不動産投資には、さまざまな種類や選択肢があります。
まずは自分の投資目的に合う対象物件を決め、さらに物件を購入する不動産投資会社や管理会社を選ぶ必要があります。
不動産投資の情報収集をはじめたばかりの方向けに、投資対象物件の種類や管理方式について、さらに最も重要な不動産投資会社について、それぞれの特徴の比較ポイントをまとめました。
不動産投資のバイブル
- 不動産投資に興味があるけど何から始めていいか分からない…
- 営業マンのいうことを鵜呑みにして失敗したくない…
- しっかりと基礎から学び、できる限りリスクを避けたい…
- 今は不動産投資の始めどきなのか?
- 安定収益を得るための不動産投資物件の選び方
- 不動産投資の失敗例から学ぼう
1、自分に合う不動産投資のスタイルは?
(1)まずは不動産投資の目的を明確にする
不動産投資の基本は、物件を購入し、賃貸・売却で利益を生み出すことです。
不動産投資のメリットは次のとおりです。
- キャッシュフロー: 賃貸物件からの収入は、安定したキャッシュフローをもたらします。家賃収入が支出(ローン返済額や管理費など)を上回れば、毎月の収益を得ることができます。
- 資産価値の増加: 不動産の価値は上昇する可能性があります。地域の住宅需要やインフラの整備などが影響し、将来的なキャピタルゲインも期待できます。
日本において、不動産投資をする目的として考えられることは以下のようなものがあります。
- 資産運用: 不動産は安定的な資産であり、投資家は資産を増やす手段として不動産を選ぶことがあります。不動産価格上昇や家賃収入によるキャピタルゲインやインカムゲインを得ることが期待できます。
- 定期収入の確保: 不動産投資によって、賃貸物件からの家賃収入を得ることができます。定期的な家賃収入は投資家に安定的なキャッシュフローをもたらし、長期的インカムゲインになり得ます。
- 長期的な資産形成: 長期的に保有することでローン返済後にはインカムゲインと現物資産が丸々手元に残ります。
- 節税:損益通算の制度を活用することで所得税の負担を軽減することができます。
- ポートフォリオの多様化: 不動産投資は、投資家のポートフォリオを多様化する手段としても利用されます。株式や債券などの金融商品とは異なる現物資産である不動産を保有することで、リスクの分散や安定性の向上を図ることができます。
これらは一般的な不動産投資の目的ですが、個々の投資家の目標や状況によって異なる場合もあります。
投資をする前に、自身の目的やリスク許容度を考慮し、適切な不動産投資戦略を選ぶことが重要です。
(2)投資対象物件の特徴を種類別に比較
不動産投資の対象となる物件にはいくつか種類があります。
それぞれに異なる特徴と需要の変動性を持っています。投資家は、市場需要や地域の特性、予算などを考慮して、自身の投資目的に合った物件を選択してください。
新築か中古か
区分か一棟か
区分であれば単身者向けかファミリー向けか
一棟であればアパートかマンションか
不動産投資には多様な選択肢があり、それぞれの特徴とリスクを理解し、自身の投資戦略に合った物件を選ぶことが重要です。
【参考】
(3)管理代行型かサブリース型か
物件を購入しオーナーになったあと、賃貸管理会社と交わす契約形態には、大きく分けて2つの種類があります。1つは「管理代行契約」で、もう1つは「サブリース契約」です。
- 管理代行契約:「集金代行契約」とも呼ばれ、入居者からの家賃回収と賃貸物件の維持・管理を行う契約です。回収した家賃はオーナーに支払われ、オーナーから賃貸管理会社には管理代行の手数料を支払います。
- サブリース契約:賃貸管理会社が契約主体となって、賃貸物件を借り上げる契約形態です。「家賃保証」という名称でサービスを提供している業者もあるように、この契約形態はオーナーにとって空室の有無に関係なく一括借り上げによる家賃が得られるのが最大のメリットです。
管理代行型は委託料を別途支払うという契約ですが、サブリース型は実際の入居者が支払う賃料より安い借り上げ賃料を受け取る契約です。
