• インタビュー
  • 2020/6/23

「多彩な提案でお客様の資産形成に貢献」 プロパティユースが目指すものとは?

  • プロパティユース
  • 常務執行役員
  • 村瀬雄大
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近年、不動産投資業界は活況を呈している。政府の金融緩和政策のもと、カネ余りが生じる一方で、行き場を失った金が不動産に流入してきたからだ。それに伴い、不動産投資をめぐるトラブルも相次いでいる。いずれも共通しているのが、過度なノルマによる過剰な営業攻勢だ。

そんな販売手法とは一線を引き、オーナーに寄り添う提案で成長しているのが、株式会社プロパティユース。

多彩な提案で資産形成に寄与する同社の強みなどについて、村瀬雄大・常務執行役員に聞いた。(聞き手:不動産投資の教科書 編集部 依田泰典)

プロパティユース 常務執行役員 村瀬 雄大 氏

「不動産投資は怖い」から物件を購入するに至った理由

――どんな人が御社で働いているか知るために、まずは村瀬様の人物像に迫りたいと思います。前職ではどんなお仕事をされていたのでしょうか。

村瀬雄大常務執行役員(以下、敬称略):

私は大学卒業後、大手飲料メーカーに入社しました。その頃、様々な不動産投資会社から盛んに電話営業を受けていました。といっても、彼らのターゲット年収層は800万円以上。私は若手でそこまではなかったので、年収800万円以上の上司に代わり私が対応していたという構図です(笑) 

この時に初めて不動産投資の存在を知り、その後中古不動産を1件購入したことをきっかけに不動産業界への転職を決めました。

――営業マンの話を聞くうちに、不動産投資に興味が湧いてきたということですか。

村瀬:

もともと物件パンフレットで間取り図を見たり、友人の引っ越しの手伝いついでに部屋の中を見せてもらうなど、不動産には興味がありました。ただ、様々な不動産業者から電話を受けていたので、電話営業は「怖い」「うさんくさい」「しつこい」というイメージはありました。

今になって思えば、ガラの悪い人が多かった気がします(笑) 上司は居留守を使っていましたが、相手の営業マンから「上司はいるよね?」と切り返されたりで大変面倒でした。

そうこうしているうちに、偶然、気の合う営業マンに出会ったんです。一度あらためて詳しい話を聞いてみようと思い、そこからこの世界に片足を突っ込んだ訳です。負けず嫌いの性格が幸いしてか、目先のことを頑張っているうちに、実績を挙げることもでき、長らく不動産業界に身を置くようになりました。

――私も前職で同じような体験をしました。1人の営業マンから1日に何度も電話がかかってきて、「上司がいるのは分かっている。出せ」と言われたこともあります。先輩がフロア中に響く声で相手に怒っていた記憶があります(笑)

村瀬:

昔はそんな営業が多かったですね。今はそんなことは決してしませんが、私も以前に務めていた不動産会社で「(顧客になりそうな見込みの方に)つながるまで最低1日5回はかけろ」と上司から怒鳴られていました。むしろ「クレームがチャンスだ」とすら言われていましたから。

当社(プロパティユース)は3社目ですが、実はそれ以前の不動産会社は売り物件が気に入らずに退職しました。私もサラリーマンですから、「これを売れ」と指示されればそうするしかありません。ただ、お客様にとっては安い買い物ではないため、将来的に価値が下がってしまうような資産性の低い物件は売りたくないのが人情です。立地、物件価格、家賃設定がしっくりこない限り自分が自信を持って売れない。でも売らないと、上司から問い詰められるから無理して売る。

この繰り返しでしたから、上層部に何度も改善を訴えましたが、全く聞く耳を持ってくれませんでした。

(収益性の低い)不動産1件を売るという高いリスクを背負うくらいなら、自分が売りたい物件を売れる環境に身を置きたい。そう考えぬいた末に、2013年、当社に中途入社したという経緯です。

「上場企業なら安心」という先入観は捨てよう

――御社の経営理念や沿革などについてお教えください。

 村瀬:

当社は「お客様の『いま』をリアルに見つめて『未来』の資産を育む」という経営理念のもと、現代表の竹内が以前勤務していた会社の部下数名と独立、創業しました。最初はファミリーレストランがオフィス代わりで、そこでミーティングをしてから商談に行っていたそうです(笑)。

――御社のホームページを拝見すると、情報の質と鮮度にこだわり、資産価値の高い物件のみを紹介できるようにしたいという想いが読み取れます。具体的にはどんな取り組みをしていますか。

