• 相続税対策
  • 2024/10/12

相続税対策に生命保険が有効?その根拠と選ぶべき保険商品

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相続税対策生命保険が良いらしい」と聞いたことはありませんでしょうか?もしかしたらこの記事をお読みになっているのは、そのことを見聞きしたからかも知れませんね。

生命保険を相続税対策として活用できるのであれば、その目的はひとつだと思います。そうです、相続税の節税です。

そして次に生まれてくる疑問は、こうなります。

  • どれくらいの節税効果があるのか?
  • 自分にもできるのか?
  • どんな生命保険を選ぶべきなのか?

そこでこの記事では、生命保険がなぜ相続税対策になるのかという仕組みから、選ぶべき生命保険の種類、そして具体的に相続税対策にいかすにあたって解決しておきたい疑問点に対する答えをご用意しました。

生命保険に加入するだけという最も手軽な相続税対策なので、ぜひここからの解説をお読みになって、ご自身に合った相続税対策を構築していきましょう。

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1、相続税対策に、生命保険が役立ちます

生命保険とは読んで字のごとく、人の命にかける保険です。同じく人の命に関わる相続との関係がありそうだというイメージをお持ちの方は多いと思います。そのイメージは正解で、生命保険には相続税対策になるという効果があります。

(1)生命保険こそ実は最も手軽な相続税対策

相続税対策というと、土地にアパートを建てたり生前贈与を活用したり・・・といったスキームを思い浮かべる方が多いかも知れませんが、実は生命保険も節税スキームに活用することができます。

他の節税スキームはいずれも大掛かりになりがちですが、生命保険は加入するだけという手軽さなので、生命保険は数ある相続税対策の中で最も手軽な方法と言えます。

手軽である一方で相続税対策だけでなく、スムーズな相続にも果たす役割が大きいので、この記事ではその有効性を順次解説していきます。

(2)高齢になってからでも対策ができる

相続税対策の中には、早くから手を打っておかないと間に合わないものがあります。しかし生命保険の場合は加入年齢制限内であれば契約が可能なので、その年齢の枠内であれば相続税対策として活用することができます。

生命保険の中には90歳まで加入できるものもあるので、実質90歳までは生命保険を使った節税スキームが使えるということになります。

(3)まだまだある、生命保険を活用するメリット

相続税対策以外にも、生命保険を利用する価値はたくさんあります。相続は税金の問題以外にもさまざまな問題が起きがちですが、生命保険によってそれらの問題も解決することができる場合があります。

それらの問題を解決するためにも、生命保険と相続との関わりをしっかりと知っておく必要があります。

それでは次章より、生命保険と相続との関わりを解説していきましょう。

2、生命保険が相続税対策になる仕組みと基本

生命保険が相続税対策になる最大の根拠は、死亡保険金に対する控除があることです。これによって相続財産の評価を引き下げることができます。その他にも生命保険には相続に役立つメリットがたくさんあるので、それを解説します。

(1)生命保険は何のためにあるのか

生命保険とは、人の命にかける保険です。被保険者が亡くなった場合に支払われるのが死亡保険金で、遺族はこの保険金を使って生活を守ることができます。一家の大黒柱に生命保険をかけておくことで、残りの家族はその人が突然亡くなってしまったり、それに近い状態になった時のリスクに備えることができます。

それだけでなく、この死亡保険金には遺族を守るという効果の他に、相続税対策や相続全体へ果たす大きな役割があります。

(2)生命保険の死亡保険金には相続税の非課税枠がある

生命保険の死亡保険金には、相続人1人あたり500万円という非課税枠があります。例えば「妻+子2人」という標準的な家族構成であれば、生命保険の死亡保険金を遺族に支払う際に合計1,500万円の非課税枠があります。

ここでいう相続人というのは、本人の意思で相続放棄をした人も含まれます。つまり、相続の意思に関係なく法定相続人の人数×500万円を相続財産から控除することができます。

なお、この非課税枠を適用するには条件があります。それは、被相続人(今回亡くなった人)本人が加入していた生命保険であり、その被相続人が保険料を支払っていたことと、死亡保険金の受取人が相続人の資格を持っている人であることです。

