不動産投資物件として所有されているワンルームマンションの売却をお考えですか?
ワンルームマンションを売却したいとは思ったものの、
- 収益物件なので適正価格、できればそれ以上の高値で売却したい
- コロナ禍にワンルームマンションは売却できる?
- そもそも投資ワンルーム物件の価格はどうやって決まるの?
など、わからないことも多いでしょう。
最後の売却で失敗しないためには、しっかりと適正価格で売却することが大切です。
そこで不動産投資家のメディア「不動産投資の教科書」としては、ワンルームマンションの売却で失敗しないためのノウハウをご紹介します。
収益物件としてのワンルームマンションを初めて売却する方であっても、この記事一本でワンルームマンション売却のすべてが理解できて、今すぐ正しい行動を起こせるように構成していますので、どうぞ最後までお付き合いください。
目次
1、2021年現在、ワンルームマンション売却は今してもよいのか
ワンルームマンションに限らず、不動産には買い時や売り時が存在します。
しかし、2021年現在、新型コロナウイルスの影響でマンションを売却しても影響がないのか気になる方もいるでしょう。
まずは昨今の日本において、ワンルームマンションの売却すべきタイミングについて吟味していきます。
(1)コロナ禍でのマンション売却状況
気になるコロナ禍でのマンション売却の状況です。
①コロナ禍でのマンション市場
以下の表をみてください。
緊急事態宣言が発令された2020年4月や5月は、マンションが投げ売りされたなどの原因で前年比を下回っています。
しかし、6月以降はマンション市場は回復し、前年比を上回る結果となりました。
出典:REINS TOWER レインズデータライブラリー「月例速報Market Watch 2020(令和2)年12月度」
②なぜコロナ禍でマンション売却価格が上がるのか
なぜコロナ禍でマンション売却価格が上がるのか不思議に思う方もいるでしょう。
理由は主に以下の2つです。
- 緊急事態宣言時の投げ売りによって中古マンションの在庫が減った
- 他人との接触を避けるため売却活動がされなくなった
どちらもコロナ特有の理由なのがわかると思います。
中古マンションの需要よりも供給が減ったため、起こった現象と言えるでしょう。
(2)そもそも売却価格が購入価格を上回ることがある
原則として、不動産は購入価格よりも売却価格の方が安値になります。
建物は経年劣化しますし、築年数が増すと収益物件としての集客力が乏しくなってくるからです。
しかし、不動産市場が好調だとしたら話は別です。土地の価格上昇や不動産全体の需要が旺盛になることによって、ワンルームマンションの価格が購入時よりも売却時のほうが高くなることも現実に起きています。もちろん日本全国のどこでも同じ現象が起きているかというとそんなことはありませんが、特に大都市圏での中古マンション市場は好調が続いており、売却でも利益を出せる可能性が出てきています。
しかし、それもこれも売り方次第です。どんなに不動産市場が好調であっても売り方を間違えるとせっかくのチャンスを無駄にしてしまう恐れもあります。この記事では「正しいワンルームマンションの売却方法」を解説しますので、ぜひその方法で売却を成功させてください。
(3)ワンルームマンション売却で失敗したくない方へ
コロナ禍でも不動産市場への影響はそこまで大きくないのであれば、売却を検討してる方は売却へ動き出して良いでしょう。
しかし、どうしても高額な価格(資産)が動くものですから失敗したくないと考えるのが普通です。
ワンルームマンションの売却価格が現在も上昇しているとしても、売り方を間違えるとチャンスをいかせないばかりか、相場よりも安い価格で売却することになりかねません。
成功と失敗の差がとても大きいだけに、ワンルームマンションの売却にはしっかりと事前の準備をして臨みたいところです。その準備から実際の売却方法まで、次章より詳しく解説していきます。
2、ワンルームマンションの売却価格の決定方法
ワンルームマンションに限った話ではありませんが、不動産の適正価格を知るために使われる主な3つの方法があります。
これらは、不動産の購入時と売却時、いずれでも利用できる方法です。
それぞれみていきましょう。
(1)収益還元法
投資用不動産において現在最もよく用いられている方法です。
収益を還元するとはつまり、将来の見込み収益から価格を算定する方法ということになります。
また、収益還元法は直接還元法とDCF法の2種類の方法に細分化できます。
収益還元法について、詳しい計算方法については次章をご覧ください。
(2)原価法
原価法とは、売却したい物件をもう一度建てたらいくらになるのかを元に売却価格を算出する方法です。
これを再調達原価と呼び、再調達原価から減価償却費などを差し引いて算出します。
投資用不動産で重要になるコストベースでの計算方法なので有効な場合もありますが、多くの不動産物件が取引される既成の市街地などでは再調達価格が分かりにくく(すでに物件が建っており新規に建てる参考事例が少ないため)、適用できるケースが少ないというデメリットがあります。