村瀬:

当社のお客様で、某上場企業から物件を購入された方がいらっしゃいます。しかし、その物件は質が良くなかった。そこでお客様に購入理由を尋ねると「上場企業だから」とおっしゃったんです。私からすれば、それはただの先入観に過ぎません。

むしろ、非上場企業の自社物件や中古物件をきちんと見極める方がよほど安心できます。最近でも上場企業で様々な消費者トラブルが起こったことは、不動産業界にあまり詳しくない人でも記憶に新しいと思います。

私も上場企業の知人とはよく意見交換をします。その中で、当社の自社開発物件と比較すると、例えば横浜市で20平米2,100万円で分譲しているのが、上場企業なら同じ条件で2,400万円でした。しかも家賃設定は当社よりも低い。なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。

まず大前提として、当社は急成長を望んでいません。一方で上場企業は、株主の目もあり、毎期成長することを前提としています。経営陣が開発部に常に物件を絶やさぬよう厳命されます。物件の数がなければ業績予想に達しないからです。

ところが今は、ビジネスホテルと用地取得でバッティングします。彼らは13平米の部屋をたくさん作れば、ワンルームマンションよりも収益率が高くなる。一方でワンルームマンションは、自治体ごとに異なりますが、部屋の広さが25平米以上など厳しい規制があります。その分価格に転嫁されたりで、ビジネスホテル業者に用地取得で勝てない訳です。だから、相対的に良くない立地で相場より高い用地でも仕入れるしかない。それがさらに価格転嫁に拍車をかけます。したがって、じっくり用地を選べる当社の方が、家賃が高く価格が安いという状況が生まれるのです。

――お客様に融資する金融機関も「上場企業の物件なら」と審査が甘くなりがちですよね。

 村瀬:

カネ余りで不動産にお金を回したい金融機関としても、「上場企業であれば、非上場企業よりもはるかに安心。何か起こるリスクは極めて低いだろう」という思惑があります。だから物件の販売価格が相場より高くても融資してしまいます。上場企業の物件なら借り入れ金利を多少安くするという金融機関もあります。将来的な資産価値を勘案すれば相場と乖離しているケースもあり、損する方も多いかと思われます。

当社は非上場で売上至上主義でもありません。良いものを適正価格で販売するのを心掛けており、そうしたことは致しません。

賃料は下がるばかりではない。上がることもある

 ――御社は新築ワンルームマンションがメイン事業でしょうか。

 村瀬:

そうですね。2009年竣工の自社ブランド「PREST ID 秋葉原」が最初で、そこから年間2~3棟建ててきました。あとは、老舗デベロッパーから物件を仕入れて販売するといったこともしてきました。自社ブランドとしては「PREST」、他社との共同名義で「フェルクルールプレスト」、他に当社を含めた6社からなる合同会社で「スプレスター」シリーズも展開しています。

お客様のニーズに合わせて中古物件も販売しています。中古物件に関しては、全体の95%は市場からの仕入れではなく、すでにお付き合いのあるオーナー様から自社物件、他社物件問わず買い取らせていただき、クローズドで再販させていただいております。

――物件管理での御社の強みはありますか。

 村瀬:

当社では、建物管理は大手の建物管理会社様に委託をしております。賃貸管理に関しては、自社開発物件はもちろん、他社物件でも当社が適正賃料を調査し、お客様にキャッシュフローなどをご提案してから購入していただいております。入居が2年契約で一回転とすると、少なくとも二回転目で賃料が下がることはありません。

他業者は“新築プレミアム賃料”などと謳い当初賃料を高めに設定するケースもありますが、二回転目に賃料がいきなり1万円下がったりすることも。そうなってしまいますと、当初の想定キャッシュフローで回らなくなる危険性があります。

賃料は物価連動ですから、当社では今のような物価上昇基調なら、むしろ賃料をあげるケースもあります。低くても1,000円ほど、高ければ10,000円ほど上昇した実績もあります。当社では、営業担当がワンストップでしっかりオーナー様の窓口に付き、賃貸管理部と二人三脚で密に情報交換しながら賃料アップの提案を策定します。これが意外とできていない企業も多いのが現状です。

――入居者募集はどのようにしていらっしゃるのでしょうか。

 村瀬:

当社と提携している賃貸会社が行っています。現在、入居は好調で、空室率については最近では0.2%(2020年5月末現在)、年平均でも1%から1.2%程度で推移しています。

