投資信託の手数料について疑問や不安をお持ちですか?その主な疑問を挙げてみると、以下のようになると思います。
- 投資信託の手数料にはどんなものがあるの?
- 投資信託の手数料はいくらくらい?高いの?
- 投資信託はコストにシビアになるべきと言われるが、そんなに手数料って高いの?
- 手数料のせいで投資信託が儲からないって本当?
- 手数料をタダに、もしくは安くする方法はある?
お金に関わる問題だけに、どれも切実です。
投資信託は運用をプロのファンドマネージャーに任せる(=信託)するため、プロが動くことによる手数料などのコストが発生します。この点が自分で運用する場合との違いで、投資信託に手数料は付き物だと言って良いでしょう。
そこでこの記事では、投資信託の初心者やこれから始めようとお考えの方にとってとても重要な手数料について知っておくべき知識をまとめました。
せっかくの運用益を手数料で目減りさせたり失ってしまっては本末転倒なので、投資信託で価値ある運用を実現するために、手数料に関する大切な知識を身につけておきましょう。
尚、副業で不動産投資を深掘りされたい方は下記記事も参考にしてみてください。
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1、手数料を制する者は投資信託を制す
(1)投資信託の手数料をシミュレーションしてみよう
優秀な運用成績で人気の高い投資信託に「ひふみプラス」という銘柄があります。投資信託情報で有名なモーニングスターによると、この「ひふみプラス」の各種手数料は、以下の通りです。
- 購入時手数料:3.24%
- 信託報酬:1.06%
- 信託財産留保額:なし
この時点で「ひふみプラス」の基準価額は43,961円です。そこから計算をすると、1口あたりの手数料は以下の通りです。
- 購入時手数料:1,424円
- 信託報酬:465円
- 信託財産留保額:0円
仮に10口購入したとしたら、購入時の一度限りの手数料が1万1,424円で毎年の信託報酬は4,650円ということになります。
「ひふみプラス」は信託財産留保額という手数料がないので考慮する必要はありませんが、銘柄によってはこの3つ目の手数料を考慮する必要もあります。
(2)もし手数料が無かったら?
投資信託で完全に手数料がないということはありませんが、購入する証券会社や銘柄によっては購入時手数料が無料という場合があります。もし前項の「ひふみプラス」を手数料無料で10口購入したとしたら、1万1,424円がそのまま自分のものになります。
信託報酬が無料の投資信託はありませんが、仮にこれが無料だったとしたら10口の購入で年間4,650円の手数料が不要になります。これは1年ごとに必要になる手数料なので、仮に10年間保有したとしたら4万円以上の手数料が浮いてくる計算になります。
そして3つ目の信託財産留保額について、「ひふみプラス」は無料なので関係ありませんが、銘柄によっては0.5%程度の手数料が発生します。解約時に1回だけ発生する手数料なので、もし「ひふみプラス」に0.5%の手数料がされていて保有している10口を売却したとしたら、手数料は2,198円です。
すべて仮定の話ではありますが、この事例にかかる手数料を合計すると、以下の通りです。
- 購入時手数料:1万1,424円
- 10年間の信託報酬:4万6,500円
- 信託財産留保額:2,198円
この合計は約6万円です。
約43万円の投資(ひふみプラスの10口分)を10年間したとして、43万円の投資に対する手数料が合計で約6万円になるとしたら、決して無視できない金額です。
(3)投資信託の手数料にシビアになるべき理由
この例で取り上げた「ひふみプラス」は運用成績がとても良いため、現段階でこのコストがそれほど利回りの足を引っ張ることはないでしょう(それでも手数料が安いと利回りが良くなるのですが)。
ここで忘れてはならないのは、運用成績が芳しくなくても手数料は発生するという事実です。運用益が採算ギリギリのところで手数料の分で赤字になったり、運用がマイナスになっているのに手数料でさらに赤字が増えてしまうこともあるわけです。
しかも投資信託の手数料は購入の方法や銘柄選びなどによって一部を無料にしたり減らしたりできるものなので、知っているのと知らないのとでは大きな差が生じます。
