• 不動産投資
  • 2026/8/27

東京の中古マンションは暴落する?73か月ぶり転換点をデータで解説【2026年】

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東京の中古マンションは暴落するのか|東京都全体+2.2%に対し都心3区は−5.9%

「東京の中古マンションが暴落するのでは」——そう感じて検索された方に、まず結論からお伝えします。

「東京の暴落」という捉え方そのものが、実態とずれています。2026年7月時点で、東京都全体の中古マンション成約価格は前年比プラス2.2%。まだ上がっています。一方で、都心3区(千代田・中央・港)は前年比マイナス5.9%。下がっています。

同じ「東京」の中で、真逆のことが起きているのです。

「不動産投資の教科書」編集長の山本尚宏です。2014年の創設から12年、累計数百件のご相談を受けてきました。この記事では、東日本レインズが公表している実データをもとに、いま東京で何が起きているのか、そして暴落の前兆はどの指標に先に出るのかを整理します。

結論を先に言えば、これは暴落ではなく73か月ぶりの転換点です。ただし、転換点だからこそエリアと物件タイプの選択が、これまで以上に結果を分けます

📊 この記事の結論

  • 東京都全体はまだ上昇(+2.2%)。下がり始めたのは都心3区だけ(−5.9%)
  • 首都圏の中古マンション坪単価は2026年5月、73か月ぶりに下落に転じた
  • 暴落の前兆は①成約件数 → ②在庫 → ③価格の順に出る。都心3区は3つすべて点灯
  • 都心3区の在庫は前年比+50.5%(1.5倍)。売り手はまだ高値を諦めていない
  • ただし前月比では反発しており、「暴落」と呼べる状態ではない

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1. 結論|「東京の暴落」ではなく、都心3区から始まった調整

まず、いちばん誤解されている点から整理します。「東京の中古マンション」を一括りにすると、実態を見誤ります。

対象 成約価格 前年比 状態
東京都 全体 7,004万円 +2.2% 🟢 まだ上昇している
都心3区
(千代田・中央・港)
1億3,095万円 −5.9% 🔴 下落に転じた

※ 東日本レインズ 2026年7月度データ。都心3区は前月比では+3.6%と反発しています。

下がり始めたのは、最も高騰したエリアからです。これは相場の転換局面で繰り返し見られるパターンで、価格の伸びが実需を追い越したエリアから調整が入ります。

つまり「東京だから危ない」でも「東京だから安全」でもありません。どのエリアの、どの価格帯の物件かによって、置かれている状況がまったく違います。

2. 2026年に何が起きたか|73か月ぶりの転換点

ここ数年の首都圏中古マンション市場は、異例の連続上昇を続けてきました。その流れが2026年に変わっています。

時期 出来事 数値(首都圏)
2026年2月 70か月連続上昇。バブル期を超える水準に到達 成約価格 5,458万円(前年比 +9.5%
2026年3月 71か月連続上昇。上昇率はさらに加速 成約価格 前年比 +11.6%
2026年5月 🔴 坪単価が73か月ぶりに下落。成約価格も19か月ぶりのマイナス 成約価格 5,067万円(前年比 −4.6%)/坪単価 267万円
2026年7月 都心3区の価格が前年割れ。ただし前月比は反発 都心3区 1億3,095万円(前年比 −5.9%/前月比 +3.6%)

73か月=6年以上、上がり続けた相場が止まった。これが「暴落」という言葉で検索される人が増えている背景です。

ただし、止まったことと、崩れることは違います。その違いを見分けるために、次に「暴落の前兆はどこに出るか」を整理します。

3. 暴落の前兆は「価格」より先に、3つの指標に出る

数百件のご相談を受ける中で、相場の転換を早く察知できた方と、後から気づいた方の差は明確でした。価格だけを見ていた人は、必ず出遅れます。

価格はいちばん最後に動く指標だからです。実際には、次の順番で異変が現れます。

段階 指標 何が起きているか 都心3区の現状(2026年7月)
第1 成約件数の減少 買い手が「高すぎる」と判断し、手を引く 🔴 228件(前年比 −18.6%)
第2 在庫の膨張 売れ残りが積み上がる。売り手はまだ値下げしない 🔴 4,942件(前年比 +50.5%)
第3 成約価格の下落 売り手が折れ、値下げした物件から売れていく 🔴 1億3,095万円(前年比 −5.9%)

⚠️ 都心3区は、3つすべてが点灯しています

在庫が前年比+50.5%=1.5倍まで膨らんでいるのが、最も重い事実です。売りに出ている物件が1.5倍あるということは、買い手にとって選択肢が1.5倍に増えたということ。当然、価格交渉はしやすくなります。

