• 不動産投資
  • 2018/2/9

アパートの贈与で相続税対策をするために知っておくべき5つのこと

相続税の節税に、アパート贈与をお考えですか?生前贈与を活用した節税テクニックはいくつかありますが、その中でもアパート贈与することによる節税はその効果が高く、相続を控えている方にとって高い関心事となっています。

そこでこの記事では、

  • なぜ、アパート贈与が相続税対策になるのか
  • さらに節税効果を高めるテクニック
  • アパート贈与を活用した節税の注意点
  • アパート贈与を活用することの派生的なメリット
  • アパートを購入してから贈与するまでの流れ

などについて、月間20万人もの方々にご覧いただいている「不動産の教科書」が詳しく解説します。この記事の内容がアパート贈与で相続税を節税したいとお考えの方のご参考になれば幸いです。

 アパートの贈与で相続税対策

まずは、アパートの贈与がなぜ相続税対策になるのかについて説明していきます。

(1)そもそも、アパートの贈与とは?

相続税を節税するために生前贈与を活用する人は多くいますが、ここでいう贈与とは必ずしも現金である必要はありません。アパートなど不動産であっても問題はなく、とりわけ賃貸不動産だと大きな節税効果があるとして注目が集まっています。

最大のポイントは「現金より不動産の方が課税評価額が低くなる」ということで、仮に1億円の現金を贈与するとなると1億円分の贈与税が丸々掛かってきますが、不動産であれば8割程度の評価額になるので1億円分の不動産であっても約8,000万円の評価となり、これだけでも2,000万円分の節税効果が生まれます。

さらにアパートは賃貸住宅なのでさらに評価額が低くなり、節税効果が高くなります。

それでは、次項からアパート贈与の節税効果について詳しく解説していきましょう。

(2)アパートの贈与が相続税の節税になる理由

現金ではなくアパートで贈与をすると節税になるカラクリには、評価額の違いがあります。税金の基本的な考え方として、「扱いやすい資産ほど評価額が高い」というものがあります。最も扱いやすい資産は現金なので、現金の場合はその金額がそのまま100%の評価額となります。

それに対して不動産の場合は、いつでも思い通りの金額で現金化できるとは限らないため、その分評価額が低くなります。

土地は約80%、その上に建っているアパートの建物は高くても評価額が約50%なので、土地は約20%、建物は少なくとも約50%の評価減があるので、その分だけ課税対象額が少なくなり節税効果につながります。

次項でこの節税効果を元に計算してみましょう。

(3)アパートを贈与する際の評価額はこうなる

前項から解説している節税効果を計算式にすると、以下のようになります。

分かりやすく、1億円の現金で「土地が5,000万円、建物が5,000万円」という価値を持っているアパートを購入したとしましょう。

土地と建物の評価額は、以下のように計算します。

土地の評価額:5,000万円 × 約80% = 約4,000万円

建物の評価額:5,000万円 × 約50% = 約2,500万円

この段階で、1億円の評価額を6,500万円まで下げることができました。

しかしこれだけなら、「アパートを贈与する」ことのメリットが見えてきません。単なる不動産を贈与するのではなくアパートであることで得られる節税効果は、次項で解説します。

(4)なぜ、「住宅」ではなく「アパート」なのか

現金ではなく不動産にすることで資産の評価額を低くできる根拠を前項で解説しましたが、さらにアパートは賃貸住宅なので他人に貸し出すことによる評価減もあります。

土地や建物は他人に貸し出すことで、それぞれ借りている人に借地権、借家権が発生します。これらは不動産を借りている人を保護するための権利なので、言い換えるとオーナーの権利がその分少なくなります。

税金の計算では少なくなった権利分を評価するので、借地権と借家権の分だけアパートの評価額が低くなるのです。

標準的な数値として借地権割合が18%、借家権が30%と設定した上で、それぞれを差し引いて計算してみましょう。

先ほどの例で「土地5,000万円、建物5,000万円」で合計1億円の価値を持つアパートを贈与するケースで、土地を約4,000万円、建物を約2,500万円と評価した上での計算です。

