インフレと不動産投資には、どのような関係性があるのでしょうか。
長くデフレが続いた日本も、2022年から物価上昇が起こりインフレに傾いています。
この記事では、不動産投資がインフレに強いといわれる理由や、不動産投資を始める際のポイントについて解説します。
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目次
1、インフレと不動産投資の関係
まずは、そもそもインフレとは何か、インフレに強い資産とはどのような資産なのかについて解説します。
(1)インフレとは何か
インフレーション「Inflation(インフレーション)」(インフレ)とは、物価が持続的に上昇する現象を指します。これは、通貨の価値が下がることを意味し、同じ金額で購入できる商品の量が減少します。インフレは経済全体に影響を及ぼし、特に資産運用や投資において重要な要素となります。
インフレとは逆に、物価が下がりお金の価値が上がる状態を、デフレ(デフレーション)といいます。
インフレ率は、CPI(消費者物価指数)を用いて算出されますが、CPIとは全国の世帯が購入する物やサービスの価格など、物価の変動を時系列的に測定するものです。日本では毎月、総務省が発表しています。
(2)日本の金融政策と現状
日本では、「物価安定の目標」として消費者物価の前年比上昇率2%という金融政策を掲げています。
2022年4月には、物価上昇率が7年ぶりに目標の2%を超え2.5%になり、2023年1月は4.3%となっています。
2022年には、日本を含め世界的にインフレが進みました。インフレが進んだおもな理由として、
- コロナ禍での感染防止政策で、生産活動の停止や海上物流の停滞が起こり、生産力が低下して供給が需要に追いつかず物価が上昇している
- コロナ流行、ロシアのウクライナ侵攻などさまざまな原因により原油が高騰している
ことが挙げられます。
(3)インフレに強い資産とは
下記のグラフは、0~3%でインフレが進行した場合の、1,000万円の価値の推移を表したものです。
インフレ下ではお金の価値が下がるため、資産の多くを現金で保有していると資産が目減りすることがわかります。また、お金の価値が下がっても借金額は変わらないため、借金の実質的な価値が下がり、インフレ下では借金が有利になります。
インフレに強い資産となるのは不動産や金、絵画や骨董品などの現物資産です。また、株式は物価上昇に連動して株価も上昇する傾向があるため、インフレに強いといわれます。
次章からは、不動産投資が特にインフレに強いといわれる理由を説明します。
2、不動産投資がインフレ対策になる理由
この章では、不動産投資がインフレ対策になる3つの理由について解説します。
(1)家賃が上がる
インフレ対策になる理由の1つめは、CPI(消費者物価指数)の上昇に伴い、家賃の上昇が期待できる点です。
一般的に、インフレの進行から少し遅れて家賃が緩やかに上がっていく傾向にあります。
インフレで家計の支出が増える中、家賃収入が上がれば生活にも余裕がうまれるでしょう。
(2)現物資産である
2つめの理由は、不動産はインフレでも資産価値が下がりにくいことです。インフレ下では、現物資産である不動産の価値は下がりにくく、不動産によっては価値が上がることもあります。
(3)ローンが目減りする
3つめの理由は、借金の実質的な価値が下がり、ローンが目減りする点です。
不動産投資は金額の大きい投資になるため、金融機関でローンを組んで始めることが一般的です。インフレになるとローンが有利にはたらくため、不動産投資を始める人が増える傾向にあります。
3、インフレ対策以外の不動産投資のメリットとリスク
不動産投資は、インフレ対策以外にもメリットがあります。この章では、不動産投資のおもなメリットを5つ挙げ、解説します。
(1)収入が安定している
不動産投資のインカムゲイン(資産を保有することで得られる利益)である家賃収入は、比較的安定しています。
不動産投資と比較すると、株式投資のインカムゲインである配当金は、企業の業績や経営方針に左右されます。
ただし、立地が悪かったり、賃貸需要がなく空室が続く物件を選んでしまうと、安定した収入が得られないため注意が必要です。
(2)少ない自己資金で大きな資産を築ける
不動産投資が他の投資と大きく違う点として、投資資金を金融機関から借入できるという特徴があります。
