• 資産運用
  • 2022/3/9 (更新日:)

ゼロからわかる金投資入門|現物・投資信託の賢い投資法とは

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ゼロから分かる初心者向け金投資入門【vol.5】3つの投資方法とは?

金投資に興味がおありですか?

金の輝きを嫌いという方はいないのではないでしょうか?
古代から人々を魅了し、現在の人々にとってもそれは同じ金の魅力は一体なんなのでしょうか?

さらに、現代では「金は安全資産」といわれ、投資の対象として注目されています。

この記事では、

  • 金の価格が変動するとき
  • 賢い投資法
  • 金投資のメリットや注意点

などについて解説していきます。
また、金投資の方法だけではなく、「金が好き」と思っていただけるような話題も提供していきます。資産形成の参考にしていただけると幸いです。(伊藤亮太・ファイナンシャルプランナー)

※この記事は「ゼロから分かる初心者向け金投資入門」連載を加筆修正し、再構成したものです。

この記事をお読みの方で「おすすめ資産運用方法9選を徹底比較!具体的な始め方と内容」について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

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目次

1、「20年で5倍以上」金投資の魅力とは

金価格は一体いくらぐらいかご存じでしょうか?

金に興味がある方なら、なんとなく価格をご存じかもしれません。

金を持っておくと一体どのような良いことがあるのか、そもそも金の魅力は何なのか?まずは歴史など、金にまつわる面白い話を紹介していきましょう。

(1)2000年前後は金1グラム1,000円だった

田中貴金属における金価格推移によれば、2022年3月9日現在、1グラム当たりの金価格は、税込小売価格で8,402円となっています。3月に入ってからの推移を見ても、1グラム購入するのに7,700円を下回ることはありません。

それでは、2000年前後はいくらぐらいであったかというと、なんと当時は1グラム1,000円~1,100円ほどでした。つまり、20年程度で金価格は7~8倍程度へと上昇しているのです。

(2)お守りとしての「金」

金は世界のどこでも通用する究極の支払い手段です。現在でも、金を決済手段として利用する地域があります。それは、紙幣と異なり紙切れにはならないからです。

金は重いため、なかなか持って歩くというのは現実的ではありませんが、実際に支払い手段としても通用します。

なお、金の需要の多くは宝飾品です。そのため、身につけるものとしてイヤリングや指輪などを購入される方も多いでしょう。

以前はそうした金の宝飾品を身につけ、いざというときはそれらを売却すればよいという発想もありました。

時代は変わりましたが、世界単位で見たときに金は支払い手段として、また究極のお守りとして昔からずっと機能し続けてきたのです。

金は錆びないという点も大変な特徴です。紙幣と違ってやぶれることもありませんから、安定した資産となるでしょう。

またこれは筆者ならではの感覚かも知れませんが、保有するだけでなぜかとても癒やされますし、安心感もうまれてきます。

このように、金は素材の価値もありますが、人々へ感情の豊かさをも提供すると言えるでしょう。

(3)金の歴史と日本最古の産金地

金は、今から1万年ほど前の紀元前8000年頃には既に価値が認識されていたようです。

紀元前1350年頃には、ツタンカーメン王の黄金のマスクが作られていて、世界最古の金貨は、紀元前6~7世紀頃のリディア王国の金貨といわれています。

世界単位で見るとかなり昔から金の認識があり、貴重なものとして、また人々を魅了する資産として考えられていました。

日本でも東大寺の大仏建立に金が使われていたり、1397年の金閣寺建立など古代から金は重宝されていました。

日本最古の産金地としては宮城県の涌谷町が有名で、ここには天平ろまん館という金の博物館(歴史館)があり、砂金取り体験もできますので、是非一度行ってみると良いでしょう。
金の魅力やちょっとした歴史を知るだけでも、「楽しい」と感じるのではないでしょうか。

2、金投資に関心を持つ人は増えている

日本の中央銀行である日本銀行は金の保有量を増やしていませんが、金に関心がある方は増えている模様です。

(1)世界各国の中央銀行・公的機関の金保有量は?

まず、日本の中央銀行はどの程度金を保有しているのでしょうか?

