「10万円くらいでできる投資にはどんなものがある?」
「まとまったお金はないけれど、将来のために今のうちから投資を始めたい」
このように考える人は多いのではないでしょうか?
少子化が進行し、年金制度がきちんと機能するかが不安視される今、30代から資産形成を始める人が増加傾向にあります。
この記事ではこれから資産形成を始める方に向けて、10万円から始められる投資方法や節税対策制度についてご紹介します。
目次
1、10万円で投資はできるのか
早速ですが結論から述べますと、10万円で投資を始めることは可能です。
一口に投資といっても、利益と損失の振れ幅が大きいものから、元本保証がされている代わりに低利回りのものまで多数あります。当然のことながら10万円で始めるのに適している投資、そうでない投資があります。まずは代表的な投資方法を挙げてみます。
- 株式投資
- 投資信託
- REIT(不動産投資信託)
- 不動産投資
- 定期預金
- 債券
- FX
- 仮想通貨
これらの中で、初心者の方が10万円で投資を始めるのに適した投資方法はどれでしょうか?
なお、「投資」と聞いて一番イメージしやすい「株式投資」は誰でも手軽に、しかも驚くほど少額で始めることができます。「具体的にいくら運用資金があれば始められるのか」、「初心者の方が株式投資を始めるのに最適な投資金額はいくらなのか」を説明した記事があります。詳しくは「株はいくらから買える?初心者に最適な金額とその理由も教えます」をご覧ください。
それでは本題に戻り、10万円から始める投資について解説していきます。
2、投資を始めるべき理由と注意点
そもそも、なぜ投資を始める必要があるのでしょうか?また、投資にはリスクがつきものですが、リスクを最小限に抑えるために注意すべきことはどのようなものがあるのでしょうか?
この章では、投資を始めるべき理由と投資をしていくうえでの注意点を説明します。
(1)定期預金は資産形成に向かない
人生100年時代と言われる昨今、早期から老後の資金作りを始める人が増えつつあります。
多くの人は貯金によって資産形成をすると思いますが、近年は低金利状態が続いており、定期預金の運用効率は低いと言わざるを得ません。
具体的に数字で見てみましょう。定期預金の金利はメガバンクで年間0.01%程度、ネット銀行であれば0.3%程度です。定期預金に100万円預けたとしても、0.01%でしたら年間100円、0.3%でしたら年間3,000円の利息しかもらえないことになります。
したがって、豊かな老後生活を送るためにより運用効率の高い資産運用を始める必要があるのです。
(2)投資を始めるにあたって注意すべきこと
投資を始めるうえで注意点についても十分に考慮しておく必要があります。
①元本割れ
1つ目は元本割れする可能性があることです。投資には元本保証がなく、リターンを求めるほどリスクも大きくなります。
求めるリターンや許容できるリスクには人によって差があるので、自分のライフプランに合った適切なリスクを取ることを心掛けましょう。
②生活資金の圧迫
2つ目は生活資金の圧迫です。手元にある資金をすべて投資にまわすと事故や病気などの思わぬハプニングが起きた際の急な出費に対応できなくなります。
投資を始める際は先に生活資金を確保し、余ったお金で行うようにしましょう。
3、10万円から始められる3つの投資方法
ここまでは投資の基礎的な部分をお伝えしてきました。
この章では具体的な投資方法を見ていきましょう。
- 株式投資
- 投資信託
- REIT(不動産投資信託)
の3つは10万円から投資でき、初心者の方でも始めやすい「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資方法です。以下で詳しく紹介します。
(1)株式投資
株式投資とは、企業が資金調達するために発行した株式を購入・保有・売却して利益を得る投資方法です。
得られる利益には、①株価が安い時に購入した株式を高くなった時に売却して得られる「値上がり益(キャピタルゲイン)」、②企業が順調に利益を出すことができた場合に、その一部が株主に還元される「配当金(インカムゲイン)」、③企業が株主に向けて自社の商品・サービスなどを優待品としてプレゼントする「株主優待」の3つがあります。
株式投資のメリットとしては、
- 安定的に5%前後の利回りが期待でき、定期預金と比較して圧倒的に運用効率がいい
- 投資先によっては5%以上の利回りを実現することも可能
- 単元未満株であれば数百円から投資でき、手軽に始められる
などが挙げられ、デメリットとしては、
- 元本を割る可能性がある
- 情報収集が欠かせないので労力・時間を必要とする
などが挙げられます。
株式投資についての詳細は、「「株の配当収入生活」の現実味は?配当重視の株式投資を始める4つの手順」で解説しています。こちらも合わせてご覧ください。
(2)投資信託
投資信託とは、運用のプロである「ファンドマネージャー」に資金を預けて資産運用を任せる投資方法です。ファンドマネージャーは様々な投資家から預かった資金を元手に、株式や債券、不動産などの金融資産に分散投資します。
投資信託に投資すれば、ファンドマネージャーが資産運用で出した利益から、ファンドマネージャーへの信託報酬を差し引いたものを配当金として受け取ることができます。
投資信託のメリットとしては、
- 安定的に5%前後の利回りが期待でき、定期預金と比較して圧倒的に運用効率がいい
- 少額でも株や債券、不動産に分散投資ができる
- 知識がなくても投資を始められる
などが挙げられ、デメリットとしては、
- 元本を割る可能性がある
- 自分で投資先を選んで運用するわけではないので、知識が身に付かない
- コスト(信託報酬)がかかる
などが挙げられます。
投資信託の仕組みや始め方について「投資信託とは?初心者が失敗しないために事前におさえておきたい6つのこと」で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
(3)REIT(不動産投資信託)
REIT(不動産投資信託)とは、不動産に特化した投資信託のことです。投資家は資金を預け不動産投資のプロが運用し、出た利益を配当金として受け取ります。