(3)被相続人が亡くなった直後からお金が使える

被相続人が多額の現金を持っていたとしても、その現金が被相続人の名義になっている口座に預金されている場合は遺産として取り扱われるため、名義人が亡くなったことが分かると口座は凍結されます。遺産分割協議が終わって相続が実行されるまで引き出すことはできないので、実際にお金が入るのは少し先になります。

それまでに葬儀代などお金が必要になる局面があっても使えないのが不便なところですが、生命保険の死亡保険金であれば手続きをしてから1週間程度で入金されるので、お金が必要な場合や、相続税の納税金が準備できないといった場合には大きな助けになるでしょう。

(4)被相続人の意向を反映できる

すでに亡くなってしまった被相続人が遺言書を作成していない限りは、被相続人が遺産相続に対してどんな意向を持っていたのか分かりません。生前に口にしていたことであっても、相続人が納得しなければ有効にはなりません。

しかし、生命保険であれば被相続人の意向を反映しやすくなります。例えば特定の相続人に現金を多く遺したいと思っていたのであれば、生命保険に加入して死亡保険金の受取人をその人にしておけばOKです。

遺産相続には遺留分といって、法律で保証された最低限の受け取り分があります。それに満たない遺産しか相続できなかった人は不服を申し立てる権利(遺留分減殺請求権といいます)があるのですが、その権利が必ずしも故人の意向通りとは限りません。

生命保険を活用することで、遺留分減殺請求権の影響を受けることなく意向通りの相続を実現できます。

(5)遺産相続の争いを回避しやすい

前項のメリットと似ていますが、相続人が複数いる場合はどうしても遺産分割で揉めるケースが多くなります。故人がしっかりと遺言書を残していても揉めるケースが後を絶たないので、「相続」ならぬ「争族」という言葉もあるくらいです。

ここで生命保険を活用しておけば、それは故人の明確な意思でありそれを他の相続人がひっくり返すことはできません。遺産分割協議とは別の次元で資産の移転ができるため、少なくとも生命保険の分に関する揉め事は回避できます。

(6)生前贈与の一環としても利用可能

相続税対策として生前贈与を活用する節税スキームがありますが、その仕組みを利用して生命保険を組み合わせれば、ひとつの節税スキームを完成させることができます。

具体的な方法は、以下の通りです。

①親(被相続人)が生命保険に加入し、子を受取人にする

②親が保険料を支払う(年間110万円までは非課税)

③親が亡くなった時に死亡保険金が子に支払われる

この流れにより、実質上親が保険料を負担しながら将来の死亡保険金という形で資産の移転を確定できるため、相続税対策として有効になります。

これで全部の相続財産を移転できるかどうかは資産規模によりますが、数千万円クラスの死亡保険金は珍しくないので、かなりの金額を低コストで移転することができます。

しかも二次的なメリットとして、死亡保険金は親が亡くなった時にしか支払われないため、子が移転した財産を先に使ってしまうことを防ぐ効果もあります。生前贈与だと子が財産を使ってしまうリスクが残りますが、生命保険を活用したスキームだとその心配がありません。

3、相続税対策の観点から選ぶべき生命保険の条件と掛け方

それでは、相続税対策に有効な生命保険に入るには、どんなタイプの生命保険に加入するのが良いのでしょうか。

(1)終身保障型である

最も大切なことは、死亡保障が亡くなるまで続く終身保障型であることです。満期が設定されている保険だと被相続人が亡くなった時期が満期後であれば相続税対策としての意味が全くありません。

終身型であることはもちろんですが、一定の時期以降は死亡保障額が急に少なくなって葬儀代程度の保障しか残らないものもあります。これも相続税対策という観点ではあまり意味がないで、期待通りの保障が終身続くタイプの生命保険を選びましょう。

(2)貯蓄型(養老保険)である

生命保険には掛け捨て型と、その対極にある貯蓄型があります。貯蓄型の生命保険に加入しておくと、途中で解約した時には契約時にかかった費用などを除いた貯蓄分のお金が戻ってきます。

掛け捨てだけにしておくと不安があるという方は、リスク回避の一環として貯蓄型を選んでおくのが無難でしょう。

4、相続税対策としての生命保険でよくある疑問

相続税対策に生命保険を活用するのにあたって、よくある疑問点を4つピックアップして、それぞれにお答えします。ここまでお読みになった方の中で以下の疑問が生じた方はここで解決してください。

(1)高齢からでも生命保険で相続税対策はできるのか?