2022年1月末時点での世界各国の中央銀行・公的機関の金保有量は、およそ35,536.8トン(上位100国、全体の97.515%)となっています。それでは、上位10カ国の金保有量を紹介します。

2022年1月末時点の世界各国の中央銀行・公的機関の金保有量

順位

国・公的機関名

金保有量(トン)

外貨準備に占める割合(%)

1

米国

8,133.47

66.2

2

ドイツ

3,359.09

66.2

3

IMF

2,814.04

4

イタリア

2,451.84

62.9

5

フランス

2,436.47

58.3

6

ロシア

2,298.53

21.0

7

中国

1,948.31

3.3

8

スイス

1,040.00

5.4

9

日本

845.97

3.5

10

インド

755.40

7.2

出典:Let’s Gold

この表をご覧いただければお分かりの通り、米国の保有量が圧倒的に多いことが分かります。次にドイツ、IMF、ヨーロッパ各国となっており、日本はというと、世界で見て9番目に位置しています。

ポイントは、外貨準備に占める割合。上位5カ国が6割程度となっているのに対して、日本はなんと3.5%。

中国も比率は低いですが、それでも実は金保有量を徐々に増やしています。

「有事の金」といわれるように、何かあった場合には金は強みを発揮します。紛争があるなどの有事ではないといえる、ロシア・中国・インドが金保有量を増やしている点は見逃せません。

参考 20113月末時点の世界各国の中央銀行・公的機関の金保有量

順位

国・公的機関名

金保有量(トン)

外貨準備に占める割合(%)

1

米国

8,133.5

75.3

2

ドイツ

3,401.0

71.7

3

IMF

2,814.0

4

イタリア

2,451.8

71.9

5

フランス

2,435.4

67.6

6

中国

1.054.1

1.6

7

スイス

1,040.1

17.2

8

ロシア

824.8

7.8

9

日本

765.2

3.3

10

オランダ

612.5

59.2

※データの関係上、小数第二位を四捨五入しているため2022年1月末と多少の数値のずれが生じている

(2)5人に1人が金投資に関心を持っている

日本政府は金保有量を増やしていませんが、日本人はどのように考えている方が多いのでしょうか?

田中貴金属工業「貴金属投資に関する意識調査(2018年8月28日発表)」によれば、一般消費者の5人に1人が貴金属投資に関心があるとのこと。

また、その中でも身につける方が多いからかもしれませんが、女性が関心を持つ傾向にあるようです。

特に、金地金やプラチナ地金に興味がある女性は28%(前年比+9ポイント)、金貨やプラチナコインは31%(前年比+6ポイント)、純金積立25%(前年比+3ポイント)などとなっています。

このような動きが金などの価格の安定につながっている側面もあります。

なお、貴金属投資に関心をもったきっかけでは、「メディアなどで投資の情報に接することが多い」(34%)が最多であり、次に「銀行の金利に不満を感じて」(23%)が2位、「世の中の景気や相場の変動によって」(19%)が3位となっています。

メディアでも金などの貴金属が取り上げられていることが多くなっていること、低金利に不満といったところが本音でしょう。金は金利がつかないため、金利が高い局面では魅力が薄れますが、現状の低金利であれば相対的に金に興味が出てくる方も多いのは事実だと思います。

3、 金特有の相場動向を理解しよう

金投資を行ううえでは、金特有の相場観も理解しておく必要があります。いろいろありますが、代表的なものをご紹介します。

(1)金価格と米ドルは逆の動きをする

金価格と米ドルの動きは逆の動きをするということは広く知られているのではないでしょうか。
米ドルが下落する(ドル安)ときには金価格は上昇するという関係がありますが、この背景には「金利動向」があります。

仮に米国が金利を下げる行動に出たとしましょう。
その際には、米ドル預金の金利は下がり、相対的に利息のつかない金の魅力が高まるため、金を買う人が増え金価格が上昇すると想定されます。

一方米ドルは金利低下により魅力が薄れるため売られることになり、米ドル安へとつながります。
また、米ドルの信認が下落すれば、安全な逃避先として金が買われる傾向があるでしょう。

中東情勢などが不安定になると米ドルは売られ、その代わり金が買われるといった事態になります。

世界情勢が不安定な状況になったときは金価格が上がりやすいため、こうした状況下になった場合、金の相場に注目してみてください。

(2)金価格の「アノマリー」

もう一点「アノマリー」と呼ばれる傾向をお伝えしておきます。金価格を1993年2月以降調べてみると、3月、6月、7月、10月に下落傾向、それ以外は上昇傾向にあるということがわかっています。

もちろん必ず上がると断定はできませんが、11月~2月は上がりやすい傾向にあります。9月〜10月など、その前あたりで買ってみるのも面白いかもしれません。

(3)金が買われる4つの要因

2019年の後半から金価格(ニューヨーク市場)はおよそ6年ぶりの高値となってきています。

なぜいま金価格が上昇しているのでしょうか?また、どのような理由があるときに金価格は上昇しやすいのでしょうか?

