これをお読みの方の中には、初めて投資物件を購入された方で、サブリース契約を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
サブリースには賃貸経営を丸ごとお願いできるというメリットがあります。
賃貸経営には修繕費の積立や家賃滞納への催促、空室対策など様々な手間がかかるので、そのような手間を省けるという点でサブリースは初心者にとってオススメであるという見方もあります。
また、サブリース契約は契約期間中空室が発生しても、空室となっている間の家賃を保証してもらえるものが多いです。
以上のような点を踏まえると、サブリース契約はまさに「いいことづくめ」のように感じませんか?
しかし、注意が必要です。
サブリースは、契約内容を巡ってのトラブルも多いからです。
今回の記事では、
- サブリースの仕組み
- サブリースでよくあるトラブル
- 契約する際に必ずチェックしておくべき6つのポイント
などをまとめました。「不動産投資の教科書」編集部がお伝えする内容ですのでお読み頂くことで、サブリース契約でよくあるトラブルを回避することができるでしょう。
以下の記事も参考にしていただけたら幸いです。
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不動産投資のバイブル
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目次
1、サブリースとは?その仕組みについて
まずは、大家が持っている賃貸物件を一括借り上げして、家賃保証システムとして知られているサブリースの仕組みについて解説していきます。
(1) サブリースシステム(一括借り上げシステム)とは
サブリースとは、大家から賃貸物件を借り受けたサブリース会社が第三者に貸し出す(転貸借する)システムのことを言います。
一棟物件を一括で契約する場合が一般的ですが、区分マンションのような一室についてサブリース契約できるサブリース会社もあります。
上記の図のように、サブリースの場合家主と入居者が直接やり取りをすることはありません。入居者から受け取った賃料からサブリース会社は運営手数料を差し引き、家主に残りの家賃分を支払う仕組みです。
サブリース会社によって異なりますが、一般的にはサブリースを利用して大家が受け取れる収入(リース契約料)は、実際に貸している家賃の80〜90%前後となります。
(2) サブリース契約のメリットとは
では、サブリースにはどのようなメリットがあるのでしょうか。大家にとっての具体的なメリットは以下の通りです。
- 空室でも家賃収入がある(家賃保証)
- 家賃滞納リスクの心配がない
- 建物の維持管理など計画的に対応してもらえる
- 入居者の審査は代わりに対応してもらえる
など、家賃保証から始め賃貸管理に関する細かい対応は全て一括にて対応してもらえるのが大きな魅力と言えます。
(3)サブリース契約と管理委託契約等との違いは?
では、サブリース契約と管理委託契約等とはどのような違いがあるのでしょうか。以下にて一覧表にまとめてみましたので、参考にしてみて下さい。
サブリース契約 | 管理委託等の契約 | |
管理費用 | 実質家賃の10〜20% | 実質家賃の5%(※定額プランもある) |
空室保証 | 保証あり | オプション |
滞納保証 | 保証あり | オプション |
契約期間 | 2年〜長期間 | 通常2年 |
入居者審査&契約 | サブリース会社 | 大家 |
入居者管理 | サブリース会社 | 管理会社 |
(4) サブリース契約はどのような方に適しているのか
サブリースは、空室家賃保証が設けられているので、
- 賃貸経営に不安が多い初心者
- 本業が忙しいサラリーマンの方
- 所有物件が遠方にある方
に適していると言えるでしょう。
2、なぜサブリースは注意が必要なのか?
サブリース契約は管理委託も任せられて家賃を保証してもらえて、まさに「いいことづくめ」のように見えます。
しかしちょっと待って下さい!そんなにうまい話は世の中にたくさんはありません。
サブリース契約を結ぶにあたってはいくつか気をつけておかなければならないポイントがあります。
例えば、
永続的に同額の家賃が保証されるわけではない!