借入した他人資本を用いて投資することで、自己資金に対する投資効率を高めることをレバレッジといいます。不動産投資は、レバレッジ効果を利用することで、少ない自己資金で大きな資産を築くことができるのです。
(3)物件管理を委託できるため手間がかからない
不動産投資というと、物件の管理や入退去、トラブルへの対応をしなければならないというイメージがある方もいらっしゃるかもしれません。
現在は、賃貸経営に関わる管理全般を、管理会社に委託するケースがほとんどです。
株式投資やFXのように、ニュースや経済指標をこまめにチェックするような手間がかからないため、本業がある方でも続けられる投資です。
(4)生命保険の代わりになる
一般的に投資用物件を購入する際には、不動産投資ローンを利用します。不動産投資ローンを組む際には、原則として団体信用生命保険(以下団信)に加入します。
団信とは、ローンを組んだ人が死亡または高度の障害状態になり借入金の返済ができなくなった時に、その保険金でローン残高が完済される生命保険です。
団信に加入することで、ローン契約者に万が一のことがあった場合、ローン返済が不要になり、残された家族はローン返済の必要がない不動産を手に入れることができます。
現物の不動産に加え、残された家族に家賃収入を残す手段にもなるため、生命保険の代わりとして始める人も数多くいます。
(5)節税になるケースがある
不動産投資が節税につながるケースは、大きく
- 所得税・住民税
- 相続税
の2つに分けられます。
所得税・住民税は、給与や事業、投資などを合算した「所得」によって税額が決まります。
不動産投資による所得は、収入から必要経費を引いたものになるため、マイナスになる場合は他の所得を減らすことができるのです。
ただし、不動産購入2年目以降は、計上できる経費が少なくなります。不動産所得がプラスになった場合は、上がった分の税金が増えてしまうので、十分なシミュレーションが必要です。
相続税は、一定以上の財産を相続した場合にかかる税金で、相続税評価額によって税額が決まります。
不動産の相続税評価額は、現金や預貯金よりも低く、土地は現金の8割、建物なら7割程度です。現金で相続するよりも、不動産で相続した方が相続税を抑えることができます。
不動産投資の節税については、「不動産投資で得られる節税効果とは?節税の仕組みや注意点なども解説」で詳しく解説しています。
不動産投資は、メリットだけでなくリスクもあります。ここからは、不動産投資のおもなリスクを5つ挙げ、解説します。
(6)空室、家賃滞納
空室リスクは、不動産投資の最大のリスクといえるでしょう。
空室や家賃滞納により家賃が入ってこないと、給料など別の収入を用いてローン返済をしなければなりません。
空室リスクを避けるためには、
- 賃貸需要があり続けるエリア
- 競合との差別化ができる
- 賃貸ニーズに合っている
物件を選ぶ必要があります。
(7)家賃下落
家賃下落の原因として、建物の経年劣化や需要の低下が挙げられます。また、立地、利便性がよくない物件は家賃が下落しやすい傾向にあります。
賃貸需要がひとつの企業や学校に依存しているエリアは、移転などにより需要が急に低下する可能性があるので注意が必要です。
(8)金利上昇
ローンを利用して物件を購入した場合、金利が上昇することで返済総額が増えるため、金利は不動産投資の収益性に大きく関わります。金利は政策により変動しますが、インフレ下では、物価の上昇とともに金利も上昇する傾向にあることに留意しましょう。
金利上昇のリスクへの対策としては、自己資金(頭金)を用意する、借り換えや繰り上げ返済を検討することが挙げられます。
(9)災害
火災や地震、津波などの災害により、建物が毀損したり消失するリスクは、発生確率は低いもののゼロではありません。
火災リスクへの対策は、主に以下の4つです。
- 建物に対する火災保険に加入する
- 入居者の火災保険加入状況を確認する
- 信頼できる建物管理会社に任せ、防火管理を徹底する
- 火災に強いコンクリート造のマンションを選ぶ
地震や津波への対策は、主に以下の3つです。
- ハザードマップを確認する
- 地震保険に加入する
- 地震に強い物件を購入する
(10)流動性
投資における流動性とは、投資対象の換金の容易さを表す要素のことです。不動産は、流動性が低い、つまり換金までに時間がかかる投資対象です。
不動産を売るときには、買い手を探したり、売却の手続きが必要になるため、3カ月〜6か月程度かかります。