土地:約4,000万円 × (100% - 18%) = 約3,250万円

建物:約2,500万円 × (100% - 30%) = 約1,750万円

これを合計すると、1億円をかけて購入したアパートがちょうど半分の約5,000万円にまで評価額を下げられたことになります。

単なる不動産の贈与ではなく、アパートの贈与に注目が集まっている理由はこうした節税効果があるからです。

(5)財産価値と収益価値の関係

アパートの贈与による節税を理解するにあたって、「財産価値と収益価値の違い」について触れておきたいと思います。

財産価値とは、その財産が持っているその時点での価値です。贈与税や相続税など財産にかかる税金はこの財産価値から税額が算出されます。一方の収益価値というのは、その財産が今後生み出していくであろう価値のことです。

アパートには入居者がいるので、そこからの家賃収入は今後続くものですが、贈与が行われた時点では財産価値しか評価されないため、実質上この収益価値の分は非課税となります。 

1億円の現金を贈与すると丸々1億円分が課税対象となりますが、アパートを贈与することで「今後入ってくる家賃」は贈与を受けた子のものとなり、実質的に課税されることなく子へ財産の移転が可能になるのです。

2、節税効果をさらに高めるアパート贈与3大テクニック

次はより節税効果を高めるテクニックを3つ紹介していきます。

(1)アパートの建物だけを贈与する

アパートの贈与によって相続税や贈与税を節税するには、アパート全体を贈与するのではなくアパートの建物だけを贈与するのが大きなポイントです。

1、(3)アパートを贈与する際の評価額はこうなる」で解説したように、土地は路線価で評価されるため約80%の評価額となりますが、建物は最大でも約50%の評価額となるため、「土地より建物の方が節税効果が高い」ことにお気づきかと思います。

建物の評価は純粋に建築コストで算出されるため、建築を請け負った会社に支払った金額ではないところもポイントです。あくまでも固定資産として重量鉄骨や木造、RCなど建物の構造や材料によって評価額が決まります。最大で約50%なので、構造や材料によってはさらに低くなることもあるわけです。

この仕組みを活用して建物だけを贈与すれば、より高い節税効果が得られるのです。

(2)相続時精算課税制度を活用する

贈与税には年間110万円までという基礎控除枠が設けられています。その一方で、相続時に一度きりですが2,500万円の控除が受けられる「相続時精算課税制度」があり、納税者はこのどちらかを自分の意思で選択することができます。

年間110万円の基礎控除が20年続けば合計で2,200万円になり、23年目に2,530万円となるため優位性が逆転します。23年以上基礎控除を活用した贈与を続けるのであればお得感は薄れるかも知れませんが、それよりも早く相続対策をしておきたい場合は、相続時積算課税制度を選択した方が有利です。

「土地が5,000万円、建物が5,000万円」という、この記事で例示しているケースで前項のように節税メリットが大きい建物のみの贈与を行い、さらに相続時精算課税制度を利用するとどうなるのでしょうか。

建物の評価額は、借家権割合を考慮した「1、(4)なぜ、「住宅」ではなく「アパート」なの」での計算結果によると約1,750万円です。つまり、特別控除枠の範囲内ということで贈与税が発生しないところまで節税が実現します。仮に2,500万円+110万円という最大の控除枠を超えた評価額の建物を贈与したとしても、贈与税額は大幅に圧縮されます。

なお、相続時精算課税制度について詳しくは「相続時精算課税制度とは?相続税を節税するために知っておくべき6つのこと」の記事をご参照下さい。

(3)親に地代を支払わない

建物だけの贈与を受けた子は、親の土地に建っているアパートを経営することになります。土地は贈与を受けていないので所有者である親に地代を支払う義務が発生するのですが、ここで地代を支払うと子の財産が減り親の財産が増えてしまうため相続対策としての意義が薄れてしまいます。そこで、親に地代を支払わないというのも1つのポイントです。

