• 海外不動産
  • 2019/11/13

米国ジャーナリストが見る最新アメリカ不動産【vol.12】居住していない人向けの納税ルールとは?

アメリカの不動産を投資目的で購入した後に利益が生じると、米連邦政府と州政府に対して納税の義務が生じることをご存じでしょうか。

主に、賃貸収入と売却収入に対して税金がかかります。

そのため、投資の前にこれらの仕組みをよく理解し、納税額を含めた利益予想を立てた上で購入することが重要になってきます。今回は、アメリカに居住していない人向けのルールを簡単に説明し、日本在住の投資家が注意すべき点を、いくつか学んで行きましょう。

なお不動産所得にかかる州税は各州でそれぞれ適用が異なりますので、当記事ですべてを扱うことができません。一般的に連邦税よりはるかに額が少ないので心配には及びませんが、専門家によく相談されることをお勧めします。

今回は、個人名義で購入した不動産にかかる連邦税のみを見ていきましょう。

・賃貸収入の申告方法は?

アメリカで不動産賃貸の所得が生じた場合は、原則としてその年の翌年の415日までに米内国歳入庁(IRS)に申告と納付を済ませなければなりません。賃貸所得とは、賃貸収入から賃貸経費を引いたものです。

経費には広告宣伝費、旅費・交通費、支払手数料、保険料、専門家報酬、住宅ローンの利息、その他の利息、物件管理費(マネージメント・フィー)、庭師や配管修理などの維持修繕費、租税公課、水道光熱費、減価償却費(定額法で27.5年)を含めることができますので、領収書や記録はすべて保存しておきましょう。

賃貸所得は、ウェブを使って日本からでもダウンロードと申告が可能な非居住者外国人向け提出書式1040NR (Nonresident Alien Income Tax Return)で申告します。

純利益がマイナスになった場合は納税の必要がありませんが、そのような場合でも期日までの申告は行う必要がありますので、ご注意ください。

・売却収入の申告方法

非居住者がアメリカ国内の不動産を30万ドル以上の価格で売却した場合、売却益の部分だけではなく、まるごと売却価格の15%の連邦所得税が源泉徴収されます。

この他に、カリフォルニア州のように州税(3.3%)が源泉徴収される場所もあります。

賃貸所得と違い、非居住者の不動産売却時には自動的に源泉徴収が適用されますので、申告は必要ありません。

なぜ非居住者の後払いができないかと言いますと、住宅を売却して手に入れた大金を持ったまま、税金を納めないで外国へ消えてしまうケースを防ぐためです。

一般にアメリカ不動産の売却に対しては日米両国で申告納税義務が発生しますが、二重課税が生じた場合でも日米租税条約の適用を受け、日本で外国税額控除の適用を受けることができます。

また、売却価格が購入時の簿価を下回るなど、譲渡益が発生しない場合はIRSが発行してくれる源泉徴収税の減免証明(Withholding Certificate)を提出すれば、支払った税金の払戻しを受けられます。

源泉徴収後には、IRSの収納印が押されたForm 8288-Aという証明書式が住宅の売手に送付されます。この書式は必ず保管しておき、売却の翌年415日までに行う確定申告の際に添付します。

なぜ源泉徴収で納税したにもかかわらず確定申告が必要か言うと、確定申告の税額と源泉された税額を比較し、源泉金額で足りなければ追加の納税を行う一方で、源泉金額の方が多ければ還付を受けられるからです。

この確定申告が完了すれば、アメリカ側から見た納税の流れも完了です。

・信頼できる会計士を味方にしよう

アメリカで購入した不動産の賃貸や売却には、同国と各州の法律など専門知識に通じた専門家のヘルプが不可欠になります。

間違いが許されない納税は特に、信頼できる会計士を雇うことが必須でしょう。米国公認会計士(Certified Public AccountantUSCPA)の資格を持つ、日本語に堪能な人材を抱える事務所が日本にもありますので、相談されるとよいかも知れません。

次回は、アメリカで購入した不動産にかかる固定資産税の事情を見てゆきましょう。日本と違う部分、注意点を中心にお話ししていきます。