• 相続税対策
  • 2021/10/26 (更新日:)

相続税の申告は不安。その不安が安心に代わるパーフェクトマニュアル

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相続税の申告をしなければならない(または申告の必要が生じる可能性がある)方にとって、相続税の申告方法や申告書、各種書類を準備する手順は頭の痛い問題ではないでしょうか。

  • 相続税の申告なんてやったことがない
  • 相続税の申告は自分でもできる?
  • ちゃんと申告しなかったらどうなる?
  • 自分も相続税の申告が必要?
  • やっぱり相続税の申告は税理士に任せるべき?

相続税の申告についての疑問や不安を少し挙げてみただけでも、こんなにあります。それもそのはず、所得税と違って相続税の申告を頻繁にするという人はいないわけで、よく分からなくて当然です。

しかも相続税は税率が高く、課税対象の資産規模を考えると金額が大きくなりがちなので、きちんと申告しないと重大な事態を招くのではないかという不安も付きまといます。

そこで、この記事では相続税の申告にまつわる疑問や不安を解消するための情報を網羅して、確実に相続税の申告を完了させられるお手伝いをしたいと思います。

最終的に税理士に一任する予定の方も、知っているのと知らないのとでは結果が大きく変わるような情報ばかりなので、どうぞ最後までお読みください。

 

こちらの記事も参考にしていただけたら幸いです。

【税理士が教える】相続税を節税するには?やっておきたい「4つの生前対策」

 

 








1、相続税の申告に関して最初に押さえておくべきこと

相続税の申告について、最初に知っておくべき3つのポイントを解説します。皆さんが第一段階で知りたいことだと思いますので、まずはそこから押さえていきましょう。

(1)自分は相続税の申告が必要?

自分は相続税の申告が必要なのか?というのは、最初に考えるべき問題です。というのも、相続税は課税強化の流れにあるため、以前と違って課税範囲が広くなっています。つまり、これまで相続税申告の必要がなかった人も、今は申告が必要かも知れないのです。

相続税の申告が必要かどうかを判定する計算式として、まずは相続予定の資産がこの金額を上回っていないかを確認してみてください。

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人 = 相続税の基礎控除額

例えば夫が亡くなったご家族の場合、家族構成が妻と子供2人であれば、法定相続人は3人です。

3,000万円 + 600万円 × 3 = 4,800万円

この計算により、基礎控除額は4,800万円です。遺産がこの金額を超えていなければ、相続税の申告は不要です。

まずは、この基礎控除を超える遺産なのかどうか、その目安で申告の必要があるかどうかを確認してみてください。

(2)相続税の申告は自分でできる?

次に確認しておきたいのが、相続税申告を自分でできるかどうかです。税金の申告は基本的に自分で行うことができるので、もちろん相続税も自分で申告書類を揃えれば申告可能です。

税理士の手を借りることなく完了できればお値打ちですが、実際のところはほぼすべてのケースで税理士に依頼している事実があります。しかし、だからといって相続税申告のことを知っておく価値がないわけではありません。

どういう仕組みになっているのかを知ることで、無用なペナルティを避けることができますし、精神的な負担も軽くなります。

(3)相続税の申告をしないとどうなる?

相続税を支払いたくない、もしくは申告の方法がよく分からないという理由から、相続税の申告をしなければどうなるのでしょうか。

相続税の過少申告や無申告については、税額が大きくなりがちなだけに税務当局も目を光らせていると考えておいたほうが良いでしょう。申告をしていても税務調査が入る確率が他の税金より高いのですから、無申告だとどうなるのかは言うまでもありません。

税務調査が入り、重加算税という税率の高いペナルティを食らってしまいます。悪質な場合は刑事事件として告発され、罰金刑や懲役刑といった処分に発展してしまうこともあります。

相続は親からの資産を受け継いで大切に守っていくものであり、豊かな生活を実現するための方法論でもあります。そんな相続が逆に負担や重い処分につながってしまわないよう、相続税の申告について次章以降の知識をしっかり押さえていきましょう。