①情勢不安

金が買われる要因の1つとして、2022年2月からのロシアのウクライナ侵攻があります。ウクライナ情勢をめぐる懸念が一段と強まり、最高値圏に突入しました。

また、2020年から続く新型コロナウィルスの感染拡大で世界情勢が不透明になり、金の価格は上昇しています。

昔から「有事の金」といわれますが、戦争等何か情勢不安定なことが起きた場合に、金は買われる傾向にあるため、このような現在起きている情勢不安定が金価格を押し上げている側面があります。

②低金利

2つ目は、金利との関係を挙げることができます。

ここ数年米国では金利が上昇する側面にあり、この金利が上がると預金などの利息は増えますが、金は利息がつかない現物資産のため価格が下がる、という関係が見られます。

2019年、米国が金融緩和に動くのではないか?という憶測から金利低下が想定され、このことはむしろ金価格上昇につながりました。

このように金利と金の価格は逆の関係(トレードオフ)にあるのです。

③物価上昇

他にはどのような理由があると金価格は上昇するでしょうか?

まず物価上昇が継続する場合には、中長期的に見て金価格も上がりやすい傾向があります。

物価の上昇により手元にある紙幣で買える物の数量は目減りしますが、金はインフレに強いとされており、物価の上昇に金価格上昇も連動する傾向があるため、価値は目減りしないといえます。

日本ではこれまでデフレで苦しんだ時期がありましたが、世界的には中長期的にインフレ傾向のため、金価格も上昇している側面があるといえるかもしれません。

④需要増と希少性

次に、現状は当てはまらないかもしれませんが、今後金価格上昇につながる可能性の理由を挙げておきましょう。

まず、通貨への不信感が生じた場合には、金を買う人が増える可能性があります。財政問題などで通貨への不信感が生じる場合、実物資産である金へ逃避する可能性があるからです。

また、新興国等の経済成長に伴う金需要増加も金価格を押し上げる理由となります。

中国やインドでは宝飾需要も多いため、そうした需要が増えれば金価格押し上げにつながるでしょう。中国やロシア政府が金購入量を増やしている側面も金価格上昇へつながっているおそれがあります。

この他、リスクの分散という観点から、年金資金やオイルマネーが金投資の割合を高めれば、金価格水準の下支えや上昇につながる可能性があります。

また、なんといっても金の希少性という価値を忘れてはなりません。世界的に人口が増える中で、金は無限に採掘できるわけでもなく、需要の方が供給より高まる恐れがあるのです。

有史以来発掘された金の総量は、オリンピック用50メートルプールの3杯半ほどといわれています。リサイクルにも頼る状況となっており、その希少性は高まる一方といえるでしょう。

こうした理由から、今後も金価格の上昇が期待できます。

もちろん必ず上がると断言できるものではありませんしその時々の情勢により金価格相場も変わってきますが、古来よりその輝きを好む人は多く、その希少性は変わらないことでしょう。

今後も金価格動向から目が離せません。

(4)売られる原因と金投資「5つの心得」

価格が下落する可能性がある場合はどのようなケースでしょう?

金価格の下落理由を捉えながら実際に金投資を行う際の心構えについて解説をしていきましょう。

①「有事の金」ではなくなった時

2020年3月現在の世界情勢を例にすると、新型コロナウィルスの感染拡大、米中貿易摩擦やイランと米国の対立が解決した場合は「有事の金」ではなくなるため、金価格の安定へと繋がる可能性が考えられます。

また米国での利上げや利下げも金価格に影響します。金利と金価格は逆の関係にあるため、しばらく続いてきた利上げ傾向から利下げに転換した場合は、価格の上昇へとつながることも考えられます。

②経済成長の鈍化

経済成長の鈍化等により景気が冷え込むような可能性が出てきた場合は金の実需の減少も考えられるでしょう。

特に中国やインドにおける実需が減った場合、金価格停滞へとつながる可能性があります。

現状では考えにくいですが経済危機等が生じるとその対応策のためにIMF等が金売却を行うこともあり、それも金価格を押し下げる原因となるでしょう。

ニュースでこういった内容の報道があった場合は、金価格が敏感に反応する可能性があります。

③金投資を行うための「5つの心得」とは?

