• FX, 資産運用
  • 2019/10/2

FXのレバレッジは天使か?悪魔か?その本質を知って味方につける方法

FXを始めようと思っている方、もしくは初心者の方にとって、「レバレッジ」というのは、これまであまり聞いたことがなかった言葉だと思います。レバレッジがあるからこそFXはメリットがあるというニュアンスの話もよく聞かれますので、それゆえにレバレッジのことが気になるという方は多いと思います。

このレバレッジについては、FX投資家の味方でもあり、とても怖い存在でもあるという認識を持つのが正しいと思います。

レバレッジがどんな時にFX投資家の味方になってくれて、逆にどんな時に怖い存在になるのでしょうか。FX投資を本格的に始めるのにあたっては避けて通れない知識なので、この記事ではレバレッジについての概要から本質的な知識、そしてレバレッジを味方につける方法を解説します。






1、FXのレバレッジについて基本をおさらい

まずは最初に、レバレッジとは何かという基本をおさらいしておきましょう。すでに大まかな意味をご存知の方も、確認の意味を込めておさらいをしておいていただければと思います。 

(1)そもそも、レバレッジとは?

レバレッジとは、てこという意味です。てことは「てこの原理」に出てくる「てこ」のことで、小さい力で大きな力を生み出す仕組みである「てこの原理」に、小さな金額で大きなトレードができる仕組みをなぞらえたものです。

FXには「少額から始められる」というイメージがありますが、このイメージがあるのもレバレッジがあるからだと思います。 

(2)なぜFXにはレバレッジがあるのか

それではなぜ、FXにはレバレッジという概念があるのでしょうか。それを理解するには、FXの仕組みを知っておく必要があります。

FXは正式名称を、外国為替証拠金取引といいます。外国為替取引であることはご存知だと思いますが、ここに出てくる証拠金という言葉がミソです。証拠金というのは手付金のようなもので、投資の全額ではなく一部を証拠金として差し出すことで全額分の取引ができるようになります。これがつまりレバレッジという取引であり、FXは証拠金取引なので全額を必要としなくても、レバレッジを効かせることによって取引ができるのです。

この点については、もう少し解説しておきましょう。例えばあなたがマンション物件を購入したとします。1億円の物件を購入するのに手付金として1,000万円を支払ったとしましょう。その段階で、別の人から「そのマンション物件を12,000万円で売ってほしい」と言われたとします。実際に動いたのは1,000万円だけですが、そのマンションが12,000万円で売れたことで2,000万円の転売利益を得ることができます。

このように実際に動いたのは投資金の一部であり、FXではこの手付金である1,000万円が証拠金に該当します。そして価格変動によって利益が出たのでマンションを売るのは、FXでいう利食いです。

このマンション取引では1億円の物件に対して1,000万円しか投じていないので、レバレッジは10倍ということになります。

FXではこのように証拠金と呼ばれる手付金のようなお金だけを預けて取引が可能なので、「少額で大儲けも可能」とも言われるわけです。

(3)FXのレバレッジは1倍から最大25

2019年現在、FXで設定可能なレバレッジは最大で25倍です。かつては100倍や200倍といった高率のレバレッジもありましたが、今では最大が25倍に規制されています。日本国内のFX会社はその法律の適用を受けるため、各社ともに最大のレバレッジが25倍となっています。 

(4)なぜFXのレバレッジが規制されたのか

なぜ以前は数百倍という高率のレバレッジがあったのに、今では25倍までに規制されているのでしょうか。そこにはFXがブームになった時に全財産を失うような巨額損失を被る人が続出したからという事情があります。

筆者が知っている限りでは、日本国内のFX会社でも400倍のレバレッジを設定可能でした。400倍のレバレッジでポジションを持つということは、「100%÷4000.25%」となり、たった0.25%だけレートが反対方向に進んだだけで証拠金が底を尽いてしまいます。

