先物取引とは何かご存じでしょうか?
ご存じお方や耳にしたことがある方は、先物取引ついて、大きな損失が出やすく、ハイリスクハイリターンな投資商品であるという印象を持たれてる方が多いのではないでしょうか。
実は、先物取引の仕組み、リスクなどについてきちんと理解していれば、株式などの投資商品と同じように安定的に利益を得ることが可能です。
今回は、先物取引投資を検討されている方のために、
- 先物取引の仕組みは意外とシンプル
- 先物取引には大きく2種類ある
- 先物取引の3つのリスクと回避策
- 初心者が先物取引を始める前にやっておくべきこと
- 実際に先物取引を始めるには
- おさえておきたい4つの専門用語
などについて書いていきます。ご参考になれば幸いです。
この記事をお読みの方はこちらの記事「おすすめ資産運用方法9選を徹底比較!具体的な始め方と内容」もぜひ併せてご参照ください。
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目次
1、先物取引とは?意外とシンプルな先物取引の仕組み
専門用語ばかり並べられた説明文を読んでもなかなか理解ができず、先物取引をとっつきにくいものだと感じている方も多いでしょう。
先物取引の仕組みは、実はとてもシンプルです。
そもそも先物取引とは、「今の価格から、将来の取引の期日を決めて、値上がりするか・値下げするかを予想して、買う・売る)取引のことをいいます。
イメージしやすくするために、ここでプレミアムTシャツの例をみてみましょう。
例えば、お友達が持っている野球選手のサイン入りのTシャツの価格が将来値上がりすると見込み、2か月後に買い付け値を「3,000円」で買うと約束するとします。
その後予想通りにその選手がどんどん活躍し、サイン入りTシャツの値段もどんどん値上がりしたとしましょう。
2か月が経った時点で、当初約束していた「3,000円」でそのTシャツを購入し、20,000円で売却ができれば、「17,000円」の利益を得ることができます。
一方で、約束した後にその選手がケガなどして人気が下がってしまい、2ヶ月後の時点で買うと約束した価格より下がった場合、損をすることになります。
2、先物取引の特徴
次は、先物取引の特徴について説明していきます。
(1)少ない自己資金でレバレッジ利かせて高額な取引ができる
先物取引は、FX投資と同じように少ない自己資金でレバレッジ(取引倍率)を利かして高額で取引することができます。
上記のプレミアムTシャツを例にすると、レバレッジを10倍にした場合、「170,000円」の利益を得ることができます。
つまり、レバレッジの倍数を大きくすればするほど利益が大きくなりますが、一方、損をした場合の損失も大きくなります。
先物取引では、商品の種類によってかけられるレバレッジ率が異なるため、注意する必要があります。
実際に先物取引で取引できる商品については下記「3、先物取引には大きく2種類ある」をご参照下さい。
なお、FX投資について詳しくは「FXとは?賢く資産形成するために知っておきたい7つのこと」を参考にしてみてください。
(2)取引時間帯は2つある
先物取引の東京市場の価格は、ニューヨーク市場の価格をベースにしています。
従って、先物取引の取引ができる時間帯は
- 9:00〜15:45(日中取引)
- 16:30〜4:00(夜間取引)
と2つに設けられていて、夜間のニューヨーク市場の価格の動きをリアルタイムに確認しながら取引することができます。
3、先物取引には大きく2種類ある
先物取引には大きく2種類あります。
- (1)金融先物取引
- (2)商品先物取引
では、それぞれについてみてみましょう。
(1)金融先物取引
まず、金融先物取引についてみてみましょう。
① そもそも金融先物取引とは
金融先物取引とは、言葉の通り、金融商品や金利などを対象とする先物取引です。
具体的には
- 金利先物取引
- 株価指数先物取引
- 国債先物取引
の3種類があります。どれも将来の値の動き(上がる・下がる)を予測して取引を行います。
② 金利先物取引
金利先物取引は、金利指数を対象に行う先物取引です。
国内の場合「東京金融先物取引所」で取引を行われています。
- ユーロ円3ヶ月金利先物
- ユーロ円3ヶ月金利先物オプション
などの商品があります。
FXや外貨預金投資の経験がある方にとって始めやすい商品と言えるでしょう。
外貨預金について詳しくは「外貨預金!失敗しないために初心者が知っておくべき5つのこと」を参考にしてみてください。
