遊休資産「遊休資産」とは、企業や個人が持っているけれども効果的に活用されていない資産のことを指します。
現在、遊休資産をお持ちのかたはたくさんいらっしゃることと思います。そして、その資産の存在についても気付かないでいることもあるかもしれません。
例えば、不使用の不動産や在庫、余剰の設備などが含まれます。これらの遊休資産を有効活用することで、新たな収益を生み出したり、効率化を図ったりすることが可能です。
本記事では、遊休資産の意味や活用方法、それに伴うメリットについて解説します。遊休資産を活用してビジネスを活性化させる方法について『不動産投資の教科書』が、解説していきます。
- 遊休資産をそのままにしておくデメリット
- 遊休資産を活用するメリット
- 遊休地の活用法
- 今の時代だからこそできる活用法
「遊休資産」とは、事業目的で取得したものの、何らかの理由によって稼働していない資産のことです。
1、遊休資産とは?
「遊休資産」とは、事業目的で取得したものの、何らかの理由によって稼働していない資産のことです。土地や建物などの不動産だけでなく、使わなくなった大型の工作機械や事務用設備、古いパソコンなども「動産」としての遊休資産です。
「遊休資産」は稼働していない状態であっても税法上は「償却資産」となるため、固定資産税の課税対象になってしまいます。
「動産」となる建物には法定耐用年数がありますが、たとえ法定耐用年数が経過したとしても、事業の用に供したものであれば、課税対象となる点に注意しましょう。
2、遊休資産をそのままにしておくデメリット
遊休資産としての土地や建物をそのままにしておくと、どういったデメリットが生じるのでしょうか。活用方法を考えていくためにも、そのデメリットを知っておくことが重要です。
(1)税金がかかる
土地を何の目的にも利用せず2年以上そのままにしておくと「遊休土地」として、都道府県知事から通知を受けます。通知後は6週間以内に、利用するのか処分するのかを決定して届け出ることが必要です。
また、何も使用していない土地に対しても「固定資産税」はかかります。
固定資産税は固定資産税評価額の1.4%が年間かかりますから、何も活用しないと税金ばかりとられることになります。固定資産税の性質上、建物がある土地よりも建物のない更地の方が高くなることにも注意しましょう。
(2)手入れや管理のコスト・時間がかかる
土地を放置しておくと、さまざまなトラブルにつながる可能性があります。雑草が伸び放題だったり、家屋が廃屋化していると、ゴミが投棄されたり、害獣や害虫が住み着いて周りに迷惑をかけるといったトラブルにつながります。
特にゴミの不法投棄は深刻な問題です。遊休土地に捨てられたゴミは、土地の所有者自身が処理しなければならないのです。大きなゴミなどを捨てられてしまうと、その撤去費用だけでも大きな金額になる恐れも。
もし化学薬品やオイルなどが不法投棄された場合、その後土地活用するとしても大がかりな「汚染土」の除去が必要となるでしょう。その場合は数百万円の出費となる可能性もあります。
(3)放置しているとクレームや犯罪に繋がる可能性もある
害獣や害虫が集まりやすいことも近隣トラブルの原因となります。住宅地だけでなく、山間部であっても、遊休土地が周辺エリアの害虫被害の源になってしまうことも考えられるのです。
また空き家を放置したままにして、不法侵入されたり、勝手に違法行為を行われたりと、近隣にとっての治安問題に発展するため、周囲からのクレームだけでなく、場合よっては行政からの指導が入るおそれもあります。
3、遊休資産を活用するメリット
放置しておいても何もよいことはない遊休資産。
特に土地の遊休資産である「遊休土地」は何らかの利用方法を考えないと非常にもったいないです。それでは遊休資産を活用するメリットについて、代表的なものをあげておきましょう。
(1)収入を得られる
土地は利用用途がたくさんあるため、立地や状況に合わせた活用方法を選択できます。なかには大きな収益を得られる方法もあるので、うまく運用できれば不労収入を得ることも。
(2)税金が安く抑えられる
遊休土地を資産活用することで収益が上がれば、固定資産税を上回る「黒字資産」へと様変わりします。それだけでなく活用方法を工夫することで、税制上の優遇を得られることがあります。
たとえばアパートを建てるなど「住宅用地」として活用すると、更地状態で課されていた固定資産税と都市計画税がそれぞれ1/6と1/3に(戸数×200㎡まで)軽減されるのです。
さらに、初期投資によって不動産所得がマイナスとなる最初の数年間は、所得税の軽減適用が受けられるので、所得税に関しても節税することが可能です。
4、遊休資産を活用する方法