ということです。つまり、多くの契約では決められた家賃の金額が保証される期間は2〜5年程度なのです。その期間が過ぎれば保証される金額が見直され、当初の金額より安くなってしまいます。結果、当初想定していたシミュレーションよりも収益は悪化してしまう可能性があるのです。
そもそも不動産投資でサブリース契約が導入されている理由の一つに「購入者にとってリスクが低いようにみせて購買を促す」というものがあります。
つまりサブリース契約がそもそもサブリース会社や、提携している不動産会社に有利なように設計されているのです。
「1、サブリース契約で損しないために知っておくべき6つのこと」で記載したようにサブリース契約は大家にとって様々なメリットがあります。しかし、サブリース会社側の言われるがままに契約してしまうとトラブルに巻き込まれ、損してしまうケースもあるのです。
3、実際にサブリース契約で起きた6つのトラブル
賃貸物件が空室であっても家賃が保証されることも魅力的なのがサブリース契約です。しかし、「2、なぜサブリースは注意が必要なのか?」で記載した通りサブリースは注意が必要です。実際、その契約内容を巡ってトラブルが多く起きています。同じトラブルに遭わないために、事前にトラブルの内容について把握しておきましょう。
(1)突然サブリース会社からの支払い金額が下がった!
サブリース契約の大きな魅力が「家賃保証」です。とはいえ、この「家賃保証」は契約期間中永続的に一定して変わらない金額で保証してくれるわけではありません。
一般的には「2年」が一つの基準で保証される家賃の金額が見直されます。しかし、家賃見直しの期間を明記せずに、契約書の特記事項として「近隣の相場に応じて、家賃を変更する」とのみ記載される場合もあります。
このような文言を含めて、契約書に家賃の保証期間に関する記載に注意しましょう。
(2)修繕、メンテナンスで予想外の費用がかかった!
サブリース会社によって、サブリース会社が負担するメンテナンスや修繕の内容が異なります。一般的にはサブリース契約に含まれている修繕費では簡易的な修繕だけに限られており、経年による劣化や補修まではカバーされていないケースが多いです。そのため、サブリース会社が修繕の内容や費用を勝手に決め、大家には費用だけが請求されるトラブルが起きています。
そうならないためには、契約時に、
- どのような範囲の修繕を追加費用無しでやってもらえるのか
- 修繕費を大家が負担する場合としてどのようなケースが考えられるか
などをサブリース会社に確認しておきましょう。
(3)サブリース契約の内容が解約しづらいものになっていた
サブリース会社としては、サブリース契約の内容を
- サブリース会社からは解約しやすい
- 大家側からは解約しづらい
ものにしたいと考える傾向が強いです。
大家から契約を解約されないために、サブリース契約の内容には解約すると以下のように家主に不利な条件が設定されていることもあります。これらの文言が入ってたら注意しましょう。
- 違約金は家賃の6ヶ月分がかかる
万が一解約することも備え、解約条件もきちんと確認するようにしましょう。
また、サブリース会社にとって不利とならないように、「大家が家賃見直しに応じない場合、サブリースいつでも解約ができる」というようなサブリース会社側が解約しやすい文言が契約書に盛り込まれていることもあります。
こちらも併せて注意しましょう。
(4)サブリース契約終了後、気づいたら空室だらけだった!
サブリースは完全転貸契約なので、入居者の審査など全てサブリース会社が行います。さらに家賃保証であるため、どの部屋が入居中で、どの部屋が空室なのかも大家が把握していないケースも少なくありません。
そのため、サブリース契約終了時に、
- 建物が空室だらけになっている
- 身元がしっかりしていない人が入居している
などのトラブルが起こります。定期的に入居状況や入居者の情報を共有してもらうようにしましょう。
(5)免責規定なんて知らなかった!
最初の入居者を募集する際に、
- そもそも入居者が決まるまで家賃収入がない
- 入居者が決まるまでに宣伝広告の費用がかかる
などの理由などで、契約開始直後の一定期間は、リース会社から家主への家賃の支払いを免責(リース契約料を支払わない)という規定を設けているケースが多いです。
これが「免責規定」です。
中には、半年などかなり長期間の免責期間を設定するサブリース契約もあります。このような免責期間に関する説明が不十分であるが故のトラブルが多く発生しています。
入居者がいるのに全く収入が得られないようなことにならないように、免責規定の有無や、免責期間がある場合の具体的な期間をきちんと確認しましょう。
(6)いきなり契約会社が倒産してしまった!
