会社員の人が数ある投資商品の中から不動産投資を選択した理由は、さまざまあると思います。不動産投資は、債券や株式といった金融商品と比較して、利回りが高いのが特長です。
そして、不動産投資には大きく2種類の投資形態があります。それが「REIT(リート)」と「現物不動産投資」です。この記事では、その違いを説明すしながら、サラリーマンが投資するにはどちらがよいのかを解説していきます。
不動産投資する物件 6つの種類|自分に合った投資先を選ぶことが成功への鍵
不動産投資のバイブル
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現物不動産投資とは?
現物不動産投資とは、文字通り、現物の不動産に投資をします。投資対象の建物は、マンションなどの区分所有物件(新築・中古)、戸建て物件、一棟物件(RC・SRC・木造、それぞれ新築・中古)、ビルなどになります。
区分所有物件が価格帯は一番安く、戸建て物件、一棟物、ビルとなるにつれて投資金額が多くなってきます。また、それぞれ構造体別の特性によって、減価償却の計算の基礎になる耐用年数は異なります。現物に投資をする場合、減価償却費が大きくキャッシュフロー(現金収支)に影響を与えるので、しっかりと吟味する必要があります。
現物不動産投資は、空室対策から建物の修繕、家賃収納などが発生します。会社勤めなどで本業が忙しい人の場合、これらの管理業務を外部の業者に委託するケースが少なくありません。
現物不動産投資では、投資対象物件の場所選定が重要なファクターになります。首都圏や、中京圏、大阪圏、札幌、仙台、広島、福岡といった都市圏では、物件価格が高くなり、その分利回りが低下します。
戦略として、利回りが低くなるが、空室リスクの少ない都会に物件を持つか、利回りが高いが、空室リスクの高くなる地方に物件を持つかといった点も考慮していく必要があります。
REIT(リート)とは?
REIT(リート)は、不動産に投資する金融商品(ファンド)です。投資法人が投資家からお金を集め、オフィスビル、ホテル、マンション、商業施設などの不動産に投資し、そこから得る賃料収入や物件の売却益が配当金として投資家に分配します。
一般的には、不動産を小口化して投資するので、最低投資金額はファンドによって異なりますが、最低10万円程度から購入が可能です。
「J-REIT(ジェイリート)」と呼ばれる日本の物件に投資する上場銘柄は61本あります。その時価総額は約13兆2461億円で、予想分配金利回りは、4.07%です(2018年11月末現在)。
REITを見る1つの判断基準が「NAV倍率」です。
これはJ-REITの各銘柄の割安、割高を見る指標で、株式では「PBR(株価純資産倍率)」にあたるものです。もしJ-REITの保有銘柄が解散した場合、投資家にどの程度返還されるかを見る指標になります。
もし1倍なら、今の基準価格と純資産が釣り合っていると考えます。1倍を割った場合、その銘柄は割安と判断します。2018年11月時点の全銘柄のNAV倍率は1.03倍とほぼ1倍です。一方、リーマンショックの2009年は0.6倍とかなりの割安な倍率を記録しました。
REITと現物不動産投資の違い
REITと現物不動産投資の決定的な違いは、「証券化されたものに投資を行うか」と「現物そのものに投資を行うか」という点です。それ以外にも以下のような違いがあります。
■現物不動産投資
●オーナーの信用度合いで、かけられるレバレッジがREITと比較して高くすることも可
●担保価値を使いながら、物件を増やし、最終的には大家業として経営することが可能
●実物を見ながらリスクコントロールすることが可能
■REIT
●証券化し上場されているので、流動性が高い(買いたい時に購入、売りたい時に売却できる)
●小口化されているので、比較的少額から投資可能
●専門家によって各銘柄が管理されている
●管理や税金、空室リスクなどの心配がない
サラリーマンに向いているのは…
投資に時間がかけられないサラリーマンは、手間を考えると小口化されたREITに軍配が上がるのは間違いないといえるでしょう。
しかし、レバレッジ(てこの原理)の効果を使いながら、早期に投資対象からの収益を上げるには、現物投資の方が向いています。そのため、手間をかけながら、早期に投資からのリターンを得たい、あるいは得ようとする気持ちが強い人は、現物不動産にチャレンジしてもよいでしょう。
一方で、いずれの投資を行うとしても、失敗しないためには勉強が必要です。自分自身の取れるリスクの範囲内で、最大のリターンを得るために、書籍、インターネットなどで情報を手に入れるとともに、不動産投資会社のセミナーなども活用しながら知識を貯えていくことが大切になります。