儲けが出るときは大きくなりますが、レバレッジを高くしすぎることはギャンブルのようなトレードになってしまうため、法律によって規制されました。

(5)レバレッジはFXの専売特許ではない

レバレッジはFXの世界だけのものというイメージがあるかもしれませんが、実際にはそうではありません。先ほど不動産取引で手付金の例え話をしましたが、その場合も1億円の物件に対して1,000万円の自己資金を動かしただけだったので、レバレッジは10倍の不動産取引ということになりました。

その他にも株式投資にも信用取引といって実際の投資額に対して数倍の株を売買できる仕組みがあります。

投資効率を高めるためにレバレッジは有効なので、最近注目を集めている仮想通貨取引においてもレバレッジを利用することができます。

(6)FXのレバレッジは敵か?味方か?

FXとレバレッジは切っても切れない関係にあるわけですが、果たしてこのレバレッジが敵なのか、味方なのか、ということについては、使い方次第と言えます。

少額で大きなトレードができるため、「少額で大儲け」を現実にすることができますが、その一方で損失が出るときは大きくなります。まさに諸刃の剣なので、この記事でもレバレッジの正しい使い方を特にリスク面から解説していきたいと思います。

 2、FX取引でレバレッジを設定、確認する方法

FX口座内で注文時にレバレッジを設定する方法、保有ポジションのレバレッジを確認する方法を解説します。 

(1)FXでレバレッジを設定する方法

以前は新規に注文を出す際にレバレッジを自分で設定する必要があったのですが、今ではほとんどのFX口座でレバレッジが自動設定になっています。預けている資産残高に対して保有ポジションの合計がレバレッジ25倍になってしまわないように設定されているため、もし新規注文時にその注文が成立するとレバレッジが25倍以上になってしまう場合には、注文そのものを出すことができません。

よって、FXでレバレッジを設定する必要はなく、注文を出せる=レバレッジ25倍以内に収まっていると理解していただいて問題ありません。

(2)保有ポジションのレバレッジを確認する方法

現在保有しているポジションのレバレッジが何倍になっているのかは、FX会社の管理画面から口座情報の照会を表示することで確認可能です。

例えばヒロセ通商の「LION FX」では、以下のように「情報」→「証拠金状況照会」でレバレッジの倍率を知ることができます。

出典:https://hirose-fx.co.jp/category/guidance_lionfx/fx_experience/lionfx_rule/1_kojin.html

3、FXのレバレッジに関するメリット

FXでレバレッジを利用することのメリットを、3つにまとめました。 

(1)投資効率が極めて高い

規制によって最大25倍までとなっているとはいえ、FXにレバレッジがあるのはとても大きなメリットです。仮に25倍のレバレッジでポジションを保有したとすると、レバレッジが25倍なので証拠金は投資金額の4%で済みます。

1ドル=100円の時にドル円で1万ドル分のポジションを持つとすると、最小証拠金は4万円ということです。さすがに4万円だけを入金して1万ドルのポジションを持つのはリスクが高すぎますが、理論的にはそれが可能です。

投資効率の高さは「少額で大儲け」というFXのイメージにもつながっており、高い投資効率は多くの投資家にメリットをもたらしています。

(2)FXに参入しやすくなる

レバレッジがあるおかげで、個人投資家はFXに参入しやすくなります。先ほどのように、1ドル=100円の時に1万ドルのポジションを持つためには100万円の現金が必要になりますが、レバレッジがあるおかげで4万円から投資が可能になります。

100万円と4万円を比べると、レバレッジがあるおかげで少額からの投資が可能になるため、参入障壁がかなり低くなっていることが実感していただけると思います。 

(3)大きく稼いでいる投資家にとっての必需品である

FXを始めようと思っている方にとって、潜在的な目的は「大きく儲けたい」となるのではないでしょうか。そうでなければFXでなくても他の投資という選択肢もあると思いますが、FXには「大きく儲けることができる」という可能性を感じておられるのだと思います。

