不動産投資を始める際には連帯保証人が必要なのでしょうか?
また、不動産投資の連帯保証人にはどのような役割があるのか、調べている方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、不動産投資を始める際に連帯保証人が必要なのか、連帯保証人の役割とリスクについて解説します。
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不動産投資では、連帯保証人は必要ないケースがほとんどです。現在、不動産投資ローンを組む際には、団体信用生命保険への加入が義務付けられることが多く、連帯保証人を必要とするケースは少なくなっています。
目次
1、不動産投資で連帯保証人は必要なのか
まずは、不動産投資は連帯保証人がいないと始められないのか、確認しましょう。
(1)基本的に不動産投資で連帯保証人は必要ない
不動産投資では、連帯保証人は必要がないケースがほとんどです。
かつては、金融機関でローンを組む際に必要になるケースが多かったのですが、2020年に民法が改正されたことをきっかけに、連帯保証人を必要としない金融機関が増えました。
2020年の民法改正では、連帯保証人の保護に重点が置かれ、
- 公証人による保証意思確認手続き
- 契約関係者への情報提供義務
- 根保証契約の極度額を定める
ことが必要になりました。
連帯保証人を立てる際の手続きが複雑になったことから、契約の際に連帯保証人を必要としない金融機関が増えたのです。
(2)連帯保証人とは
債務者が金銭を返済しない場合に、債務者に代わって、借金を返済することを約束した人を保証人といいます。
保証人は、債権者(金銭の貸し手)から借金の返済請求を受けたとき、まず主債務者へ返済請求を求めることや、主債務者の財産から先に執行することを求める権利を持つのです。
上記の権利を「催告の抗弁権」、「検索の抗弁権」といいます。
一方、連帯保証人は主債務者と連帯して主債務を負うため、催告の抗弁権、検索の抗弁権がありません。
債権者は、連帯保証人に対して債務者と同様に返済を請求でき、連帯保証人は借金を返済しなければならないのです。
保証人と連帯保証人との違いは、「3、保証人とのちがいと連帯保証人のリスク」で詳しく解説します。
2、不動産投資で連帯保証人が必要になるケース
不動産投資では基本的に連帯保証人を必要としないと前述しましたが、連帯保証人が必要になるケースがあります。
この章では、連帯保証人が必要になるケースについて確認しておきましょう。
(1)契約者の属性に懸念点がある
契約者の属性に懸念点がある場合に、連帯保証人が必要になることがあります。
具体的には、
- 年収が低い
- 保有資産が少ない
- 高齢である
といったケースです。
(2)物件の担保価値が低い
不動産投資ローンは、契約者の属性と物件の担保価値がおもな審査対象になります。
そのため、金融機関からの物件の担保価値が低い場合に、連帯保証人を求められることがあります。
(3)ローンの担保にする不動産の名義が配偶者である場合
すでに所有している不動産を担保に不動産投資ローンを契約する際、担保とする不動産の所有者がローン契約者の配偶者だったとします。その場合、配偶者を連帯保証人とすることを求められるケースがあります。
(4)物件の土地や建物が共有名義である
土地や建物を、投資目的に共有名義で取得する場合、不動産投資ローンも共有名義で契約することがあるでしょう。
その際、名義人がお互いの連帯保証人になることを求められることがあります。
3、保証人とのちがいと連帯保証人のリスク
この章では、保証人と連帯保証人の違いについて詳しく説明します。また、連帯保証人になることの責任とリスクについても解説します。
(1)保証人が持つ3つの権利
「1-(2)連帯保証人とは」でも触れましたが、保証人だけが持つ、連帯保証人にはない3つの権利があります。
3つの権利とは、
- 催告の抗弁権
- 検索の抗弁権
- 分別の利益
です。
詳しくみていきましょう。
①催告の抗弁権
催告の抗弁権とは、保証人が債権者から債務の履行を請求された際に、先に債務者に対して債務の履行を催告することを請求できる権利です。
不動産投資ローンの場合で考えると、融資をした金融機関が保証人に返済請求をしてきたとき、保証人は、先に契約者に対して返済請求するように金融機関に主張することができます。
②検索の抗弁権
検索の抗弁権とは、保証人が「債務者の返済可能な資産の所有及び、弁済の執行が容易である」と立証した場合、保証債務の履行を拒否する事ができる権利です。
不動産投資ローンの場合で考えてみましょう。
