シリーズとして連載している注目の地方エリアですが、前回までは人口50万人都市の中で注目したい地域を挙げてきました。
今回は100万人都市の中で区単位で深掘りをし、どの区が人口が増えそうか増えると想定されている地域を挙げていきますので、立地を見極める点で参考にしていただければと思います。
まずは札幌と愛知に注目して行きましょう。
・札幌で25年後も人口が維持できる唯一の場所とは
北海道札幌市では、中央区に注目しましょう。
札幌市中央区とは、札幌駅や大通駅周辺、テレビ塔といったいわゆる札幌の中心部が該当します。
札幌の観光でも必ず訪れる地域といってよいでしょう。
札幌駅周辺と大通周辺を結んだ「駅前通地下歩行空間」は、雨や雪にも濡れずに通行でき、また創世川公園は都心環境に潤いと憩いの場を提供しています。
国立社会保障・人口問題研究所『日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)』によれば、札幌市中央区の人口は2015年に237,627人であったものが、2020年に250,176人、2045年には261,704人と予測されています。
つまり将来的には札幌市の中では人口が25年後も維持できる(ただし、2035年以降やや減少する)唯一の区が中央区なのです。
・札幌市中央区の公示地価は大きく上昇
札幌市中央区の地価は着実に上昇中で、2019年における公示地価では、札幌市中央区の平均で1㎡あたり48万7,888円。前年比+10.63%の上昇となっています。
特に上昇率が高いのは、大通駅、札幌駅、すすきの駅周辺です。いわゆる商業地域であり札幌のまさに中心部です。
この中では前年比+20%超といった地域もあり、ここ数年で地価上昇は札幌にも浸透してきているのがわかるのではないでしょうか。
なお札幌市は2020年に1,974,801人、2045年には1,805,120人と今後は2025年頃をピークにして緩やかに人口が減少すると予測されています。
・名古屋市では「3つの区」に注目
一方で、愛知県名古屋市も見ていきましょう。
名古屋市で今後人口が増えると予測されている地域として、東区、中区、緑区に注目していきましょう。
まず名古屋市東区は、どちらかといえば住宅地の多い地域ですが徳川園、徳川美術館といった歴史を感じる日本庭園や美術館があり、また名古屋市内有数の高級住宅街「白壁」地域があります。
拠点となる駅としてはJR大曽根駅(ナゴヤドーム近く)があり、近年の再開発にて人口が増加しているのが特徴でしょう。
名古屋市中区は、名古屋市の中核に位置する区であり、栄、伏見、丸の内と商業施設、企業の本社、支店が集中する地域になります。
愛知県庁、名古屋市役所などの行政機関があるほか、名古屋のシンボル名古屋城も中区に位置します。
そして名古屋市緑区は、名古屋市の南東部に位置し、名古屋市の区の中で最も人口の多い地域です。
大高緑地公園など公園や緑地が多く住みやすい地域であり、新東名・名古屋高速といった高速道路があることからどこにでも行き来のしやすい地域と言えます。
東区は2015年の人口が78,043人に対して2045年には85,970人へ、中区は2015年83,203人に対して2045年には92,913人へ、緑区は2015年241,822人から2045年には260,986人へ人口が増加し、3地域ともに2035年~2040年前後が人口のピークと予測されています。
・名古屋市の3区で最も狙い目なのは?
それでは、名古屋市の地価はどうでしょうか。
2019年公示地価によれば、名古屋市全体の1㎡あたりの平均地価は42万8,989円。前年比+4.78%の上昇です。
これを区別に見ると、名古屋市中区では1㎡あたりの平均地価が146万2,297円、前年比+19.55%と大幅な上昇となっています。
また、名古屋市東区の1㎡あたりの平均地価は59万4,962円、前年比+10.27%の上昇、名古屋市緑区の1㎡あたりの平均地価は14万6,765円、前年比+0.99%と小幅上昇になっています。
地価上昇で見れば緑区は狙い目かもしれません。一方、中心部である中区、隣接する東区は地価が着実に上昇していますので、地価動向を見つつ地域を絞っていくのが賢明でしょう。
・札幌と名古屋も目が離せない
100万人都市でももう少し細かく区切り、区単位での現状や人口増加傾向を見ていきました。
インバウンドの需要も含めて考えて行くと、地方都市もまだまだ見逃せない状況になって来ている事が分かります。
都心の土地ももちろん魅力的ですが、高騰していて手が出せないという場合は地方にも目を向けてみると良いかも知れません。