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  • 2019/4/1

不動産投資するなら消費税増税前・後のどちら? その影響と投資のタイミング

2019年10月に実施される消費税の増税は、現行の8%から10%になることで、私たちの生活に大きな影響を与えることが予想されます。同様に不動産投資でも増税で、いろいろと注意しなければならないことが出てきます。今回は増税による不動産投資への影響と、増税の前後ではどちらが投資に有利なのかを解説します。(田井能久・不動産鑑定士、ロングステイアドバイザー、タイ・バリュエーション・サービシーズ代表取締役)

増税の影響を受ける・受けない分野は?

消費税増税による不動産投資への影響は一様ではありません。なぜなら「不動産投資」と一口にいっても、不動産は多様な種類があり、取引の仕方などでも税の影響が変わるからです。そこで、影響がある分野とない分野を説明します。

(1)土地だけの不動産投資
まず、土地だけの不動産投資を考えてみましょう。将来的な土地価格の上昇を見込んで、当面は使う予定がない土地を購入する、駐車場として利用する、または他人に土地を貸す「底地」としての収益性を期待して、土地を購入する。この場合に取引される資産は土地です。

土地は消費されないものと考えるので、消費税の対象にはなりません。これは住宅地であっても商業地であっても変わりません。そのため、消費税が増税するからといって、あせって土地を購入する必要は全くないといえます。

(2)建物や建物付き土地の不動産投資
土地をすでに所有していて、新たに建物を建築する、または戸建分譲のように土地と建物を一括して購入する。こうした場合には、建物部分は課税対象のため税金が増えます。そのため、建物そのものや建物付きの土地の投資を考えている人は確実に影響を受けます。ただし、その増税の影響は建物だけである点は注意してください。

例えば、総額2000万円で土地と建物が等しく1000万円の物件購入で想定してみましょう。その時、増税前の総投資額に占める消費税の負担割合は4%(80万円÷2000万円)です。一方、増税後は5%(100万円÷2000万円)であるため、その差は1ポイントの増加に過ぎません。このように、建物価格の割合が低いほど、消費税の影響は少なくなります

実はマンションも土地と建物で構成される不動産です。そのため、土地の安い郊外に立地している物件、狭い敷地を高度利用して建てられた土地の持ち分が少ない物件は分譲総額で建物が占める割合が多いので、消費税増税の影響を受けやすくなります。

反対に、地価がとても高い都心に立地している物件や、広い敷地にゆったりと作られた土地の持ち分が多い物件などは、分譲総額に占める土地の割合が多いので、増税の影響を受けにくくなります。

このように、建物付きの土地などへ投資を考えており、増税の影響を懸念している人は土地と建物の構成割合に着目することが大切です。

(3)個人間売買の不動産投資
消費税が課税されない取引形態は「個人間売買」です。なぜなら、消費税は事業者を通じて徴収されるものだからです。売り主が業者であれば課税されますが、売り主が個人の場合には消費税が課されません

消費税増税の点に限ってみると、個人間売買であれば、もともと課税されないので増税の影響を受けない有利な取引といえます。現在でも一部で業者などを通さず、ネットで不動産を売買する取引がありますが、増税を契機に一層広まるかもしれません。

(4)住宅の家賃収入・店舗など家賃収入
投資する物件が住宅であれば、その家賃収入は、そもそも消費税の課税対象ではないので増税の影響は受けません。しかし、店舗や事務所、駐車場などの場合、家賃収入は課税対象であるため家賃は増税分が上乗せされます

家賃は納税されるというのが原則です、しかし、開業2年以内の会社や3年経過しても年間の売り上げが1000万円以下の個人事業は消費税を納める義務がありません。そのため、多くの店舗や事務所の個人不動産オーナーにとっては、増税で逆にメリットが増えることになるわけです。

もちろん、現状のテナントについては、消費税増税後の経過措置があって、すぐに家賃収入が増えるわけではありません。この益税問題への対応として消費税を納税する仕組みが変わることが決まっているので、長期的に続くものではないのですが、消費税の増税が投資にとってメリットとなる珍しい事例といえます。

結局は前と後でどちらが有利なのか?

では、つまるところ、増税の前と後ではどちらで投資をすればよいのでしょうか。あらためて、増税の影響をまとめると

■増税後も変わらない
(1)土地のみの投資、
(2)個人間売買による投資
(3)住宅の家賃収入

■増税後は不利になる
(1)建物や建物付きの土地の投資
(2)建物価値のウエイトが大きいマンション投資
(3)業者が売り主の物件に対する不動産投資
(4)不動産投資に伴う各種の手数料

■増税後で有利になる
事務所や店舗や駐車場の家賃収入

といえます。

このことから、変わらない投資(土地のみの投資など)を考えているのであれば、増税後を気にせずに自分のタイミングで投資をすればよいでしょう。一方、増税で不利になる投資(建物や建物付き土地の投資など)は、増税前に行動した方がよいといえます。事務所や店舗や駐車場は、有利になる増税後がよいのですが、その目的だけで投資すると思わぬリスクに足元をすくわれることにもなりかねません。そのため、投資をするなら、きちんとした計画を立てて行うべきです。

政府は消費税増税に伴う、不動産取引の落ち込みをなくすために住宅ローン減税、すまい給付金、リフォームポイント制度、住宅取得に関する贈与税非課税枠の拡大などを打ち出しています。しかし、これらはすべてマイホーム対策です。

最後に、投資用不動産は分野を問わず、増税後には、イニシャルコストで、さまざまな手続きの料金の増加があります。また、ランニングコストでは、維持管理や水道光熱費などの費用のほとんどが増税されます。そのため、増税は不動産投資にとって間違いなく逆風になると私は見ています。

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