2、相続税申告のことが分かる5つの基本

最初に、相続税申告の概要が分かる5つの基本を解説します。

(1)相続税申告の期限は10ヶ月

相続税の申告には、期限があります。被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内と定められており、これは厳守です。この期限内に申告をしないと延滞税の発生や、各種特例や控除を適用できなくなるなどの不利益を被ってしまいます。

(2)相続税申告の書類様式はネットで入手できる

相続税の申告には書類様式があります。これらの書類はすべて無料で、今は税務署まで行かなくてもネットで入手可能です。

相続税の申告に関わる様式を入手したい方は、以下のページからダウンロードしてください。

相続税の申告書等の様式一覧(平成30年分用)

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/h30.htm

申告書の書き方については後述しますが、実にたくさんの書類があることに驚かれた方も多いかも知れません。

これだけを見ると相続税の申告はかなり手ごわいという印象をお持ちになったと思いますが、できるだけ難しくならないように解説をしていきたいと思います。

(3)申告書以外に用意するべき書類

相続税の申告には、その本丸である申告書以外にも適宜用意するべき書類があります。主なものを挙げると、以下のようになります。

  • 財産に関する書類 → 遺産の規模や内訳がどんなものかを示すため
  • 債務に関する書類 → マイナスの資産はあるか、その金額は?
  • 被相続人との関係を示す書類 → その人が相続人であることを証明するため

おおむねこれらの書類を添付することで、相続税の申告書類が揃います。これらの書類についても、後述します。

(4)相続税の節税になる特例

相続税の申告には、いくつかの特例措置があります。いずれも適用することで相続税を節税できるので、該当する方はぜひ活用したいところです。

①小規模宅地の特例

遺産の中に被相続人が居住していた宅地が含まれていて、それが100坪(330平方メートル)よりも小さい場合、さらに被相続人と相続人が同居をしていた場合は、小規模宅地の特例を適用することができます。

土地の評価額を8割も減らすことができるので節税効果が高く、該当する方は活用することをオススメします。

②配偶者の税額軽減

一般的に配偶者は被相続人と年齢が近く、配偶者が遺産を相続してもまたすぐに相続が発生する可能性があります。その都度相続税が発生すると税負担が大きくなるため、配偶者への相続では税額の軽減措置があります。

戸籍上の配偶者であること、申告期限(10ヶ月)以内に遺産分割を完了していること、という条件が整えば最高で16.000万円までが無税になります。こちらもかなり節税効果が高いので、該当する方はぜひ活用してください。

(5)相続税は税額を自分で計算する

所得税や住民税などは、申告した所得額に応じて税額が自動的に決まります。これが一般的な税金の認識ですが、相続税はそうではありません。自分で税額を計算して納税する仕組みになっていることは相続税の大きな特徴で、それが難しく感じられることから税理士に依頼するケースが多くなっている側面があります。

3、被相続人の死亡から相続税申告までの流れ8ステップ

被相続人が亡くなってから相続税の申告までの流れをまとめると、8つのステップになります。その各ステップを1つずつ解説していきます。

(1)死亡届の提出

最初に行うべきことは、被相続人が亡くなったことを役所に知らせるための死亡届です。死亡届が提出されたことによって税務署もその被相続人が亡くなったことを認識するので、相続はここから始まると考えて良いでしょう。

死亡届の提出は、被相続人が亡くなってから7日以内に完了してください。

(2)法定相続人を確定する

法定相続人(相続をする権利がある人)を特定する必要があります。法定相続人には3つのグループがあり、それぞれのグループに法定相続人が存在しない場合は次のグループの人が権利を有する仕組みになっています。