1.積立投資を実行

金投資を行う際には積立投資を検討することが大事です。これは月々3,000円など、少額からできます。

有事の金買いをねらい、まとめて購入することももちろんかまいませんが、いつ上がりいつ下がるかよめないのが通常でしょう。

中長期的には世界的に人口増加や需要増加が見込まれるため、下がったときには多く購入できる積立投資が有効となります。

2.為替に着目する

金は世界で見れば米ドル建て、日本国内では円建てになります。つまり、円高ドル安になれば金価格は日本では下がる可能性があります。為替の動きもチェックしておきましょう。

3.経済の動き・流れをつかむ

金価格は結局の所、経済情勢により変動します。

経済の動き・流れをつかみ、中長期的に金価格がどちらに動きそうか大局をつかむことが重要です。

4.大儲けしようと考えない

金はお守りと考えましょう。

株式と異なり日々数%や数十%など大きく変動することは極めてまれで、あくまでも大儲けするための資産ではありません。

ただ、じわじわ上がって利益が膨らんでいく可能性が金投資の醍醐味でもあります。

5.他の資産との組み合わせを考える

金投資は一般的に資産の5~10%程度組み入れると良いといわれています。

金には利息が付かず値上がり益を狙うしかないため、他の資産で利息等の収入は得る事はもちろん大切になります。

また組み入れ比率はご自身で決める必要もありますが、何かあった場合の備えとして金を持っておくと心強い味方になってくれるでしょう。

4、金の現物投資|3つの方法とは?

実際に金投資を行う場合に、どんな方法がありどんな点に注意すべきか解説していきましょう。

金投資の仕方を学ぶことで、皆さんにとってどの金投資方法が向いているのか、検討していただければと思います。

(1)金地金で購入する

まず一般的な金地金で購入する方法を見ていきましょう。

金地金とは、まとまった単位で金を購入する方法で、5g・10g・20g・100g・500g・1㎏といった単位で貴金属店などで購入ができます。

このとき注意したいのが基本的に500g未満での購入では売買手数料の他にスモールバー・チャージというものがかかってしまい、余分な手数料を払わなくてはならないことは頭に入れておきましょう。

もちろん手数料がかかっても、○グラム単位ずつ買っていきたいという場合にはそれでOKです。ただ少しでも手数料を浮かしたいということであれば、少し高額にはなりますが500グラム以上をまとめて購入した方がよいでしょう。