ここまで(1)〜(5)で記載したようなトラブルを回避できるような対応をしたとしても、その契約会社が倒産してしまったらそれまでです。
上記の図を見て頂ければ分かりますが、サブリース会社は入居者から支払われた家賃からリース契約料の支払いを差し引いた金額が売上になります。
例えば、家賃30万円を受け取り、大家へ支払う家賃が25万円の場合、5万円が売上になります。しかし、空室が出てその月の家賃収入が20万円しかなくても、家賃を保証していることからリース会社は家主に25万円支払わなければなりません。つまり、この契約に関するその月のリース会社の売上は「−5万円」となります。
短期間の空室ならともかく、空室期間が長引いてしまうとリース会社の赤字が増えて倒産するリスクも十分あると考えられます。
リース会社からの入金が遅れるような事が起きたら、資金のやりくりがうまくいっていないと推測されます。リース会社が倒産すると、家賃の回収が難しくなるなり、大家の損出が大きくなります。
そうならないためには、毎月決まった日にきちんと入金されているかどうかを忘れずに確認するようにしましょう。
4、損しないために!サブリース契約を締結する前にチェックすべき7つのポイントと具体的な交渉方法
上記のようなトラブルから、サブリースを検討する際には必ず契約内容を徹底的にチェックする必要があります。
具体的には以下のようなチェックポイントが挙げられます。
(1)保証家賃の設定金額・見直しに関する規定
①チェックポイント
一般的に家賃設定は、実際の家賃の80〜90%前後の会社が多いです。中には極端に低くなる会社もありますので、注意するようにしましょう。
なお、家賃の見直しは「2年」が一つの目安となっており、明確に記載していない場合はきちんと記載するようにしましょう。中には、「減額請求に応じない場合、解約することができます」とサブリース会社が有利となる条項もあるので、確認しましょう。
②損しないための具体的な交渉方法
保証家賃は妥当であるかどうかを判断するには、ご自身で相場家賃を調べて、最低でも80〜90%になるよう交渉しましょう。相場家賃はHOMESなどのポータルサイトから調べることができますので、ぜひ活用してみて下さい。
また、家賃の見直し期間が明記されていない場合、きちんと記載するようにしましょう。
(2)契約期間に関する内容
①チェックポイント
サブリース期間は会社によって異なります。契約期間の定めには最も入居者を付けやすい「新築後10年間」とされている会社もあれば、30年と長期間に借り上げる会社もあります。区分マンションの場合2年の会社もあります。
もし契約期間が短期間に設定されていたら、期間満了に向けて管理会社の切り替えなど様々な事前準備をする必要がありますので、契約期間は必ずチェックするようにしましょう。
②損しないための具体的な交渉方法
まずは契約時に契約期間をできるだけ長くするよう交渉しましょう(その際に併せて以下の「4—(4)解約する場合の規定」にも注意してこちらからも解約できるような内容にすることを忘れずに)。
新しい管理会社を探したり、管理手続きの引き継ぎなど様々な作業が発生します。契約期間が10年以上の長期間の契約となる場合、大家が解約時期を失念してしまったり明確に把握していないことも考えらるので、「契約終了となる1年前に通告する」などの条件をつけましょう。
(3)免責期間に関する規定
①チェックポイント
先ほども説明しましたが、サブリース契約では新築時もしくは退去する時に免責期間を設けられている場合が多いです。つまり、免責期間中にたとえ入居者がいたとしても大家は家賃がもらえないようになっています。
免責期間が長ければ長いほど大家が損をすることになりますので、長期間の免責期間に設定されていないかをきちんと確認するようにしましょう。
②損しないための具体的な交渉方法
長期間の免責期間は大家に不利になりますので、1ヶ月〜2ヶ月とできるだけ期間を短くするよう交渉するようにしましょう。
(4)解約する場合の規定
①チェックポイント
簡単に解約されないよう、「解約するには半年前に通知しなければならない」など厳しい解約規定を設けて大家側が解約しづらくされているケースがほとんどです。中には解約の規定を守らないと、「家賃の6ヶ月分の違約金が発生する」など大家に不利な条項がある場合もあります。
