• 資金調達
  • 2021/3/23

売掛金回収はスピードが命! 今すぐ取るべき行動とは

売掛金 回収

企業活動を行ううえで避けては通れない問題の1つが「売掛金」の回収問題です。誰もがあまり遭遇したくない問題ですが、放置しておくと収益に大きな悪影響を及ぼすため、問題が発生した場合は早急に解決する必要があります。

今回はそんな「売掛金の回収」に際してとるべき手段について、その基本知識から解説していきましょう。

1.売掛金とは

「売掛金」とはいわゆる「ツケ」のこと。代金の後払い(掛取引)での売上金額を示す勘定項目のことです。一般的な個人同士のツケと基本的に同じようなことなのですが、これが企業間の取引となると代金の受領のための「債権」というかたちで、貸借対照法の資産項目に計上されることとなります。仕入れたときの勘定項目である「買掛金」と対をなすのがこの売掛金で、いわばツケを支払ってもらう側の企業や店側の話として売掛金を扱っていきます。

2.売掛金回収はスピードが命

(1)売掛金には消滅時効がある

売掛金の回収で最も気をつけるべき点が「消滅時効」です。2017年5月26日に民法が改正され、売掛金に関わる部分でも次のような点が変更となりました。

・短期消滅時効制度の廃止
・消滅時効制度の一本化
・時効の完成を阻止するための手段の見直し

改正前は取引の種類によって「短期消滅時効」がさまざまに分かれていたのを、改正後は基本的に「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年」(新民法166条1項1号)、または「債権者が権利を行使することができる時から10年」(新民法166条1項2号)に統一されました。ただ、2020年3月31日までの債権については旧民法の消滅時効が適用されているので、正確には2020年4月1日以降は新しい消滅時効制度が適用になるという事です。整理すると以下のようになります。

①2020年3月31日まで

時効期間時効債務
1年で消滅・宿泊料
・運送費
・飲食代金
2年で消滅・月謝/教材費
・製造業/卸売業/小売業の売掛金
3年で消滅・診療費
・建築代金/設計費
・自動車修理費
・工事代金
5年で消滅・上記以外の売掛金

②2020年4月1日以降

権利行使可能であることを知ってから5年。
権利を行使することができる時から10年。

(2)消滅時効を中断させるには

売掛金回収を放っておくと、消滅時効によって債権が消滅して回収できなくなる、というおそれがあるので、これに対して「待った」をかける必要があります。これが「消滅時効の中断」という法律行為です。主に3つの方法があるので、順番に見ておきましょう。

① 請求

ここでの「請求」とは単なる請求書を郵送して「支払ってください」と伝えることではなく、あくまでも裁判上の請求のことを意味します。具体的には訴訟、支払督促、民事調停などです。ただ、訴訟や支払督促となるとなかなかの手間がかかるので、とりあえず消滅時効を止めるためには民法153条の「催告」という法律行為を行います。これによって、「催告」から6ヶ月以内に訴訟などの裁判上の手続きを行えば消滅時効が完成しない、という措置を取ることが可能です。催告は実務上、債務者への「内容証明」による督促で行っていきます。

②仮差押さえ・仮処分

これも民事訴訟法に基づく法律行為です。「差押え」は裁判での勝訴判決によって、相手側の財産などを法的に回収する「強制執行」を行う法律行為のこと。かなり厳格で大掛かりな措置となります。これを執行するには裁判に勝たなければなりませんが、長期化してしまいそうな場合は、裁判結果が出る前に相手側(債務者)が財産を勝手に処分してしまわないよう、「保全措置」をとります。これが「仮差押え」「仮処分」という法律行為です。

③債務の承認

「債務の承認」は今までとは逆に、債務者(ツケを払う側)の方から「ツケがあります」と認める行為のこと。具体的には残債務があることを前提とした支払い猶予の申し入れや一部返済、利息分の支払いなどがこれにあたります。

3.売掛金の支払いが遅れ始めたら

(1)メール・電話連絡

売掛金の支払いが遅れ始めたら、まずはメールや電話で連絡しましょう。売掛金の回収はスピード勝負なので、すぐに行動をとる必要があります。未入金が確認出来たら、すぐに営業担当者から連絡した方が解決しやすいです。わざわざ経理や管理部に回さない方が、相手側の状況を聞き出しやすい傾向にあります。たいていの場合、何らかの事務的なミスか、単純に支払いを忘れていただけというケースが多いので、すぐに連絡すれば解決することの方が多いはずです。

