不動産投資に行うときに物件選びも肝になります。
特にマンションとアパート、一戸建てで迷う方は多いですが、その明確な違いについて本当に理解できているのでしょうか。
今回はおさらいを兼ねて、具体的にどのように違うのか建物の種類について掘り下げて行きましょう。(田井能久・不動産鑑定士、ロングステイアドバイザー、タイ・バリュエーション・サービシーズ代表取締役)
目次
・「マンション」の正式な定義とは
2000年のマンション管理適正化推進法の第2条において「複数の区分所有された住宅専有部分を持つ建物」と定義されていますが、もともとは団地とは異なる、おしゃれな共同住宅を「マンション」と名付けた俗称が定着化したようであります。
一般的には分譲でRC造のものを指しますが、「賃貸マンション」という言い方もされ、構造もSRCのものもありますがやはりマンションと称されています。
ちなみに外国ではマンションという言い方はせず、「コンドミニアム」が日本のマンションに該当します。
>>米国在住ジャーナリストから見る「リアルなアメリカ不動産投資事情」とは
・マンションは利回りが劣ることも
マンション投資のメリットは、やはり建物そのものがよいイメージがあるため、立地条件と賃料設定さえ間違えなければ、空室リスクが少ないことが考えられます。
耐震性や長期にわたる収益性が期待でき、さらに近年は、ファミリータイプ以外にも単身者向けのワンルームタイプ、新婚夫婦などにピッタリなコンパクトタイプなど多彩なサイズの物件を選べるほか、資金的に余裕があれば一棟まるごとの投資も可能です。
一方で特に分譲用に関しては、収益性に直接寄与しないエントランスの解放感や共用設備が充実しているといった部分が不動産価値を決めます。
そのためその資産価値に見合う賃料が収受できず、維持管理費も高い傾向にあるため、利回りが劣る可能性があることがリスクになるでしょう。
また1階の場合はエレベーターは使わないのに、専有面積に応じて相応の費用を負担することも必要になる場合があります。
供給も多くすぐに新築の競合物件が出来るため、賃料の維持が出来ず、下げざるを得ないような事態が起こりやすいとも考えられます。
・アパートは「安い」?そのイメージの由来
建物の内部を区切って独立した住居にした建物をいい、英語の「apartment」がその由来となっているようです。
平屋または2階建程度の低層で、木造または鉄骨造の共同住宅のことをいいます。
またよく似たもので「コーポ」や「ハイツ」などもあります。
かつてのアパートは構造が木造で、「木賃(もくちん)アパート」など揶揄されるような、設備が不十分な、安い共同住宅が主流でした。
そのため、「アパート」には安宿のイメージがあるため、それを避けるために「コーポ」や「ハイツ」などの名称が用いられるようになりましたが、外観上や構造上に関して明確な違いはないと思います。
・アパート投資は選択肢が多いが、欠陥物件を売られる事も?
アパートの不動産投資上のメリットは何よりもマンションに比べて投資金額が低いため、安い賃料で部屋を貸すことが出来ます。
建築期間も短く設備も少ないのでランニングコストも比較的少額で済むことや、アパート投資の場合は一棟で持つことが多いため貸し出す住戸は複数になり、その結果空室リスクが分散できることが考えられます。
投資する商品やローンも充実しているため、多くの選択肢があるでしょう。
ただ設備、耐震性、耐久性に関してはマンションに比べて劣るので早期に投資を回収する必要があるでしょう。
また相続対策などを理由にアパートオーナーとなる事例が多く、もともと賃貸需要が限られた郊外の地域に競合物件が次々と建つ事例も散見されます。
比較的手軽に不動産投資が始められるため、建築費や管理費をオーナーに請求し、欠陥アパートを売りつける業者などが多いことも問題です。
・「一戸建て」はどのような形態をさすのか
一般的には共同住宅と異なり、一つの敷地に一つの建物がある形態を一戸建てと称しています。
しかし敷地内に離れや倉庫など複数の建物があっても「戸建」といいますし、建物は一つしかないけど、1階やお店で2階が住居など複数の用途で構成されていても、やはり戸建のカテゴリーに入ると思います。
しかし、一般的には木造の平屋や2階建て程度で庭があり、主に住宅として使われているものが一戸建と考えていいかと思います。
・一戸建てのメリット
すべての施設を所有者や賃貸人が独占的に使えるため自由度が高く、また市場で供給される一戸建ては共同住宅に比べて少ないため、賃貸ニーズが高く契約期間が比較的長いのが特徴です。
契約に関して日常的な維持修繕を賃貸人負担にすれば、固定資産税以外のランニングコストがほとんどかからないことも大きなメリットといえるでしょう。
ただ賃貸向けに開発されている戸建住宅はまだ少なく、敷地とその上にある建物をたった一人の賃貸人に貸すため、設定できる賃貸総額に上限があり収益性が劣る傾向にあります。
日常的な管理は賃貸人にお任せできても、屋根や壁や主要な構造部に不都合が生じた場合の修繕やリフォームはすべて所有者が負担するものであるので、コストが掛かる可能性が高いです。
またマンションとは異なる防犯対策費や、近隣住民との関係性を保つ努力も必要になる場合もあるでしょう。
・不動産投資における建物種類の留意点
共同住宅はアパートかマンション、戸建住宅への投資が一般的です。
なお少し前に融資で問題となっていたシェアハウスは新しいライフスタイルに沿ったこれからの形の住宅であり、今後もこのような新しいトレンドやジャンルが出現する可能性もあります。
建物の種類に関しても基本を押さえながら、新しいトレンドにも気をつけて見ていくことも重要となるでしょう。