この記事では、この手数料をいかに安くできるか、そして手数料に見合った投資信託を選ぶことができるかにスポットを当てています。最後まで読み終わった時点で、投資信託の手数料を自分で計算できて、しかも安くする方法までマスターすることができるので、どうぞ最後までお付き合いください。
2、投資信託手数料の基礎知識と3大手数料
(1)投資信託の3大手数料
運用を自分でするのではなく、プロに任せるのが投資信託です。何かを人に任せる以上、手数料が発生します。投資信託の購入から解約までの一連の流れには、「入口→運用→出口」という3つの場面があります。この3つの場面それぞれに手数料が発生する仕組みになっており、それぞれ「販売手数料」「信託報酬」「信託財産留保額」といいます。
それでは次項より、この3大手数料それぞれについて詳しく解説します。
(2)販売手数料
投資信託は、その投資信託を組み立てて運用する会社自身が販売をしているわけではありません。一般的に投資信託は証券会社や銀行、郵便局などで購入可能で、こうした窓口となっている業者は投資信託を販売したことによる手数料を収入源のひとつとしています。販売手数料の相場は、おおむね無料~3%程度です。
販売手数料の面白いところは、購入する窓口によって手数料が異なるという点です。つまり、購入する窓口をうまく選べば販売手数料を安くしたり、無料にしたりできるということです。
工夫によって投資信託の手数料を安くできる余地の大きな部分なので、「販売手数料が安いところを購入する」という基本を押さえておいてください。
(3)信託報酬
運用をプロに任せるための手数料が、信託報酬です。投資信託で発生するコストの中で最も分かりやすい手数料だと言えるでしょう。信託報酬は投資信託ごとに設定されているため、購入する窓口によって異なるということはありません。信託報酬の相場は0.05%程度~3%程度です。
信託報酬を安くしたい場合は、銘柄選びにおいて信託報酬が安いものを中心に検討するのが有効です。その方法と最適な投資信託選びについては「3、手数料を考慮した最適な投資信託選び」で詳しく解説します。
(4)信託財産留保額
信託財産留保額というと少々難しいですが、簡単に言うと解約手数料です。投資信託は株や債券などの金融商品を購入して運用をしているため、一部の顧客が解約するとなるとそれを支払うために現金化をする必要があります。信託財産留保額は、そのための手数料というわけです。
信託財産留保額については無料の銘柄もあるため、0%~0.5%程度が相場となっています。
3、手数料を考慮した最適な投資信託選び
(1)ノーロード銘柄から選ぶ
投資信託の銘柄の中には「ノーロード」と呼ばれるカテゴリーがあります。これは販売手数料が無料という意味で、販売手数料を極限まで抑えたいのであればノーロード銘柄を選ぶのがベストです。
例えば、SBI証券の投資信託検索ページでノーロード銘柄を探す場合は「買付手数料」の項目で無料にチェックを入れて検索をします。
注目キーワードの欄にも「ノーロード」が登場しているので、同じようにノーロード銘柄を探している人が多いものと思われます。
(2)インデックスファンド、ETFから選ぶ
投資信託には、アクティブファンドとインデックスファンドという大きな分類があります。インデックスファンドは東証平均株価やTOPIX、ダウ平均など平均値と連動するように運用されているもので、アクティブファンドはその平均値を上回ることを目的に運用される攻撃的な投資信託です。
全体的な傾向として、インデックスファンドは運用にそれほど手間が掛からないため、信託報酬は安めです。その一方でアクティブファンドは高い運用成績を上げるためのコストが大きくなるため、信託報酬は高くなります。
長期保有をお考えの方で信託報酬を安く抑えたいのであれば、インデックスファンドを選択するのが妥当です。
例えば、「One-MHAM新興成長株オープン」というアクティブファンドの信託報酬は1.836%です。その一方で「ニッセイ日経225インデックスファンド」というインデックスファンドの信託報酬は0.27%です。同じ投資信託でも運用方針によってかなりの差があることがお分かりいただけると思います。
投資信託の中には、証券取引所に上場されて売買されている銘柄もあります。それらはETFと呼ばれ、同じくインデックスファンドということもあって信託報酬はかなり安めです。しかも上場されているということで販売コストが安いため、手数料を抑えるという意味ではETFもオススメです。
(3)手数料ばかりに注目しすぎると損をすることも