(2)金貨で購入する

次に、金貨で購入する方法を解説しましょう。

金貨とは、カナダのメイプルリーフ金貨や、オーストリアのウィーン金貨、オーストラリアのカンガルー金貨などが代表的ですが、日本の記念金貨を購入する方法もあります。

海外では、一般的に1オンス(31.1035g)の金貨が主流であるため、1オンス単位で購入します。

少し割高になっても良い場合は1/2オンスや1/4オンス、1/10オンスといった小口の金貨を購入することも可能です。

なお金貨による投資を行う際に注意したいのは、金地金に比べて手数料が高いことです。

売買する際には10%ほど価格が上昇しないと利益が出ないといった場合もありますので、単純に売買するのであれば金地金の方がよいでしょう

金貨の良い点は年号やデザインが異なることから大変美しく、一枚一枚集めていくのが楽しい点を挙げることができます。

投資という視点ももちろんあるものの、コレクションとして集めていきたいのであれば金貨収集がよいでしょう。

ちなみに中国のパンダ金貨は人気があるため、メイプルリーフ金貨やカンガルー金貨などに比べると同じグラム数でも価格が高めとなっているケースが多いです。

また日本の記念金貨の場合は金のグラムに対していくらというより、プレミアムも上乗せされた価格になります。

狙うのであれば人気の高い記念金貨や、発行枚数の少ない記念金貨を狙いましょう。

ただし抽選になる場合が多く、必ず当選するとは限りませんので、造幣局のホームページ等をウォッチしていつ発売されるか確認し抽選に申し込みましょう。

(3)純金積立で毎月購入する

1オンスの金貨がほしくても、購入するにはお金に余裕がない…。そのような場合は純金積立を行っても良いでしょう。

純金積立では、毎月決めた一定金額をもとに金を購入していきます。

月々3,000円や5,000円程度から始められるため、まとまった金投資ができない場合でも投資が可能です

またある程度購入した金がたまっていくと、それをもとに金貨やバーに交換することができます。貴金属店によっては、ジュエリーなど違うものに交換することも可能です。

なお毎月の定期的な積立とは別に「スポット購入」により追加して購入することも可能です。スポット購入は一般的に通常の購入手数料がかからないため、安いと感じたときにまとめて購入することができる点は魅力的です。

金投資が初めての方で、ゆくゆくは手元に金地金等でおいておきたい人には向いているといえるでしょう。

まずは金地金、金貨、純金積立による投資方法を解説しました。

これらの投資共通点は、手元に現物を保管することも可能であること。
手元に最終的に保管しておきたいかたは、上記から選択されると良いでしょう。

5、投資信託など現物以外の投資方法

金投資には金そのものだけではなく、金産出国の債券に投資をしたり、金鉱企業へ投資したり様々な方法があります。

投資信託はプロが運用するため、そのような点も安心できるポイントでもあるでしょう。

金を手元に置きたいか、売買で利益を得る点を重視したい方かで投資方法は異なってきます。皆さんにとってこの方法が私には合うな、という方法を実践していただければと思います。

手元に置かずに金を売買して利益を出したいと考えている方向けに、その他の金投資方法を解説していきたいと思います。

(1)投資信託を利用する

三菱UFJ純金ファンドといった金に投資する投資信託がありますが、こうした投資信託は純金上場信託(現物国内保管型)受益証券などに投資する事をご存じでしょうか。

この上場投資信託に投資することで、金価格の変動による利益を享受する仕組みとなっています。

金価格に連動する仕組みとなっていることからニュースや新聞などで金価格を確認するほか、投資信託の基準価額を確認することで、上がったか下がったかは確認できます。

2022年3月8日段階での基準価額が15,001円ですので、1口15,000円前後から投資ができます。

このように手軽に投資ができる点、金融機関の窓口等で購入できるため投資がしやすい点がメリットといえるでしょう。

この他には三菱UFJゴールド・インカム・プラス・F(毎月)といった投資信託もあり、こちらは国内取引所における金価格の値動きを反映する上場信託ならびに金産出国通貨建てのソブリン債等に投資を行い、その基本投資比率は40%:60%となっています。

金価格が堅調なときには債券価格も上昇し、投資におけるリターンは高くなると想定されますが他の投資信託と異なるのは、金産出国の債券にも投資を行っていることでしょう。

そのため、政治リスクやデフォルトリスクといった債券のリスクにも影響を受けますので注意してください。

(2)ETFで購入する方法

上記は金融機関等で購入可能な一般的な投資信託ですが、株式と同様に金に投資ができる方法としてETF(上場投資信託)を利用する方法があります。

こちらは株式と同様の売買を行うため取引の仕方を理解する必要がありますが、株式売買をしたことがある方なら難しくはありません。

ETFの方が通常の投資信託に比べてコストが安い場合が多いため、直接投資できる方はこちらの方が良いでしょう。

実際に金に投資するETFとしては、SPDRゴールドETF(1326)、金価格連動型上場投資信託(1328)、One ETF 国内金先物(1683)、純金上場信託(現物国内保管型)(1540)などがあります。

売買のしやすさといった流動性からは純金上場信託(現物国内保管型)(1540)や金価格連動型上場投資信託(1328)などがよいかもしれません。

(3)鉱山の株式に投資する投資信託

金鉱企業の株式に投資する投資信託を購入するといった方法もあります。

投資信託ではありますが、金そのものではなく企業・鉱山に投資する点がこれまでのものと異っています。

具体的には、ブラックロック・ゴールド・ファンド。このファンドでは、南アフリカ、オーストラリア、カナダ、アメリカ等の金鉱企業の株式を中心に、その他鉱業株式を主要投資対象としています。