2、不動産投資会社を比較するポイント
不動産投資会社を比較するポイントは、おもに5つです。
- 得意分野
- 実績
- 営業担当の対応や姿勢
- 管理・アフターフォロー
- 複数の不動産投資会社を比較
それぞれ詳しく解説します。
(1)まずは得意分野を確認する
不動産投資会社は、メインとして取り扱う物件の種類や取引態様などでいくつかの種類に分けることができます。
種類ごとの特徴を簡易的に整理します。
売主として新築物件をメインに取り扱う不動産投資会社
新築物件は、用地の仕入れから企画・設計・施工などを一貫して進める必要があります。仕入れから販売まで時間がかかるため、売主として新築物件を取り扱う不動産投資会社の財務基盤は強いといえるでしょう。
管理は、自社や自社のグループ会社が行うことが一般的です。管理戸数が多いほど実績があるということになります。
自社で仕入れた中古物件をメインに取り扱う不動産投資会社
不動産市場に流通する中古物件を仕入れ、売主として販売する場合、売れ残り(在庫)と売主としての責任というリスクを負います。そのため、良い物件を仕入れる鑑定力と営業力が重要になります。
管理は、自社や自社のグループ会社が行うことが一般的です。管理戸数が多いほど実績があるということになります。
仲介物件をメインに取り扱う
売れ残り(在庫)を抱えることがなく、売主としての責任も負わなくてもよい代わりに、仲介手数料が収入源になるため取引数をこなさなければなりません。
仲介手数料は販売価格に対して定率の成功報酬であるため、高額物件であるほど仲介手数料も高額になります。
(2)不動産投資会社の実績
不動産投資会社の実績を比較するポイントはいくつかありますが、特に「提携金融機関の数」「管理戸数」「入居率」に注目しましょう。
提携金融機関の数
初めて投資用物件を購入するときは、不動産投資会社が斡旋する不動産投資ローンを利用するのが一般的です。
不動産投資ローンは、不動産投資家の属性と物件の担保評価を総合的に判断し、金額・金利などの適用条件が決まるものです。
元々の店頭金利が高い金融機関しか斡旋できないような不動産投資会社だと、好条件で不動産投資を始めることができません。
そこで不動産投資会社が提携する金融機関の数、すなわち利用できる不動産投資ローンの数を確認すべきなのです。
最低でも2つ以上の提携ローンの案内を受けましょう。
管理戸数・入居率
区分マンション投資であれば、空室になったあとすぐに入居者が決まらず家賃収入がない月は、不動産投資ローンの返済額数万円が丸々自己負担になります。
この「空室リスク」は不動産投資では最も警戒すべきものです。
そのため入居付けを行う賃貸管理戸数と入居率は、物件購入後の運用で重要なポイントになるのです。
区分マンションであれば、管理戸数は1000戸以上、入居率は98%以上を目安にするとよいでしょう。
(3)営業担当者の対応や姿勢
不動産投資は、物件を購入しオーナーになってからが本番です。
物件引き渡し後も、管理・運用で不動産投資会社との付き合いは続きます。
10年、20年と長期運用することを前提に話を進める営業担当者なら信頼することができるでしょう。
具体的には、投資用物件の話だけではなく、ライフステージや資産ポートフォリオなどについてコンサルティングの視点を持ち、様々な質問に答えてくれるかどうかということです。
長期にわたる不動産投資のパートナーとして適切か判断することが重要です。
(4)管理・アフターフォロー
不動産投資会社とは、物件を購入した後も賃貸管理で深い関わりがあります。
そのため、管理・アフターフォローの体制・費用は必ず確認しましょう。
賃貸管理は、管理代行型とサブリース型の2種類に分けることができるので、物件を購入しようとしている不動産投資会社が、どちらの形式なのか確認しましょう。
ここで注意したいのが、サブリース型の場合です。
「うちはサブリースなので家賃収入を受け取るだけ。空室リスクはゼロです!」
という営業トークを見聞きしたことはないですか?
