不動産投資において、どのようなものが経費としてみなされるのか知っていますか?
本来経費として計上できるものを知らないまま、必要以上に税金を納めてしまうことは避けたいですよね。
経費について正しい知識を身につけ、正しく納めることが、税金を最小化するために必要です。
そこで、今回は不動産投資に関する情報発信を行う当メディア「不動産投資の教科書」が、
- 不動産投資における経費
- 経費として認められる支出
- 経費として認められない支出
- いくらまでなら経費として認められるのか
について解説していきます。
他にも、「不動産投資は本当に節税効果があるのか」など、気になるポイントもご紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。
不動産投資のバイブル
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目次
1、不動産投資における「経費」
(1)そもそも「経費」とは
そもそも経費とは、「一定している平常の費用。また、物事を行うのに必要な費用。」のことを指します。
つまり、不動産投資における経費とは「不動産収入を得るために必要な経費」のことです。
出典:goo辞書
(2)不動産投資における経費の大切さ
不動産所得は、総収入金額から必要経費を差し引いた金額です。
経費が増えることは所得が減ることに繋がりますが、所得税や住民税は必要経費を差し引いた不動産所得に対して課されます。
そのため、どの費用が経費として認められるのか把握し、計上することが大切です。
2、不動産投資で認められる経費・認められない経費
本章では、具体的な
- 経費として認められる費用
- 経費として認められない費用
を紹介していきます。
(1)経費として認められる費用
経費として認められる費用は、主に以下の13種類です。
- 租税公課
- 損害保険料
- 減価償却費
- 借入金利息
- 管理費
- 修繕費
- 旅費・交通費
- 広告宣伝費
- 通信費
- 書物購入費
- 接待交際費
- 消耗品費
- その他費用
それぞれ詳しく見ていきましょう。
*減価償却費については、3、不動産投資における減価償却費とはにて解説しています。
①租税公課
租税公課とは、国や地方に納める税金を指す「租税」と公共団体に納める手数料や罰金など「公課」を合わせた簿記上の勘定科目のことです。
不動産投資でかかる租税公課としては、
- 固定資産税・都市計画税
- 登録免許税・不動産取得税
- 事業税
- 印紙税・自動車税
などがあげられます。
印紙税や登録免許税など、初年度のみかかる費用もあるので、初年度は多くの経費を計上することができます。
②損害保険料
自然災害が多い日本では、被災により莫大な費用がかかることも。
万が一に備えて、火災や地震などの損害保険に加入するのが一般的です。その際発生する損害保険料も、経費として計上可能です。
③借入金利息
不動産投資を始めるにあたって投資用不動産を購入する際、多くの資金が必要となるため、金融機関の融資を受けるのが一般的です。
融資を受けると原資部分に加えて利息を支払う必要がありますが、この利息を経費として計上できます。
しかし、経費として計上できるのは利息部分のみで、原資部分は経費として計上できません。
④管理費・修繕費
不動産投資では、投資用物件の管理を不動産管理会社に依頼するのが一般的です。
さらに、年数が経つにつれて劣化部分が出てきます。物件の価値を維持するためには、定期的な劣化部分の修正が必要となります。
投資用不動産がマンションの場合には、修繕費をマンション全体で修繕積立金として徴収します。
これらの管理費・修繕費も経費として計上することが可能です。
⑤旅費・交通費
必ずしも、投資用物件が自宅の近くであるとは限りません。
物件を見に行く際の宿泊費や、不動産セミナーに参加する際に発生する交通費も、経費として計上可能です。
⑥広告宣伝費
入居者を募集するためには、広告宣伝が必要です。
管理会社へ支払う管理委託費にも広告費は含まれていますが、それに追加して広告宣伝を行う場合の費用も経費としてみなされます。
⑦通信費
経費として計上できる通信費は、不動産管理会社と連絡を取り合う上で発生する通話料やインターネット回線費用などです。
⑧書物購入費