金価格が堅調なときは、こうした金鉱企業の株価は金価格以上に上昇する可能性があり、そこを狙っていこうというものです。

安定をもとめる金そのものに、さらに大きなリターンを目指すならこうしたファンドも面白いと思います。

6、賢い投資法と税金面でのメリット・注意点

皆さんが金投資に興味をもっていただけたなら次はどのように投資していくかを学ぶ必要がありますので、その間に是非口座開設もしておきましょう。

積立投資やまとめて買いたい方は、田中貴金属のような老舗か、証券会社でも積立投資ができますので、口座を開設しスタンバイしてください。

なお、KOYO証券では、年会費1,500円のみで特に購入手数料がかからないため、手数料面でお得といえるかもしれません。

この他に純金ではなくて、自然そのものの砂金を持つといった方法もあります。これはどちらかといえば、見て楽しむ世界ですが、興味があればそうした自然金で保有するのもよいと思います(ひそかに私は自然金も楽しんでいますし取り扱いもしています)。

(1)賢い投資法は?

金投資を行うにあたっての賢い投資法を伝授していきましょう。

①コツコツ貯めて有事があった場合に売る

まずは、積立投資やまとめて買える時にまとめて買い、その時を待ちます。
ポイントは、「噂で買って、事実で売る」こと。

特に何もない平常時に金を購入するのがベストです。

なぜなら平常時はさほど大きく金価格が動くといったことは少なく、買いやすいからです。

金価格が上昇しやすいのは、世界情勢が不安定になった場合です。戦争が起きる、金融危機が発生する。
こうした危機には金が強みを発揮します。金価格が例えば20~30%など一気に上昇する時は売りのサインと考えてよいでしょう。

もちろん、その価格上昇がどういった理由かによりますし、突発的な理由で上昇した場合には売って利益確定もありだと思います。

一方、そうした過熱相場時には金投資は休むか売るかを考えて、買いは行わないほうが無難でしょう。

ただし最近では何かあった備えとして金を購入する方も増えており、金価格も安定する状況ではなくなってきています。

中国やロシアのように国として金を購入する動きもみられるため、今後もさらに金価格が上がってもおかしくはありません。

そこで、積み立て投資によるリスク軽減をはかりながら持つのが最も無難と考えます。

②中長期投資を実践する

金投資では中長期投資をおススメします。

もちろん、短期売買でもよいですが、売買手数料がかかること、中長期で持つことで経済情勢不安定時に力を発揮できることから中長期の方がよいと考えます。

消費税が今後ももし上がるのであれば、日本では税率アップに伴う金価格上昇も期待できます。

景気はおおよそ10年~12年程度で上向いたり下向いたりする状況です。今後さらに景気が拡大するのか、それとも世界的に縮小しそうなのか。そうした目線を日々持ちながら、コツコツ金を購入し流れをとらえていくことがよいでしょう。

公的年金にみられるようになんでも政府におんぶに抱っこができる時代ではありませんから、ある程度自助努力が求められる時代です。

そのため、自分の資産は自分で守る、自分の資産は自分で構築するといった行動を進めるべきです。

資産を守るという観点からいえば、例えば一つの金融機関に1,000万円までの預金とし、複数に分けるのも手です。こうすれば基本的に預金を失うといったことはありません。

またそれ以上の資産は、ほかの資産で持つことも検討してみても良いでしょう。その中でやはり一つの手段として金投資は検討しておくと良いでしょう。

特に金を現物で保有するとわかりますが、金の輝き・価値は失われません。価値が維持でき、世界共通の資産はやはり「金」だと筆者は思います。

(2)税金面でのメリット

金を保有することで得られるメリットは、金価格の上昇以外にもあることはご存じでしょうか。

金の保有が将来的に皆さんにとってメリットとなり得るときが来るかもしれません。

金を保有することで得られる意外な恩恵について解説するとともに、金そのものの価格が上昇した時に考える税金の話について解説していきましょう。

①金を「相続財産」として活用するメリットは?