③ 株価指数先物取引
株価指数先物取引は、株価指数を対象に行う先物取引です。
国内の場合「東京金融先物取引所」と「大阪取引所」で取引を行われています。
- 日経225先物取引
- 東証株価指数先物取引
などの商品があります。
株式投資の経験豊富な方にオススメの商品と言えるでしょう。
④ 国債先物取引
国債先物取引は、国債証券を対象とする先物取引です。
「東京金融先物取引所」で取引を行われており、
- 中期国債先物取引
- 長期国債先物
などの商品があります。
個人向け国債投資の経験がある方にオススメの商品と言えるでしょう。
個人向け国債について詳しくは「個人向け国債とは?初心者が知っておくべき5つのこと」を参考にしてみてください。
(2)商品先物取引
一方、商品先物取引は農産物や鉱工業材料などを対象とする先物取引です。
商品先物取引が一番最初に行われたのは16世紀のベルギーだと言われています。
そして世界初の公的取引は、日本の大阪で行われた「お米」の先物取引だったそうです。
日本人の主食である米が、天候などでその価格が大きく変動すると経済にも大きな影響を与えていたので、買い占めなど誰かが意図的に価格を操作できないようにするため、予測をたてて取引する場所を公的に設置したのが始まりでした。
① 商品先物取引の2つの取引所
商品先物取引は、農林水産省と経済産業省の管轄の元で、
- 東京商品取引所
- 大阪堂島商品取引所
の2つの取引所で取引を行われています。
② 商品先物取引の商品の種類
世界第2位の取引を誇る東京商品取引所では、以下の17種類の商品を取引することができます。
- 金(標準・ミニ)
- 金先物オプション
- 銀
- 白金(標準・ミニ)
- パラジウム
- アルミニウム
- 東京バージガソリン
- 東京バージ灯油
- 東京バージ軽油
- ドバイ原油
- 中京ローリーガソリン
- 中京ローリー灯油
- ゴム
- 一般大豆
- 小豆
- とうもろこし
- 粗糖
金や、原油、大豆、粗糖など我々の生活の根幹に関わっているものばかりであることが分かります。
なお、取引所によって、取り扱う商品の種類が異なりますので、事前に調べるようにしましょう。
4、先物取引の3つのリスクと回避策
先物取引で失敗しないためには、事前にリスクについてきちんと理解しておくことが最も大切なことだと言えます。
(1)追証(おいしょう)のリスク
上記「2−(2)少ない自己資金でレバレッジ利かせて高額な取引ができる」で書きましたが、先物取引は少ない自己資金でレバレッジを利かせて、大きな利益を得ることができるのと同時に、大きな損失を出してしまう場合もあります。
万が一、レバレッジを利用して取引を行っている間に、損失が膨らみ、預かっている証拠金だけでそのまま取引が続けられなくなった場合、更に証拠金(追加保証金)を追加しなければなりません。このお金のことを「追証(追加保証金)」と呼びます。
追証が発生しないように、預けている保証金の金額をきちんと把握するようにしましょう。
(2)世界情勢などのリスク
突発的な世界情勢で大きく価格変動するリスクがあります。
株式やFXと比較して、先物取引は将来の期日で取引を行うので、すぐに変更ができないことで更にリスクが大きいと言えます。
そのため、一つの商品に絞るのではなく、分散投資することで損失を最小限におさえるようにしましょう。
(3)システム障害のリスク
今はほとんどの取引がインターネットや携帯から利用できるようになっています。
証券会社のシステムや取引所のシステム障害で、一瞬の間取引ができないだけで、いざ復旧したときに、驚くほどの損失が発生する場合があります。(逆に利益が出ていれば幸運ですが…)滅多にないことではありますが、毎年何かしらのシステム障害が報告されています。
ちなみに、金融商品取引法ではシステム障害で発生した損失の補償は対象外となっていますので、そのリスクを回避するには、システム障害が発生したときの取引方法を事前に調べておきましょう。
5、先物取引初心者がやっておくべきこと
先物取引で利益を出すには、最も重要なのはその商品の将来の値動きを読むことです。そのため、基礎知識の勉強や情報収集することは欠かせないといえます。
しかし、初心者の方はどうしたらいいのかと分からない方も多いのではないでしょうか。「東京商品取引所」では、様々なテーマをしたセミナーを行っていますので、ご興味があるセミナーにぜひ参加してみてください。
6、先物取引を実際に始めるには?