ここからは、遊休資産となっている土地や建物を有効活用するための代表的な方法を紹介していきます。
土地の状況や目的にあった活用方法を選択することが、土地活用を成功させるうえでとても重要です。
(1)アパートなどの賃貸住宅
1つめは土地活用の王道である「賃貸経営」です。
戸建て一軒家、マンション、アパートなど、タイプはさまざま。ですが、立地条件がそろっていた場合に比較的取り組みやすく、また収益を上げやすいのが「アパート賃貸経営」でしょう。
住居を建てるため、税制上の優遇を受けられるだけでなく、複数の部屋を貸し出すことによる「リスクヘッジ」にも優れています。不動産管理会社の選択肢も多く、良いパートナーを見つけておけば、あまり手間をかけずに安定収入を得ることも可能です。
賃貸住宅経営におけるメリットとデメリット
賃貸住宅経営のメリット
- 安定した不労所得を得られる
- 固定資産税や相続税などの節税対策になる
- 良いパートナー(不動産管理会社)がいれば、ほとんど手間はかからない
- 賃貸住宅を担保に銀行融資を得やすい(事業拡大が比較的容易)
賃貸住宅経営のデメリット
- 「空室」リスクがある
- 「家賃滞納」など入居者トラブルのリスク
- 建物の老朽化による資産価値の減少
- 「立地」の良し悪しでほぼ勝負がついてしまう
賃貸住宅経営がおすすめな人・土地
- 人気エリアに土地を持っている
- 長期的に安定的な収益を上げたい
- 効果的に節税対策をしたい
- 土地を自分で使用する、あるいは特にほかの用途を考えていない
- 不動産投資業のスタートとして、どんどん事業を広げていきたい
(2)コンビニなどの商業系施設
比較的大きな面積の土地活用に向いているのが「商業施設」を誘致する方法です。
コンビニや小売店舗をはじめ、ロードサイドにある大規模な土地であれば、ショッピングモールやパワーセンター(複数の商業施設を集めた複合商業エリア)を誘致できます。
商業施設を誘致する場合は、その地域のニーズに合った施設をつくれるかが重要です。また、都市計画地域などの行政区分によっては建てられない施設もあるため、さまざまな角度からのリサーチが必須となります。
商業系施設経営のメリット・デメリット
商業系施設経営のメリット
- 家賃設定を高く設定できる
- トラブルリスクは低い(テナントの対応問題となるため)
- 内装工事費など、施設にかかる費用は抑えられる
- アパートなどと比べると建築基準法の制限が緩い
商業系施設経営のデメリット
- 収益性はテナントの業績に左右される
- 節税効果はあまりない
- 建築費が高額になる
商業系施設経営がおすすめな人・土地
- 広い土地を持っている
- 立地が駅近などの人気エリアではないところにある
- 高い収益を確保していきたい
ポイントは立地が悪いところであっても勝機がある点です。地域のニーズやテナントの種類によっては立地の需要がさまざまにあり、賃貸経営よりは立地条件に左右されにくいことが強みです。
(3)老人ホームなどの介護系施設
超高齢化社会を前にニーズのある介護系施設。デイケアサービス、老人ホームなど、その形態にもさまざまな種類があります。賃貸住宅経営よりも収益性は高く、あまり立地条件に左右されない点が強みです。
その一方、エリア競合による影響が大きい一面あり、また施設に関する建築規定が細かく定められていることから、転用性が低いという弱点もみられます。建築コストも高めなので、商業施設同様、施設経営を検討するならば十分なリサーチが必要です。
介護系施設経営のメリット・デメリット
介護系施設経営におけるメリット
- 賃貸住宅よりも高い収益性(安定性も高い)
- 立地条件の影響があまりない(ただし、競合施設が近くにないことが重要)
- 介護需要が高まりによる安定したニーズ(ただし、2040年頃から需要はピークアウトするといわれている)
- 広い土地の活用に向いている
介護系施設経営におけるデメリット
- 競合施設が多く、競争は激しい
- 専用の施設を作るため、転用性は低い
- 投資コストは大きい(施設や設備には専門性が必要であるため)
介護系施設経営がおすすめな人・土地
- 競合施設が多く、競争は激しい
- 専用の施設を作るため、転用性は低い
- 投資コストは大きい(施設や設備には専門性が必要であるため)
商業系施設と同様、テナントや事業者の経営次第という所があります。自分で経営するのか、それとも事業者に土地だけを貸すのかでも事情は違ってきますが、エリアの競合による競争が激しい分野です。
(4)太陽光発電
山などにソーラーパネルを設置し、太陽光によって得た電力を電力会社に売るという活用方法です。再生可能エネルギーへの注目とともに、参入事業者が増えました。