東京都全体でも成約件数は1,863件(前年比 −13.9%)で、都心3区・城南・城北・城西の4エリアが二桁の件数減となっています。

4. いま起きているのは「売り手と買い手の綱引き」

この局面をひとことで言えば、売り手と買い手の価格観がズレたまま、にらみ合いになっている状態です。

(1)売り手は、まだ高値を諦めていない

東京都の在庫(売り出し中の物件)の㎡単価は、前年同月比プラス23.2%。つまり売り手は「去年より2割以上高い価格」で売りに出しています。

この背景には、直近6年間ずっと値上がりが続いた成功体験があります。「待てばもっと高く売れる」という期待が、まだ残っているのです。

(2)買い手は、すでに引いている

一方で成約件数は都心3区で−18.6%、東京都全体で−13.9%。買い手は明確に手を止めています。

理由は単純で、価格の上昇に所得の伸びが追いついていないからです。加えて金利上昇局面に入り、借入可能額が実質的に目減りしています。

(3)結果として、在庫が積み上がる

売り手が値段を下げず、買い手が買わない。その結果が在庫1.5倍です。

この状態は長くは続きません。どこかで売り手が折れるか、買い手が戻るかのどちらかです。そして在庫が積み上がった状態では、先に折れるのは売り手になるのが通常の力学です。

💡 買う側にとっては、環境が改善しています
在庫が1.5倍ということは、選べる物件が1.5倍あり、売り手が焦り始めているということです。ここ数年の「即決しないと買えない」状況とは、明確に局面が変わりました。焦って決める必要はまったくありません。

5. それでも「暴落」とは呼べない3つの理由

ここまで下落の材料を挙げてきましたが、現時点で「暴落」という表現は事実に合いません。理由は3つあります。

(1)前月比では反発している

都心3区の成約価格は前年比では−5.9%ですが、前月比では+3.6%。㎡単価も前月比+7.3%と戻しています。一方向に崩れ続けている動きではありません。

(2)東京都全体では、まだプラス

東京都全体の成約価格は7,004万円・前年比+2.2%。下落しているのは高額帯の都心3区が中心で、都内全域が下がっているわけではありません。

(3)1990年のバブル崩壊とは、構造が違う

「バブル期超え」という言葉から1990年の崩壊を連想される方が多いのですが、当時と現在では前提が異なります。

項目 1990年前後 現在
金利水準 公定歩合が2年で2.5%→6.0%へ急上昇 金利上昇局面だが、上昇幅は緩やか
行政の介入 総量規制で不動産融資を一斉に絞った 同種の規制は行われていない
買い手 転売目的の投機需要が中心 実需と長期保有目的が中心
供給 大量供給が続いた 建築費・人件費の高騰で新規供給が絞られている

特に新築の供給が絞られている点は重要です。新築が高くて買えない層が中古に流れる構造がある限り、中古価格を下支えする力は働き続けます。

ただし、これは「下がらない」という意味ではありません。「一気に崩れる形にはなりにくい」という意味です。実際に起きているのは、数年かけてゆるやかに調整する動きと見るのが妥当です。

6. 投資用ワンルームは、実需マンションとは別の値動きをします

ここは、住むためのマンションを扱う記事ではあまり触れられない部分です。投資用の区分マンション(ワンルーム)は、実需向けファミリーマンションとは価格の決まり方が違います。

項目 実需(ファミリー) 投資用(ワンルーム)
価格の根拠 近隣の取引事例。買い手の「住みたい」で決まる 家賃 ÷ 利回り。収益還元で決まる
下落しやすい局面 所得が伸びない/金利が上がる 家賃が下がる/期待利回りが上がる
今の東京 都心3区で調整局面 単身世帯の増加で賃料は底堅い

つまり投資用ワンルームの価格を支えているのは「家賃」です。東京23区は単身世帯の流入が続いており、賃料は比較的底堅く推移しています。この構造が続く限り、投資用ワンルームが実需マンションと同じ幅で下がるとは限りません。

🤝 ただし「下がらない」ではありません。新築ワンルームは販売時に広告費・人件費が価格に上乗せされているため、購入直後に2〜3割下がるのが一般的です。相場が下がらなくても、この分は必ず目減りします。詳しくは「ワンルームマンション投資は儲かる?」をご覧ください。

7. 立場別|いま取るべき行動

(1)これから買う方|「暴落待ち」は推奨しません

「もっと下がってから買おう」という判断は、一見合理的に見えます。しかし実務的には次の問題があります。

  • 底値は事後的にしか分からない。下がっている最中は「まだ下がる」と感じ、結局動けない
  • 待っている間、金利が上がる可能性がある。価格が5%下がっても金利が1%上がれば、総返済額はむしろ増える
  • 買える物件がなくなる。相場が戻り始めると、良い物件から先に消える

いま行うべきは「待つ」ことではなく、「この価格が妥当かを、個別に判断できる状態を作る」ことです。在庫が1.5倍ある今は、比較して選べる、久しぶりに買い手有利な局面です。

(2)すでに保有している方|出口の想定を見直す時期

保有中の方が確認すべきは、次の3点です。

  • いまの残債と、いまの売却想定価格の差(オーバーローンになっていないか)
  • 家賃が下がっていないか(投資用は家賃が価格を決めます)
  • 変動金利なら、金利が1〜2%上がった場合の返済額

この3つを把握していれば、慌てる必要はありません。把握していない状態が、いちばん危険です。

(3)売却を考えている方|在庫1.5倍の意味を理解する

売る側にとって、在庫が1.5倍という数字は厳しい環境です。買い手は1.5倍の選択肢の中から選べます。

「去年の相場」を基準に価格を設定すると、売れずに在庫として滞留します。直近3か月の成約事例を基準に判断してください。

⚡ 提示された価格が妥当か、第三者に確認できます

転換局面では、営業担当の「今が買い時です」も「まだ下がります」も、どちらもポジショントークになりえます。「不動産投資の教科書」は不動産の売買・仲介を一切行っていません。買わせる理由も、売らせる理由もありません。無料のセカンドオピニオンを見る
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8. よくある質問

Q1. 2026年以降、マンション価格は下落するのでしょうか?