(3)取引事例比較法
取引事例をもとに価格を算出する方法です。
同じ条件、似た物件などの取引事例を参考に、売却したいマンションの優劣性を加味することで算出できます。
3、収益還元法の具体的な計算式
ワンルームマンションを適正な価格で売却するにはまず、適正な価格を知る必要があります。そのために必要な、ワンルームマンションの売却価格が決まるプロセスを解説します。
前章で紹介した収益還元法について、より詳しくみていきましょう。
(1)純利益を利回りで割ると売却価格になる
ワンルームマンション売却価格を求める計算式は、実に単純です。
NOI(純利益) ÷ NOI利回り = 価格
さて、ここで見慣れない用語が出てきました。NOIです。
NOIとは「Net Operating Income」の略で、日本語でいう純利益です。純利益とはつまり、家賃収入からワンルームマンション経営に必要な経費をすべて差し引いた手残りのことです。最終的な手残りなので、NOIを算出するには管理費や修繕費だけでなく税金も差し引きます。
そしてもうひとつ、NOI利回りとはこのNOIから算出される利回りのことで、最終的に経営者の手残りとなる利回りのことです。表面利回りはこうした費用を考慮していませんが、NOI利回りはすべての費用や税金を差し引いて計算をするため、不動産投資の真の姿が見える指標です。
先ほどの計算式はNOIをベースとしているところが大きな特徴で、収益物件の価格を算出するために欠かせないものです。
(2)NOIの上限は決まっている
先ほどの計算式から、もう少しワンルームマンション経営の現実を考えてみましょう。
ワンルームマンションの家賃相場はおおむね決まっており、ファミリータイプのように広い物件になることも少ないことから、自ずと家賃の上限は決まってきます。
どんなに高くても家賃は12万円程度なので、ワンルームマンション経営のNOIはその12ヶ月分が上限と考えることができます。
前項の計算式を、もう一度見てみましょう。
NOI(純利益) ÷ NOI利回り = 価格
この左にあるNOIに上限があるということは、ワンルームマンションの価格はNOI利回りによって変動するという推測が成り立ちます。
(3)超低金利時代ではNOI利回りが低下する
前項の続きです。NOIの上限がある程度決まっている中で、NOI利回りは現在低下しています。なぜなら超低金利時代なので、その影響を受けてNOI利回りが低下するからです。
ここで再度、先ほどの計算式を見てみます。
NOI(純利益) ÷ NOI利回り = 価格
NOIがあまり動かない中でNOI利回りが低下するということは、分母が小さくなるためワンルームマンションの価格は上昇します。まずはこの計算式から分かるワンルームマンション価格上昇のカラクリを理解してください。
(4)この時代背景から分かるワンルームマンションの売却チャンス
ここまでの解説を総合すると、超低金利時代が続く限りワンルームマンションの価格は上昇もしくは高止まりすると考えられます。
これが、「ワンルームマンションは売り時」だと言われる話の根拠です。その結果がどうなっているかは、冒頭でご紹介した国土交通省の価格推移を見れば明らかです。
4、ワンルームマンションを少しでも高く売却する方法
それでは、実際にワンルームマンションを高く売却するための方法の解説に入りましょう。大きな流れは、
- 情報収集
- 複数社に査定依頼
- 売却依頼先の決定
- 売却
となります。
(1)事前の情報収集をする
ワンルームマンション売却の第一段階は、情報収集です。
所有している物件と同じマンションの部屋が売りに出されていれば大いに参考になりますし、それも含めて近隣で売りに出されている物件を以下のサイトでチェックしてみます。
また、下記で紹介している⑤Gate.や、⑥おうちダイレクトでは、不動産テックと言われるITを駆使した価格見積もりサービスが続々と登場しています。膨大な取引情報を分析した上でAIが価格査定をしてくれるサービスもあるので、ぜひ利用してください。
①SUUMO(スーモ)
②LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)
③at home(アットホーム)
どのサイトもほぼ同じような物件情報を掲載しているので、面倒な場合はどれか1つで検索するだけでも十分だと思います。
次に、国土交通省のシステムを使う方法もご紹介します。これは「不動産取引価格情報検索」というサービスで、実際に行われた不動産取引のデータが収録されています。このサービスを使って、売却したいワンルームマンション物件と類似する取引を探してみてください。
④不動産取引価格情報検索
http://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet
⑤Gate.