サブリース自体は悪いものではなく、空室リスクを軽減し、一定期間、一定額、安定した賃料収入が保証されるという魅力があります。
ただ、トラブルの事例がたくさんあることも知っておいてください。
サブリース契約の前に、必ず確認したい項目は以下の通りです。
契約後の賃料値下げの可能性についてとその時期:「家賃保証の免責期間」「変更の条件について」「双方の合意か?」
契約中解約条件:「違約金の確認」「一方的な解約条件」
費用負担:「修繕費、原状回復」
必ずご自身でサブリース契約書を読み、少しでも疑問や不安に思うことがあったら、営業担当者に質問してみましょう。
相手のペースに乗せられないよう、きちんとサブリースの知識を身につけてから契約してください。
(5)複数の不動産投資会社を比較する
取り扱い物件、取引態様、提携金融機関の数、管理戸数と入居率、管理方式と管理手数料・サブリース賃料など、不動産投資会社を比較するポイントは多数あります。
すべての項目が一般公開されているわけではないので、詳しくはそれぞれの会社に資料請求したり、セミナーに参加するなどして情報収集してください。
その際、1つの会社を見ただけで決めてしまうのは危険です。
最初に問い合わせした不動産投資会社で、良さそうな物件が手頃な価格であり、人気物件なのですぐに決めてほしいと言われたとしましょう。
物件価格は良かったとしても、提携ローンの金利条件や管理にかかる費用などで総合的にはあまり良い投資対象ではないということがあり得ます。
高すぎる金利や管理費用に気づくためにも、複数の不動産投資会社を比較してから物件を購入することをおすすめします。
3、不動産投資会社10社の実績を比較
複数の不動産投資会社を比較するべきとはいえ、たくさんある不動産投資会社から数社選び出すのは大変です。
そこで不動産投資の教科書編集部による調査と不動産投資会社へのアンケートを基に10社をピックアップしてご紹介します。
(1)中古区分がメインの不動産投資会社
日本財託
企業名 | 株式会社日本財託 |
コーポレートサイト | http://www.nihonzaitaku.co.jp/ |
資本金 | 8000万円 |
設立 | 1990年10月 |
対応エリア | 東京 |
比較ポイント情報 | 管理会社:株式会社日本財託管理サービス
※2023年4月末現在 |
GA technologies (ジーエーテクノロジーズ)
企業名 | 株式会社GA technologies (ジーエーテクノロジーズ) |
コーポレートサイト | https://www.ga-tech.co.jp/ |
資本金 | 72億3879万8466円(2022年10月末時点) |
設立 | 2013年3月12日 |
上場市場 | 東証グロース 34910 |
対応エリア | 首都圏・関西エリア |
比較ポイント情報 |
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J.P.RETURNS(ジェーピーリターンズ)
企業名 | J.P.Returns株式会社 |
コーポレートサイト | https://jpreturns.com/ |
資本金 | 9,000万円 |
設立 | 平成14年11月 |
対応エリア | 東京23区内、及び横浜市・川崎市 |
比較ポイント情報 |
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エイマックス
企業名 | 株式会社エイマックス |
コーポレートサイト | https://a-max.jp/ |
資本金 | 9,000万円 |
設立 | 2020年2月3日 |
対応エリア | 東京23区及び横浜エリア |
比較ポイント情報 | 提携金融機関:オリックス銀行、東京スター銀行 他多数 |
リズム
企業名 | リズム株式会社 |
コーポレートサイト | https://www.re-ism.co.jp/ |
資本金 | 1億円 |
設立 | 平成17年12月2日 |
対応エリア | 東京 |
比較ポイント情報 | 提携金融機関:オリックス銀行、イオン銀行 他多数 |
(2)新築区分がメインの不動産投資会社
プロパティエージェント
