• 相続税対策
  • 2018/12/11

生前贈与が相続税対策になる理由と状況別5つの節税テクニック

近い将来に相続が発生する見込みの方は、税率が高いと言われている相続税に備えて、今からできることがあれば何らかの対策を打っておきたいと思われていることでしょう。相続税は税率が高い一方で各種控除も用意されているので、それをうまく活用することで節税できる手法も確立されています。

そんな中、数ある相続税対策の中でも高い節税効果で知られているのが、生前贈与です

え?贈与税って相続税よりも税率が高いのに、どうして節税になるの?

と疑問に思われる方もおられると思います。

後述しますが、確かに贈与税は税率が相続税よりも高いため、そのまま生前贈与をしていたのでは相続税対策はおろか、かえって損をしてしまいます。

では、どうするか?

ここから先が、この記事の大きなテーマです。生前贈与で認められている各種控除や特例などを活用して、被相続人が健在のうちにしかできない相続税対策を指南したいと思います

被相続人が亡くなった後で「生前贈与で相続税対策をしておけば良かった」とならないためにも、ここからの解説をぜひご精読ください。






1、生前贈与が相続税対策になるって本当?

冒頭でも述べましたが、税率が相続税よりも高い贈与税で、なぜ生前贈与が相続税対策になるのか?半信半疑な方もおられると思いますので、まずはその事実関係から解説します。

(1)生前贈与を活用すれば相続税を大幅に減らせる可能性

相続税における節税の基本は、「いかに相続財産を少なくするか」にかかっています。これは相続財産そのものを少なくするという意味だけでなく、課税対象額としての評価を下げるという意味も含まれています。

極端な話をすれば、生前のうちに財産の全部を贈与してしまえば相続時に財産ゼロとなるため、相続税は発生しません。もちろんそれをやってしまうとかえってコスト増になるので本末転倒ですが、「低コストで生前贈与ができれば相続税の節約になる」ということをイメージしておいていただければOKです。

(2)知っている者がトクをするのが相続税の世界

生前贈与に関連する特例や控除には「相続時精算課税制度」や「配偶者特別控除」、さらには「住宅購入資金贈与」「教育資金贈与」などさまざまな贈与税の特例制度について、現段階でどこまでご存じでしょうか?

これらはすべて生前贈与をするのにあたって要件を満たせば一定額が控除される(つまり無税で贈与できる)という制度です。これらの制度を知っていれば活用できて生前贈与を相続税対策に役立てることができますが、知らなければメリットは得られません。

このように相続税というのは、「知っている者だけがトクをする」という世界なのです。

(3)生前贈与を検討できるのも被相続人が健在なうちだけ

生前贈与という言葉を改めて見てみてください。「生前」という言葉が入っていますね。この言葉が示すように生前贈与は被相続人が生前のうちにしか活用できない仕組みです。

生前贈与に関する各種の控除や特例を活用できるのは被相続人が健在である、今のうちだけです。亡くなった後で制度の存在を知って「もっと早く知っておけば相続税対策ができた」となってしまうかも知れません。被相続人が存命のうちにこれらの制度を知ることができるのは、実はとても恵まれた立場にあると言えます。せっかくのその立場をいかして、今だからこそできる生前贈与をしっかり活用したいものです。

2、相続税対策に生前贈与が役立つことが分かる基礎知識

具体的な相続税対策の解説に入るにあたり、生前贈与がなぜ相続税対策になるのかを事実を交えて解説しましょう。

(1)生前贈与とは何か

生前贈与とは、読んで字のごとく被相続人が生きているうち(生前)に資産を贈与することです。私たちの日常生活でお小遣いを渡すことがありますが、これも法的には贈与にあたります。このように人から人へ資産の所有権が移転することを贈与といいます。

生前贈与は、主に相続税対策の現場で用いられる言葉です。相続税を少しでも節税するために生前贈与によって遺産額を減らし、その分だけ相続税額を低く抑えることが目的です。

(2)相続税と贈与税の仕組み

ここで知っておくべき事実として、相続税と贈与税の税率を確認しておきましょう。まずは、相続税の税率です。

出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm

6億円を超える遺産を相続するとなると、半分以上を相続税として納税することになります。単純に計算しただけでも3億円以上が税金です。相続税が高いと言われるのは、こうした税率の高さゆえでしょう。

