• 海外不動産
  • 2019/10/4

倒壊しても大喜び?中国の「崩壊マンション」への驚愕の反応とは

日本では2005年、マンションの構造計算書偽造問題が世間を騒がせたことがありました。2015年には横浜でも「傾きマンション事件」が起こったのも記憶に新しいのではないでしょうか。

直近ではレオパレス21による大量の施工不良事件が話題となりました。

しかし、不動産バブルと言われて久しい中国での施工不良などの事例においては「さすが中国」と言うしかないほど驚愕の反応が起こっていました。

・マンションは倒壊するも「ガラス屋」が儲かった

2009年6月末、上海市閔行区に建設中だった「蓮花河畔景苑」という名前のマンションが倒壊しました。

当時も中国は不動産バブル真っ最中で、国民の目がマンション価格に釘付けの時期だったため衝撃は大きく、歴史的事件として記憶されています。

早朝5時30分、13階建てが11棟も並ぶ大規模物件のうち1棟が1階部分から折れたように倒れ、他の棟にもドミノ倒しのようになりました。当時の画像は「蓮花河畔景苑」で画像検索すると今でも大量に出てきます。

窓ガラス担当の出稼ぎ労働者だった建設作業員が1人犠牲となりましたが、幸いにも住民は入居する前でした。

この原因は「施工操作不規範(建設基準が標準化されていなかった)」と記載されています。

当時筆者は中国に駐在中だったため、別棟の購入者たちが「資産価値が落ちた」「どうしてくれる」と怒り狂ってこの話題で持ちきりだったのをよく覚えています。

しかし幸運にもなぜかガラスには全く損傷がなかったため、小さなガラスメーカーに注文が殺到したなどの噂が拡大していました。

ちなみにこのマンションは不動産価格の高騰がすべての傷を癒してくれたようで、2011年1月に11棟全棟の無事オープンにこぎつけています。

・マンション倒壊で住民は大喜び?

2019年8月28日は中国にとって厄日だったようで、全国各地で突風や竜巻が起こり少なくとも3ヶ所で古い建物の倒壊事故が起こりました。

しかし全国的な話題をさらったのは、天災とは関係なく起こった深圳市羅湖区のマンション倒壊でした。

現場は7階建てくらいの古い中層マンションが密集した場所で、そのうちの1棟が前のめりに倒れ、前方2棟の側面に寄りかかって止まりました。

この3棟は縦1、横2棟の位置関係だったため、3棟全体に大きな被害を受けたのです。

危険は事前に察知され住民は避難していたため死傷者は出ませんでしたが、148戸の800人が住まいを失いました。

ところが、住民はこの倒壊を喜んでいると報道されていたのです。

それは一体なぜでしょう?

深圳は北京、上海、広州とならぶ中国の一線級都市で、倒壊事故の羅湖区のマンション平均取引価格は、5万3509元、中心2区に次ぐまずまずのレベルにあります(1元=15.27日本円)。

中国メディアの報道によると、倒壊した建物が新たに作り直された場合現在370万元とされている物件は450万元も見込めるということ、さらに同じ価格水準なら88平米から114平米に移れる可能性もあるなどといった机上の計算であふれていました。

住民も新たに作り直された物件が値上がりすることは確実と考えたのか、マンションが崩壊してむしろ運が好い連中と羨望の眼差しすら漂っています。

・日本とは大違いのメディア報道

日本メディアは不動産業界に対しては、比較的厳しい目を向けているように筆者は感じます。

最近でもレオパレス21だけでなく、カボチャの馬車、TATERUなどの融資がらみの事件も、しっかり報道した印象を受けました。

しかし今回の中国メディアの報道は10年前に比べ、原因究明や住宅政策の問題点を探るという視点を明らかに欠いているどころか建て替え後の相場予想に明け暮れている始末のように思えます。

・金銭ばかり向いている中国

10年前までに不動産を購入した中国人は、ほぼ間違いなく値上がり益を得ています。

中国の地方政府は半分不動産開発商のような組織だと筆者は思っていますが、こちらも大いに潤ったのでっはないでしょうか。

現在の中国メディアも相変わらず金銭にまつわるところばかり焦点を当てています。

このような風潮については有力な企業人でさえ「中国人は金銭の方ばかり向いている。」と嘆いており、さすがに行き過ぎという意識は強いように感じます。

しかし今回のマンション倒壊事件は、それが是正されてないことを世界にさらすことになりました。

日本のような成長しないデフレ経済も問題ですが、中国流の拝金主義はより是正すべき深刻な問題でしょう。

中国人には、もう少し落ち着いてほしいものです。