(危険な不動産ファンドを避ける)
投資対象の不動産ファンドを選ぶ上で、危険な不動産ファンド(詐欺的な不動産ファンド)を除外することは最も大切です。いまどきそのような商品は多くないとお考えの方も多いのですが、実際に「1年で元本が2倍になる」などの誘い文句で、詐欺的な不動産ファンドを運営する事業者も存在しています。
危険な不動産ファンドを避けるためには、不動産ファンドの運営者及び販売者が金融商品取引業の登録業者であるか否かをチェックすることが重要になってきます。登録業者であることが確認できれば、危険な不動産ファンドに投資してしまうリスクは大きく低減します。
平成18年度より、不動産ファンド業を営むには金融商品取引業の登録を受けることが必要になりました。金融商品取引業者の登録には、金融庁の確認(実質上の審査)をクリアする必要があります。金融庁の実質上の審査では、過去の収益実績や運用成績、運用責任者の経歴、重要な使用人の経歴や経験がチェックされます。単にスタッフの人数が足りているか否かではなく、不動産ファンドを運用できるだけの専門的な能力を備えた人材がいるか否かが審査されるため、通常、金融商品取引業の登録を得るためには1年~2年程度の十分な運用実績等が必要になると言われています。
このように、金融庁の実質上の審査をクリアするためには確かな運用実績等が必要となるため、金融商品取引業の登録業者が販売者等になっている不動産ファンドは、詐欺的な不動産ファンドではない可能性が極めて高いと言えるでしょう。
まずは金融庁のホームページの登録業者リストから確認してみましょう。検討している不動産ファンドを運用している業者及び販売している業者の名が当該リストの中にない場合には、これらのファンドは投資対象から除外したほうが安全だと思われます。
また、金融庁の情報だけでなく、自身で業者の名前をウェブで検索する等して、過去の実績を調べることも重要になってきます。実績が少なかったり、悪評が散見される業者の不動産ファンドについては、投資先から除外することをお勧めします。
(2)不動産ファンド投資で想定されるリスクを十分に理解する
比較的ローリスクな投資とされている不動産ファンド(私募ファンド)投資ですが、投資である以上、当然にリスクがあります。不動産ファンド投資について想定される様々なリスクについて、事前に十分に理解しておくことにより、投資先を適切に決定するだけでなく、市況の変化等に応じてどの程度の資金を不動産ファンド投資に投入するか等についても適切に判断することが可能になります。不動産ファンド投資について、考慮すべき主たるリスクを紹介します。
①不動産ファンドの運用戦略に応じたリスク
不動産ファンドの運用戦略は、リスク及びリターンが少ないものから順に、コア型、コアプラス型、バリューアッド型、オポチュニスティック型の4つがあります。
最もローリスク(でありローリターン)である「コア型」では、投資時において、既に投資対象の物件が確定していることが多いので、投資家が物件に応じた投資判断を行うことができます。
これに対して、最もハイリスク(でありハイリターン)である「オポチュニスティック型」では、投資段階では取得物件が決まっておらず、AM会社が資金を集めた後に取得物件を決めるため、AM会社任せになってしまい、投資家が物件に応じた投資判断を行うことができません。
②プロパティタイプに応じたリスク
不動産ファンドのプロパティタイプとしては、オフィスビル、賃貸住宅、商業施設、ホテル、物流施設、ヘルスケア施設等が考えられます。これらの中で、例えばオフィスビル及び賃貸住宅については、場所と価格さえ判断できればリスクを限りなく低くすることができます。その他の施設については、オペレーショナルアセットと言われており、運営者の能力によりパフォーマンスが大きく変わってしまうと考えられています。例えばホテルであれば、運営主体が有名ホテルグループであるか否かによって、パフォーマンスは大きく変わると言われています。
③物件としてのリスク
物件のリスクとしては、物件の流動性が低い(売れにくい)ことが考えられます。物件の流動性が極めて低い場合には、極端な安値で投げ売りせざるを得なくなるケースもあります。
物件のリスクとして、詳細には、土地のリスクと建物のリスクとがあります。
土地のリスクとしては、例えば、津波の被害を受けやすいエリアであること、接道のよくない場所であることなどが考えられます。また、資産価値に関してマイナスの評価を受ける場合もリスクとして考えられます。例えば、事後的に道路ができて閑静な場所が騒々しい場所に変わった場合や、土壌汚染が進んだ場合等は、マイナスの評価を受けてしまうことも十分考えられます。なお、これら「土地のリスク」への対処法として、地歴を調べて土壌汚染のリスクを確認することなどが挙げられます。他方、「建物のリスク」としては施工不良等があります。
