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  • 2019/3/22

住みたい街・住みここちのいい街 ランキング調査は物件選びに役立つか? 鑑定士が分析

不動産投資では「物件選び」は生命線です。どんな物件を選ぶかで投資の成否が左右されます。その手掛かりとして不動産会社の調査を活用しようと考えている人もいるでしょう。では、こうしたデータは投資で役に立つのでしょうか。不動産鑑定士が代表的な2つのランキング調査を分析・検証します。(田井能久・不動産鑑定士、ロングステイアドバイザー、タイ・バリュエーション・サービシーズ代表取締役)

住みたい街ランキング・住みここちランキングをひも解く

今回は、リクルートが実施する「SUUMO住みたい街ランキング」と、大東建託が行う「街の住みここちランキング」を取り上げます。

「SUUMO住みたい街ランキング」は、住みたい街についてまとめた調査では有名です。同調査の関東版「関東 住みたい街ランキング2019」の結果では、1位が「横浜」(神奈川県)、2位が「恵比寿」(東京都)、3位が「吉祥寺」(東京都)という、いかにもおしゃれで、住んでいることを自慢できる街がランクインしました。これ以外では4位に「大宮」(埼玉県)、8位には「浦和」(埼玉県)など、東京ではないけど、東京並みの大都市が入っています。

一方で「街の住みここちランキング」は街選びのための調査です。同調査の2019年首都圏版の「街の住みここちランキング 2019年首都圏版」では、1位が「広尾」(東京都)、2位は「市ケ谷」(東京都)、3位は「北山田」(東京都)という結果でした。

広尾や市ケ谷は、関東圏に住んでいない人でも、一度くらいは耳にしたことはあるかと思います。しかし、3位の北山田は正直ピンとこない人も多いでしょう。また、4位は阿佐ヶ谷でなく、“南”阿佐ヶ谷です。さらに、5位には「柏の葉キャンパス」と今度は千葉県の駅がランクインしています。

2つの調査を見比べてみると「住みたい街」で1位の横浜は、「住みここち」では40位です。トップテンに入る駅も大きく異なります。この違いは調査する会社が違うし、調査方法も異なることが大前提にあります。その上で分析すると別の答えが浮かび上がってきます。

まず、住みたい街ランキングは、住みたい程度を点数化しそれを集計して求めています。一方、すみここちランキングは、各項目を細分化して点数化し、例えば「お店が多い」という要因も商店街、スーパー、デパート、飲食店とそれぞれの施設の充実度を分けています。また、「安全性」なら治安以外に津波の心配のなさや地盤の心配のなさも分けて点数付けをして集計しています。

このことから、端的にいうと、住みたい街ランキングは「人気調査」住みここちランキングは「実力調査」といえると思います。

2つの調査分析から見えたものとは

投資物件選びで考えると、住みここちランキングが「実力評価」であれば、こちらを重視して判断した方がよいと思われます。しかし、不動産は評判やステイタスというイメージもかなり価値に影響を与えます。そのため人気も無視はできません。

一方、2つの調査で、私が注目した内容があります。それは、住みここちランキングで行っていた「住みたい街(駅)ランキング」です。その結果を見ると1位が「今住んでいる街」、2位は「特にない」という驚くような回答が上位を占めているのです。

「今住んでいる街が住みたい街」と思っている人は、年代別、単身や夫婦などの家族構成別でも1位でした。全体でも3割以上が回答しています。また、60歳以上の世帯は4割以上にも上っています。

ここから「どんなところ住んでみたい?」と人に聞かれると「横浜」や「恵比寿」「吉祥寺」と答えるけれど、やっぱり本当は「自分が住んでいる街が一番」で「自慢できるような住み心地ではないが、満足している人が多い」というのが、私の分析結果です。

分析結果を投資にどう生かす?

では、不動産投資で考えた場合、この結果を物件選びで、どう生かせばよいでしょうか。

具体的には、住みたい街である横浜に物件を持つなら、憧れを裏切らないようなデザインや設備の不動産を購入し、購入後も内装や設備には気を使うということが挙げられます。

一方で、今住んでいる地元などで投資する場合であれば、現在の住環境を変えたくないと思っている人が多いと考えて、建物の安全性や耐震性が向上させつつ、家賃は変えないなどの現実的なメリットがある物件の提供を考えるべきでしょう。

こう考えることで「住みたい街」にも「住みここちがいい街」にも、それぞれで投資のチャンスがあると思います。

関心を持って調べればヒントが見つかる

今回は2つの調査を取り上げましたが、他にも不動産投資に役立つと思われる様々なデータがあります。こうしたデータに対して、なぜそのような結果になり、何が違うのかを関心を持って調べれば投資のヒントが見つかると思います。今回の分析方法を1つの参考に情報をうまく自分の中に取り入れて、不動産投資に生かしてみてください。