エリアによって答えが分かれます。都心3区はすでに前年割れ(−5.9%)で、在庫が1.5倍に膨張しているため、調整が続く可能性が高い状況です。一方東京都全体はまだ前年比+2.2%です。ただし新築の供給が絞られており、中古への需要が下支えとして働くため、一気に崩れるより数年かけてゆるやかに調整する見方が妥当です。

Q2. マンション価格は暴落しないのですか?

1990年型の暴落(数年で半値)が起きる条件は、現時点では揃っていません。当時は総量規制による融資の一斉停止公定歩合の急上昇が同時に起きました。現在は同種の規制がなく、金利上昇も緩やかです。ただし「暴落しない=下がらない」ではありません。個別の物件が高値掴みで含み損を抱えることは、相場と関係なく起こります。

Q3. マンションは今買わない方がいい理由は何ですか?

「買わない方がいい」と言われる主な根拠は、①価格がバブル期超えの高値圏にある、②金利上昇局面にある、③在庫が積み上がっている、の3点です。いずれも事実です。ただし在庫が1.5倍あるということは、買い手が比較して選べる局面でもあります。避けるべきなのは「買うこと」ではなく、「比較せずに、言われた価格で買うこと」です。

Q4. マンション価格は築何年まで下落しますか?

一般に築25年前後までは築年数に応じて下落し、その後は下げ止まる傾向があります。ただしこれは建物価値の話で、価格の実態は立地が大きく左右します。都心の駅近物件は築古でも土地の持分価値が効くため下げ止まりが早く、郊外は下落が長く続きます。投資用の場合は「家賃が下がっていないか」が価格の実質的な決定要因です。

Q5. 暴落を待ってから買うのは得策ですか?

推奨しません。底値は過ぎてから初めて分かるためです。また待っている間に金利が上がれば、価格が下がった分の得は相殺されます。価格が5%下がっても金利が1%上がれば、総返済額はむしろ増えるケースがあります。「相場を待つ」より「個別物件の価格が妥当かを判断する」方が、結果に直結します。

Q6. 都心3区が下がっているなら、郊外はもっと危険では?

逆です。今回の調整は最も価格が上がりすぎたエリアから始まっています。都心3区は成約価格が1億3,095万円と、実需の購買力から大きく乖離していました。郊外は上昇幅が小さかった分、実需との乖離も小さい状態です。ただし郊外は人口減少という別のリスクを抱えるため、長期保有では慎重な見極めが必要です。

9. まとめ

  • 「東京の暴落」は不正確。東京都全体は+2.2%、都心3区だけが−5.9%
  • 首都圏の坪単価は2026年5月、73か月ぶりに下落。転換点に入った
  • 暴落の前兆は①成約件数 → ②在庫 → ③価格の順。都心3区は3つとも点灯
  • 都心3区の在庫は前年比+50.5%。売り手はまだ折れておらず、綱引きが続いている
  • 前月比は反発しており、1990年型の暴落とは構造が違う
  • 投資用ワンルームは家賃が価格を支えるため、実需とは値動きが異なる
  • いまは在庫が1.5倍=買い手が比較して選べる、久しぶりの局面

相場の転換点では、情報が両極端に振れます。「まだ上がる」も「もう暴落する」も、どちらも大きな声で語られます。

しかし実際のデータが示しているのは、もっと地味で、もっと実務的な現実です。東京の中で明暗が分かれ始め、在庫が積み上がり、買い手が選べるようになった。ただそれだけのことです。

相場を当てる必要はありません。目の前の1件について「この価格は妥当か」を判断できれば、それで十分です。この記事が、その判断材料になれば幸いです。

【データ出典】本記事の数値は、公益財団法人 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が公表する「月例マーケットウォッチ」2026年2月度・3月度・5月度・7月度の公開データに基づいています。数値は発表時点のものであり、最新の状況は東日本レインズ公式サイトでご確認ください。

✍️ この記事を書いた人

山本 尚宏(やまもと なおひろ)

株式会社WonderSpace 代表取締役/「不動産投資の教科書」編集長

メディア運営12年|「不動産投資の教科書」を2014年に創設し、12年にわたり運営。

著書|『不動産投資は、「物件」で選ぶと、99%失敗する』

相談実績 累計数百件|「今が買い時か」というご相談にも代表自らが対応。

完全中立|当社は不動産の売買・仲介を一切行っていません。相場観を煽る動機がありません。

本記事は市況の解説であり、特定の投資判断を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。

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