④マーケットリスク
私募ファンドは上場されていないため、株式のように1日で価格が激しく変動することはありません。しかし、不動産そのものは市場で取引されているため、不動産マーケットに応じた価格変動リスクは存在します。
⑤オペレータのリスク
オペレータの能力や資質に応じたリスクも考慮する必要があります。ホテルを例にとると、経営が悪化した場合に賃料が支払われなくなるリスクがあります。また、集客が悪ければ不動産の価値が低くなることも考えられます。
⑥クラウドファンディングのリスク
クラウドファンディングの運営会社が倒産した場合には預け入れた投資用資金が返還されないリスクがあります。レンディング型であれば、借り手が資金の返済をしない場合に出資金の元本が全額戻ってこないおそれがあります。そのため、こうしたリスクに対して十分な対策が講じられているか、言い換えれば確実に収益を確保できる体制が整えられているかをチェックする必要があるでしょう。
⑦自然災害に起因するリスク
自然災害によって運用している物件が損傷を受けるリスクがあります。例えば、地震による全壊というリスクが考えられます。特に、1981年6月1日よりも前に着工した建築物に適用されている旧耐震基準の物件は、地震による倒壊の可能性が高いので注意する必要があります。
不動産ファンドを選ぶ際には、避けられるリスクに対して十分な対策を行っているか否かを判断基準にすることが大切になります。一例として、旧耐震基準の物件が多いファンドは投資の選択肢から除外することをお勧めします。
以上、様々なリスクについて説明しましたが、最後に、これらのリスクを調べるとっておきの方法を紹介します。それは、ずばり「AM会社に資料をもらう」というものです。
AMは投資対象とする不動産に物理的、法律的、経済的な観点から問題がないか調査(デューデリジェンス)をしています。例えば、建物が建築基準法等のルールに従って適法に建てられているか、土壌に汚染物質がうまっていないか、市況の状況から不動産の価格は適切か、などの情報を調べています。
デューデリジェンスが適切に行われていれば、各種のリスクについて適切に把握することが可能になります。そこで、デューデリジェンスの結果をまとめた文章(エンジニアリング・レポート)と不動産鑑定評価書をAM会社に求めることをお勧めします。エンジニアリング・レポートには、建物状況調査報告書、建物環境リスク評価報告書、土壌汚染リスク評価報告書、地震リスク評価報告書等が含まれているため、上述のリスクのいくつかについては、エンジニアリング・レポートから適切に把握することができます。
(3)実際に投資を行うために最低限必要な情報を収集する
高利回りを実現する不動産ファンドを選ぶためには、不動産及び不動産投資に関する各種の情報を様々な手段で集めることが求められます。なお、以下で説明する各種指標等の情報は、投資のたびに必ず全て確認するものではありませんが、初めての方は、ぜひ一度ご確認いただくことをお勧めします。
①地価に関するデータ
不動産ファンドのパフォーマンスは不動産市場の動向に大きく左右されます。そのため、現在のトレンドを地価の動向から把握することができます。地価に関する主要なデータとして、公示地価と路線価があります。「公示地価」とは、国土交通省によって毎年公表される標準地の価格です。「路線価」とは、国税庁が発表する、街路に沿設する標準的な土地の単位地積あたりの価格です。公示地価は国土交通省のHPで、路線価は国税庁のHPで、それぞれ確認することができます。
②金利に関するデータ
不動産マーケットは金融環境の影響を受けると言われていますが、特に重要な指標が「金利」です。金利が低い場合には、金融機関から不動産購入の資金を調達しやすくなるため、不動産市場が活性化すると言われています。金利をチェックするための主要な指標として、基準金利であるLIBOR(※1)やTIBOR(※2)があります。また、住宅ローン金利も参考になります。住宅ローン金利は、ご自身が口座をもたれている銀行のホームページなどで確認することができます。
(※1)London Interbank Offered Rateの略で、ロンドン市場での銀行間取引金利のことをいいます。
(※2)Tokyo Interbank Offered Rateの略で、東京市場における銀行間取引金利のことをいいます。
③東証リート指数
不動産投資に直接かかわる指標として、東証リート指数があります。「東証リート指数」とは、東京証券取引所に上場する全銘柄のREITを対象とした時価総額加重型の指数です。2003年3月31日の終値を基準に、そのときの時価総額を1,000ポイントとして現在の時価総額を示しています。