しかし、なかには現場でのトラブルや商品に問題があった場合などで、明確に代金の支払いを拒否していることもあります。その場合は交渉するしかありません。また、相手先と連絡が取れないというパターンもあります。その場合は別の手段を検討する必要があるので、まずは現状把握のために連絡を取るのが、売掛金未回収時にやるべき最初の手です。

(2)商品出荷を止める

相手側と連絡が取れない、あるいは相手側の勝手な事情で代金未払いが続いているといった状況であれば、まずは商品出荷を止めて被害が大きくなることを防ぐ必要があります。とくに継続的な取引において未払いが続いている場合、連絡を取っても解決しないのであればすぐに商品出荷を停止しなければなりません。相手がキャッシュに困っている場合は勝手に商品を現金化するおそれもあります。

ただ、相手側に非があるからといって、勝手に相手のところへ行って同意なく商品を回収すると違法になりますので注意してください。とりあえずは自分たちの方で出来ることから手を打っていきましょう。

(3)契約書の確認

こちら側に契約上の不備があるかなども確認しておきます。確認すべき点は「売買代金の額」、「期限の利益の喪失条項の有無」、そして「商品についての所有権移転時期」です。消滅時効の進行具合を確認し、どれくらいの未回収金があるのかを把握しましょう。状況を一通り押さえておくことで、実際の交渉や債権回収手続きがスムーズに進むので、この段階で契約書を確認することは非常に重要です。

4.話し合い・交渉で売掛金を回収する

(1)未払金残高確認書の作成

話し合いや交渉の際に相手側に支払いの意志があるという場合は、「未払金残高確認書」を作成します。これは「現在、未払いになっている売掛金が○○万円あります。これについては必ず支払います」という趣旨の書面です。双方の「合意書」のかたちをとって、記名押印したものにしておくと、今後の交渉や法的手続きでも効力を発揮します。お互いの交渉がすすむ状況であれば、この段階で必ず作成するようにしましょう。

(2)債権での相殺

迅速に債権回収を行う方法の1つが「相殺」です。同じ相手との間で未収金がある場合に、同じ金額分の支払いを停止するという措置を取ります。すぐに自社側で未払分がないかを確認しましょう。相殺は相手側が破産開始手続きなどを開始した場合には出来なくなる可能性があるため、こちらもスピード勝負になります。手続き自体は「相殺をする旨」を内容証明郵便で送付するだけです。

(3)商品を引き上げる

先ほどの「商品の出荷を停止する」にも通じるところですが、相手側(債務者側)の手元に商品がまだ残っている場合、債務者との間で正式に売買契約の解除をして商品を引き上げるという方法もあります。これも先述の通り、相手側の同意なしに勝手に引き上げるのは違法(刑法犯・窃盗罪に引っかかる)となるので、売買契約時の「解除条項」にのっとったかたちで手続きを進めることが重要です。少しでも未回収の売掛金を減らすことが重要ですので、売買契約の中身を確認して可能であれば商品の引き上げを行いましょう。

(4)連帯保証をつけてもらう

債務者が法人の場合、社長(個人)に連帯保証人になってもらいます。裁判や強制執行という手続きは時間もかかり、また未回収のリスクも大きくなるので、基本的には最終手段です。相手側にも支払いの意志がある場合は交渉によって妥協点を見つけていくことになります。しかし、それでも売掛金の未回収のリスクはつきもの。そこで、債務者側が法人の場合は、社長や経営陣を個人として連帯保証人になってもらうのも有効な方法です。連帯保証人を付けることで、法人相手の未回収債権の効力が個人に対して及ぶことになるので、ある程度のリスクヘッジとなります。

5.強制的な売掛金回収方法

(1)内容証明郵便

強制的に売掛金を回収するための最も一般的な方法は「内容証明郵便」の送達です。これは売掛金の時効成立を中断するための措置でもあります。時効を中断するためには先ほど挙げた3つの方法をとる必要があるので、それに先立ち「催告」手続きとして内容証明郵便による支払い請求を行いましょう。内容証明郵便によって期日と請求事実を明確にしておくことができます。