それだと親の土地を子に贈与したと見なされるのでは?」とお気づきの方もおられるでしょう。筋道から考えると確かにそうなのですが、実際問題として親が所有している土地に家を建てて子に住まわせるというケースは珍しいものではありません。国税庁も「親の土地に子供が家を建てたとき」に対する見解を公表しており、課税対象とはならないことが明記されています。

出典:国税庁 親の土地に子供が家を建てたとき

この見解を踏まえ、アパートの贈与を受けた子は親に対して地代を支払わずにアパート経営を行うことで節税効果を高め、子への財産移転を進めることができます。

3、まだある、アパート贈与を活用するメリット

アパートの贈与に相続税の節税効果を期待する方が大半ですが、アパート贈与には他にもメリットがあります。相続対策以外にも注目したいメリットをご紹介します。

(1)アパート経営で資産形成

相続対策というキッカケではあっても、アパート経営を始めるということは新たな収入源を持つことになります。子にとっては土地の無償貸与と建物の贈与という組み合わせで始めるアパート経営なので極めて有利な条件と言え、そこからの家賃収入は子の資産形成に資するものとなります。

(2)資産ポートフォリオの多様化でリスクヘッジ

不動産は、インフレに強い資産です。日本経済は長らくデフレ傾向が続いてきたため現金資産に対する関心が高くなりすぎているきらいがありますが、これがひとたびインフレに振れると相対的に現金の価値が低くなるため、アパートなど資産を不動産という形で持っておくことはリスクヘッジになります。

資産ポートフォリオ(資産構成)の多様化はリスクヘッジの基本なので、アパート贈与は親から子への資産継承をより安全で確実なものとする効果を持ちます。

4、節税を目的としたアパート贈与で注意したい5つのこと

次は相続を目的としたアパート贈与の注意点を5つ紹介していきます。

(1)贈与するアパートの購入に借金はNG

アパートを贈与することによる節税メリットを得たいがために、借金をしてでも子にアパートを贈与して…と考える方もおられると思います。しかし、この場合は節税メリットが薄れるどころか損になることもあるので、おすすめできません。その理由は、「不動産の評価方法が変わる」からです。

贈与税と相続税は不動産を同じ方法で評価しているので、その特性を活かしてアパートの贈与に節税メリットが生まれるのですが、負担付贈与(※)の場合は不動産が時価で評価されるため評価額(=課税対象額)が大きくなり、節税効果がなくなってしまうのです。

さらに、負担付贈与だと贈与をした親の側に譲渡益が発生するため、譲渡所得税が課税されることになります。不動産の評価額が高くなる上に、親に新たな課税の可能性が生じるため、負担付贈与には注意しましょう。

※負担付贈与…負担つまり借金などマイナスの資産を一緒に贈与することです。

(2)入居者がいるアパートの贈与では敷金にご注意

アパートと一緒に借金も贈与すると負担付贈与に該当することは前項で解説しましたが、もうひとつ注意したい点があります。それは、入居者がいるアパートの場合に入居者から預かっている敷金や保証金の存在です。

入居者がいるアパートを贈与すると、その所有権とともに敷金や保証金についても子に移転するという通説があります。つまり、入居者から預かっている敷金や保証金を退去時に返還する義務と一緒に贈与されたことになり、これが負担付贈与に当たると見なされます。負担付贈与に該当すると不利になるのは前項で解説した通りなので、負担付贈与と見なされないように対処する必要があります。

具体的な方法としては、アパートの贈与について回る返還義務分だけ現金を一緒に贈与して、差し引きゼロにすることで負担付贈与を回避できます。

(3)物件選びを間違うとアパート経営で損失が出る

アパートを贈与することで相続対策になることはこの記事で解説してきた通りですが、だからといって「アパートなら何でも良い」というわけではありません。空室だらけで収益性に乏しいアパートを贈与したとしても、アパート経営が赤字になってしまうと節税メリットどころではなくなります。