④不動産証券化協会によってまとめられたインデックス
不動産証券化協会によってまとめられたインデックスについては、不動産ファンドの運用実績を把握するための情報として有益です。
「AJPI」は、国内不動産に投資を行うコアファンドが保有する投資用不動産の運用実績を示すものです。AJPIでは、私募ファンドの運用会社からデータ提供されるコア・ファンドの保有不動産の運用実績と、REITの保有不動産の運用実績から得られるインカムリターン及びキャピタルリターンが加重平均され指数化されています。
「AJFI」は、不動産ファンドの収益性が反映されたものです。AJFIでは、ファンドの運用会社から提供される、私募ファンドとREITのパフォーマンスから得られるインカムリターンとキャピタルリターンが加重平均され指数化されています。
⑤シンクタンクがまとめたレポート
シンクタンクがまとめたレポートとしては、例えば、日本不動産研究所の「不動産投資家調査」、AERSの「不動産私募ファンド実態調査」、三井住友トラスト基礎研究所「不動産投資に関する調査」、CBRE「不動産投資に関するアンケート」等があります。
「不動産投資家調査」は、日本不動産研究所が、AM、開発業(デベロッパー)、投資銀行などに対して、期待利回りを中心とした投資スタンスや今後の賃料見通しなどを定期的にアンケートして作成しているレポートです。
「不動産私募ファンド実態調査」は、AERS(不動産証券化協会)が協会会員を対象に行っている私募ファンドに関するアンケート調査です。
「不動産投資に関する調査」は、三井住友トラストが不動産投資家を対象に行っているアンケート調査です。
「不動産投資に関するアンケート」は、世界最大規模の事業用不動産サービス提供会社であるCBREが不動産投資家を対象に行うアンケート調査です。
これらによって、不動産ファンドや投資家の動向を間接的に知ることができます。
⑥AM会社からのヒアリング結果
AM会社になぜその不動産を購入したのか、どのような物件に投資する計画があるのかなどをヒアリングすることもよい情報収集になります。投資のための判断材料が増えるとともに、ファンド選びがより適切に行えるようになります。
(4)投資の手続きを行う
上記の(1)~(3)により、投資対象の不動産ファンドが決まり、後は投資の手続きを行うだけ、という段階まで来ました!クラウドファンディングを利用して私募ファンドに投資する手続きは、取扱業者のHP(例えば株式会社LCレンディングのHP)から、簡単な手順で行うことができます。会社によって多少の違いはありますが、概ね、以下の手順により投資の手続きを完了することができます。それでは順番に説明していきます!
- 最初に、取扱業者のHP上で口座開設の申し込みを行います。
- 口座開設後、投資する金額を入金します。口座の入金残高の範囲内で、各投資案件へ投資を行う仕組みとなっています。
- 投資する商品を選びます。各商品の概要情報を確認して、自分の投資目標と合致する案件を検索します。気になる案件があれば確認し、運用利回りや担保・保証の内容など商品の詳細をチェックします。投資収益については、HP上でシミュレートすることができる場合があります。
- 投資したい案件が決まったら投資の申し込みを行います。投資金額を入力します。その際、所定の交付書面を確認し同意する作業を行います。
上記1〜4が完了し、募集が終了して融資実行日を迎えると、投資された金額は借り手の口座へと移動します。
そして、借り手から返済された資金が、毎月の分配日に、投資した人の投資口座へ分配されます。
いかがでしたか?投資の手続き自体はすごく簡単に行えると感じていただけたと思います。
4、まとめ
最後まで読み進めていただき、ありがとうございました。
最後に、重要なポイントをまとめて終わりたいと思います。
- 不動産ファンド投資は、投資知識がない方でも年利7%、定期預金の280倍のリターンが十分に可能。
- 私募ファンドは、不特定多数の人が参加する市場で売り買いされていないため、日々の価格変動が小さくローリスク。
- クラウドファンディングを利用することにより、1万円等の少額から不動産ファンド投資を始めることができる
- 不動産ファンド投資を始める際には投資の手続きを行う前に、不動産ファンドを選ぶ(危険な不動産ファンドを避ける)こと、不動産ファンド投資で想定されるリスクを十分に理解すること、実際に投資を行うために最低限必要な情報を収集することを意識する
こちらの記事を読んだ方が、1人でも多く不動産ファンド投資を始められ、1人でも多く給料以外の安定的な収入を得られることを願っております