不動産投資の損得勘定として、格安物件を購入してリフォームをすると高い利回りで運用できるのではないかと思ったことはありませんか?
見た目に古さを感じる物件であってもリフォームで新築のように蘇らせることができれば、新築に近い家賃が見込めるのではないかと考えるのは自然なことです。
しかし、リフォームには費用がかかります。その費用を投じてリターン(利回りや稼働率など)がそれを上回れば、不動産投資にリフォームを活用した意義があるというものです。
そこで、この記事では不動産投資とリフォームの関係について、
- リフォームをすると本当に利回りが良くなるのか
- リフォームを前提とした物件選びの勝算
- リフォームする際のポイント
- ローンでリフォーム費用を調達する方法
といった情報にスポットを当てて解説したいと思います。
週末大家、サラリーマン大家といった副業投資家の方々にも有益な情報を、メディア「不動産投資の教科書」編集部が解説していきます。
なお、もし実際にリフォームする場合には以下の「リショップナビ」のようなリフォーム一括見積もりサイトの活用がオススメです。
比較することでより質の高いサービスを安く受けられるからです。
是非活用してみて下さい。
目次
1、利回り○%!不動産投資でリフォームをして高利回りになった事例
リフォームは、きちんと効果があるリフォームであれば、家賃を上げることができると言えるでしょう。
以下にて実際にリフォームして、家賃アップに成功した事例をみてみましょう。
(1)リフォームをする理由は?
前の入居者が退去してから、建築年数が古いことによって次の入居者が決まらない状況が続いています。
最寄り駅から徒歩8分と立地は悪くないので、ただ現状回復するのではなく、サラリーマンの入居ニーズが高いエリアだったので、少しオシャレなカフェをイメージにリフォームをすることに決めました。
(2)リフォームした内容
人によって好みがありますので、あまりこりすぎないことに注意し、以下のリフォーム内容を実施しました。
- トイレリフォーム:20万円
- クロスの張替え(デザイン2種類):10万円
- 照明:5万円
- 壁に飾る絵:1万円
- その他クリーニング費用:5万円
- 合計:41万円
(3)家賃をいくらアップできた?
リフォームでクロスや照明などで部屋の雰囲気が大きく変わることができ、また新築時から使っていたトイレも新しくしたことによって、相場家賃の7万円を上回って、8万円で入居者がつきました。
空室リスクを解消することができるのと同時に、年間12万円の家賃収入を増やすことができました。
2、リフォームを成功させる流れと3つの最重要ポイント
(1)リフォームを成功させるための流れ
リフォームをすることで不動産投資を成功に導くには、物件選びから始めるのが最も効果的です。物件選びから始めて、魅力的な物件に仕上げるまでの流れをまとめました。
①リフォームする価値のある物件を選ぶ
リフォームを前提とした不動産投資では、いかに「ダイヤの原石」を見つけるかがポイントです。不動産には立地条件や周辺環境といった、物件そのものの価値だけでは変えようがない要素があります。これらはリフォームによって改善できるものではないので、リフォームする価値のある物件選びには、これらの要素を考慮して磨き上げる価値があるかどうかが判断基準になります。
この前提を踏まえた物件選びについては、「4、リフォームに適した物件を購入する」で詳しく解説します。
②リフォームをした上での投資利回りをシミュレーションする
リフォームを前提としている場合、「物件購入価格+リフォーム費用」が投資額になります。この投資総額に対してどれだけの家賃収入が見込めるのか、その投資利回りがどれだけになるのかをシミュレーションします。
これがプラスにならない限り、いくらリフォームをしたとしてもその投資は成功しない可能性が極めて高く、購入するべきではありません。
リフォームを伴うその不動産投資は成功するか?そのシミュレーションについては「3、最重要!リフォームの計画・シミュレーションを立てる」で解説します。
③リフォーム業者を選ぶ
どの業者にリフォームを依頼するべきかというのも、投資の成否に関わる重要は判断項目です。リフォーム業者は数も多いため、それぞれの業者によって考え方や得意分野が異なります。
この場合は不動産投資を成功させるためのリフォームなので、低コストで見栄えの良い物件に仕上げてくれる業者を見つけるのが最も妥当です。
リフォーム費用全体を安くする方法も含めて、「5、リフォーム費用の相場と可能な限り安くする方法」で詳しく解説します。
(2)リフォームを成功に導く3大重要ポイント
①そこに住む人物像をイメージする