(4)相続時には自用地となり土地の評価額が高くなる

この記事ではアパートの土地と建物を分けて考え、建物のみを贈与することで節税メリットを最大化する方法を解説していますが、このアパートの土地を所有している親が亡くなった時には土地の相続があります。

建物を所有している子がこの土地を相続すると土地と建物が揃うため、自用地と見なされ評価方法が変わります。「1、(4)なぜ、「住宅」ではなく「アパート」なのか」では借地権割合によって評価額を低くすることができていますが、自用地となると他人に貸していないので、この分の評価減はなくなることを押さえておいてください。

(5)受贈側に不動産取得税が発生する

購入であっても贈与であっても、不動産を取得したことによって発生するのが不動産取得税です。アパートの建物のみの贈与となった場合、計算方法は以下の通りです。

建物の固定資産税評価額 × 3% = 不動産取得税額

取得時に一度だけ発生する税金なので負担はそれほど大きくありませんが、アパート贈与時には必ず発生するコストのひとつとして計算に入れておきましょう。

5、アパート購入から贈与までの流れ

アパートを購入して贈与するまでの大まかな流れをまとめました。

(1)購入するアパート物件を選定する

財産を持っている親が現金をアパートに換えるため、アパート物件を土地付きで購入します。この際に、以下の2点がポイントとなります。

  • 相談できる不動産業者のパートナーを持っておく
  • 将来にわたって収益性が見込めるアパートを購入する

相談できるオススメの不動産投資会社

アイケンジャパン 

http://aikenjapan.jp/lp/

インベストオンライン


https://invest-online.co.jp/

(2)アパートを購入する

収益性が見込めるアパート物件が見つかったら、親が現金で購入します。この時の注意点は、以下の通りです。

  • アパート購入費用は親が出す
  • アパート購入費用で借金をしない(負担付贈与になるため)

収益性が見込めるアパートとなるとすでに入居者が存在する可能性が高いと思いますが、その際には敷金や保証金の取り扱いに注意してください。理由は「4、(2)入居者がいるアパートの贈与では敷金にご注意」で解説します。

(3)アパート贈与の申請書を作成する

アパートの購入を完了したら、次は子への贈与です。それに伴い、以下のものを準備します。

  • 登記申請書
  • 親の印鑑登録証明書
  • 贈与をするアパートの権利証(または登録識別情報)、登記簿謄本(全部事項証明書)
  • 子の住民票
  • 親と子が取り交わす贈与契約書
  • 固定資産評価証明書

最初にある「登記申請書」は自ら作成する必要があるのですが、特に書式が決まっているわけではありません。必要事項が揃っていれば書式は問いませんが、法務局では必要事項だけを記入すれば申請書が完成するようにテンプレートを配布しています。

こちらの空欄に必要事項を記入すれば贈与による登記申請書が完成するので、とても便利です。

出典:登記申請書(贈与)テンプレート(法務局)

(4)付属書類の作成

前項の書類以外に、場合によって以下の付属書類も必要になります。

  • 印紙台紙

登記申請に必要な印紙を貼りつけるための台紙です。一般的には申請書と同じサイズのA4用紙が用いられます。

  • 登記原因証明情報

どんな理由でアパートの所有権を移転する登記をするのかを明示する書類です。贈与によって親から子へ所有権が移転することを保証する役割を持ちます。

  • 委任状

贈与の手続きを弁護士や司法書士に代行依頼をしている場合は、委任状を作成します。

(5)書類一式を法務局に提出

ここまでに作成した書類を法務局に提出します。書類に不備がなければ、長くても2週間以内には登記が完了して親から子への贈与が完了します。

(6)確定申告

この一連の贈与事実に基づき、その次の確定申告時に贈与の申告をします。

まとめ

アパートの贈与を活用した節税ノウハウについて解説してきましたが、いかがでしたか?相続対策は早め早めに動くことでより高い効果が期待できます。特にアパートの贈与は、贈与後に発生する家賃収入の積み重ねを考えると早めに行った方が子への実質的な財産移転がスムーズになります。

この記事の内容が、より実りのある相続対策につながれば幸いです。

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