ポータルサイト大手のYahoo!にも、AIによる価格見積もりサービスがあります。
⑥おうちダイレクト
https://realestate.yahoo.co.jp/direct
(2)売却一括査定サービスに申し込む
ある程度の相場観を掴んだら、次は実際に不動産会社に査定依頼を出します。
すでに信頼できるパートナー(不動産業者)がいる場合を除いて、少なくとも3社以上の不動産会社に査定依頼を出しましょう。相見積もりを取ることで比較検討ができますし、それぞれの不動産会社が提示してきた価格からプロによる査定の相場を知ることもできます。
とはいえ自分で複数の不動産会社に電話や問い合わせをするのは面倒でしょう。そこでオススメしたいのが、一括査定サービスです。
5章では、「不動産投資の教科書」がオススメする一括査定サービスを紹介していますので、ぜひご覧ください。
(3)不動産業者を担当者レベルまで精査して仲介を依頼する
いよいよワンルームマンションの売却を依頼する仲介業者を決定する段階です。
査定依頼が届いた不動産会社からは、見積もりの結果が届きます。
見積もり結果をもとに気になった不動産会社へ問い合わせをしてみましょう。もしくは担当の営業マンがアプローチをしてくる可能性もあります。
その時の対応や話の内容をしっかりと観察しましょう。
何せ大切な資産であるワンルームマンションの売却を任せる相手探しなのですから、信頼できる担当者に任せたいところです。人間的な好みの問題も含めて、信頼できる人を見つけなければなりません。
最終的には1社に絞り、専任媒介で仲介を依頼してください。不動産会社が本腰を入れやすいことや、一般媒介だとあちこちの不動産会社から広告が出てしまうため情報が陳腐化することなどが主な理由ですが、ここではシンプルに「高く売却したいのであれば専任媒介」という理解でも構いません。
仲介業者の選び方は「不動産売却は仲介業者選びが重要!売却が成功する仲介業者の選び方」を参考にしてください。
(4)売却時に気をつけるべきこと
不動産仲介会社を決定したら、基本的なことは仲介業者がしてくれるため、あとは基本的にワンルームマンションが売却されるのを待つだけです。
ただし、売却に際して注意しておくべきこともいくつかありますので、そちらに関しては「【マンション売却総まとめ】よくある失敗やより高く売るコツ・注意点を解説」をご覧ください。
5、「不動産投資の教科書」オススメの売却一括査定サービス5選
それでは、前章で解説した売却査定サービスについて、売却査定サービスの有効性に触れなながら、おすすめする5つのサービスをご紹介します。
(1)売却一括査定サービスの有効性
そもそもなぜ一括査定サービスを利用するべきなのでしょうか。
相見積もりを取ることの有効性はすでに述べた通りで、不動産会社との交渉や駆け引きという意味においても「他にも声を掛けている」という事実は大きなポイントとなります。
たくさんの不動産会社に査定依頼をすると、査定価格にばらつきがあることが分かってきます。その中で最も安い査定価格の不動産会社は除外して問題ありませんし(そのエリアに強くない可能性があります)、高く買取をしてくれる会社をすぐに見つけることができます。
なお、高すぎる査定価格を提示してきている不動産会社は誇大表現の可能性があるので、しっかり吟味しましょう。査定価格が高額だからといって食いついてはいけません。
まずは広く意見を募って、そこから比較検討するのが最もスマートなので、そのための第一歩として一括査定サービスはとても便利です。
(2)おすすめの売却一括査定サービス
①すまいValue
東急リバブル、住友不動産販売、野村の仲介など、登録会社を大手不動産会社だけに絞った大手志向の一括見積サイトです。
大手の意見も聞いてみたいという場合に利用すると、一括で大手6社に見積依頼を出すことができます。
②HOME 4 U
登録不動産業者の審査が厳しく営業攻勢を掛けてくるような業者を排除していることや、NTTグループである安心感など、初めての方や投資家ではなく自己所有の家を売却したい方などにもオススメできるサイトです。
③SRE不動産(旧ソニー不動産)
ソニーグループの不動産会社で、100%売り手の立場で売却活動をサポートしてくれます。サービス対応エリアに該当するならオススメです!!