収益物件をリフォームするのは、そこに住みたいと思ってもらうことが目的です。この目的を達成するためには、マーケティングの要素を考慮するのが良いと思います。
区分マンション物件であれば同じ建物に住んでいる人や、それ以外の物件であっても周辺の類似物件に住んでいる人を観察してみて、これからリフォームをする物件に住む可能性が高い人物像を描きます。マーケティング用語ではこれをペルソナと呼び、ペルソナを設定した上で「そのペルソナが住みたいと思う物件づくり」をするのが基本です。
人物像を設定するには性別や家族構成、職業、収入レベルなどさまざまな属性があるので、それらをある程度設定した上でリフォームの計画を立てます。
②新しさをアピールする
賃貸住宅を選んでいる人の心理として、新しいものを好む傾向があります。新築物件の人気が高いのはまさにその表れで、きれいであることの最上級は「新品であること」です。
そこでリフォームでは高級さよりも新しさ、新品を使うことにこだわりたいところです。壁のクロスを張り替えるにあたって、高級なものを使用するよりも比較的安い新品をこまめに張り替えるほうが入居率アップにつながります。
クロス以外についてもエアコンや給湯器など、いつか寿命がやってくる設備についても安いものを早めに新品に交換するほうが良いとされています。
③人気設備で好感度アップ
入居者に好まれる設備というのは常に変遷していますが、その中で共通しているのは生活を便利、安全、快適にするというテーマです。旭化成ホームズ株式会社の賃貸住宅ブランド「へーベルメゾン」による「この設備があれば周辺相場よりも家賃が高くても入居が決まる」という調査結果にも、そんな入居者心理が如実に表れています。
ここで注目したいのは、単身者向けとファミリー向けとでは人気設備にかなりの違いがあることです。リフォームを検討している収益物件がこのどちらに該当するかによって、設備面での方向性も自ずと決まってきます。
これらをすべて実現するのは難しいですが、「浴室換気乾燥機」や「追いだき機能」などは大いに検討に値すると思います。
3、最重要!リフォームの計画・シミュレーションを立てる
(1)そのリフォームには勝算がありますか?
家賃収入と出口戦略(売却)の全プロセスを通じて、利益を上げるのが不動産投資の目的です。「リフォームで物件の価値が高まれば利益も上がるはず」というのがリフォームに期待される部分ですが、そこには数字の裏付けが必要です。
立地条件には申し分が無いものの、築年数が古いばかりに不人気になっているような物件がリフォーム向きですが、リフォーム費用を合算した投資額からどれだけのリターンが得られるかを事前にシミュレーションするのは必須です。
シミュレーションの段階で期待通りの利回りにならないのであれば、予想外の事態も含めてその物件での勝算はさらに低いと判断するべきです。この記事では20%という利回りを基準にしていますが、少なくとも2桁の利回りが見込めることが前提であることを押さえておいてください。
(2)リフォームした物件の利回りをシミュレーションする方法
投資物件の利回りを計算する方法は、シンプルです。「家賃収入÷物件購入額」で求めることができるので、リフォームを前提とする場合はこの物件購入額にリフォーム費用を加算するだけです。
つまり、
年間の家賃収入 ÷ (物件購入額 + リフォーム費用) × 100 = 利回り
という計算式になります。
物件購入額が1,300万円、リフォーム費用が200万円だとすると、1,500万円が実質的な投資金額になります。
この物件で15万円の家賃が見込めるとすると、満室を仮定した利回りは以下のようになります。
180万円 ÷ 1,500万円 × 100 = 12%
この物件の利回りは12%なので、ひとまず2桁の利回りが確保できると判断できます。
(3)シミュレーションの結果からリフォーム費用を算出する
先ほどのシミュレーションではリフォーム費用を200万円として想定しました。これが高いか安いかについては物件の状態によって判断が分かれるところですが、水廻りなど費用が大きくなりやすい部分をリフォームすると数百万円クラスの費用になることは決して珍しくありません。
しかし、リフォーム費用をかけすぎると利回りが悪化し、不動産投資の成功率が下がってしまいます。最低限でも2桁の利回りを確保するという意味では、先ほどの場合だと利回り10%以上とするために投資総額を1,800万円までにするというのがひとつの目安になります。物件価格が1,300万円という想定なので、リフォーム費用の上限は500万円です。
この金額を上回るようなリフォームを要する物件は、「リフォームをして利回りがアップしても期待通りの収益は上がらない物件」と判断できるため、有望な投資対象ではありません。
(4)収支シミュレーションの質が不動産投資会社の質を決める
