• 海外不動産
  • 2019/6/24

アリババとテンセントは「中国不動産業界」を救えるか

中国では大衆による創業や構造改革、政策の進行に伴ってAI、IOT、ビッグデータ等の技術が進歩しています。

そのため常に産業や業態、ビジネスモデルが刷新されていき、新経済(ニューエコノミー)という表現が盛んに聞かれるようになりました。

また不動産業も最近では、新経済をリードするIT巨頭「BAT」(バイドゥ、アリババ、テンセント)が進出して来ているために従来型オールドエコノミーとは言えなくなって来ています。

果たして彼らはこれからの中国の不動産業界に何をもたらすのでしょうか。(高野悠介・中国貿易コンサルタント).






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・IT巨頭である中国の「BAT」(バイドゥ、アリババ、テンセント)

日本でも少しずつ浸透しているのでご存じの方は多いかも知れませんが、「BAT」に関して少しおさらいをしておきましょう。

まず「B」であるバイドゥ(百度)は中国最大の検索エンジンです。自動運転、スマートスピーカーなどを手がけている巨大企業です。

次に「A」のアリババは中国最大のECサイトを運営する企業で、世界的にもトップクラスのシェアをほこる巨大企業です。

総合金融、信用スコア、モバイル決済、クラウドなどを手がけていて、そのうち決済システムであるアリペイは日本にも進出しているため、馴染みが深い方も多いのではないでしょうか。

最後の「T」であるテンセントは、中国最大のゲーム会社です。中国最大のSNSである「Wechat」を運営していて、モバイル決済なども手がけておりこちらも世界規模の大きな企業です。

BATはいずれも投資戦略にも長け、エンタメや小売業など生活に深く関わっている企業から、AIその他のハイテク企業までかなり幅広い分野に投資をしています。

またスタートアップ企業の育成にも熱心なところもBATの特徴と言えるでしょう。

・バイドゥやアリババは中国不動産界にどう関わっているか

それでは、BATがどのように不動産投資に関わっているのか見ていきます。

バイドゥは、最も早く不動産業に進出しました。

2010年に不動産紹介サイト「百度楽居」を展開し、2011年に同「安居客」に戦略投資を行いました。
また2016~17年にかけては「鍵家」シリーズのB~D融資団に参加し、2017年は「祖了磨銭包」などの新しい不動産金融商品を発表しました。

続いてアリババは金融業で成功を収めた後に、不動産投資を始めました。

まずは2015年にドイツ人留学生向け賃貸サイト「Nest pick」と、仲介サイト「宅急捜」に出資しました。

2016年は傘下の中古品アプリ「閑魚」に不動産物件を追加し、そして2017年には長期賃貸の「蘑菇租房」に出資します。

その後2018年の2月にはホームセンター大手「居然之家」に出資し、同じ年の7月には仲介サービスの「易居」、続いて11月には内装市場サービスサイト「神工007」に2500万ドルの戦略投資を行いました。

テンセントは2014年以降、不動産業界に広く目配りをし、商業不動産や賃貸マンション、不動産アプリや内装など多方面に細かく投資しています。

とくに昨年は長期賃貸の「自如網」と商業不動産大手の「万達集団」に投資するなど、アリババ同様に活発な動きを見せました。

・アリババやテンセントは中国不動産を救えるか

まずは昨年末に大塚家具が業務提携を行った、アリババ関連企業である「居然之家」(中国家具販売の大手)を見ていきましょう。

中国は日本と違い、新築マンションの内装を買い手が行うため、広範な建材市場があります。そのためホームセンターの多くは、建材売場と内装工事部門を持っています。

アリババがは2018年に居然之家に出資した後、同社店舗の275店舗中41店舗をO2O型の大改装を施しました。

その効果は直ちに現れ、同年11月11日の独身の日セールでは、1日に120億元を売上げ、世間を驚かせました。建材、内装市場へ進出し、不動産業と一体化させ、その橋渡しを目指しているようです。

続いて2018年1月、中国の不動産大手である「大連万達集団」(ワンダ・グループ)にテンセントが投資したことも大きな話題を集めました。

資産圧縮を求められ窮地に陥っていた万達集団へ手を差し伸べ、救済する形になったからです。

それから1年3ヵ月が経過した今年の5月上旬、北京の万達広場(万達集団が各都市に展開する大型ショッピングモール)に、万達集団の董事長(法人を代表する責任者)王健林と、テンセントの創業者である董事局主席・馬化騰が現れました。

この大型モールは万達集団が不動産基盤を提供し、テンセントが仕組みなどを提供した共同作品であり、消費者を1ランク上の未来体験へと導くものとなっています。

大富豪2人揃っての登場は良好な関係を強烈にアピールし、その後万達集団は大型モールの出店を再開、6月には4店舗オープンさせました。

・ニューエコノミーに向かう中国不動産業界

2019年に入り、各社の投資はさらにグレードアップしています。

アリババは投資機構と連合し、高級マンションの「蛋穀公寓」に5億ドル融資を行いました。またテンセントは「貝穀找房」に8億ドルの巨額投資をしています。

これに対しネットメディアは、不動産業界も、アリババVSテンセントの生死をかけた戦いの場となりつつあると煽っています。

IT巨頭はデジタルチャイナの建設に貢献する、という使命感を事あるごとに口にし、その彼らの進出により業態を超えたホームセンターや大型商業施設のデジタル化が大きく進みました。

これらの作用が不動産業界の刷新、ニューエコノミー入りに通じるかどうか、今後の動きには大いに注目して行きましょう。

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