ここまでは手数料をいかに安く抑えるかという視点で投資信託選びを解説してきましたが、この一点だけで投資信託選びをしない方が良いというのが「不動産投資の教科書」としての見解です。
なぜなら、アクティブファンドの手数料が高いといってもそれ以上のリターンを稼ぎ出している可能性もあるからです。そもそもアクティブファンドはそれが目的なので、手数料が高くてもそれを上回る利益を出せているのであれば、むしろその銘柄は買いだと言えます。
(4)手数料を考慮した上で優秀な投資信託を選ぶ方法
手数料と運用利回りのバランスを考慮した上で、購入する価値のある投資信託を選ぶには、ひとつの目安があります。それは、「直近5年の運用利回り平均」です。単年の運用利回りだけで判断をすると乱高下の影響を受ける可能性があるので、直近5年分をチェックするのが良いでしょう。
そこから信託報酬を差し引いて、大きく利益が上回っているのであれば買う価値が大いにあります。
例えば、「三菱UFJ国際-アメリカン・ニュー・ステージ・オープン」というアクティブファンドがあります。この投資信託の5年間の利回りは15.332%となっており、信託報酬の2.2464%を大きく上回っています。確かに信託報酬は高いですが、その価値が十分にあると言って良いでしょう。
4、投資信託の手数料で知っておきたい3つの知識
(1)購入する証券会社にも注目する
すでに述べていることですが、投資信託の購入時においては購入時手数料の安さに注目するべきです。一概には言えない部分がありますが、全体的な傾向として証券会社が最も安く、銀行や郵便局などは購入時手数料が高くなりがちです。
証券会社の中でもベンチャー系やIT系などが安い手数料を設定しており、同じ買うならこうした証券会社がオススメです。「不動産投資の教科書」では、購入時手数料の観点から以下の証券会社をオススメします。
フジトミ
三井住友アセットマネジメント株式会社
楽天証券
SBI証券
これらの証券会社で口座を開設し、その口座に投資信託購入のための資金を入金してから購入したい投資信託の買付操作をすればOKです。
(2)今後、手数料は安くなる可能性
最近でこそベンチャー系の証券会社などが安い手数料で投資信託を販売するなど、手数料についての条件が良くなってきた感はありますが、日本では総じて投資商品の手数料が高いという指摘があります。
せっかく利回りが得られているのに手数料で儲けが消えてしまうということだと、投資信託は一体誰のためにあるのかと思ってしまう投資家が多くなることでしょう。
実はこうした投資信託の手数料事情については、金融庁も問題視をしています。手数料の高さゆえに投資マインドが冷えてしまうことが経済的な損失だという考えが根底にあるからです。
日経新聞の記事によると、売れ筋銘柄の手数料においてアメリカが0.59%であるのに対して日本が3.2%という大きな差があると指摘しています。こうした事情を受けて国が動いていることを考えると、今後の投資信託手数料は安くなっていく方向にあるのは間違いないでしょう。
(3)証券会社のポイント制度は実質上の利回り
証券会社の中には、投資信託の保有数に応じてポイントを付与する仕組みを持っているところがあります。例えばSBI証券のポイントシステムだと年間100万円分の投資信託を保有していると1,000ポイントを獲得できます。これは1,000円に相当するポイントなので、投資信託の手数料コストを実質上0.1%相殺してくれていることになります。
SBI証券の他にも、楽天証券、マネックス証券、カブドットコム証券などに同様のポイントシステムがあります。「4ー(1)購入する証券会社にも注目する」でオススメの証券会社4社をご紹介しましたが、この4社をオススメする理由にはこのポイントシステムもあります。
まとめ
手数料という響きからはちょっとした小銭程度のお金を想像されていたかも知れませんが、投資信託の場合はそれが決して無視できないものであることがお分かりいただけたと思います。
それを踏まえて、少しでも手数料を抑えながら投資信託を活用する方法や、その一方で手数料だけに目を奪われることのなく最終的に利益を残すことができる投資信託の選び方という視点でも解説をしました。
マイナス金利時代において手軽な投資で高い利回りを得ることができる投資信託の優位性は今後も続くと思われるので、この記事の情報が長い期間にわたって安定的な利益を上げることができる一助になればと思います。