REIT(不動産投資信託)のメリットとしては、
- 安定的に4%前後の利回りが期待でき、定期預金と比較して圧倒的に運用効率がいい
- 実物不動産よりも容易に分散投資ができる(少額で分散投資が可能)
- 実物不動産は現金化に手間がかかるが、REITであれば証券市場で自由に売買できる
などが挙げられ、デメリットとしては、
- 元本を割る可能性がある
- 台風や地震などの災害リスクがある
などが挙げられます。
REITを資金10万円以下から始められる方法を紹介した記事があります。詳しくは「不動産投資信託(REIT)で始める、資金10万円以下からの本格的な資産形成」をご覧ください。
4、失敗しないための3つの心構え
10万円で始められる投資方法について具体的にご紹介したところで、失敗する可能性を少しでも小さくするための心構えについて解説します。
投資を始める際に心に留めておいていただけると幸いです。
(1)投資商品について自分で勉強する
直感だけで投資するのは危険な行為です。リターンだけで投資商品を選ぶのではなく、その背景にあるリスクもきちんと見極めましょう。
投資商品を購入する際は情報収集が欠かせません。株や投資信託は手軽に投資することができますが、株であれば会社の事業や業績について、投資信託であれば投資先の構成についてそれぞれ自分で調べてから投資しましょう。
また、購入して終わりではなく、日頃からニュースなどをチェックして経済動向に関心を持つことも大切です。
(2)ときには失敗することもある
投資に100%はありません。元本保証がない以上、損失が出てしまうこともあります。
長期的に資産運用していくうえで大事なのは、目先の損失に一喜一憂せず保有し続ける・積み立て続けることが大切です。分散投資できているのであれば長期間保有することで収益率が安定します。
(3)無理をしない
投資は決して無理をしてはいけません。貯金から生活費や近い将来必要になる出費を確保したうえで余ったお金で投資するようにしましょう。
資金的に余裕がない状況での投資は焦りにつながる恐れがあり、重要な判断を鈍らせる事にもつながります。
少額でも投資を始めることは可能なので、生活費には手を出さずあくまでも余裕資金で投資しましょう。
5、投資には節税制度がある
資産形成を考えるうえでぜひ活用したいのが、
- NISA
- つみたてNISA
- iDeCo
という3つの節税制度です。これらを活用することで、投資利益に対する税金を抑えることができます。以下それらの制度について簡単に解説します。
(1)NISA
NISAは正式には「少額投資非課税制度」といい、投資で得た利益に対して20.315%の税金がかかるところを一定期間非課税で受け取ることができます。
非課税で受け取るとはどういうことでしょうか?ここでは投資で100万円の利益が出たとして説明しましょう。
通常、10万円の利益が出た場合約2万円課税しなければならないため、受け取れるのは約8万円となります。しかし、NISAを活用すれば非課税となり10万円全額受け取ることが可能です。
NISAを利用するには、銀行や証券口座などでNISA口座を開設する必要があり、その口座から投資し利益が出た場合、非課税で受け取ることができます。株式や投資信託、REITのほとんどが投資対象となります。
口座は日本在住の20歳以上の方であれば開設できますが、開設できるのは1人1口座のみです。また、つみたてNISAと併用することはできない点には注意しなければなりません。
また、現行のNISAの非課税期間は5年間、投資できる額は年間120万円と定められています。つまり、投資元本の上限は600万円となります。年間120万円まで投資できるので、NISAはある程度まとまった資金で投資する方に向いていると言えるでしょう。
NISAを賢く活用する方法については「NISA(ニーサ)とは?賢く活用するために事前に知っておきたいメリットとデメリット」で解説しています。投資を検討している方は必見です。
(2)つみたてNISA
仕組み自体はNISAと同じですが異なる部分もいくつかあります。
つみたてNISAは長期間での積立投資を前提としているため、投資対象の数についてはNISAに比べ制限されており、厳選されたラインナップになっています。
つみたてNISAの非課税期間は20年間、年間積立可能額は40万円なので、投資元本の上限は800万円です。1年間に投資できる額が年間40万円であることから、つみたてNISAはサラリーマンの資産運用に向いていると言えるでしょう。
なお、NISAと併用することができない点には注意してください。
(3)iDeCo
iDeCoは正式には「個人型確定拠出年金」といい、毎月一定金額を積み立て、投資信託、定期預金、保険などの金融商品で自ら運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。
積み立てる時・利益が出た時・利益を受け取る時に節税できることがiDeCoの最大のメリットです。これにより、複利効果を高められるので最終的に受け取れる金額も大きくなります。
原則として日本在住で20歳以上60歳未満かつ公的年金に加入している人であればiDeCoに加入できます。金融機関にて専用口座を開設することで月額5,000円から積立投資を始められますが、積み立てたお金は60歳まで引き出せないので注意しましょう。
iDeCoの活用方法を詳しく説明した記事があります。「iDeCo(イデコ)のメリットを活用!30歳が定年前に1300万円貯める方法」も合わせてご覧ください。
まとめ
投資は10万円で十分始めることができ、投資方法もいろいろあります。それぞれの投資方法のメリットやデメリット、仕組みをきちんと理解したうえで投資を行えば、その分失敗する可能性も小さくなります。
また、節税対策制度についても簡単にご紹介しました。これから投資を始めるのであればこれらの制度を活用しない手はありません。
資産形成のスタートは早ければ早いほど知識や経験が蓄積しますし、複利の効果も得られるので有利になります。まずは生活が苦しくならない程度の少額から投資を始めてみてはいかがでしょうか?