それでは次に、贈与税の税率も見てみましょう。

 

出典:https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/4408.htm

こちらも最高税率は55%です。「それなら相続税と同じじゃないか」と思われた方は、左の課税価格をご覧ください。相続税なら6億円を超えた遺産に対して55%の税率となっているのに対し、贈与税は4,500万円を超えたら早くも55%になってしまいます。つまり6億円以上の資産を贈与するのであればどちらも同じ税率が適用されますが、それ以外のすべての方にとっては贈与税のほうがはるかに高税率です。

しかも、上記は贈与税の特例税率といって直系尊属から子や孫への贈与に適用される税率です。一般的に親や祖父母から子、孫への贈与はこちらの税率が適用されます。そうでない人への贈与だと、さらに税率は高くなります。

 

出典:https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/4408.htm

なぜ贈与税のほうが相続税よりも高税率になっているのかの理由は、明らかです。もしこれが逆だと相続が発生する前に基礎控除枠を超える全財産を生前贈与する人が続出するでしょう。それだと相続税の制度そのものが骨抜きになってしまうので、それを封じるために贈与税のほうが高税率になっているのです。

(3)ではなぜ、生前贈与が相続税対策になるのか?

相続税よりも税率が高い贈与税という環境下で、なぜ生前贈与が相続税対策になるのか。そこには生前贈与に関連する各種控除や特例があるからです。逆に言えば、それらを活用しないのであれば生前贈与は相続税対策どころかむしろ損になります。

その各種制度についてがこの記事の本質なので、順次解説していきます。

(4)生前贈与による相続税対策は、早く動いたほうが有利

生前贈与による相続税対策の有効性が分かったら、それではいつそれを始めるのが良いのでしょうか。某予備校の有名な先生ではありませんが、「今でしょ!」というのが正解です。

なぜなら、贈与税には毎年110万円の基礎控除があります。つまり、毎年110万円までは贈与をしても無税になるという制度です。単純に現金を毎年110万円ずつ親から子に渡しても無税なので、それを20年続けたとしたら2,200万円もの資産を無税で移転することができます。

もちろん現実にはそこまで簡単ではありませんが、これだけを見ても生前贈与は思い立ったら少しでも早く取り組んだほうが有利になることがお分かりいただけると思います。

しかも、生前贈与を検討できるのは被相続人が存命のうちだけです。不慮の事故や病気などで突然亡くなってしまうリスクがゼロではない以上、生前贈与による相続税対策は早めが吉なのです。

3、生前贈与を活用した相続税対策その1 連年贈与

前章で少し触れた、毎年110万円まで認められている贈与税の基礎控除を活用した相続税対策の1つ目として、連年贈与をご紹介します。

(1)110万円までなら毎年無条件で非課税

すでに述べてきた通り、贈与税には毎年110万円までの基礎控除があります。これがなければお年玉やお小遣いなどもすべて課税対象になってしまうため、日常的なお金のやり取りを対象から外すために設けられている控除枠です。

この基礎控除を活用すると、毎年110万円までの基礎控除いっぱいまでの金額を毎年贈与していけば年数×110万円の資産を無税で移転することができます。このように110万円の範囲で毎年贈与を繰り返して資産を移転することを連年贈与といいます。

受贈側の人数によってカウントされるため、親から2人の子へ連年贈与をしていけば、毎年220万円までの非課税贈与枠が得られます。

(2)無敵に見える連年贈与の注意点

2人の子に毎年220万円ずつ贈与をしていけば、20年で4,400万円になります。ここまでの非課税枠があるのであれば、時間をかければ大幅な節税になるわけですが、ここには注意点もあります。

単年では確かにこの控除を使えば非課税なのですが、これが連年になると税務当局が別の解釈をします。毎年110万円を同じ時期に同額ずつ贈与し続けていることが分かったら、これは誰でも贈与税の基礎控除を使った課税逃れであると判断することでしょう。税務当局がその判断をすると、それらの金額をまとめた全額を単に分けて贈与しただけだと解釈され、合計額の贈与税を課税されることがあります。

これを防ぐために、連年贈与での節税をするには以下の点に留意する必要があるとされています。

  • 贈与をするたびに個別の贈与契約書を作成する
  • 金額を一律ではなく毎年変える
  • 敢えて110万円を超える金額を贈与して申告する年を作る
  • 贈与をする時期を毎年変える
  • 手渡しではなく銀行振込でお金の移動記録を残す

これらはすべて「たまたま個別の贈与が続いただけ」という形を強調するためのものです。少々面倒でコストもかかりますが、節税のための努力だと思えば安いものです。

4、生前贈与を活用した相続税対策その2 相続時精算課税制度

生前贈与による相続税対策の中でもよく用いられるのが、相続時精算課税制度です。一度に控除できる金額が大きいことから使いようによってはメリットも多く、どんな方に適しているのかという部分も含めて解説します。

(1)相続時精算課税制度とは?