相続順位1

配偶者、子、孫

相続順位2

親、祖父、祖母

相続順位3

兄弟、甥、姪

配偶者や子、孫がいて1位のグループだけが法定相続人となるケースが多いですが、いずれもいない場合は2位のグループの人たちが法定相続人となります。

こうした関係性を戸籍謄本で調べることで、法定相続人を確定させることができます。

(3)相続の意思確認

相続人に対して、意思の確認をします。遺産の中に借金がある場合は限定承認といって一部のみを相続することや、相続放棄といって相続そのものを放棄することができます。

相続人が相続に対してどのような意向を持っているかを確認します。

(4)所得税準確定申告

生前、被相続人に収入があって確定申告をしていたのであれば、被相続人が亡くなってから4ヶ月以内に準確定申告をする必要があります。「準」とついているのは被相続人本人が申告できないことから遺族が行うため、そう呼ばれています。ですが基本的な考え方は確定申告と変わりません。

(5)財産目録作成

財産目録とは、遺産にどんなものがあってどれくらいの価値を持っているのかという一覧です。

現金であれば額面のまま、株など有価証券であれば時価が評価額となりますが、不動産の場合は減額することができるので、詳しくは「不動産は相続税対策として有効?不動産購入による節税の仕組みについて」を参考にしてください。

(6)遺産分割協議書作成

おそらく遺産相続で最大の山場となるのが、遺産分割協議です。相続人同士が話し合い、どの遺産を誰が相続するのかという内訳を決めます。いわゆる骨肉の争いになるのは、この遺産分割協議が難航した時です。

相続税の申告期限である10ヶ月以内に完了しないことも多く、その場合は未分割の申告といって暫定的な申告をして、後から実際の遺産分割の結果に応じて修正申告をする仕組みになっています。

(7)相続税申告書を提出

遺産分割協議がうまく妥結した場合は、10ヶ月以内に相続税申告書を提出して申告完了となります。

10ヶ月以内に妥結していない場合は、先述のように暫定的な申告をすることになります。

(8)相続登記、名義変更

預貯金や株の遺産を相続した場合は名義変更、不動産を相続した場合は相続登記を行い、被相続人から相続人に所有権が移転して相続は完了となります。

4、相続税申告書を自分で準備する方法

ハードルは高いものの、相続税申告に関する書類を自分で準備する方法も解説しておきたいと思います。

(1)相続税申告書のひな型を入手する方法

相続税の申告書や各種書類のひな型は税務署で入手可能ですが、そこまで行かなくても国税庁のサイトからダウンロード可能です。

相続税の申告手続

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/2223-01.htm

こちらに各年書類へのリンクがあるので、一番新しいものをクリック、ダウンロードしてください。

(2)相続税申告書の書き方

相続税申告書を作成するのに必要なのは、主に以下の書類です。

  • (第1表)相続税の申告書
  • (第2表)相続税の総額の計算書
  • (第9表)生命保険金などの明細書
  • (第11表)相続税がかかる財産の明細書
  • (第13表)債務及び葬式費用の明細書
  • (第15表)相続財産の種類別価額表

これらの情報が揃うことによって、相続税額を確定できます。簡単に言うと、被相続人がどんな財産を持っていて、それが誰に相続されるのかという全容が分かります。それによって算出した相続税額が妥当かどうかを、税務当局が計算・判定しています。

こちらに、国税庁が提供している記入例があります。ご自身で書いてみようとお考えの方は、こちらを参照してください。

相続税の申告書の記載例

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/shikata-sozoku2018/pdf/05.pdf

国税庁が提供しているものだけに情報の正確性は問題ないのですが、45ページもある大作です。全部読むだけでも大変だと感じる方は多いと思います。

そんな方は、無料で配布されている相続税申告書作成ソフトを使ってみるのはいかがでしょうか。

オールインワンになっているソフトや、Excelのテンプレートとして配布されているものがありますので、ご紹介します。

ひとりで申告できるもん(岡野雄志税理士事務所)

https://souzoku-center.co.jp/

Excelで相続税申告書(今村圭一税理士事務所)

https://excel-sozoku.jimdo.com/%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BFbox/

(3)申告書以外の添付書類について

本丸である相続税申告書に加えて、その申告内容を補完するための添付書類についても解説しておきましょう。

主に以下の書類が必要になります。

 