金を相続で受け継ぐというのはあまり聞かない話かもしれませんが、今後はこうした話が当たり前になって来る可能性もあります。

当然金を相続する際にも相続税の対象となりますからそこにメリットはありませんが、相続する前の段階では他の資産よりもメリットとなり得る点があります。

それは、保有時に税金がかからない点です。

一般的に相続税対策として不動産がよく挙げられるのではないでしょうか。確かに相続税を減らす方法として不動産投資は有効な面がありますが、不動産は購入時・保有時・売却時にそれぞれに税金が課税されます。

例えば毎年1月1日において不動産を所有する者に対して、固定資産税が課税されますから、これは意外に大きな負担となるのではないでしょうか。

これに対して金は固定資産税がかからず保有時には税金が課税されないため、税金の負担という点ではメリットがあります。

また不動産に比べると換金のしやすさも金のメリットと言えますから、税負担も考慮しつつ一部の資産を金で残すことを検討してみてはいかがでしょうか。

②消費税アップは金にプラスの影響も

消費税増税はマイナスな話ばかりかというとそうでもありません。

実は金価格には消費税が上乗せされるため、増税前に持っていれば消費税アップした時に売却すると、増税分だけ利益が生まれる可能性があるのです。

仮に金価格が変化していないとしても、増税分だけ得する可能性があるという、このような資産は他にないのではないでしょうか。

③譲渡時にもメリットが?

売却時に利益が発生しそうだという方へ、金の譲渡のメリットをお伝えしましょう。

金地金や純金積立などによる金売却の場合、給与所得者などの場合には原則として譲渡所得扱いとなります。

この場合には、特別控除50万円を引いたあとの金額が税金の対象となること。

つまり金を売買した結果年間で50万円以下の利益であれば、その部分には税金が課されません。

上場株式は利益に対して20.315%が課税されますが、金の売買はうまく行えば非課税といったこともありえるでしょう。

仮に年間で50万円を超える利益が発生した場合でも、所有期間が5年を超えている場合には、特別控除50万円を差し引いた金額すべてが課税対象になるわけではなく、実は課税対象の1/2にしか課税されない仕組みとなっています。

金を長く保有し、大きな利益を得ている方ほど実は税金面で大きな恩恵を受ける可能性があるのです。

(3)税金面での注意点

注意点としては全員が譲渡所得になるわけではないことです。

国税庁のホームページによれば、

その人が営利を目的として継続的に金地金の売買をしている場合の所得は、譲渡所得とはならず、その実態により事業所得又は雑所得として総合課税の対象になります。
①なお、金投資口座や金貯蓄口座などからの利益は金地金の現物の譲渡とは異なり、実態は金融取引に近いことから、金融類似商品の収益として一律20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、地方税5%)の税率による源泉分離課税となります。
②この分離課税は、源泉徴収だけで課税が終了しますので、他の所得と合算して確定申告をすることはできません。
(参照元:国税庁「No.3161 金地金を売ったときの税金」より)

と記載がありますので、継続的な金地金の売買を行う場合には、譲渡所得の税計算での恩恵が受けられない場合があります。この点だけご注意ください。

金の意外な恩恵と税金の話を解説しました。金のメリットは意外な部分にも存在するからこそ、金投資は面白いのです。

7、金投資についての情報収集方法は?

さらに、いろいろな情報を得ながら金投資をやってみたい方向けに、どういった情報を入手しておくと金投資に有益となるか、情報収集方法について解説して行きましょう。

(1)一般社団法人日本金地金流通協会「貴金属市場の動向」

金価格の最新の動向を知りたい方は、一般社団法人日本金地金流通協会ホームページにある「貴金属市場の動向」を確認されるとよいでしょう。

最近1ヵ月の金価格の動きがなぜそうなったのか、簡潔に記載されています。

>>一般社団法人日本金地金流通協会「貴金属市場の動向」

多少の経済知識は必要になりますが、どういった場合に金価格は上げるのか、下がるのかを実践にて把握することができるでしょう。なお、金以外にもプラチナ市場の動向や為替市場の動向も確認できます。

(2)田中貴金属の「Gold Survey」

次に1年間などの動き、需要と供給の動向など、中長期的な流れをつかみたい方は、田中貴金属工業株式会社が公表している「Gold Survey」を読んでみましょう。

>>GFMS Gold Survey 2019

こちらはトムソン・ロイターGFMS社が発行している世界の金の年次の調査報告書になります。日本語版での案内のため、気軽に読めるのではないでしょうか。

このレポートでは中長期的にみて、金の供給がどうなっているのか、それに対して需要はどの程度あるのかを確認できます。

また価格と市場の見通しを確認することで、今後の金価格の目安も想定できることでしょう。どういった投資(現物、ETFなど)が増えているのかも確認できるため、投資の仕方においても参考になると思います。

