シリーズで行っている初心者向け外国株投資入門ですが、今回は中国株式に焦点をあてて解説をしていきましょう。
中国株式は一部制限があるものの、海外個人投資家が購入することは可能です。
中国株はどのような仕組みになっているのか、また今後期待できそうかどうかについて解説していきましょう。
・いまだに経済成長率6%台を維持している中国
中国経済は、米中の関税問題等の影響を受け足元では減速気味ですが、それでも2019年4~6月の実質経済成長率(速報値)は6.2%です。
四半期成長率が比較可能な1992年以降では最低の成長率となっているものの、6%台の成長率を維持できるならば、今後も世界経済におけるプレゼンスは一段と高まっていくと想定できるでしょう。
中国は、世界全体のGDPの15%超を占めるにいたっており、世界経済成長において中国なしには語ることができなくなっています。
そのため、地域分散、世界経済の成長の恩恵を受けるために、中国株式への投資は今後さらに浸透していくと考えられます。
・特殊な中国株式市場のしくみ
中国の株式市場は2つあり、本土と香港に分かれています。この市場では株式の購入方法が異なりますが、まずはザックリ特徴を見ていきましょう。
(1)本土:上海、深セン証券取引所
中国株式は、中国本土では上海と深セン証券取引所で上場しています。
上海と深センにはA株市場とB株市場があり、海外の個人投資家は基本的にはB株市場で売買ができますが、一部の銘柄に関しては海外個人投資家が上海A株市場、深センA株市場でも投資できるように変わってきています。
A株、B株いずれにも発行する上場企業もありますし、株主の権利といった点ではいずれも違いはありません。
何が違うかというと、A株市場は人民元で取引されており、以前は中国本土の投資家のみが投資できる市場であったという点でしょう。
ただ今は一部A株市場も海外個人投資家も購入できるため、そのハードルも下がってきています。
なお中国国内の個人投資家もA株だけではなくB株への投資も可能です。
またB株市場では、上海は米ドル、香港は香港ドルで取引されている点が特徴といえます。
基本的にはB株市場は、海外マネーを取り込むために創設された市場ですが、B株市場で上場する企業はA株市場に比べると少ないため、どうしても制限がある点は否めません。
<ポイント>
・A株市場:人民元(以前は中国本土の投資家のみが投資できたが、ハードルが下がりつつある)
・B株市場:上海・米ドル、香港・香港ドル(海外マネーを取り込むために創設された市場)
(2)香港:香港証券取引所
また、香港証券取引所で売買を行う方法もあります。
香港市場においては2つ市場があります。
日本でいう東京証券取引所市場第一部のような存在で、世界で見ても主要となるような企業が上場している「メインボード」と、中小型株が対象となる「GEM」です。
こちらは海外個人投資家でも全銘柄が自由に投資ができる仕組みになっています。
メインボード、GEM市場で上場する株式は、H株、レッドチップ、それ以外に分けることができます。
H株は香港市場で取引が行われている銘柄を指し、中国本土にある会社が香港市場で上場した場合に該当します。
香港市場から海外マネーを取り込む仕組みとなっており、これらの株式は中国本土の法律が適用されます。
なお、香港市場全体の動きを示すものにハンセン株価指数と言うものがあります。
またレッドチップは、香港市場において中国政府系資本が30%以上を占め、企業の登記が中国本土以外にある企業を指します。
通常はケイマン諸島やバミューダ諸島などタックスヘイブン地域で登記されています。
H株やレッドチップに該当しないものは、香港の企業であったり、海外の企業で香港に上場しているケースが該当します。
<ポイント>
・メインボード:東証1部のような存在
・GEM:新興市場のような存在
・H株:中国本土にある企業
・レッドチップ:登記が中国本土以外にある企業
・中国株は他の外国株の取引方法と違う
中国株式市場の特徴としては様々な市場があること、また独特な仕組みを持っている事はご理解いただけたでしょうか。
次回は、中国株式指数や上場企業の特徴、実際にどこで売買できるのか解説していきます。