• 海外不動産
  • 2019/11/23

米国ジャーナリストが見る最新アメリカ不動産【vol.13】不動産にかかる固定資産税は?

アメリカの不動産を投資目的で購入する際に注意したいのが、毎年納めなければならない固定資産税です。場所によって税率や優遇措置がバラバラであり、その特性を知ることが投資計画や投資効率において成功する秘訣です。

本記事では、①固定資産税は全米一律ではなく市郡が徴収、②一番お高いのはニューヨーク市近郊、③査定価格は実勢価格に近い、④現地に住まない遠隔投資にはより高い課税も、の4点に絞って日本の制度との違いを解説して行きましょう。

・各都市によってバラバラな税率

日米の固定資産税の仕組みで最も大きな違いは、全国一律の標準税率が評価額の1.4%である日本に対し、アメリカでは各都市によって税率がバラバラなところでしょう。

税の徴収を行うのが連邦政府でも州政府でもなく、物件が位置する市や郡が徴税を行い、市郡議会に税率決定の裁量がゆだねられているからです。

そのため同じハワイ州内でも、マウイ島などを管轄するマウイ郡では固定資産税が評価額1,000ドルあたり0.53%で5ドル30セント、ハワイ島が所属するハワイ郡は1.05%で10ドル50セント、カウアイ島があるカウアイ郡は0.605%で6ドル5セント、ホノルル市が所在するオアフ島のホノルル市郡が0.35%で3ドル50セントとバラバラです。

一番人口が集中するホノルルの固定資産税率が州内で一番低い理由は、人口規模で比較的大きな税収が確保できるからです。税収は市郡政府の主な歳入源となり、学校、水道、警察や司法などの市民サービスの財源となります。

固定資産税が高くても治安や学区がよければ住みたいという人が増え、むしろ投資物件の価値を高めることにつながりますので、しっかり納めることが投資家の利益になるとも言えるでしょう。

固定資産税の算定は、市郡の税務局に指名された査定人が不動産の額(通常の一軒家であれば、土地と建物の価値)を鑑定し、その評価額をもとに税額を計算します。

場所によって査定の基準日は異なり、11日のところもあれば、7月や10月の場所もあります。たとえばハワイ州の場合、固定資産税年度は毎年71日が期首で、630日が期末になりこれもまちまちのため、日本に住んでいる投資家の場合はクレジットカードによる支払いが一般的です。

・一番高いのはニューヨーク市近郊

各地で税率が違うアメリカの固定資産税ですが、2015年の統計を基に、各州の中間値を見てみましょう。

東部ニュージャージー州の2.38%を筆頭に、中西部イリノイ州が2位で2.32%6位の南部テキサス州の1.90%などが目立ちます。一番低い税率が、物価が高いハワイ州なのは、意外ですね。

 

>>引用元:How High Are Property Taxes in Your State?(外部リンクに飛びます)

しかし、これはあくまでも州単位の数字であり、実際の徴税を行う市郡単位で見ると、かなり相違が出てきます。

下の2017年の統計に基づく地図では、固定資産税額の高い市郡ほど色の濃い紫色で表されていますが、ニューヨーク市やその近郊、ニュージャージー州などの東部の大都市、イリノイ州のシカゴやカリフォルニア州のベイエリアでの支払い額が大きいことがわかります。

>>引用元:Which Places Pay the Most in Property Taxes?(外部リンクに飛びます)

こうしたなか、市郡単位での課税額を全米規模で比較しますと、全米トップ10位中9位までがニューヨーク市近郊で占められています。物件そのものが非常に高額なニューヨーク市近郊では、固定資産税額が軽く年間2万ドルに迫る場合があります。

ちなみに、全米平均の固定資産税額は統計の取り方によって、2,279ドルから3,399ドルあたりと、心配に及ぶような額ではありません。また、査定額に不満がある場合には、再査定委員会に対して再査定を申し立てることもできます。

・査定価格は実勢価格に近い

日本では固定資産税の評価額が実勢価格の「七掛け」や「半分」である場合が多いものですが、アメリカでは算定の仕組みが違っており、より市場価格に近い数字を出すようになっています。

日本からの遠隔投資で住宅を購入する場合、特に気を付けなければならないのが、一部の州では、自分の自宅(owner occupiedあるいはhomestead)に課せられる税率と、投資用物件にかかる税率が異なり、投資用物件のほうが若干高くなることです。

この制度が適用になる州には、ニューヨーク、テキサス、ハワイなど日本人投資家に人気の州があります。現地の「主たる住居」で生活してお金を落とす人を優遇するのです。

ただし、価格が100万ドルを超えるような物件でない限り、その差は数百から数千ドルの範囲内であり、一般的には心配には及びません。

・現地に住まない遠隔投資にはより高い課税も

アメリカの固定資産税の特徴を見ていきましたが、税制にも異なる国柄が表れており、面白いですね。

ただ複雑で多様化している事もあり、投資を考えている市郡に詳しい米国公認会計士(Certified Public AccountantUSCPA)に依頼されることを強くお勧めします。

今回で連載は終わりになります。アメリカの不動産に対する投資を楽しく考える一助をさせていただけたのであれば、それに勝る幸いはございません。

これまでのご愛読をどうもありがとうございました。