その可能性があるのは、レバレッジがあるおかげです。同じ金額を使ってトレードをしたとすると、レバレッジ1倍と比べてレバレッジ10倍だと利益も10倍になるため、FXには一攫千金に近いような夢を感じている方が多いのだと思います。

 4、FXのレバレッジに関するデメリット

投資効率が極めて高いというメリットがある一方で、FXのレバレッジには本質的なデメリットがあります。これを知らずにFXでレバレッジを利用することは極めて危険なので、必ず押さえておいてください。

 (1)投資効率が向上する一方で「損失効率」も向上してしまう

レバレッジが持つ最大のリスクは、投資の効率が向上するのと表裏一体になっている「損失効率」の高さです。損失効率という言葉は存在しませんが、分かりやすくするために敢えて造語を使いました。

先ほどの例にならって、1ドル=100円で100万円を使って米ドルのポジションを持ったとしましょう。レバレッジ10倍でトレードをしたとすると、100万円で10万ドル、日本円にして1,000万円分のポジションです。

「え?100万円しか使っていないのに1,000万円のトレード?」と思われた方もおられるでしょう。レバレッジ10倍の実力とは、そういうことです。もしこのポジションを保有している時にドル円相場が思惑と反対方向に10銭進んだとすると、たった10銭の変動で1万円の含み損になります。

買いポジションを保有している時に1ドル=99円になったとしたら、その時点で含み損は10万円です。ちょっとした値動きでも含み損がすぐに大きくなるというのはレバレッジが持つ最大のリスクなので、この感覚をつかんでおいてください。

(2)少しの値動きでロスカットされてしまう可能性がある

先ほどのようにレバレッジを効かせると、少しの値動きで含み損が大きくなります。少しの値動きで大きな利益を狙うことが出来るメリットがあるので、その裏返しとして仕方ないのですが、問題は含み損を預入資産ではカバーしきれなくなった時です。

預入資産が100万円で、今度は目一杯米ドルのポジションを持ったとしましょう。レートは分かりやすく、先ほどと同じ1ドル=100円とします。最大のレバレッジは25倍なので、目一杯買ったとすると25万ドル分、日本円で2,500万円分のポジションを保有することができます。

この状態で1ドル=99円になったとすると、含み損は25万円。このまま円高が進行して1ドル=96円になった時点で含み損が100万円となり、証拠金がゼロになってしまいます。この状態を放置していると強制ロスカットとなり、今後我慢して持っていればレートが回復すると思っていたとしてもお構いなしに全額を失います。

ドル円が4円程度の値動きをすることは、決して珍しいことではありません。記憶に新しいのは2019年の新年早々、13日に起きた急激な円高です。108円台だったドル円が一気に104円近くにまで下落し、「4円程度の下落」が現実になりました。こうした現象はフラッシュクラッシュと呼ばれ、長期連休など投資家が少なくなっている時に起きやすいと言われています。

レバレッジをあまり高くしすぎて、しかもポジションを長く保有しすぎると、フラッシュクラッシュやそれに近い相場の急変で大損をしてしまう可能性があります。

(3)投資家が恐怖心を感じやすい

レバレッジがあるおかげで少額から始められるのはFXのメリットですが、少額でレバレッジを効かせたトレードをしていると、少し反対方向にレートが変動してしまっただけで証拠金が大きく減ることになるので、心理的な恐怖心が大きくなります。

これがもしレバレッジ1倍であれば、投資家が自分の意志で損失確定をしない限り、他者の都合で勝手にロスカットをされることはありません。

5、レバレッジを味方につける利益向上&リスク管理方法

FXでレバレッジを利用することによるメリットとデメリットを入念に説明したところで、それを踏まえたレバレッジの活用方法を指南したいと思います。レバレッジ自体はとても有益なものなので、ここで解説する方法を使ってしっかり味方につけてください。 