早く取り組んだ方が節税効果を大きくできるというのは、相続税対策の基本として半ば常識のようになっていることです。しかし相続税対策の重要性に気づいた時期が遅く、被相続人がすでに高齢になっている場合だと「もう遅いか・・・」と感じてしまう方も多いことでしょう。

生命保険を活用した節税スキームは、事実上生命保険に加入できる時期の上限がタイムリミットです。

ここで、節税スキームに活用できる生命保険商品を一部ご紹介しましょう。上の2つは上限年齢が90歳となっているので、被相続人が90歳になるまで節税スキームに活用可能です。

  • ニッセイ 一時払終身保険(日本生命)

https://www.nissay.co.jp/kojin/shohin/seiho/ichiji_shushin/

  •  一時払終身共済(JA共済)

http://www.ja-kyosai.or.jp/okangae/product/human/itijishushin.html

  •  終身保険一時払い(住友生命)

http://www.sumitomolife.co.jp/lineup/select/shouhin/shuushin_hoken_ichiji/

3つ目は上限年齢が80歳ですが、80歳を上限としている保険商品は少なくないので、他にも探すとたくさん見つけることができます。

(2)生命保険会社はどこでも良いのか?

以前と違い、生命保険業界は護送船団方式ではなく、保険会社によって特性が異なる時代です。外資系の保険会社も参入している中で、どの保険会社を利用するべきか迷ってしまうこともあると思います。

基本的に保障内容が相続税対策としての機能を満たしているものであれば、どこの保険会社でも問題ありません。同じ保障内容であれば保険料にもそれほど差はないので、好みの問題で選んでも結果にそれほど違いは生じないと思います。

また、生命保険の支払余力を表す指標でソルベンシー・マージン比率というものがあり、財務健全性を見るには参考になります。ただ、一般的にこの比率が200%を超えていれば安心だとされていますが、新しい会社ほど高く出やすい傾向にある点は注意が必要です。他にも、格付けなどをチェックするのも一つですが、国内生保大手を中心におなじみの保険会社から選ぶのが無難かもしれません。

(3)一時払い以外はダメなの?

上記でご紹介したいくつかの生命保険にはすべて、「一時払い」という文言がついています。これは保険料をまとめて支払うという意味です。相続税対策として生命保険に加入する場合は、原則として一時払いタイプになります。

それに対して毎月の保険料を支払っていくタイプもあります。しかし、現金資産に対する相続税対策という意味合いで生命保険に加入するのであれば、多額の現金があるはずです。その現金を使って一時払いをしたほうが保険料が割安になるので、節税という観点からも一時払いを選ぶのがよいでしょう。

(4)相続放棄をした人も生命保険の受取人になれる?

被相続人に負の遺産(借金や未払金など)がある場合や、他の相続人と関わりたくないといった理由で、相続の権利を持っている人は相続放棄の手続きをすることができます。

相続放棄をしたら生命保険の死亡保険金を受け取れないのかというと、そんなことはありません。死亡保険金はあくまでも受取人に指定された人の権利であり、相続とは別物と見なされるため、加入している契約通りの金額を受け取ることができます。

まとめ

「相続税対策に生命保険が良いらしい」というボンヤリとした印象で生命保険と相続税対策との関わりについて読み始め、そして読み終えた今のご感想はいかがでしょうか?

おそらく多くの方が「そんなに使えるものなら、ぜひ検討したい」と思われたのではないでしょうか。生命保険には相続税の節税という観点以外にもメリットがあるので、そこに注目された方もおられるかも知れません。

生命保険の加入は決して難しいことではないので、今すぐ始めることができます。まずは生命保険各社から同様の保険商品に関する情報収集から始めてみてはいかがでしょうか?

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