ここまで解説してきたシミュレーションについて、もちろんこの方法を使えばご自身で行うこともできますが、基本的には収益物件を購入する際に関わることになる不動産業者の提案事項です。
不動産業者の立場になって考えると、数字のマジックを使ってでも高利回りになるような想定をした提案書を作りたくなるでしょう。しかし、提案書の内容が「大盛り」であればあるほど現実とのギャップが大きくなるので、いかに現実に即した精密なシミュレーションをした提案内容であるかどうかは、不動産投資のパートナー選びにも役立つ物差しです。
リフォームが必要な箇所の詳細な洗い出しやコストパフォーマンス、さらには空室率などあらゆる要素を考慮したシミュレーションをもとに投資判断をしましょう。
4、リフォームに適した物件を購入する
(1)物件選びの考え方
賃貸市場は需要と供給のバランスで成り立っているので、需要の高い賃貸物件には入居者が集まりやすくなります。人気の高い物件は家賃を下げる必要がないため、投資利回りも良くなります。
では、需要の高い賃貸物件とはどんな物件のことを言うのでしょうか。これは入居者の気持ちになってみると明確で、以下のような条件が考えられます。
- 駅近など交通アクセスが良い
- 周辺環境、治安が良い
- 新しくてきれい
- 便利な設備が充実している
他にも細かいものを含めると人によってさまざまな条件があると思います。このうち、上の2つは物件の性能と無関係なので変えられませんが、下の2つはリフォームによって改善することができます。
市街地の場合は古い建物ほど良い場所にあることが多く(まだ建物が少なかった頃に建てられているため)、場所の利をいかしながら物件の状態をリフォームによって改善することで利回りが向上するというのはよくあることです。
優良な収益物件とはどんな物件のことなのか、その基本については「優良な収益物件を購入するために知っておくべき4つのこと」で解説していますので、物件探しの方法も含めて参考にしてください。
(2)「ボロ物件」は基本的に不適格
いわゆる「ボロ物件」と呼ばれる、極端に古いなどの理由で激安で売りに出されている物件を購入してリフォームをするという考え方があります。投資利回りは「家賃収入÷投資金額」で計算できるので、分母である投資金額を安く抑えることができれば利回りが飛躍的に向上することもあるでしょう。
しかし、それはあくまでも安定的に入居者があって家賃収入が継続すればの話です。家賃収入がゼロの状態が続くとどれだけ分母が小さくなっても利回りもゼロです。
「新しくてきれい」な印象を与え、「便利な設備が充実している」ことで本来持っている価値を取り戻せるような物件が、リフォームする価値のある物件であると定義したいと思います。
5、リフォーム費用の相場と可能な限り安くする方法
(1)自分でDIYできる範囲は限られている
少しでも安くリフォームをしたいと思った時にまず頭に浮かぶのがDIYによって自分でやるという選択肢です。元から趣味でDIYをやっているなどの理由で相当な腕前を持っていて、さらに作業が苦にならないのであればそれも有効ですが、そうでない場合は「不動産投資の教科書」としてはあまりオススメをしません。
以下が、その理由です。
- プロと素人とでは仕上がりに雲泥の差があり、素人仕事を見抜かれると集客力に悪影響を及ぼす
- 自分でできる箇所を頑張ってリフォームしても、トータルの見積もりはあまり変わらない
- プロと素人とでは作業時間に大きな差があり、作業時間が長引くと入居者募集ができず機会損失になる
- 一棟アパートなど戸数が多くなると自分で作業をする現実味に乏しい
時間と労力をかけた割にはあまりリフォーム費用に差がないこと、早く終わらせないと自らの都合で空室期間を長引かせてしまう機会損失のリスクがあることを考えると、「安くリフォーム工事をしてくれる業者」を探すほうが得策と言えそうです。
(2)リフォーム箇所別費用相場
収益物件のリフォーム箇所として代表的な箇所のリフォーム費用相場をまとめてみました。これらは標準的な数値であり、使用する材料や地域による変動があるので、あくまでも目安としてお考え下さい。また、すべて1戸あたりを単位としているので、一棟もの物件の場合は戸数分だけ掛け算をして下さい。
まずは、「見た目」に関わるリフォーム費用の相場です。
クロス張り替え(壁、天井) | 4~5万円 |
クッションフロア | 4万円台 |
天井塗装 (クロス張りの場合不要) | 2万円程度 |
下駄箱取替、設置 | 2万円程度 |
ハウスクリーニング | 2万円程度 |
次に、物件の付加価値を高めるリフォーム工事についての費用相場も見てみましょう。
浴室換気乾燥機取付 | 10~20万円 |
独立洗面台設置 | 10~20万円 |