相続時精算課税制度とは、贈与税に設定されている特別控除のことです。生前贈与では通常、毎年110万円までの基礎控除しかありませんが、この制度を活用すると一度に2,500万円までの控除枠が得られます。つまり、2,500万円までの生前贈与であればこの制度の適用によって非課税になるというわけです。

 

出典:http://livedoor.blogimg.jp

ではそこで軽減された税金はどうなるのかと言いますと、名前の通り相続時に合算されます。「それだとメリットがないのでは?」とお感じかも知れませんが、実はここに大きなメリットがあるので、次項で解説します。

(2)相続財産が数千万円規模の方は節税効果が最も大きい

相続税の基礎控除は、3,000万円と法定相続人1人あたり600万円です。妻と子2人という標準的な家族構成で相続が発生した場合、基礎控除額は4,800万円になります。この4,800万円を基準にして、相続予定の財産がこれを上回って課税対象かどうかきわどいという人にとって、相続時精算課税制度は大きな意味を持ちます。

いわゆる遺産の先渡しをするだけなら節税にはなりませんが、その財産が賃貸不動産の場合は家賃が発生してさらに遺産額が大きくなっていきますし、土地などの資産が値上がりをすれば同様に遺産額を大きくしてしまいます。

こうした状況が予想できるのであれば、そうなる前に相続時精算課税制度を使って生前贈与をしてしまったほうが断然トクになります。

基礎控除と比較してきわどいラインの相続予定財産がある方は、活用を検討するべきでしょう。

(3)節税以外にもある、相続時精算課税制度のメリット

実はこの相続時精算課税制度には、節税以外にもメリットがあります。主に3つある節税以外のメリットもご紹介しましょう。

①遺産相続よりも前に財産を子に移転できる

一般的に遺産相続が発生する時は、子も「いい歳」になっていることが多いでしょう。人生100年の時代ですから、もし相続財産を持った親が100歳で亡くなったとして、その時点で子の年齢はおそらく60歳、もしくは70歳を超えているでしょう。もっと若い世代のうちに財産を移転しておけば生活の足しになりますし、より活用法も広がるはずです。

そもそも相続時精算課税制度はこうした事情を踏まえた制度でもあるので、早い時期に相続財産を先渡ししておくことで、「子のために財産を残したい」という親の意向も反映しやすくなります。

値上がり必至の不動産であればなおのこと、値上がり前に子へ移転しておくことの意義もあります。

②遺産分割の難航やトラブルを防げる

遺産相続には法的な制約があるため、法律にのっとった遺産分割が前提になります。しかしそれが必ずしも被相続人の意向通りであるとは限りません。生前贈与であれば受贈者を決めることができるため、被相続人の意向を反映した資産の移転が可能です。

被相続人があまり意思表示をせずに亡くなってしまうと相続人同士で遺産分割の内容をめぐって揉める事態も大いに考えられますが、生前贈与で意向を反映しておくことでトラブルを防ぐ効果があります。

③財産承継の戦略を立てやすくなる

ある程度の予測はできたとしても、人が亡くなる日を事前に100%言い当てることはできません。つまり、遺産相続はある日突然やって来る可能性があるのです。まともに準備もできていないままに遺産分割や相続となると被相続人の意向を反映しにくいばかりかトラブルの原因にもなりますが、生前贈与であればじっくりと時間をかけて調整をすることができます。

誰もが納得できる形で資産を承継していくのが本筋なので、それには生前贈与のほうが適していることもあるでしょう。

(4)相続時精算課税制度の注意点

事情によっては活用する価値のある相続時精算課税制度ですが、その一方で注意点もあります。リスク要因ともいえることなので、こちらもしっかり押さえておいてください。

  • 贈与税に非課税枠が生じるだけで相続税が非課税になるわけではない
  • 一度選択したら変更不可
  • 一度選択したら毎年110万円の基礎控除は使えなくなる
  • 後からもっと有利な特別控除や特例ができたとしても変更できない