例えば、融資をした金融機関が、保証人に返済請求をしてきたとします。保証人は、「契約者には強制執行が容易な銀行預金○○万円がある」と証明することで、検索の抗弁権を行使できます。
上記の場合、金融機関はまず契約者から銀行預金を取り立てなければなりません。
③分別の利益
複数の保証人がいる場合、各自が負担する債務の額は、保証人の数に応じて分割されることを、分別の利益といいます。
例えば、1000万円の負債に対して2人の保証人がいる場合、返済額の1000万円は2人で分割できるため、1人あたり500万円の負債になるということです。
(2)連帯保証人の責任とリスク
前項では、保証人が持つ権利について説明しましたが、連帯保証人は保証人が持つ3つの権利を持ちません。
そのため連帯保証人は、
- 貸主から返済を求められた場合、一切拒否することができない
- 契約者に返済能力があるとわかっている場合でも、返済請求を拒否できない
- 連帯保証人が複数人いたとしても、1人に対して返済請求がきたら他の連帯保証人と分割できない
ということになります。
連帯保証人は、主債務者(不動産投資ローンの場合は契約者)と同じ責任を持つことを忘れないようにしましょう。
また、「保証契約」が付く契約の多くが「連帯保証契約」であるのが事実です。保証人になる際は、細心の注意をはらう必要があります。
(3)連帯保証人になれる人とは
不動産投資ローンで連帯保証人になれるのは、法定相続人になり得る配偶者や親、子どもといった親族であることが一般的です。金融機関によっては、「何親等以内」のような指定があるケースもあります。
親族に依頼することが一般的である理由は、契約者に万が一のことがあった場合でも、物件は親族が相続するため家賃収入を受け取ることができ、ローン返済を家賃収入でまかなえるからです。
4、不動産投資で連帯保証人がいない場合の対処法2つ
親族に連帯保証人になることを断られてしまった場合や、連帯保証人を依頼したくない場合でも不動産投資ローンを組む方法2つについて説明します。
(1)団体信用生命保険に加入する
団体信用生命保険は「団信」と呼ばれ、ローン契約者が死亡または高度の障害状態になった際に、ローンの残債が保険金から支払われる保険です。
現在、金融機関でローンを組む際に団信への加入が義務付けられることが多くなっています。
団信に加入することで、ローン契約者に万が一のことがあった場合に、家族に資産を残すことができます。
一方、団信のデメリットとして
- 金利に保険料が上乗せされるため、毎月の返済額が増える
- 融資金額に上限が設けられる
- 契約時と完済時の年齢制限がある
- 健康面での審査が厳しくなる
ことが挙げられます。
(2)法人を設立して融資を受ける
連帯保証人を立てずに不動産投資ローンを利用するには、賃貸経営の法人を設立してオーナーが連帯保証人になる、という方法もあります。
しかし、法人設立には以下のデメリットがあります。
- 設立時に費用と手間がかかる
- 法人住民税の支払いと維持費が必要になる
- 不動産を長期保有した場合の(5年以上)の売却時の税率が上がる
以上のデメリットを踏まえると、法人を設立するべきか否かは、それぞれの状況によって異なるのです。
賃貸経営を法人化することで税制上のメリットがある場合や、不動産投資を本業としてやっていく決断をした場合は、積極的に検討するとよいでしょう。
不動産投資の連帯保証人に関するQ&Aまとめ
(1)保証人だけが持つ権利はなんですか?
連帯保証人にはなく、保証人だけが持つ権利は以下の3つです。
- 催告の抗弁権
- 検索の抗弁権
- 分別の利益
(2)どんな人が連帯保証人になれますか?
不動産投資ローンの連帯保証人になれるのは、法定相続人になり得る配偶者や親、子どもといった親族であることが一般的です。金融機関によっては、「何親等以内」のような指定があるケースもあります。
(3)不動産投資で連帯保証人がいない場合の対処法はなんですか?
連帯保証人を立てずに不動産投資ローンを組む方法は、以下の2つが挙げられます。
- 団体信用生命保険に加入する
- 法人を設立して融資を受ける
まとめ
不動産投資における連帯保証人の必要性や、連帯保証人の責任について解説してきました。
リスクを最小限に抑え、不動産投資を始めるためには、経験者に相談してから始めることが失敗を回避するために有効です。
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セカンド・オピニオンを担当するのは編集部に在籍する現役の不動産投資家なので、不動産投資会社で聞きにくいことも聞けますし、物件を提案されることもありません。
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