追いだき機能付き給湯器設置 | ガスの場合:5~20万円 |
電気の場合:10~数十万円 | |
モニター付きインターホン | 数万円~10万円程度 |
宅配ボックス | 10万円程度 |
付加価値というだけあって、「見た目」以外の部分ではリフォーム費用も相当な金額になることが分かります。
このため、できるだけお金をかけずに収益物件の利回りを向上させるためには前半の「見た目」に関わるリフォームだけを行う事例が多いのです。
なお、ハウスクリーニングについても品質や費用について知っておくべきことが多いので、「ハウスクリーニングの料金の相場と失敗しない業者選びの傾向と対策5選」」も併せてお読みください。
(3)安く依頼できるリフォーム業者の見つけ方
リフォーム業者は日本全国に数えきれないほどあります。もちろん不動産投資家向けだけではなく個人が自分の家をリフォームする際にもリフォーム業者を利用しますが、業者にとっては仕事の中身が変わるわけではありません。
すでに知り合いの業者や何らかのツテがあるのであれば必要ありませんが、できるだけ安く仕上げてもらうには、それを引き受けてくれるリフォーム業者を探す必要があります。
既存のツテがない場合であっても、収益物件を購入した際に取引をした不動産業者が良い業者を勧めてくれた場合は、その業者を利用するのもひとつの手です。そうでない場合は、ネットにある一括見積サイトで複数業者に見積もりを依頼するのが最も早道です。
「不動産投資の教科書」では以下のリフォーム一括見積サイトをオススメしますが、どのサイトを利用するにしても大切なのは「複数社から相見積もりを取る」ことです。
リショップナビ
(4)閑散期を狙う
不動産がよく動く時期は、それに伴ってリフォーム業者も仕事が多くなります。仕事が多い時期は費用も高くなりがちなので、費用を安くするためのコツとして時間軸の工夫も考えたいところです。
不動産業界の事情を踏まえて、リフォーム業者の繁忙期は1月から3月頃となります。その時期にどうしても入居可能な状態にしなければならないという急ぎの事情がないのであれば、敢えてこの時期を外して見積もりを取ってみましょう。繁忙期と閑散期の価格差は意外に大きいので、うまく交渉すると半分程度に費用を抑えることも不可能ではありません。
6、リフォームにあたりローンを活用する方法
(1)リフォーム費用にはローンを活用できる
クロスやクッションフロアの張り替えなど「見た目」のリフォームだけであれば20万円を超えない程度の費用なので自己資金の範囲内かも知れませんが、「3ー(2)リフォーム箇所別費用相場」の後半でご紹介した設備面でのリフォームを伴うと費用が100万円を超えてくることもあります。
そんな時に利用を検討したいのが、リフォーム費用向けのローンです。ただし、リフォームローンという名称が同じでも商品の中身に違いがあるのでその注意点も含めて次項より解説していきます。
(2)一般的なリフォームローンとの違い
銀行や信用金庫などの金融機関が「リフォームローン」という名前で提供している商品には、不動産投資に使えないものがあります。それは「自己居住」を条件としているからで、個人向けに設定されているこうした「リフォームローン」は収益物件には使えません。
収益物件のリフォーム費用に使えるローン商品を探す必要があります。
(3)おすすめリフォームローン3選
銀行や信用金庫、クレジット会社、政府系金融機関など収益物件向けのリフォームローンはたくさんあります。その中から、「不動産投資の教科書」としては以下の3つをピックアップしました。
①日本政策金融公庫
不動産投資に使える事業性資金の融資を行っており、低金利で担保が不要であることが最大のメリットです。
②イオンプロダクトファイナンス
クレジット会社としてリフォームローンの商品設定をしています。リフォーム業者が提携をしている必要がありますが、もし依頼したいリフォーム業者が提携をしていれば業者の信頼性を計るバロメーターにもなります。
③三重銀行「大家さんのリフォーム(アパートリフォームローン)
三重県に拠点がある地銀の三重銀行が提供している収益物件向けのリフォームローンです。三重県外からも申し込み可能ですが、お近くの地銀に同様の商品がある場合はそちらのほうが良いかも知れません。
まとめ
見た目の第一印象で物事を判断するのは、人間の本能的な心理です。それは対人間だけでなく、賃貸住宅を探す際にも同じことが言えます。この記事では不動産投資を成功させるために必要なリフォームの考え方や費用、そして費用の調達方法などを解説してきました。
可能な限りお金をかけずに印象を良くするリフォームから付加価値の高いリフォームまで解説しましたので、資金事情や目的に合わせて効果的なリフォームにお役立てください。