• 海外不動産
  • 2019/10/29

バブル崩壊のカウントダウン?データから読む中国不動産の未来

中国において9月と10月は「金九銀十」と表現され、収穫期や商売が盛んな季節の比喩としてとてもよく使われます。

その黄金の季節である9月に中国の「70大中都市住宅価格変動状況」が発表されました。

このデータを元に、高止まりしているかのように見える中国の不動産価格は一体どの方向に向かっていくのか予測してみることにしましょう。

・中国不動産の住宅価格データに「4つの最」が出現

まず70都市においての新築不動産価格(前月比)は、下降しているエリアが12都市、横ばいとなっているのが5都市、上昇となったのは53都市でした。上昇のエリアの中で一線級都市(北京、上海、深圳、広州)では0.4%増、北京と広州は変わっておらず、また上海は0.5%、深圳は1.2%の上昇となりました。

続いて中古住宅を見ていきましょう。中古住宅の不動産価格は下降エリアが40都市、横ばいとなったのが4都市、上昇していたのは28都市でした。

このデータだけを見てみると新築は上昇している都市の方が多いこともあり、相変わらずバブルが続いているように見えますが現地ではどのようにとらえているのでしょうか。

まず、中国の官製メディアは概ね平穏と伝えていますが、経済メディアはもっと踏み込んでいました。

  • 新築上昇都市53は、今年最少
  • 新築下降都市12は、今年最多
  • 中古上昇都市10は、今年最少
  • 中古下降都市28は、今年最多

経済メディアは上記のような判断をしており、4つの「最」が出現したことで不動産価格に新情況が出現した、と報じているのです。

・中国不動産は冷却された状況

経済メディアはこのような新情況に関して「跳水、それとも有点涼」……つまりダイブした結果冷却してしまったのか、それとも少し涼風が吹いただけなのかについて以下のように推測しています。

  1. 中古市場が冷え込んでいる。下降した28都市には、北京、広州、天津、杭州、厦門、青島、武漢、西安、成都、など経済の元気な拠点都市を含んでいた事は近年には無い状況。
  2. 新築の下降は12都市、前月比から見れば2都市の増加にだけであるが、今年のデータの中では過去最多となった。
  3. 上昇をけん引していた2~3線級都市の上昇にブレーキが掛かっている。新築は0.6%増、中古0.8%増とそれぞれ落ち込んだ。

冒頭で説明した「金九」の活況を期待していた中国不動産業界でしたが、多くの指標は今年に入ってからのデータを見ていくと下向きに終わり、これはもう涼風ではなく冷却ではないか、と予測しています。

・不動産購入制限も「なし崩し」に?

このような状況を受け、各地方政府は細かい施策を繰り返してハードランディングを阻止しようとしています。

まず天津市は新政策を公布して住民を呼び込もうとしています。

隣接する北京の住民で、天津市の戸籍や納税証明がなくても、天津市での不動産購入を1軒に限り認める、というものです。ただし、北京の首都機能には配慮をする事が条件となります。

また海南省・三亜市でも似た政策を打ち出しています。

四年生大学卒以上の学歴の者で、三亜市での就業経験、社会保障費納付、個人所得税納付実績がそれぞれ1年あれば、三亜市での不動産購入を可能とします。日本なら学歴差別で大問題となりそうですが、中国らしいといえばらしいのでしょうか。

その他にも上海臨港新片区、広東省・珠海市、浙江省・杭州市など各地で不動産の購入を制限する政策であった「限購政策」を見直すような動きが盛んとなっています。

・崩壊カウントダウンか、それとも?

一方で、不動産市場には希望が見えるという記事もあります。

その理由として、銀行融資の緊縮政策が続いたため不動産大手のキャッシュフローが軽くなっている。不動産巨頭の売上げは順調だが当初予算にはまだ距離があり、思い切った販促をかける可能性がある。また安くなれば購入のチャンスを狙っている潜在客は多い、の3点を挙げています。強いて言えば、光も見えるといった感覚です。

黄金の9月は若干の期待はずれとなりましたが、それほど深刻なレベルには至りませんでした。

しかし筆者が見る限りネットメディアの不動産記事は、バブル崩壊の予感を押し殺したような筆使いが目立ちます。

不安をあおらないように、しかし危険は指摘しなければならない、と躊躇しつつ書いているような印象を受けました。

崩壊カウントダウンが早まるのか、小春日和にもどるのか。「銀の10月」のデータが2020年のカギを握ることになりそうです。