最大のメリットはこれまで説明したどの活用方法と比べても、立地条件を問わないところでしょう。過疎地や山間部でも設置可能なうえ、点検やメンテナンスにかかるコストもほかの活用方法と比べるとかなり楽。
その反面、近年は電力会社の買取価格が下落の傾向にあることや、投資回収までの期間が10年以上あるなど、ビジネスとしてのうまみは減少しつつあります。
太陽光発電のメリット・デメリット
太陽光発電のメリット
- 土地を選ばない(ただし、日照条件が良くないと発電効率は落ちる)
- 初期投資費用はほかの活用方法と比べると安い
- メンテナンス、維持費用などのコストも低
太陽光発電のデメリット
- 買取価格は年々落ちている
- 税負担は重め(所得税と固定資産税がかかる)
- 投資費用の回収期間が長く、廃棄時にも費用がかかる
太陽光発電がおすすめな人・土地
- 山間部や田舎エリアに広大な土地を持っている
- 駐車場や賃貸住宅などの需要がない立地(不整形地も含む)
- 土地の管理に手間をかけたくない
- 今後10年以上転用する予定がない
集客や人の流れ、地域のニーズなどを考える必要がないので、日の当たる土地さえあれば取り組めるハードルの低さがあります。ただ、ビジネスとしては非効率な点もあるので、収益性についてはある程度妥協する必要があるでしょう。
(5)トランクルーム経営
近年、非常に注目を集めている手法で、いわゆる「倉庫運営」の1つです。そのなかでも、トランクルームは空いている土地に貨物用コンテナを設置して、収容スペースとして利用者に貸し出すスタイルとなります。
設備投資にかかる費用が低く、ほとんどの場合トランクルーム運営会社と契約するかたちになるので、土地の所有者には手間がかかりません。しかも転用の際にはトランクを除去するだけでもいいので、別の事業を始めやすいというメリットがあります。
その反面、収益性は低めで、住宅地には立地できないといった、都市計画法上の立地制限もあります。
トランクルーム経営のメリット・デメリット
トランクルーム経営のメリット
- 初期投資費用が安く、回収に時間があまりかからない
- 管理の手間がほとんどない
- 転用(特に屋外)は簡単
トランクルーム運営のデメリット
- そもそも利用者のパイが少なく、収益性は低いビジネス
- 節税効果はほとんどない
- 都市計画法上、立地できないエリアがある(住宅地エリアには設置できない)
- 専門事業者とフランチャイズ契約をしないと成功は難しい
トランクルーム経営がおすすめな人・土地
トランクルーム経営がおススメの人や土地は以下の通りです。
- 短期間で収益が上がる土地活用をしたい
- 住宅地ではないエリアに土地がある
- 駐車場経営が軌道に乗っていないので、同じ土地で別の方法を探している
- 収益性は高くなくてもい
立地の性質上、駐車場経営に適した土地はトランクルームの適正もあるので、駐車場からの転用候補の1つとしても有力です。
(6)駐車場経営
月極駐車場やコインパーキングなどが主流となっている、土地活用の代表的な方法です。準備や設備投資費も比較的少なくすむうえに、立地が良ければそこそこの収益性を確保できます。
駐車場は立体駐車場などの特殊な場合を除くと、舗装をどのようにするかによってコストがかなり違ってくるところがあります。
駐車場経営のメリット・デメリット
駐車場経営のメリット
- 初期投資費用が安く、整備にも時間がかからないので始めやすい
- 管理の手間がほとんどない
- 立地が良ければ、収益性を確保できる
- 転用が比較的簡単
駐車場運営のデメリット
- 立地によって収益性はほぼ決まってくる
- 節税効果はほとんどない
- ある程度の広い土地と、車の出し入れがしやすい動線の確保が必要
立地条件がビジネス成功のカギを握っているタイプの活用方法です。地方都市だと収益性が一気に下がる難しさがあります。
駐車場経営がおすすめな人・土地
- 商業施設の近くなど、駐車場需要のある立地に広めの土地がある
- 都市部エリアに不整形地や他に転用の難しい土地がある
- あまり手間をかけずに収益をあげたい
転用、転換が楽なので、需要のある立地であれば、将来的な活用までのつなぎとしてやってみるのもおすすめです。
(7)定期借地
定期借地とはあらかじめ期間を定めておいて、その期間土地を他人に貸し出す方法です。日本では借地借家法によって持ち家を建てた人(土地を借りる側)の権利を強く保護しています。
そのため定期借地契約なしで土地を貸すと、半永久的に土地が返ってこないことが多いのです。それを避けるための手法の1つが「定期借地契約」です。
定期借地のメリット・デメリット
定期借地契約を結ぶメリット
- 初期投資が不要
- 借り手が付けば、何もしなくても収入が発生する
- ローリスク・ローリターンでも確実に不労所得を得られる
定期借地契約を結ぶデメリット
