不動産投資を始めたい。けれど超初心者にとってはわからないことだらけで、人に聞くこともままならないのではないでしょうか?
そんなかた向けに、実はわかっているようで難しい「不動産投資のためのキーワード」をシリーズでご紹介します。
今回はなじみの深い築年数の定義についておさらいしましょう。(田井能久・不動産鑑定士、ロングステイアドバイザー、タイ・バリュエーション・サービシーズ代表取締役)
目次
・法律で見る「新築物件」の定義とは
新築というと、感覚的に、新しく建った建物というのは理解できます。
実はこの「新築」という言葉はれっきとした法律上の定義が2つあります。
1つには住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)の第2条第2項において、「新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。)をいう」と定義されています。
そしてもう1つ、不動産の表示に関する公正競争規約(公正競争規約)では、その第18条第1項において、「建築後1年未満であって、居住の用に供されたことがないものをいう。」と定義されています。
要するに誰も住んだことがない物件で、完成して1年未満のものを指します。
・新築物件は空室リスクが少ない
新築はとにかく築後1日後であっても364日後であっても、最初にその家を新品の状態で使うことができます。
欠陥住宅でない限り室内外の装飾や設備も最もよい状態で使用でき、その収益が得られる期間も中古に比較して当然長いことが期待されます。
不動産投資の観点では、この新築であることのプレミアムにより賃料が高く設定出来るので、相場の賃料よりも高い収益性があり、空室リスクが少ないことがメリットと言えるでしょう。
・新築物件のデメリットは「期間」にもある
新築物件はプレミアムがある分だけ周辺の中古住宅よりも高い賃料が設定できます。
しかし、投資にあたって採算性が良いかは別問題となってきます。
またたった1年の期間の未入居のみが新築だと考えると、メリットが享受できる期間が短すぎるのもデメリットといえます。
さらに誰も住んでいないことで、入居し始めて初めて気づけるトラブルに全く気が付けないというリスクがあることも意外なデメリットと言えるのかも知れません。
・中古物件や新古物件って?
新築物件と違い中古物件には明確な定義はないですが、住宅支援機構が中古住宅を「築後年数が2年を超えている住宅または既に人が住んだことがある住宅」と説明しているため、これが通常の中古の定義とされることが多いです。
これを踏まえると、誰も住んでいない未使用な状態でも2年を経過すれば中古となってしまいます。
なお、築後1年以上で2年未満の誰も住んだことがない住宅はどう表現するかというと、新築と中古の間なので「新古物件」という言い方もあるようです。
・意外な中古物件のメリットとは
不動産ではたった1日でも住めば中古物件なので、なかには築後1週間で1日しか住まなかった物件が中古物件として売られる可能性もあります。
このように中古だから必ずしも新築より悪いわけでなく、状況次第では新築よりも状態がいいものをリーズナブルに入手できる可能性があります。
また、逆に人が住んだことがある実績によってその不動産の立地条件や設備の状態があらためて確認出来て、一部の方にアレルギーを引き起こす、新築時に不可避な使用資材や接着材などから発生する化学物質が時間とともに減少するというメリットもあります。
・特に気をつけたい中古物件のリスク
築年十年も経過した中古物件はやはり使用資材や設備も古くなっているのが当然で、耐震性も劣ることがあることが最大の懸念材料になります。
そして投資として購入する場合も、ローンの審査がおりにくく、税制上のメリットも少ないことが挙げられます。
また区分所有マンションの場合は、例え自分が購入した専有部分に何も問題が無くても、共用部分の劣化や他の居住者のトラブルで思わぬ出費や資産価値の減少が発生する可能性もあることに注意が必要です。
・投資における築年数の留意点とは?
これらを考えると新築も中古もそれぞれにメリットとデメリットあることが分かります。
物理的なリスクは新築のほうが圧倒的に低いですが、不動産投資家として、投資採算性を判断する場合には、新築だから中古だからという決めつけでなく、個々の物件ごとの採算性に着目して判断することが大切ではないでしょうか。
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