不動産投資は、他の投資よりも流動性リスクが高いことを覚えておきましょう。
4、不動産投資を始める時の注意点
不動産投資で失敗してしまうと、インフレ対策どころか資産を減らしてしまう可能性があります。この章では、インフレ対策を念頭に置き、不動産投資をする際のポイントについて解説します。
(1)不動産投資の目的に合った物件にする
不動産投資を始める際は、基礎知識を身につけた上で、目的を明確にすることからスタートしましょう。
一口に不動産投資といっても、マンションの一室に投資する区分マンション、一棟アパート、戸建てなど、建物の種類により投資金額や性質が大きく異なります。
それぞれの投資対象の特徴やリスクについて学び、不動産投資をする目的と照らし合わせて物件を選ぶことが、失敗しない不動産投資へとつながります。
(2)不動産投資会社を見極める
不動産投資会社は、不動産投資をする上で大切なパートナーになります。
不動産投資会社を見極める力は、複数の不動産投資会社の資料を読んだり、面談をして比較検討することで、ついてくるものです。
現在も、投資家をカモにしようとする悪徳な不動産投資会社は存在します。
比較検討せずに不動産投資会社を決めてしまうと、騙されていることに気づかないかもしれません。1社のみの面談で不動産投資を始めないようにしましょう。
(3)賃貸需要があり続ける物件を選ぶ
不動産投資の成否を決める最も大きな要因は、「物件選び」といえます。不動産投資は、賃貸経営という長期的な事業になるため、これから数十年先も賃貸需要があり続ける物件を選ぶ必要があるのです。
賃貸需要があり続ける物件を選ぶためには、物件について第三者に相談することが有効です。
不動産投資の教科書では、不動産投資会社ではない第三者に相談できる「セカンド・オピニオンサービス」を展開しています。
セカンド・オピニオンでは、
- いい不動産投資会社を選ぶポイントを知りたい
- 本当に買っていい物件なのかわからない
- 提案された物件を不動産投資経験者に見てもらいたい
といった相談ができます。
セカンド・オピニオンを担当するのは編集部に在籍する現役の不動産投資家なので、不動産会社で聞きにくいことも聞けますし、営業されることもありません。
サービスが始まって間もないため、多くの投資家に知ってもらいたいという思いから、現在無料で相談を受け付けております。ぜひご活用ください。
(4)きちんと管理がなされる物件を選ぶ
どんなに賃貸需要が高い物件でも、管理状態が悪いと空室リスクが高くなります。
前述したように、現在の賃貸経営は、管理業務を委託する方法が一般的です。建物の維持管理や、入居者の募集、賃料の回収、トラブル対応などを賃貸管理会社に委託するため、きちんと管理してもらえる賃貸管理会社を選ぶことが必要になります。
新築物件を選ぶ際には、管理会社が管理している他の物件や、管理実績を確認しましょう。
中古区分マンションの場合は、建物全体の管理会社を変更することが難しいため、物件購入前にできるだけ現地に足を運び、手入れが行き届いているか確認することをおすすめします。
不動産投資でインフレ対策するためのFAQ
(1)セカンド・オピニオンでは、どんなことを相談できますか?
セカンド・オピニオンで多い相談は、
- 提案された物件についてアドバイスがほしい
- いい不動産会社を選ぶポイントを教えてほしい
- ローンの相談をしたい
といった相談です。
他にも、不動産投資に関することであれば、どんなことでも相談できます。セカンド・オピニオン担当は現役の投資家ですので、物件を営業することはありません。
(2)物件の見極め方についての記事はありますか?
はい。収益物件について詳しく解説している記事「収益物件とは?初心者でも不動産投資で利益が得られる物件選びのコツ」をご参照ください。
(3)余剰資金について具体的に教えてください。
よく「投資は余剰資金で」といわれますが、余剰資金の捉え方は人によっても異なります。一般的には、生活費や非常時を想定し残しておくお金を差し引いた資金で、当面使う予定がないお金のことをいいます。
余剰資金を資産運用する際は、自身のライフプランや子どもにかかる費用なども考慮しましょう。
まとめ
不動産投資がインフレに強いと言われる理由や、インフレ対策以外の不動産投資のメリットやリスクについて解説しました。
インフレから資産を守るためにも、不動産投資を始める際は、今回紹介した失敗しない不動産投資をするためのポイントを必ず抑えておきましょう。