土地の相続をしたのはいいものの、何もせずにそのまま放置されている方も少なくないのではないでしょうか。その理由として、
- 名義変更の手続きが手間だから
- いくらで売却ができるかが分からないし、売却の手間も煩わしい
など名義変更にしても、売却にしても手続きが分からないからそのままにしているのが多いようです。
実は、土地を相続してそのまま放置すると、所有しているだけで毎年税金がかかることから売却するメリットの方が大きいケースが多いのです。とはいえ、中にはせっかく親から相続した土地を売却したくない方もいらっしゃるでしょう。そのような場合には、放置するのではなく、土地活用することを検討するといいでしょう。
そこで今回は、土地の相続で損せずに知っておくべき知識を下記にて分かりやすくまとめました。
- 土地の相続に伴って知っておくべき必要な知識
- 放置するなら売却すべき?相続した土地売却をする前に知っておきたい知識
- 土地を売却せず活用する場合
土地の相続で悩まれている方のご参考になれば幸いです。
目次
1、土地の相続で損しないために必要な知識
土地を相続した場合にまず知っておきたいのは「相続税」です。相続税は平成27年1月1日より実施された税制改正により、実質上増税となりました。
(1)相続税の算出方法について
①土地の相続税の算出方法
土地の相続税は、土地の評価額をもとに以下の通り算出されます。
「納めるべき相続税額=(土地の評価額-基礎控除額)×相続税率」
②土地の評価額の算出方法
なお、土地の評価額に関しては、基本的には路線価(路線価方式)で算出します。
「土地の評価額=路線価☓土地の面積☓補正率」
③相続税率
相続税率について詳しくは国税庁の「財産を相続したとき」を参照にしてみて下さい。
④基礎控除額の算出方法
基礎控除額は以下の通り算出できます。
「3,000万円+600万円×法定相続人の数(相続放棄した法定相続人も含む人数)」
⑤相続税算出事例
例えば、下記のような土地を相続した場合の評価額を計算してみましょう。
土地の評価額=30万円☓(18m☓10m)☓1.00(補正率)=5,400万円
この土地を配偶者とお子さん2人と3人で相続した場合、
相続税={5,400万円−(3,000万円+600万円☓3人)(基礎控除額)}☓10%(相続税率)
=60万円
なお、平成28年のうちに相続した場合の財産評価基準について詳しくは国税庁の「平成28年分財産評価基準を見る」より確認してみて下さい。
参考:不動産の相続税はいくら?計算方法や対策方法を紹介 | フジ相続税理士法人
(2)相続放棄できる期間について
相続の対象となる土地を一部の相続人または全員で放棄したり、全相続人で遺産分割することも可能です。
まず、相続を放棄する場合、放棄手続きを申請する期間の定めがあります。原則として、相続人が相続が発生したことを「知った日から3ヶ月以内」に手続きをしなければなりません。
(3)複数人で土地を相続した場合は遺産分割後に売却可能に
一方、土地を遺産分割して相続する場合は、遺産分協議書を作成し、土地の分筆登記を行う必要があります。一つ(一筆)の土地を全員または数人の相続人で分筆登記することで、分筆後の土地につきそれぞれの判断で売却したり維持したりすることが可能になります。
2、放置するなら売却すべき?相続した土地売却をする前に知っておきたいこと
地方の土地を相続したのはいいものの、活用せずにそのまま放置にしている方も少なくないでしょう。その場合、売却を検討されてみてはいかがでしょうか。
(1)売却するメリット
相続した土地をほったらかしにしていても特に問題ないと思われている方は多いでしょう。しかし、売却されると以下のようなメリットが挙げられます。
- 固定資産税を支払わずにすむ
- 売却した現金で新しい投資などを始めることができる
など。
(2)売却の事前準備として「相続登記」をする必要がある
相続で取得した土地を売却する場合、「相続登記」して土地の名義を自分の名義に変更することが前提条件になります。
相続登記の手続きは、その土地の所在地を管轄する法務局に申請して、1週間から10日ぐらいかかります。申請する時は以下のような書類を用意するようにしましょう。
- 遺産分割協議書(実印押印の上印鑑証明書付)
- 相続を証する書面(戸籍謄本や住民票など)
- 固定資産評価証明書(登録免許税の算出につき便宜上添付)
- 登録免許税(収入印紙で登記申請時に納付)
- 司法書士手数料(依頼する場合)
なお、相続登記の手続きの流れについて詳しくは「不動産の名義変更について知っておきたい7つのこと」を参考にしてみてください。
