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  • 2019/8/25

米国ジャーナリストが見る最新アメリカ不動産【vol.9】魅力的なエリア(3)オレゴン州

米国ジャーナリストが見る最新アメリカ不動産【vol.9】

日本からのアメリカ不動産投資では、人口や産業の規模が大きく、物件の高騰率も高いカリフォルニア州やテキサス州などが主な注目を集める事が多いのではないでしょうか。

しかし地方にも目を向けると、お手頃価格で、将来的な価値の増大が見込める優良物件がたくさんあるものです。

成長が著しい中規模都市を抱え、しかも緑豊かな自然が身近なオレゴン州は、全米各地から高給の仕事やよい大学や快適な住環境を求めて人口流入が続く有望な投資先のひとつです。

自動車より自転車や歩行者を優先し、地産地消にこだわるエコなオレゴン州は、雄大な山々、森林浴に適したハイキングコース、エメラルドの水をたたえた湖、海の幸が豊かな沿岸地域、多様な食文化、世界的に有名で味に定評があるワイン農園、ファーマーズマーケットに山積みにされる新鮮な野菜や果物など、住宅投資だけでなく「人生の楽しみ」もたっぷり味わえる場所です。

自動車社会の常識に逆らって、市街中心部にあった既存の高速道路を撤去して公園にしたり、道路舗装をはがして歩行者天国や家庭菜園に変えてしまう、ちょっと「変わり者」のオレゴン州。そんなオレゴンの不動産の魅力に迫ります。

・「全米一住みたい街」のランキング上位

オレゴン州の人口は414万人で、増加のペースは年率0.9%前後、州の国内総生産(GDP)は2272億ドルと、全米の約1.15%を占める一地方に過ぎません。

しかし、北部にある人口が約65万人のポートランドは、「全米一住みたい街」ランキングの常連であり、人口増加に伴う賃貸向け物件価格が堅調に推移するなど、良好なリターンが期待でき、ほかの州内の中都市にも投資に向いたところがたくさんあります。

州の中間住宅売却価格は2015年の239000ドルから2019年の345000ドルへと、4年間に10万ドル以上も上げていますが、前年比の上昇率は2018年の5.6%から2019年には3.9%と、落ち着きを見せ始めています。

州の産業としては、カリフォルニア州ベイエリアのハイテク集積地「シリコンバレー」に因んだポートランドのITのメッカ「シリコンフォレスト」が存在感を増していることをはじめ、スポーツウェア大手の米ナイキ、米コロンビアスポーツウェア、チタン合金やニッケル合金製の民間・軍用機エンジン部品、機体構造用部品などを航空宇宙、産業機器市場向けに製造する米プレシジョン・キャストパーツ、金融大手の米スタンコープ・ファイナンシャル・グループなどが本拠を構えています。

失業率が低い一方で、2017年から2018年には雇用増大率が2.7%と、全米5位の成績でした。

環境への関心も高く、地球にやさしい「グリーンテクノロジー」の中心地でもあります。

さらにヘルスケア産業が進んでいることでも知られており、こうした先端産業のほか、林業や木材産業、農業、食品産業、製造業、観光業、サービス業など従来型の産業も盛んです。

特筆すべきなのは、教育レベルが高いことでしょう。

コスパが高いオレゴン大学をはじめ、オレゴン州立大学、ポートランド・コミュニティカレッジなど優良な教育機関が揃っており、不動産価値を押し上げる要因となっているため、こうした大学の所在地では、投資向けの賃貸物件も豊富に出回ります。

・ダントツ人気のポートランド

住民自治やまちづくりの活動が盛んなポートランドは、州最高峰のマウントフッドへ車で1時間半ほどの近さであり、壮大な景観の海岸からも遠くありません。

周辺の川での釣りは家族連れに人気ですし、ナイトライフや地産ビールもクオリティーが高いと評判で、全米主要都市への高速道路やフライト網も大変便利、風光明媚な路線を通る鉄道網も整備されています。

このようなアクセスの良い好立地でありながら、サンフランシスコやシアトルなのどの西海岸の大都市などと比較すると住宅価格はまだまだ安いレベルで、中間住宅売却価格は2019年で426000ドルとなっており需要が供給を常に上回っている状態です。

そのため良い物件や個性的な住宅が売りに出ると、売り出し価格を上回る複数の高額オファーがつき、価格が吊り上がる傾向にあります。

賃貸物件に関しては、州全体の空室率が2005年の6.39%から2016年には3.17%まで低下、同時に家賃は13.79%も上昇するなど、売り手市場です。ポートランドには高収入で、家賃を遅滞なく支払う上客の入居者が多いことも魅力のひとつでしょう。

またポートランドは年間870万人の宿泊客が滞在する全米有数の観光都市であることから、民泊のAirbnbも住宅投資のオプションとして人気があります。

転じてそのポートランドから無料高速道路で南へ約1時間の内陸部に位置する州都セーラムは、新規流入した住民が増加を続ける活気のある人口17万人の都市となっています。

主要産業は農業、林業、製造業などで、ポートランドよりもコンパクトであるため、中間住宅売却価格は2019年で283000ドルと、お手頃です。

・知識人などが多い洗練された街

一方、セーラムからさらに南に1時間ドライブをすると、オレゴン大学の所在地である人口17万人の大学街のユージーンに着きます。

知識人などが多く住む洗練された雰囲気が自慢であり、良い大学へ卒業生を多く送り出す高校がいくつかあるため、中間住宅売却価格は少し高めの313000ドルとなっています。親が家賃を支払ってくれる学生が多いため、安定した賃貸収入が望める物件の投資先として適しています。

その他、太平洋に面した風光明媚な沿岸部にあるニューポートやフローレンス、カリフォルニア州境に近いクラマスフォールズやメッドフォード、雄大なシスターズの山々に囲まれたシスターズやベンドなど、それぞれに特徴を持った個性豊かな投資先が目白押しです。

リスク要因としては、地震や洪水、また沿岸部では津波の恐れがあり、さらに賃貸物件の家賃の価格統制の法律が新たに施行されたため、投資効果について十分に地元のエージェントなどと相談されることをお勧めします。

次回は、日本人のあこがれの街ニューヨーク市のある、ニューヨーク州をご一緒に見てまいりましょう。