万が一解約することを備えて、違約金が発生しないよう解約条件についてきちんと確認して把握しましょう。
②損しないための具体的な交渉方法
万が一急遽解約することを備え、解約の通告期間を3ヶ月などとできるだけ短くしたり、違約金を家賃の3ヶ月など少なくするなど、できるだけ自分に有利になるよう交渉するといいでしょう。
(5)修繕やリフォームに関する決まり
①チェックポイント
簡易な修繕などは負担してくれるのが一般的です。しかし費用のかかる修繕やリフォームはリース会社の提案通りに行うようにするとの取り決め内容になっている場合があります。また家賃減額に応じない場合は設備を変えるなどの代替策を強制してくることもあるので、詳細内容をチェックするようにしましょう。
②損しないための具体的な交渉方法
契約書に記載されている項目を把握するのはなかなか難しいので、契約に含まれている修繕内容の一覧表を出してもらうなり、大家でも分かりやすく把握できるようにしましょう。
その上で、大家側で費用負担することに納得いかない点があれば、できるだけリース会社側で負担してもらうよう交渉しましょう。
(6)更新に関する手数料や期間について
①チェックポイント
入居者の更新時にかかる手数料や、敷金・礼金などの取り決めについて確認するようにしましょう。一般的には敷金はサブリース会社にて預かるケースがほとんどです。
②損しないための具体的な交渉方法
入居者の審査など通常大家がやることは全てサブリース会社が代行するので、本来大家がもらうはずの礼金などの費用はサブリース会社がもらえるようになっているケースがほとんどです。
しかし、礼金をサブリース会社がもらえると決まっているわけではありません。
家賃の一部を手数料としてサブリース会社に支払っているのですから礼金は直接大家に支払ってもらうよう交渉してみましょう。
(7)原状回復義務の内容や費用について
①チェックポイント
リース会社が入居者に対して、賃貸借契約の貸主になるので、基本的には退去時に原状回復などの費用負担はリース会社が行います。しかし、契約の内容によって退去者の負担額だけでまかなえず家主が負担するとなっている場合もあるり場合によっては多額の費用を請求されることもあります。事前にチェックしましょう。
②損しないための具体的な交渉方法
余計な費用が請求されないよう、「現状回復に関する費用は、大家は一切負担しない」などきちんと契約書に明記するようにしましょう。
5、立地のいい物件はサブリース以外の選択肢を検討してみる
上記で書きましたように、サブリースは家賃保証してくれることで空室リスクを避けることができるというメリットがある一方、契約内容がサブリース会社に有利な場合にトラブルが発生するデメリットもあります。
また、契約上のしばりも多いことから、賃貸ニーズが高い立地の物件であれば、サブリースを利用せず通常の賃貸管理を利用することをオススメします。
最近では、一般の管理形態で、「空室保証」をオプションとして対応してくれる管理会社も増えています。まず、賃貸に出して入居率をみてから、サブリースにするかどうかを判断されてみるのはいかがでしょうか。
6、サブリースをお願いするならここ!おすすめのサブリース会社一括比較サイト
物件があるエリアや規模によって、管理ができるサブリース会社が異なります。また、サブリース会社によっても管理費用やサービス内容が異なります。以下のサイトでは、
- 物件種類
- エリア
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イエカレ
まとめ
今回はサブリースの仕組みや注意事項などについて書きましたが、いかがでしたでしょうか。
一見、家賃保証されて、全ての管理もお任せすることができるメリットが多いサブリースですが、トラブルが多発し、損をした大家も少なくありません。
サブリースを利用される前にシステムの仕組みについてきちんと理解し、ご自身の状況に合わせて賢く利用することが大切です。この記事がサブリースを検討されている方のご参考になれば幸いです。