(1)レバレッジを上げすぎないようにする

レバレッジが25倍まで使えるからといって、資金的に25倍の目一杯まで使うのは危険そのものです。その理由はすでに数字を使って解説した通りなので、特に初心者の方はレバレッジを上げすぎないようにしましょう。

今のFX口座ではレバレッジを手動で設定することはないので、資金に十分な余裕を持たせることで実質的にレバレッジを低くすることが出来ます。

くれぐれも大儲けしたいからとばかりに預入資産ギリギリまでポジションを持つようなことはしないようにしましょう。

(2)損切注文を必ず設定する

FXトレードでは、損切りをしっかりできるかが成功への大きなポイントになります。筆者は基本的に成行注文をしないので、指値での注文とセットで利食いと損切りの両方の注文をしています。IFO注文を設定しておけば自動的にすべてやってくれるので、特にポジションが成立した時に役立ちます。

特にFXはロンドン時間やニューヨーク時間といった、日本が夜になっている時間に相場がよく動きます。寝る前にIFO注文で新規エントリーと利食い、損切りの注文を入れておいて、夜のうちにポジションが成立してそのまま利食いか損切りのどちらかの結果が出て、朝になったらノーポジションということが良くあります。

このように損切りもセットで入れておくと、仮に思惑が外れて損失を出してしまったとしてもその金額は損切り注文まで食い止められます。うまくいくトレードもあれば失敗することもあるので、いかにその失敗を最小限に食い止めるかが重要だと思います。

レバレッジを活用して投資効率を高めるのは大いに結構なことなので、その際に上記の例のように損切り注文をセットで入れておくことを忘れないでください。 

(3)デイトレード、スキャルピングなど短期売買にのみ利用する

FXで大きく儲けている人の多くは、デイトレードやスキャルピングといった短期売買に長けているという共通点があります。というのも、外為相場の中長期的な未来を予測するのは極めて困難で、目先の「1時間後」「今日いっぱい」といった短期売買のほうが適しているのです。

そんな短期売買で生きてくるのが、レバレッジです。短期売買であれば長期的にどうなるか分からないという不確定要素によるリスクを取らずに済みますので、思い切ってレバレッジを高くすることもできます。

レバレッジを高くして小刻みに利益を取っていくのが、FXでは最も効率がよく、なおかつ安全性が高いトレードスタイルなのです。

(4)長期保有派はレバレッジを5倍までにしよう

短期売買を推奨した直後に長期保有の話をするわけですが、FXにはスワップという概念があるので、高金利通貨の買いポジションを長期保有すると利回りの良い外貨預金を持っているのと同等、もしくはそれ以上の効果を得ることができます。

レバレッジを効かせて高金利通貨を持ち続けていればレバレッジの分だけ利回りは高くなるので魅力的なのですが、これをあまり高くしてしまうと、相場が円高局面になった時や、薄商いを狙ったフラッシュクラッシュの餌食になってしまう可能性があります。

筆者が推奨するのは、レバレッジ5倍までです。5倍であれば20%の値動きであっても耐えられるので、長期的にポジションを保有する際のロスカットリスクを軽減できます。

トルコリラ円や南アランド円などは高金利通貨として人気が高いですが、こうした通貨の買いポジションを持つ場合は、これまでの最安値を調べて、もしそこまで下落した場合であってもロスカットにならないだけのレバレッジにするのがセオリーです。 

まとめ

FXの大きな特徴であるレバレッジは果たして、投資家にとって天使なのか?悪魔なのか?という疑問にお答えするためにメリットとデメリットを丁寧に解説しました。ここから得られる結論は、レバレッジを天使にするのも悪魔にするのも、投資家の手法次第だということです。

最後にはレバレッジを味方につけて、悪魔の一面が出てきても致命傷を負わないようにする方法を解説しましたので、ぜひ参考にしてください。