(2)公正証書

内容証明郵便による支払い請求によって、法律行為で言うところの「催告」が行われると、その後6ヶ月以内に「債務の承認」、法律上の「請求」、そして「仮処分、仮差押え」といった法的措置を行うことで時効中断が成立します。しかし、これらは本格的な裁判手続きとなるため、手間と時間がかかる手続きです。

そこで、比較的素早く「強制執行」できる手続きに「公正証書による強制執行」という手法があります。売買契約に関して「金銭の支払を目的とすること」「債務者が直ちに強制執行に服することを陳述したものであること」という要件を満たした公正証書を作成しておけば、裁判所の判決なしでいきなり強制執行が出来るようになります。スピーディな問題可決に非常に役立つので、契約締結時に公正証書を作成しておくことをおすすめします。

(3)支払督促

同じく、裁判行為を行う前に手早く時効中断することができる制度に「支払督促」があります。これは正式な裁判手続をしなくても、判決文などと同じように簡易裁判所から債務者に対し、金銭などの支払を命じる督促状(支払督促)を送ってもらえる制度です。これを受けて債務者が債務(売掛金)を支払えば、裁判手続きをすることなく事件を終わらせることができます。

それでも債務者が支払いをせず、裁判所に対する異議申し立てもしなかった場合は、裁判所に対し「仮執行宣言」の申立てをし、これをもって「強制執行」によって売掛金を回収することになります。

(4)民事調停

問題が解決せず裁判手続きをとった場合、ほとんどのケースで裁判所の方から「民事調停」を進められます。これは個々の民事事件に関して裁判官、あるいは調停委員会など第三者として当事者同士を仲介し、お互いの主張を調整、整理しながら最終的な和解を目指す、非公開の手続きのことです。民事調停が成立した場合にまとめられる「調停文書」は判決文と同様、「債務名義」(強制執行などの根拠となる法的文書)となるので、法的拘束力の強いものとなります。

(5)少額訴訟

いよいよ裁判となった場合でも、売掛金の未回収分が60万円以下の場合、簡易裁判所で1日の期日で審理から判決まで済ますことのできる「少額訴訟」という特別な手続きを取ることができます。少額訴訟の良いところは1日で判決まで行われるスピ―ド感と、弁護士などの代理人を立てなくても裁判ができるというところです。ただ、顧問弁護士などがいない場合にまったく弁護士に相談せず行うのはリスクがあるので、アドバイス、相談などを行いながら進めていくといいでしょう。

(6)強制執行(差押さえ)

売掛金の回収においては最も重い措置で、いわば最終手段です。民事調停や少額訴訟、そして本格的な民事訴訟などによって得た「債務名義」(判決文や調停調書、執行証書など)を元に、強制執行手続きに入ります。

6.ファクタリングを利用する

(1)ファクタリングとは

売掛金の回収は、経済活動にとって重大なリスクとなりえます。実際に法的手段をとると手間と時間もかかるうえ、トラブルの深刻度が増せば全額回収は非常に困難なものです。そこで、こうした売掛金未回収のリスクを軽減する方法として「ファクタリング」という手法があります。

ファクタリングとは、企業から売掛債権を買い取り、その売掛債権の管理、回収を行う金融サービスのこと。売掛金債権の「現金化」を行うサービスです。日本では2005年に「債権譲渡登記制度」ができて以来、資金調達方法の1つとして広まってきました。

(2)メリット

ファクタリングのメリットは、回収困難な売掛金債権であっても一連の民事訴訟関連の面倒な手続きを省いて、とりあえず資金として調達できる、というところです。未回収金が大規模だと、資金繰り的に厳しい状況になってしまうので、即現金化できることのメリットは大きいといえます。これによって債務者の倒産による貸倒リスクの軽減だけでなく、自社の「黒字倒産」のようなリスクも回避することができます。