- 収益性は低い
- 土地転用は難しい
- 契約自体は弁護士などを交えてしっかりと結ぶ必要がある
定期借地がおすすめな人・土地
定期借地契約に向いている人や土地は以下の通りです。
- 最短で10年以内に、特に土地を活用する予定がない
- 住居や事業用施設の需要のあるエリアに遊休土地
- ローリスク・ローリターンでも、長期的に安定的な収入を確保したい人
5、時代に合った遊休資産の活用方法
新型コロナウイルスの拡大とともに、にわかに注目を集めている土地活用もあります。ここでは、2例紹介します。
(1)コワーキングスペースをつくる
リモートワークなどで自宅を職場とする方は増えましたが、仕事を家に持ち込むことでの難しさも感じられるようになりました。そこで注目されているのが「職住近接」型のコワーキングスペースです。
生活圏内にあるオフィス空間の需要は近年伸び続けているので、都市部の空き家などの有効活用として注目されています。
(2)キャンプ地として活用する
土地活用の難しい立地の1つが郊外の山間部エリアなどです。こうした場所での土地活用として注目されているのが「キャンプ地」。
日本でのキャンプ需要は多く、年間750万人がキャンプ地を利用しているというデータがあります(オートキャンプ白書2022巻頭要約)。
キャンプは屋外の活動であるため、コロナ禍でも比較的強いサービス分野です。日本の山間部は美しい自然であふれているので、しっかりとリサーチして事業展開すれば、収益が出る可能性は高いでしょう。
ビジネス面での可能性を見据えて、近年ではオーナー向けのマッチングサービス(キャンプ地の情報をユーザー向けにアプリやサイトに掲載し、予約などをマッチングするサービス)などを提供する企業も増加中なので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
6、活用しない場合は売却という選択
いまいち良い土地活用の使い道がない、あるいは土地活用を事業としてやっていくことが面倒という方は、土地を売却する選択肢もあります。うまく売却できれば管理の手間や費用もなくなるうえに、固定資産税の支払いも必要ありません。
ただし注意すべき点は、売却に伴う仲介手数料や印紙税、譲渡所得税などの経費が発生する点。これらの経費をトータルすると、赤字が出る恐れも。
また相続した土地を売却する場合は、相続税発生後3年以内の売却だと税負担が軽くなるなど、節税のためのタイミングや方法は、土地の状態や所有状況によってさまざまです。土地活用するのか売却か、専門家とも相談してベストな選択をしましょう。
遊休資産に関するよくある質問Q&A
Q1: 遊休資産とは何ですか?
遊休資産とは、企業や個人が所有しているものの、現在使用されていない、または十分に活用されていない資産のことです。例としては、使われていない不動産、稼働していない設備、余剰人員、未使用の特許や知的財産などが挙げられます。
Q2: 遊休資産を活用するメリットは何ですか?
遊休資産を活用することで、以下のようなメリットがあります:
【収益の創出】 使っていない資産を活用することで、新たな収入源を得られます。
【コスト削減】 遊休資産を売却・リースすることで、維持管理コストを削減できます。
【環境保護】 資源を効率的に活用することで、環境への負荷を軽減できます。
Q3: 具体的にどのような遊休資産の活用方法がありますか?
【不動産活用】 使われていない土地や建物をリース、売却、シェアスペースとして提供する。
【設備活用】 工場設備や機械を他企業に貸し出す、または中古市場で販売する。
【知的財産】 特許や著作権を他社にライセンス供与することでロイヤリティを得る。
Q4: 遊休不動産をどのように活用すれば良いですか?
【賃貸やリース】 空いている土地や建物を他者に貸し出し、賃料収入を得る。
【売却】 資産が不要であれば、売却して一時的なキャッシュフローを確保する。
【シェアスペース運営】一時的な利用ニーズに応じたシェアオフィスやイベントスペースとして提供する。
まとめ
今回は「遊休土地」の活用方法について解説しました。
実際にどのような活用が向いているかは、それぞれの土地の事情やオーナーの意向によって変わってきます。もし遊休地の活用を検討中であれば、専門家への相談をおすすめします。
HOME4U土地活用では、無料で土地活用プランの一括請求ができます。
アパート建築会社やハウスメーカーだけでなく、駐車場やトランクルームを扱う企業とも提携しているため、さまざまな土地活用方法を知ることができます。
複数のプランを比較することは、土地を有効に活用する上で非常に重要です。最大10社までプラン請求ができますが、各社から連絡がくるため対応できる数を請求することをおすすめします。