不動産投資にも色々な種類がありますが、その中でも一棟アパート投資は初心者やサラリーマンの副業としては比較的ハードルが上がってきます。どのようなところに気をつければ良いのか、一棟アパート投資の性質を見ていくことにしましょう。(尾嵜豪・不動産コンサルティングマスター、ウィンドゲート代表取締役)
目次
不動産投資における「一棟アパート」とはどういうものか
不動産投資における一棟アパートとは、木造又は鉄骨造で出来た6〜12室程度のものを指すことが多いのではないでしょうか。
大体一部屋当たり15平方メートル〜30平方メートル程度で、一人暮らしの学生や社会人が借りるワンルーム又は1Kの構造が主となります。
もちろん部屋数の多いファミリー向け物件もありますが、面積も大きくなるため、一棟1億円以下の投資マーケットにはあまり出てきません。
一棟アパート投資の魅力はたくさんある
一棟アパート投資は一度に複数の部屋を貸すことが出来るのが魅力でしょう。
一部屋や二部屋の空室が出たとしても、賃料収入がゼロになることがありません。
特に融資を受けて不動産投資をしている方にとっては、収入がゼロになることは高いリスクです。空室率は基本的にマーケットの論理から駅からの距離と賃料のバランスで決まるのですが、時折マーケットにあっているのに全く入居者が決まらないことがあります。
その場合、例えば区分所有で月に30万円の家賃だと一気にキャッシュフローがおかしくなってしまいます。
しかし一棟アパート投資で賃料5万円の部屋が6部屋所有とすると、1部屋や2部屋空室になってもなんとかしのげます。
また一棟アパートの場合は管理組合がないので、自分のペースで管理・修繕ができるのも魅力でしょう。
一棟アパート投資で最もデメリットとなるものは?
一棟アパートのデメリットは金融機関から融資額を引き出すのが難しいことです。
共用部すべてに所有者責任があるため、定期的な修繕も必要となってきますので、お金に余裕のある投資家向けかも知れません。
また木造アパートの場合は、所有中に建物が寿命を迎えることも考えなくてはならず、居住者の退去依頼・解体・再建築などもすべて行わなければなりません。
費用も多く掛かることから、区分所有よりも高い利回りが必要ですしさらに中古物件だと高い利回りで購入するなども事前に考えておくとよいでしょう。
注意すべき「一棟アパート投資セミナー」の内容
一棟アパートの購入を考えている場合、大手仲介会社のアパートセミナー、又は経験豊富な不動産コンサルタント主催のセミナーに行ってみると良いでしょう。
購入後のケアまで任せられる、ネットワークを広く持っている会社や講師主催のセミナーの方が安心です。
また、一棟アパート投資は知識からノウハウまで、区分所有の投資とは比べられないほど手間がかかります。
一棟アパートがさも簡単であるようにうたっているセミナーには注意すべきでしょう。
そして木造や鉄骨造は減価償却の耐用年数が短く、中古物件の場合は融資の返済期間が短くなってしまうこともあり、区分所有物件より融資額が少なくなりがちです。
年収1000万以下のサラリーマンの副業としてはハードルがかなり上がりますので、煽りトークに乗せられないように気をつけましょう。
ポイントは「信頼できる不動産コンサルタント」を味方にすること
一棟アパートは区分所有に比べ投資の難易度が上がるため、アービトラージといわれる物件価値と価格のムラが出やすくなります。
うまくいけば市場価格より安く買えるなど、大きく稼ぐことも可能です。ただし、一度失敗すると立ち直れない大けがをするのも一棟アパートです。
しっかりと知識をつけ、信頼できる不動産コンサルタントを味方につけ、キャッシュが出来たころにはぜひ挑戦してほしいと思います。
よりよい投資ライフになりますように。