不動産投資で利益を得るために、最新の不動産市場や経済状況に関する情報を得ることが大切です。そのための新聞購読や書物購入費も、経費として計上可能です。
⑨接待交際費
不動産管理会社の方や税理士などとの打ち合わせや、投資仲間などとの意見交流を行った際の飲食代は、接待交際費として計上可能です。
⑩消耗品費・その他費用
投資用不動産の外観や劣化部分などを撮影するのに使うデジタルカメラや、資料印刷用のプリンター、筆記用具などを購入したりすることがありますよね。
他にも、確定申告を税理士に依頼するなど専門家に支払う料金も、経費として計上することができます。
(2)経費として認められない費用もある
もちろん、すべての費用が経費として認められるわけではありません。不動産投資における経費は、不動産所得を得るために必要なものに限られています。
そのため、車やパソコンなどプライベートでも使用する場合、一部しか経費として認められない場合があるので注意しましょう。
3、不動産投資における減価償却費とは
(1)減価償却とは
減価償却とは、使用可能期間にわたって分割して費用計上する会計処理のことです。不動産投資における減価償却は、物件の購入費用を一定年数にわけて、毎年費用に計上することです。
(2)減価償却の計算方法
減価償却の計算方法は、以下の2種類があります。
- 定額法
- 定率法
平成28年度の税制改正で、建物や附属設備、構築物等における定率法は廃止されました。今後、物件を購入する際は、定額法を用います。
そのため、ここでは定額法について解説します。
定額法とは、固定資産の法定耐用年数の間、毎年同じ額の減価償却費を計上する方法です。
費用として計上される減価償却費は、毎年一定の額となります。
定額法の計算式は、以下の通りです。
1年間に計上できる減価償却費=建物価格÷減価償却期間
4、不動産投資の経費はいくらまで?
(1)経費に上限はある?
結論から言うと、経費に上限はありません。
経費は、不動産所得を得るために必要な費用ですので、無理に減らそうとする必要はありません。
ただ、費用が嵩みすぎて赤字経営が続くと、金融機関からの信用がなくなって次の物件を購入しづらくなる場合があります。
必要な経費を必要なだけ計上するようにしましょう。
(2)理想の経費率とは
一般的な経費率の目安は、15%〜20%と言われています。
家賃が10万円の部屋が8室ある場合、家賃収入が80万円となります。そのため、経費としては12〜16万円くらいに納めるのが理想ということです。
5、不動産投資は節税になる?
不動産投資は以下の3つの場合に節税効果があります。
- 赤字経営
- 不動産所得以外に収入がある場合
- 法人化する
(1)赤字経営
1つ目は、経費を増やして赤字経営に見せるという方法です。経費が増えることで不動産所得が少なくなることから、所得税の節税につながります。
しかし、節税目的で赤字経営に近づけると、経営がうまくいっていないと判断されて、次の物件を購入する際の融資を金融機関に断られる可能性もあるので注意しましょう。
(2)不動産所得以外に収入がある場合
不動産所得以外に収入がある場合、経費計上によって本来の課税額より少なくなります。
そのため、確定申告を行うことにより、支払うべき納税額が少なくなり、還付金としてお金が戻ってきます。
(3)法人化する
個人で不動産投資を行う場合、事業とプライベートの両面があるため、認められる経費が限られてしまったり、一部しか経費としてみなされなかったりする可能性があります。
一方で、法人化すれば、経費として計上できる費用を増やすことが可能です。
たとえば、社用車として車を購入して自動車税やガソリン代、自宅を事務所とした場合、賃料や水道光熱費などを経費として計上できます。
個人の場合、保険の支払いのうち経費にできるのは最大12万円となっています。ですが、法人は計上できる範囲は異なるものの、12万円という上限はありません。
このように、法人化することで大きな節税効果が期待できます。
まとめ
いかがでしたか?
不動産投資においてどのような費用が経費として認められるのかについて詳しく解説しました。
正しく経費に関する知識を身につけ、正しく計上することが結果的に節税にもつながります。
この記事が、皆様の不動産投資ライフに少しでもお役に立てれば幸いです。