企業名 | プロパティエージェント株式会社 |
コーポレートサイト | https://www.propertyagent.co.jp/ |
資本金 | 6億1,873万円(2024年1月時点) |
設立 | 平成16年2月6日 |
親会社情報 | ミガロホールディングス株式会社 (東証プライム市場 上場) |
対応エリア | 東京、横浜エリア |
比較ポイント情報 | 年間平均入居率:99%以上 |
トーシンパートナーズ
企業名 | 株式会社トーシンパートナーズ |
コーポレートサイト | https://www.tohshin.co.jp |
資本金 | 10億円 |
設立 | 平成元年2月18日 |
対応エリア | 東京都心、横浜、川崎エリア |
比較ポイント情報 | 管理会社:株式会社トーシンコミュニティー 管理数:280棟 |
スカイコート
企業名 | スカイコート株式会社 |
コーポレートサイト | https://www.skyc.jp/ |
資本金 | 1億円 |
設立 | 1969年(昭和44年)4月5日 |
対応エリア | 東京圏 |
比較ポイント情報 | 管理会社:スカイコート賃貸センター株式会社
※2023年 |
(3)中古一棟がメインの不動産投資会社
武蔵コーポレーション
企業名 | 武蔵コーポレーション株式会社 |
コーポレートサイト | https://www.musashi-corporation.com/ |
資本金 | 1億円 |
設立 | 平成17年12月9日 |
対応エリア | 東京、千葉、埼玉、神奈川、静岡 |
比較ポイント情報 |
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(4)新築アパートがメインの不動産投資会社
アイケンジャパン
企業名 | 株式会社アイケンジャパン |
コーポレートサイト | https://aikenjapan.jp/ |
資本金 | 1億円 |
設立 | 平成18年8月18日 |
対応エリア | 全国 |
比較ポイント情報 |
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不動産投資の比較ポイントQ&A
(1)投資対象物件はどのように決める?
不動産投資の対象となる物件にはいくつか種類があります。
それぞれに異なる特徴と需要の変動性を持っています。投資家は、市場需要や地域の特性、予算などを考慮して、自身の投資目的に合った物件を選択してください。
(2)不動産投資会社を比較するときに見るべきポイントは?
- 提携ローンを利用できる金融機関の数
- 管理戸数・入居率など賃貸管理の実績
- 賃貸管理コスト(管理代行手数料またはサブリース賃料)
(3)サブリース契約で必ず確認すべき項目
- 契約後の賃料値下げの可能性についてとその時期:「家賃保証の免責期間」「変更の条件について」「双方の合意か?」
- 契約中解約条件:「違約金の確認」「一方的な解約条件」
- 費用負担:「修繕費、現状回復」
まとめ
不動産投資について調べると「儲からないからやめておけ」、不動産投資会社について調べると「会社員・公務員はカモにされる」、等々、ネガティブな意見を目にすることが多いでしょう。
しかし、不動産投資は会社員・公務員が、年収や勤務先など本業で得られる属性を活用し長期的な資産形成をするのに適した手段です。
まずは不動産投資の基礎知識を身につけ、ポイントをおさえた上で複数の不動産投資会社を比較することで「カモにされる」ことは避けられます。
また、不動産投資会社が提示するシミュレーションを鵜呑みにはせず、物件の現地に足を運ぶなどして賃貸需要があるエリアを自ら調べることをおすすめします。
それでも判断に迷ったときは、不動産投資の教科書のセカンド・オピニオンサービスにご相談ください。
セカンド・オピニオンでは、
- いい不動産投資会社のポイントを知りたい
- 買っていい物件なのかわからない
- 提案された物件を不動産投資経験者に見てもらいたい
といった相談ができます。
セカンド・オピニオンを担当するのは、編集部に在籍する現役の不動産投資家です。そのため、不動産会社で聞きにくいことも聞けますし、営業されることもありません。