(3)日経新聞のマーケット欄

もう一つ、できる限り金に関連する最新のニュースを知りたい方は、日本経済新聞のマーケット欄を確認するのも良いでしょう。

マーケットの商品市況ニュースを確認することで、金価格の最新動向を確認できるほか、世界情勢から金価格の動きを把握することも可能です。インターネットの記事でも確認できます。

短期か中長期かで見るべきポイントも異なるため、いずれも読んでいただくと金価格動向をより詳細に把握できると思います。私も個人的にこの3つの情報源は大変重宝しています。

8、金は投資以外でも楽しめる

おわりに、投資メインと言うよりはどちらかといえば、使う・見るといった部分を重視したい方向けに、資産性のある金保有の方法を解説していきます。

普段から金を財布に入れるなど金運アップを図りたい方にはうってつけの保有の仕方かもしれませんね。

(1)金の楽しみ方①純金カレンダー

密かに私も毎年楽しみにしているのが、純金カレンダーです。

三菱マテリアルトレーディングでは、毎年純金カレンダーを制作、販売していて、裏面には干支や七福神などの絵柄を選択でき表面がその年のカレンダーとなっています。

カレンダーとしては1年間しか利用できませんが、純金0.5グラムを利用しているため、金としての価値は保つことができます。

1枚でも購入できるため1枚財布の中などに入れて金運アップをはかったり、カレンダーとして利用するなど楽しめるでしょう。

以前は1枚6,000円+税だったのですが、2019年4月1日注文から8,000円+税と大幅な値上げになってしまいました。

こちらにも金価格上昇の影響が出ているとも言えるでしょう。

三菱マテリアルトレーディングでは、純金カレンダーの他にも、純金名刺や純金表彰状、普段使いできるものとしては、純金しおりなども販売しています。

金価格が上昇すれば、こうしたモノの価値も上がりますが、売却するときはオークションなどへの出品となるため、最初から売るのを目的とするよりは、使ったり見て楽しむことを重視された方向けかも知れません。

(2)金の楽しみ方②記念金貨を購入する

次に目で見て楽しむ方法として、記念金貨を購入する方法を挙げることができます。

2020年の東京オリンピック競技大会を記念した金貨だけでも第一次発行、第三次発行にて1万円金貨が発行されることになっています。

こうした記念金貨の場合には抽選となることが多く、プレミア価格となる可能性もあるため、資産性だけではなく投資としての価値も出てきます。

当然ながら金価格が上昇すればそれによる価値上昇も期待できるでしょう。

例えば、1999年に発行された天皇陛下御在位100年記念1万円金貨は、当時41,000円で発売されましたが、2019年8月現在、10万円以上で買い取りされています。当時の金価格が安かったのが一番の理由ですが、こうして長く保有することで楽しむだけではなく資産としても価値が高まっているのです。

(3)金の楽しみ方③大判、小判、アンティーク金貨

この他にも趣味の割合が大きくなりますが、大判、小判、アンティーク金貨などを購入するといった方法もあります。

これらは金の価格そのものというよりはその時々の需要と供給に左右される側面が強いため、楽しむ側面の方がより一層強くなるでしょう。

年号などで集めていく方もいますし、発行枚数などで希少性を重視して購入される方もいます。

外国のアンティーク金貨の中には大きく値上がりするといったケースも見られますので、どういったものが人気が高まっているのか、今後注目を浴びそうなものは何か予想し購入していくスタンスも良いかも知れませんね。

9、まとめ

投資というよりは目で見て楽しむ側面をより重視し、金に関連する商品を説明してきました。

こうした金関連商品は次の世代への財産として残すことも可能で、特に記念金貨に関しては売買もしやすく絵柄を楽しむこともできるでしょう。

必ず利益が得られるわけではありませんが、気になる方は造幣局のホームページを確認してみると、今後発行される記念金貨等の情報が手に入ります。

多くは抽選となりますが、その結果を待つのもまた、投資以外の楽しみ方の1つかも知れません。

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