では、最後に実際に先物取引を始める場合の流れをみてみましょう。
大きく以下のような流れになります。
- 証券会社を選ぶ
- 取引の口座を開設する
- 取引口座に入金する
- 商品を選び、取引を始める
証券会社を選ぶ際に、以下のポイントで選ぶといいでしょう。
- 取引手数料が安い
- 取引扱い商品が多い
- サポート体制が充実している
など。中には口座開設キャンペーンを行っている証券会社もありますので、焦らずに色々と調べるようにしましょう。
7、先物取引のおさえておきたい4つの専門用語
先物取引は、株式や為替などの投資商品と比較して、専門用語が多いのが特徴です。
ここで先物取引を始めるには、最低限におさえておきたい4つの専門用語を簡単に説明しますので、覚えておきましょう。
(1)限月(げんげつ)
先物取引は取引商品の種類によって、あらかじめ取引期限の満了月が決められています。
例えば、金なら2、4、6月などの「偶数月」、株式先物取引なら3、6、9、12月と決められています。
限月と決められた月に取引を終わらせないといけないので、最初の取引を限月と被らないように注意する必要があります。初心者の方は混乱しやいので、取引を始める前にまずその商品の限月を確認するようにしましょう。
(2)建玉(たてぎょく)
建玉とは、売りまたは買いの約束だけして、決済のタイミングを待っている状態のことです。「ポジション」ともいいます。
買ったままで決済をしていない状態を「買建玉」、売ったままで決済していない状態を「売建玉」といいます。
なお、決済までの間にタイミングを見て「買建玉」は第三者に転売したり(安く買って高く売る)、「売建玉」は第三者に買い戻して(高く売って安く買い戻す)、利益を得ることができます。
(3)SQ決済
SQは、Special Quotationの略で、特別生産指数を意味します。期日までに決済できるタイミングがなかったという場合は、SQ決済され損得はその取引で確定します。
例えば、日経平均225の取引では3の倍数月が限月なので、その月の第2金曜日がSQ日となります。前日の木曜日までに自分で決済をしないと、翌週の月曜日には決済されてしまいます。
(4)サーキットブレーカー
サーキットブレーカーとは、予想外に価格が大きく変動した時に、相場を安定させるために値幅制限(1日に変動する価格を範囲内に制限する)や取引を中断する制度です。
先物取引において、毎月サーキットブレーカーが設定されており、対象の商品と取引所によって違いますが、大体5〜15分間取引が中断されます。
日経225先物取引では今まで4回サーキットブレーカーが発動されました。
- 2001年9月 アメリカ同時多発テロ
- 2008年9月 リーマン・ショック
- 2011年3月 東日本大震災
- 2013年5月 アベノミクス・株価暴落
先物取引をするにあたっては、まずはこの4つの用語をおさえておきましょう。
まとめ
今回は先物取引について書きましたがいかがでしたでしょうか。基本的な仕組みはシンプルなので、本やセミナーなどで知識を得るのもいいですが、今回の記事を参考に少額から実際に取引をしつつノウハウを習得していくのがいいでしょう。また、失敗しないためには事前にリスクをきちんと把握し、回避策を立てることも大切です。今回の内容がこれから先物取引を検討されている方のご参考になれば幸いです。