「減価償却」という言葉を聞いたことがあるものの、具体的に減価償却の仕組み、計算方法などについて理解している方は多くないのではないでしょうか。
不動産購入にあたり減価償却についてきちんと理解しておくことは重要です。
そこで今回は、
- 不動産の減価償却とは?
- 節税のため?減価償却の仕組みを知っておくことの重要性について
- 不動産の減価償却費の計算方法
- 中古マンションの減価償却費の計算例
などについて毎月多くの不動産購入者が訪問する不動産投資の教科書編集部がお伝えしていきます。
ご参考になれば幸いです。
目次
1、不動産の減価償却とは?
(1)不動産の減価償却とは?
(2)減価償却ができるのは建物だけ!
減価償却ができるのは、劣化が生じるものだけになります。つまり、不動産の減価償却ができるのは、建物だけであって、劣化しない土地は減価償却ができないこと認識しましょう。
2、節税のため?減価償却の仕組みを知っておくことの重要性について
そもそも税金はざっくりというと「収入−経費」に税率を掛け合わせたものとなります。そうすると節税の方法の一つとして経費をできるだけ多く計上するということが挙げられます。
減価償却費は、実際に支出する費用ではないですが、経費として計上することができるので、「3、不動産の減価償却の計算方法」に記載する方法で減価償却費を計算した上できちんと経費とすることは節税のために重要な費用だと言えます。
なお、一般的に不動産投資において認められている経費については、詳しく「確定申告時に知っておくと得する不動産所得の12個の経費とは」をご参照ください。
3、不動産の減価償却費の計算方法
「減価償却費の額=取得価格(1)×耐用年数に応じた償却率(2)」
では、それぞれの項目について見てみましょう。
(1)取得価格
まず、取得価格について見てみましょう。
上記「1−(2)減価償却ができるのは建物だけ!」で書きましたが、減価償却ができるのは建物だけになります。従って、ここの取得価格は土地を含まず建物の価格だけになります。
なお、建物の価格については売買契約書に金額が明記されているか否かでそれぞれ以下の方法で調べることができます。
① 売買契約書に土地と建物の金額が明記されている場合
売買契約書に土地と建物の金額が明記されている場合は、その金額を使って計算することになります。
② 売買契約書に土地と建物の金額が明記されていない場合
売買契約書に土地と建物の金額が明記されていない場合もあります。
その場合は、固定資産税評価額を使って按分する方法を利用することができます。
例えば、売買価格が8千万円の物件の固定資産税評価額が6千万円で、建物が3,600万円で、土地が2,400万円の場合の減価償却は下記の計算式にて計算することができます。
「建物の金額=売買価格×(建物の固定資産税評価額÷物件の固定資産税評価額)」
=8,000万円×(3,600万円÷6,000万円)
=4,800万円
なお、自分でわからない場合は、不動産会社の担当者に確認してみましょう。
(2)耐用年数に応じた償却率
① 耐用年数を知る
まず、建物の法定耐用年数について知っておきましょう。
不動産の場合、建物の構造によって大きく以下のように法定耐用年数が決められています。
- 鉄筋コンクリート(RC)・・・47年
- 重量鉄骨・・・・・・・・・・34年
- 木造・・・・・・・・・・・・22年
なお、建物の法定耐用年数については、詳しく国税庁が発表した「耐用年数(建物・建物付属)」の一覧表をご参照ください。
② 耐用年数の償却率を調べる
建物の耐用年数の償却率は、国税庁が発表している「減価償却資産の償却率表」で耐用年数にあてはめて調べることができます。新築物件の場合は、そのまま法定耐用年数の償却率に当てはめて調べることができますが、これに対して、中古物件については簡便法という方法で耐用年数を算出します。詳しくは後述の「④中古物件の耐用年数の償却率」をご参照下さい。
なお、平成19年4月1日に償却率の改正があり、物件の取得時期によって参考する償却率が変わります。
例えば、同じく耐用年数14年の建物でも、取得した時期が平成19年4月1日より前か後ろかで償却率が変わります。
■平成20年に取得した場合の償却率は「0.072」になります。
■平成18年に取得した場合の償却率は「0.071」になります。
③ 新築物件の耐用年数の償却率(平成19年4月1日以後に取得)
新築物件の場合、まだ償却していないので、償却率はそのまま法定耐用年数の償却率になります。
例えば、新築の木造の建物の場合は、償却率は法定耐用年数22年の「0.046」になります。
④ 中古物件の耐用年数の償却率(平成19年4月1日以後に取得)
一方、中古物件の場合は、建築年数に応じて簡便法という方法を使って建物の耐用年数を算出します。
a 法定耐用年数を全部経過した建物
「耐用年数=法定耐用年数×0.2」
【例】RCの建物が法定耐用年数を全部経過した場合
耐用年数=47×0.2=9年(端数切り下げ)
従って、償却率は耐用年数9年の「0.112」になります。
b 法定耐用年数の一部を経過した建物
「耐用年数=(法定耐用年数—経過年数)+経過年数×0.2」
【例】木造の建物が築年数10年を経過した場合
耐用年数=(22—10)+10×0.2=14年
従って、償却率は耐用年数の14年の「0.072」になります。
4、中古マンションの減価償却費の計算例
【例】平成23年9月に取得した下記条件のRCマンションの減価償却費を計算してみましょう。
- 建物価格:2,000万円
- 建築年数:10年
(耐用年数)
(47—10)+10×0.2=39年
(減価償却費の額)
2,000万円×0.026(耐用年数39年の償却率)=52万円
まとめ
今回は不動産の減価償却について書きましたがいかがでしたでしょうか。参考になれば幸いです。
なお、不動産投資において計上ができる経費について詳しくは「確定申告時に知っておくと得する不動産所得の12個の経費とは」にて書いてありますので、参考にしてみてください。
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