賃料アップも同じですが、「オーナーに寄り沿う賃貸管理」が当社のモットーです。例えば、通常の賃貸借契約では退去は1カ月前予告ですが、当社は2カ月前に設定しています。そういう不動産会社はまだ少ないでしょうね。

これは空室率を下げるためで、空室が決まっても半分ほどの部屋で退去前に次の入居者が決まります。2カ月前から空室情報を出せるのは大きな強みです。途中で入居希望者がキャンセルしないような仕組みも構築しております。 

「情報の非対称性による不公正さ」を意識する

 ――最近の金融機関の融資姿勢で、何か感じるところはありますか。

村瀬:

金融機関が融資を可能としているお客様の層ですね。以前は高所得のサラリーマンの方を中心に融資をしていました。

その理由としては、節税対策であったり、売却によるキャピタルゲインを得ることを目的とした短期・中期の不動産投資だったからです。

現在では、不動産投資の目的も幅広くなり、生命保険として、ガン保険や三大疾病の保険として、また老後の年金対策なども目的とされ、お客様の層も20 代から60代、ご年収も400万円台から融資可能となり、幅広いお客様に対して幅広い目的で融資が可能となりました。

金融機関としては、現在は低金利ながらも安定した担保価値を持つ都心のワンルームマンションへの融資は、事故率も圧倒的に低く安心して貸し出せる商品という位置づけになってきたんだと思います。 

――御社のお客様で、最大所有戸数はどれくらいでしょうか。

村瀬:

最大11戸で普通のサラリーマンの方です。どうしても物件が欲しいということで最近、自宅を共同担保に入れてローンを組み、中古物件をまとめて購入されました。他にも仕事をリタイアされた方が10戸所有されており、今は売却のフェーズに入っています。その方は自分でファイナンスを付けて、10年前に某地方銀行で1%台という当時としては破格の金利で借りられた方もいらっしゃいます。

――アグレッシブなお客様ですね! 10戸を超えると世界観が変わります。ところで、御社が営業活動する上で大切にしていることはありますか。

村瀬:

基本的かつ最も大切なことは、顧客満足度を高めて維持するための「アフターフォロー」です。あとは当然ですが、嘘をつかないこと。どうしても営業トークが大げさになるケースもあるでしょうが、お客様の実益を損なう嘘だけは絶対ついてはいけないと考えております。

例えば、これは当社のお客様からお聞きした某不動産会社の話です。そのお客様の営業担当には社長自らがついたらしく、「5年後に残債で物件を引き取ります」とはっきり言ったことで購入を決めたそうです。ところが5年後、その社長が逃げ回り連絡がつかなくなった。そのお客様は「あの社長とは念書を交わしているから問題ない」と楽観的ですが、念書には何の効果もありません。そんな実損が出るような売り方をしている会社がいまだに存在するのが現状です。

立地も物件価格も賃料設定も、私なら20年以上の経験から肌感覚で相場が分かります。そうした物件を調べてみると、相場価格から乖離したケースが多いですね。そういう会社が長続きするのか疑問ですし、5年後に会社がなければ物件は引き取ってもらえません。そういう意味では、私は自分が自信を持って売れる物件だけを販売します。お客様も7割以上が紹介による新規か買い増しのリピーターです。あとは地方のイベントでブースを出展したり、反響営業が多少あるくらいです。

当社は新築・中古、自社開発・他社開発を問わず取り扱う物件が多彩で、お客様の資産背景に応じた様々な提案ができるのが特徴です。そのためにファイナンシャル・プランナーの資格を取得するなど、営業マンも日々勉強しています。今はおおむね自社開発7割、他社開発1割、中古物件2割ですが、必ずしもそのバランスにこだわる訳ではなく、時代の要請に応じてポートフォリオは柔軟に変化させています。

――最後に、読者の方へ一言お願いします。

村瀬:

不動産投資は、リスクを負うのが嫌いとか、何をするにも慎重な人の方が実は向いています。逆に、何でも一か八かやるようなバクチ好きな人は、不動産投資には向いていないですね。

不動産は他の金融商品よりもローリスク・ロングリターンで、相場が突然大きく崩れてしまうものではありません。ただ情報の非対称性が強く、不公平な金融商品でもあります。不動産会社や営業担当の入り口が違うだけで、全く違う購入価格、アフターフォローになってしまうからです。これから不動産投資を始められる方も、すでに始められている方も、その点は強く意識していただければと思います。

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