これらの点を踏まえて、しっかり事情を考慮した上で選択するようにしてください。

5、生前贈与を活用した相続税対策その3 各種特例や控除

最後に、特定の状況下にある方で要件を満たせば適用できる各種特例や控除をご紹介します。該当する方はぜひ活用を検討してください。

(1)住宅購入資金贈与の特例

親や祖父母といった直系尊属の人から子や孫に住宅購入資金の用途に限って贈与を行う場合、一定の金額まで控除が受けられるという特例があります。平成33年までの時限措置であることと、住宅の種類や取得時期によって控除額が異なることに注意が必要です。

 

出典:https://www.nta.go.jp

この表からも分かるように、適用を受けるなら早いほうが控除額が大きいため、まさに「善は急げ」の特例と言えます。

【参考】

「住宅取得等資金の贈与税の非課税」のあらまし

(2)教育資金贈与の特例

次にご紹介するのは、祖父母などの直系尊属にあたる人から孫へ教育資金を贈与した場合の非課税特例です。高齢者に集中しがちな富が次世代の人たちに流れることを促進するための措置なので、祖父母から孫への贈与が主に想定されています。こちらは最大1,500万円までの非課税枠があります。

実質的に親が負担するべき教育費を祖父母世代から移転させられるため、該当する方にとってはメリットの大きな特例措置と言えます。

【参考】

祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし

(3)結婚・子育て資金の一括贈与

最後にご紹介するのは、結婚や子育てに要する資金の贈与に関する非課税特例です。祖父母や親など直系尊属の人から結婚や子育てに必要な資金としての贈与であれば、最大1,000万円までが非課税になる特例です。

こちらも被相続人が所有している財産を実質的に低コストで移転できる制度なので、該当する方は利用する価値があると言えるでしょう。

【参考】

父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし

まとめ

相続税対策に生前贈与がどこまで力を発揮するのか、5つの節税スキームで解説しました。記事内でも述べている通り、これらの制度に魅力を感じたとしても適用できるのは被相続人が存命のうちだけです。

被相続人が亡くなってから後悔しないように、今やるべきことをしっかり押さえて行動に移してください。

初心者が知っておくべき不動産投資のバイブル
(無料ダウンロード)

これは不動産投資初心者のあなたのための教科書です。不動産投資はとても高額な投資にもかかわらず、知識をしっかりと身につけないうちに手を出してしまう初心者の方がとても多いのです。私たちが頂くご相談は、「基礎的な知識が不足している」「不動産投資会社の選び方が分からない」などの原因で失敗したり、困ったりするケースの案件がほとんどです。

  • 不動産投資に興味があるけど、何から初めていいか分からない
  • 営業マンの言うことを鵜呑みにして失敗したくない
  • 専門用語や不動産投資の仕組みをよく理解し、判断をしていきたい
  • しっかりと基礎から学び、できる限りリスクを避けたい

こうした方々のために、不動産投資の手順を全てまとめました。投資に対する知識不足から不安になったり、間違った判断をしてしまわないために必要なことばかりです。初心者の方や、もう一度基礎からしっかり学びたい方はぜひダウンロードして読んでください。

老後に不安を感じるなら必読!
ゆとりある老後を過ごすために知っておくべき
資産運用の教科書

資産運用マニュアル無料プレゼント

「自由な老後を過ごしたい」

と考えているあなたが今のうちに知っておくべき資産運用の全てをまとめた教科書です。老後生活における月の最低予想生活費は「27万円」と言われています。 年金の支給に不安を感じる今だからこそ資産運用を実践的に学ぶ必要があるのです。

4つのポイントでわかりやすく解説

  • ・初心者でもわかる資産運用の全体像と基礎知識
  • ・資産運用の成功確率を高める目標の立て方
  • ・あなたに合った資産運用の種類を見分ける方法
  • ・資産運用を有利に進める為の4つの税制優遇制度の活用方法

この資料をダウンロードすることにより、資産運用の基礎的な知識がひとつひとつ身につけることができ、あなたに合った適切な判断のもとに実践的にスタートすることができるようになります。初めての資産運用だからこそ、ぜひ手にとって読んでみてください。