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  • 2019/9/5

米国ジャーナリストが見る最新アメリカ不動産【vol.10】魅力的なエリア(4)ニューヨーク州

米国ジャーナリストが見る最新アメリカ不動産【vol.10】

日本人にとって、ニューヨーク市はあこがれなのではないでしょうか。

世界中から人々が集まるコスモポリタンな雰囲気、多様で生き生きとした文化やサブカルチャー、国際的な金融の総本山の地位、日系企業や組織が多く進出していることによる利便性や安心感など、魅力は尽きません。

また一歩ニューヨーク市を出ると自然が豊かで不動産価格が安い中小規模の都市も多く存在し、投資先としても大変興味深い場所です。

今回は、日本人投資家に絶大な人気を誇るニューヨーク市を中心に、住宅投資の妙味や注意点を見て行きましょう。

・全米1位の経済と活気溢れる不動産市場

米東部に位置するニューヨーク州の人口は2018年に1954万人、その中で最も大きい都市であるニューヨーク市の人口は2017年現在で862万人でした。

州経済の規模は2017年に16070億ドルに達し、カリフォルニア州とテキサス州に次ぐ全米第3位の規模で、ニューヨーク市の経済は全米都市の中で堂々の第1位であり常に人口が流入し経済が年々成長している、有望な不動産市場である事は周知の通りでしょう。

ウォール街は世界の金融の中心地であり、世界2大証券取引所であるニューヨーク証券取引所とナスダック証券取引所を抱えています。

他にもハイテク産業や保険、不動産、ヘルスケアなど先端産業が市の経済を盛り上げており、さらにメディアや出版および広告業のメッカとして高い文化的水準や世界一流の大学や教育機関に引き付けられ多くの文化人や芸術家や学生が集まっています。

このような環境で、ニューヨーク市の不動産価格や家賃は過去10年ほどで急騰してきました。

現在の中間売却価格は約1475000ドル、平均家賃は3100ドルと非常に高い部類に入ります。

しかし維持費や管理費、固定資産税などもかさむことから、物件の想定利回りは意外なことに23%程度に過ぎません。従って、短期的なリターンを求める投資家にはあまり向いていないでしょう。

ではたとえ利回りが低くてもニューヨーク市が不動産投資先として魅力的なのはなぜでしょうか。

それは空室率が平均で1.5%前後と圧倒的な「売り手市場」であり、需要が常に供給を上回る中で家賃が堅調に上昇するからです。

従って、長期的な安定した利益を求める方々におすすめです。

・ニューヨーク特有の共同所有制度「コープ」

ニューヨーク市の不動産を購入する場合、部屋を購入するか、建物全体の「コーペラティブ・アパートメント」すなわちコープ管理組合に加入し、部屋の大きさに応じた割合の株式を取得して「居住権」を得る選択肢があります。

コープは住宅価値を適正に保ち、かつ入居者が協調して住環境を改善してゆくために編み出された歴史的な方式であり、部屋の「所有権」はありません。しかしマンハッタンにおいては中古住宅の約70%がコープであることから、投資先として検討の価値はあります。

ただし賃貸ができない、あるいは制約がつくコープも多くあり加入審査が厳しいところもあるため、基本的には自己使用目的に向く投資であるといえましょう。

ただし、コープでありながら賃貸が自由にできる「コンドップ」と呼ばれる新形態もありますので、地元のエージェントにご自身の投資目的を説明した上で相談してみると良いかも知れません。

いずれにせよ、ニューヨーク市のコープはそれぞれのビルのルールや土地の賃貸契約の詳細を確認する必要があります。

・日本人投資家にも大人気の地域

ニューヨーク市の住宅投資の楽しみは、個性豊かな地域が豊富に揃っており、投資期間や目的、有望性に合わせて物件を選べることです。

特に注目したいのが、今世紀初頭以降の再開発で街が活性化、治安も改善し、全体的な住宅価格が上昇している地域でしょう。

たとえば総事業費は200億ドルをかけた米史上最大の民間不動産開発事業とされたハドソンヤードやミッドタウンウェストは高所得層の間で大きな人気を誇り、この地域の家賃は常に上昇していますので多くの投資家が考慮するエリアでもあります。

また、国連本部やビジネス街から遠くないマレーヒルには日系のスーパーマーケットやレストランが点在し、日本人投資家に人気です。

マンハッタンの中で最も安全とされる地域であり、将来的にも安定した資産価格の増大が望めるでしょう。

アカデミックな職業に従事する方やアーティストたちに好まれるアッパーウェストサイドはコロンビア大学、ジュリアード音楽学院、劇場やコンサートホールや図書館などを擁する世界的に有名な舞台芸術の中心地のリンカーンセンターがあり、強烈な個性を好む投資家を引き付けています。

この他にも有望な投資先があまたありますので、不動産ポータルで検索したり、地元のエージェントに相談されると、隠れた優良物件に出会えることもあります。

一方、ニューヨーク市の外に目を向けますと、カナダ国境の小規模な街の投資にも妙味があるでしょう。

たとえば、中間売却価格が121000ドルと大変手ごろな小さな町レッドウッドでは、賃貸住宅の投資収益率が14%と、大変良好です。

州北東部ではベスレヘムの中間売却価格が31万ドルで、住宅価格上昇率は6%近くと、安定したリターンが期待できます。

・税制改革と借主の権利強化に注意

ニューヨークの賃貸物件は伝統的に、貸主に有利な法的仕組みがありました。

契約書にあらかじめ記しておけば、契約期間内に貸主から解約を申し出ることもでき、更新を拒否する権利もありました。しかし、近年この傾向に巻き戻しがみられ、敷金預かりや解約の面で借主有利となってきました。

さらに、国の税制とニューヨーク州の地方税制の両面で、不動産所有と売買に関する好待遇が縮小され、投資に注意が必要となっています。

こうしたなか、タイトであった需給が緩み、徐々に買い手市場となっていて価格や条件面で交渉にたっぷりと時間がかけられるという、ある意味でチャンスでもあります。

地元の不動産のプロとも相談しながら検討されれば、掘り出し物に当たるかもしれません。

それでは次回はアメリカの不動産サイトを紹介しながら、検索の注意点、避けるべき物件の特徴などを見てゆきましょう。