④イエカレ(不動産売却)

不動産を最高価格で売却するをうたっているサイト。土地活用にも強いので、土地だけを売りたい場合もシミュレーションしてみると良いかも知れません。
⑤イエウール
1700社以上の不動産会社と提携、最大6社同時に査定を依頼できるところが強みでしょう。複数の査定額を比較できるため、高値で売ってもらえる業者を見つけやすいとも言えます。
6、ワンルームマンション売却に成功する4つのノウハウ
最後に、ワンルームマンションの売却を成功させるために知っておきたい4つのノウハウをご紹介します。すでに触れたことも含めて、詳しく解説します。
(1)仲介契約は専任媒介で
すでに触れたことですが、ワンルームマンションを少しでも高く売却するのであれば、専任媒介契約で仲介を依頼してください。不動産の売却には買取という選択肢もありますが、買取は手軽で早い一方で売却価格は2~3割ほど低くなってしまうので、高値売却となると選択肢から外れます。
専任媒介が良いのは、不動産会社が本腰を入れやすいことと、定期的に報告義務があるため「サボり」の心配がないことです。
これに対して一般媒介といって複数の不動産会社に売却活動を依頼できる契約もあるのですが、他社も売却活動をしていることを知っているため売却に本腰を入れにくく、特に報告の義務もないためどうしても後回しにされがちです。
もう一方の、専任媒介よりも厳しい専属専任媒介という契約もあるのですが、これは自力で売却先を見つけることすら許されない契約です。さすがにそこまで厳しい条件は必要ないと思いますので、専任媒介で十分でしょう。
(2)買主候補との価格交渉は柔軟に
不動産会社の売却活動により買主候補が現れたら、内覧と交渉に進みます。内覧で先方が物件を気に入ってくれたら価格交渉に進みますが、これは仲介をしている不動産会社が代理人となって交渉をしてくれます。
当然買主は値切ってきますので、どこまでなら許容できるかを不動産会社と相談して決めておきます。査定によって導かれた適正価格からわずかに安くした価格まで許容しておくと交渉がまとまりやすく、最終的にはそれが最も高値での売却だったというケースが多いので、オススメの戦術です。
価格交渉に全く応じないという姿勢だとせっかくの商談も流れてしまうでしょうし、それが続くとだんだん売却が難しくなっていきます。
柔軟な姿勢で交渉に応じ、情報の鮮度が落ちないうちに売却してしまうのがコツです。
(3)コロナ禍でもマンション売却は十分できる
昨今、ワンルームマンションを売却したい方で、無事に売却できるのか心配する方は多いです。
しかし、前述した資料をみて分かる通り、不動産市場はそこま大きなコロナの影響は受けておらず、前年度比でさえ上回っています。
また、超低金利が続いていることもワンルームマンションの売り時と言えます。
売却したいのであれば、そこまで奥手にならず行けるタイミングで行くのがベストでしょう。
(4)購入後5年以内の場合は税金に注意
売却を検討しているワンルームマンション物件が、購入から5年以内の売却となる見込みという場合、しかも売却によって譲渡益が発生することが見込まれる場合は、不動産譲渡所得に対する税率のアップにご注意ください。
5年を超えている物件であれば20.315%の税率ですが、これが5年を超えていない短期譲渡所得扱いになると、39.63%に跳ね上がります。自己居住物件であれば特例措置によって税率据え置きになるのですが、収益物件としてワンルームマンションを所有している場合は、この特例も適用されません。
売却するタイミングや譲渡益との損得勘定などを総合的に判断して売却を決断するようにしてください。
5年以内の不動産売却に関する税金の詳しい解説は、「5年以内に不動産を売却をすると税金で大損する?その真実と特例措置まとめ」をお読みください。
まとめ
現在収益物件としてワンルームマンションをお持ちの方で、売却をお考えの方を対象に売却に際して知っておくべきこと、少しでも高く売る方法、そして高く売るコツなどを解説してきました。
収益物件を始めて売却するという方も今すぐ実践できるように構成していますので、まずはお持ちのワンルームマンションがどれくらいの価値を持っているのかを知ることから始めてみましょう。