相続人の戸籍謄本

法定相続人であることを証明するため

財産についての資料

不動産の場合は固定資産税評価証明書、謄本、賃貸借証明書など。

預貯金、株などの場合は金融機関や証券会社の残高証明書。

その他、遺産に含まれる財産の所在を証明する書類。

遺言書または、
遺産分割協議書と印鑑証明書

小規模宅地等の特例を適用する場合に必要。

被相続人の戸籍謄本

遺言書または遺産分割協議書の写し

相続人全員の印鑑証明書

配偶者の税額軽減を適用する場合に必要。

借金の残高証明

葬儀業者の領収書

医療費の領収書

債務、葬儀費用を証明して控除するために必要。

5、相続税申告を税理士に依頼する場合のポイント4つ

やはり相続税の申告は税理士に依頼しないと難しそうだとお感じの方は多いと思います。9割以上の人が専門家に依頼をしている事実もあるので、最後に税理士に依頼をする際のポイントを解説します。

(1)相続税申告の成否は税理士次第

相続税の申告は複雑であり、しかも税務署との見解の相違も起きやすいため、相続税申告の成否は税理士の仕事によって結果が大きく変わってきます。税理士選びによって相続税額が変わってくることも珍しくないのです。

このように税理士なら誰でもいいということはないので、ここは相続税申告に精通している税理士をしっかり選びたいところです。

(2)相続税申告の2割程度に税務調査が入っている

日本全国で相続税申告されているうちの、2割程度に税務調査が入っています。税額が大きくなりやすく、国としても財政上の理由から課税強化をしている税金なので、税務当局から狙われていると言っても過言ではありません。

税務調査が入ったからといって大損をするとは限りませんが、無用なトラブルや負担を防ぐためにも最初からプロの仕事でしっかりと備えておきましょう。

(3)相続に強い税理士の探し方

相続税の申告において税理士が果たす役割の大きさをお伝えしたところで、それではどんな税理士に依頼するのが良いのかという疑問がわいてくると思います。

ネットで検索すると、当然ながら無数の税理士事務所がヒットします。「相続税申告+地名」という検索キーワードで調べれば、お住まいの地域で活動している税理士がたくさん出てくると思います。

どの事務所も「相続はお任せください」といったニュアンスの宣伝文句を並べていると思いますが、ここで注目したいのは相続税申告の実績数です。相談実績ではなく、実績数です。

なぜなら、相続税の申告は経験とノウハウがものをいう世界なので、多くの申告実績を有している税理士事務所であれば百戦錬磨の仕事が期待できます。

税理士ドットコムというサイトが紹介サービスを行っています。無料なので、こうしたサービスを利用するのもひとつの手です。

相続税申告が得意な税理士を無料紹介(税理士ドットコム)

公式サイトはこちら

(4)信頼できる税理士を選ぶコツ

信頼して相続税申告を任せられる税理士を選ぶコツは、大きく3つのポイントに集約されると思います。

  • 複数事務所に初回面談を申し込む
  • 複数事務所に相続税額を見積もってもらう
  • 税理士報酬の安さだけで選ばない

重要なのは、1つの事務所だけに固執するのではなく広く意見を募ってみるというスタンスです。相続税額がいくらになりそうなのかという見積もりで、その税理士事務所の考え方や実力が分かります。

そこで注意したいのは、税理士報酬が安いということだけで選ばないことです。安かろう悪かろうで相続税額が高くなってしまったら、かえって損をしてしまい本末転倒です。

まとめ

冒頭でも述べたように、相続税の申告は人生の中で何度もあるものではありません。しかも申告の内容によっては税額が大きく変わってしまったり、下手をするとペナルティを食らってしまうこともあるため、「失敗したくない」という思いが強くなります。

この記事で解説してきたことを理解して1つずつ着実に作業を進めれば、相続税の申告は決して難しいものでも、怖いものでもありません。成功する相続税申告のために、この記事をお役立ていただければ幸いです。

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