(3)売却で発生する譲渡所得税を安くおさえることができる「取得費加算の特例」
相続した土地を売却することで利益(売却益)が出た場合「譲渡所得税」という税金を支払う必要があります。
その場合、土地の相続税納めた翌日から3年以内に売却すれば、「取得費加算の特例」を利用して譲渡所得税を安くおさえることができます。
なお、「取得費加算の特例」を利用するときの要件や計算方法について詳しくは「相続した不動産を売却する際に知っておきたい6つのこと」を参考にしてみてください。
(4)遺産分割した土地を売却する場合
「2—(2)売却の事前準備として「相続登記」をする必要がある」でお伝えした通り、売却する際、事前に「相続登記」して土地の名義を自分の名義に変更することが必要だとお伝えしました。
遺産分割をしたら、相続登記を行う前に、各相続人が別々に所有するという「分筆登記」を先に行う必要があります。
分筆登記の手続きは大きく以下のような流れになります。
- ①遺産分割協議書を作成する
- ②対象土地を管轄する法務局に土地分筆登記を申請する
※この時点ではまだ名義は被相続人(亡くなった方)のままです - ③分割(分筆)した土地ごとに相続登記する
(5)相続した土地を売却する流れ
では、実際に相続で取得した土地を売却する時はどのような流れになるのでしょうか。先ほどお伝えしたように、売却するためには事前に分筆登記や相続登記をしておくことが必要です。
①実際に売却する手順
基本的には一般的な土地売却の流れと同じです。具体的には以下の通りです。
- 相続登記を完了させる
- 一括査定サイトを利用して、土地の査定を依頼する
- SUMMOなどのポータルサイトから対象土地の相場を調べる
- 信頼できる仲介業者を選ぶ
- 媒介契約を締結して売却活動開始する
- 購入希望者と購入条件を交渉する
- 売買契約書を締結する
- 土地を引渡しする
など。なお、「2.一括査定サイトを利用して、土地の査定を依頼する」際のオススメの査定サイトは以下の通りです。
・すまいValue
東急リバブル、住友不動産販売、野村の仲介など、登録会社を大手不動産会社だけに絞った大手志向の一括見積サイトです。
大手の意見も聞いてみたいという場合に利用すると、一括で大手6社に見積依頼を出すことができます。
・HOME 4 U
登録不動産業者の審査が厳しく営業攻勢を掛けてくるような業者を排除していることや、NTTグループである安心感など、初めての方や投資家ではなく自己所有の家を売却したい方などにもオススメできるサイトです。
②売却後の確定申告について
土地の売却で利益が発生し「譲渡所得税」を支払うことになった場合、確定申告をする必要があります。その際、「取得費加算の特例」を利用して税金を安くおさえましょう。
取得費加算の特例については「2−(3)土地売却で譲渡所得税をおさえることができる「取得費加算の特例」」を参照にしてみてください。
3、土地を売却せず活用する場合
せっかく縁のある土地を相続したのに、売却したくない方もいらっしゃるでしょう。しかし、何もせずに所有しているだけで固定資産税などの税金を支払うのは大変もったいないので、売却せず土地を活用することを検討してみるのはいかがでしょうか。
土地の大きさやエリアによって活用できるプランが異なり、大きく
- アパート・マンションなどの賃貸経営
- 高齢者・シェアハウス賃貸など特殊な賃貸経営
- 事業や店舗物件としての賃貸
- トランクルームや駐車場としての賃貸
などが挙げられます。
なお、それぞれにメリットとデメリットがありますので、土地活用のプランを検討される際に、
- 費用
- 予算
- 立地
- 税金対策
など先々のことも見据えなければなりません。そのため、ご自身でなかなか判断ができない場合、多面的に判断し適格な活用方法を提案してくれる土地活用の専門業者に相談してみるといいでしょう。
下記のサイトでは、無料にてあなたの土地を診断して、最適な活用プランを提案してくれます。これから土地の活用を検討されている方はぜひ利用してみて下さい。
まとめ
今回は土地を相続した際の相続税、売却する場合の流れや土地を売却せずに活用する方法などについて書きましたが、いかがでしたでしょうか。
実際に土地を相続したのはいいものの、売却の手間が面倒、どのように活用したらいいのかが分からないなどの理由から、そのまま放置し、損をしている方が多くいらっしゃいます。せっかく受け継いだ大切な財産ですので、ぜひこの記事を参考に有効に活用してみてください。