(3)デメリット

ファクタリングのデメリットは、契約の手間がかかることと「手数料」の存在です。例えば100万円の売掛金があったとして、最もスピーディな方式である「2者間ファクタリング」という方法を選択した場合、手数料の相場は買い取り債権の10~20%。仮に20%だとすると、100万円の債権を即現金化できる代わりに85万円しか手元に入らないことになります、また、手数料の低い「3者間ファクタリング」などを選択すると、今度は「債権譲渡登記」の手続きを求められるなど、手続きや契約などで手間がかかることになります。また、「闇金」のような取引をしている悪質な業者の存在もあるので、業者選びでも細心の注意を払う必要があります。

(4)おすすめのファクタリング会社

ファクタリング会社にはさまざまな業者がありますが、実績のあるうえに経営母体もしっかりとした会社を選ぶことが重要です。以下に実績、内容ともに申し分のない代表的な会社を挙げておきましたので、ご参考ください。

①ピーエムジー株式会社

2015年創業の新興企業ですが、企業イメージ調査で3冠を達成するなど、サービスに対する評価の高い会社です。業界最高水準の買取率に加え、2社間ファクタリングでは最短翌日、3社間ファクタリングでも請求書送付から最短2日で現金化できるというスピード感も魅力。コンサルティング事業も展開しており、資金調達だけでなく経営改善に関する相談も可能です。

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②MSFJ株式会社

東京池袋に本店を置く会社で、法人、個人を問わず受け付けている点が特徴で、審査もスピーディ。売掛債権10~500万円の範囲から利用でき、即日資金化も可能となっています。手数料も比較的低く、1.8%台からのプランが選べるなど、個人事業主にもうれしいサービス内容です。幅広い顧客層に訴求するべく、高額の資金調達から小口のものまで豊富なプランを用意しているうえ会社自体の透明性も高く、安心して利用できる会社といえるでしょう。

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③日本中小企業金融サポート機構

ファクタリング会社の中でも「非営利法人」という形態をとっています。中小企業のサポートを目的に作られた一般社団法人で、非営利日本中小企業金融サポート機構はファクタリング提供会社の中では珍しい「非営利法人」です。中小企業をサポートするために作られた一般社団法人なので、他社に比べて手数料がかなり割安。3社間ファクタリングであれば、1~9%という業界最低水準です。

そして、最大の特徴といえるのが「郵送ファクタリング」サービス。で、手間のかかる契約や書類の手続きを郵送だけで済ませることができるようになっているので、余計な経費がかかりません。

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④ジャパンマネジメント

2016年設立の新興企業ですが、東京と福岡を中心に高いリピート率を誇るファクタリング会社です。訪問買取を基本としたスタイルで、出張訪問は全国対応となっています。最短翌日での資金調達が可能なうえ、調達可能金額は30~5000万円と業界でもかなり高水準の調達規模。成約率も95%なうえ、電話申し込みは土曜日も対応しているため、急な資金調達が必要となった場合でも対応してくれます。

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⑤株式会社三共サービス

ファクタリング業界では老舗です。2001年から業務を始めており、ファクタリングについては長年のノウハウと実績があります。金融業界のプロがスタッフとして在籍していて、経営コンサルティングとファクタリング、両方に関するプロのアドバイスを受けることが可能です。実際に三共サービスでコンサルティングを受けた企業のうち、実に92.4%が資金繰りを改善しているという実績があります。手数料も業界最低水準で、比較的高い手数料となる2社間ファクタリングでも5~10%という低水準。最大1億円から調達可能という点も魅力です。

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⑥えんナビ

少額からのファクタリングが可能で、建設業、運送業、人材派遣、製造業などを中心とした2社間ファクタリングに特化した会社です。最短1日で30~5000万円の資金調達が可能で、手数料も業界最低水準の5%という破格です。えんナビは24時間365日対応である点が特徴的で、事前相談や書類準備であれば土日も対応(ただし審査は平日のみ)。少額案件でもスピーディな資金調達が可能です。

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まとめ

売掛金の未回収は企業の存亡に関わるような危機を招くことがあります。代金回収において、わずかでも問題が発生した場合は、軽視せず、速やかに行動をとる必要があります。放っておくと消滅時効が成立する場合があるからです。実際に売掛金を回収するには多大な手間と時間がかかるので、対処方法やファクタリングなどの手法を理解したうえで、問題解決に向けて慎重に対応しましょう。