• 不動産投資
  • 2017/7/15

3分で分かる!アパート経営者が知っておきたい修繕費に関する5つのこと

アパートの修繕費にはどんなものがあって、どれくらい必要なのか疑問をお持ちですか?

一棟アパート経営をしているオーナーにとって、気になるのがアパートの修繕費です。どれくらいのスパンでどこを修繕するべきで、それにはどれだけの修繕費が必要になるのか?ということはアパート経営のコストに直結する問題だけにアパートを購入する前の段階から意識しておくべきことです。

また、一方の入居者にとってもアパート修繕費というのは退去時のトラブルを避けるためにも責任の所在や相場観など正しい知識を知っておくことは有効です。

そこで、この記事では、

  • アパート修繕費の基本
  • アパート修繕の主な種類
  • 大規模修繕の項目と費用
  • 入退去時の修繕項目と費用
  • 退去時のトラブルを回避するための知識

といった情報を余すところなく解説します。

最後の項目は入居者向けのものですが、オーナーと入居者双方で知識を共有しておくこともトラブル回避に資することなので記事に加えました。

月間40万人を数える不動産投資メディア「不動産投資の教科書」読者の方々にも、これらの情報を必要とする方が多いと思います。ぜひ正しい知識を整理して持っておくことで健全なアパート経営を目指してください。

1、アパート修繕費の基礎知識

(1)アパート修繕費とは、何を修繕する費用?

集合住宅であるアパートは時間の経過とともに老朽化していくことは避けられません。どんな建物であってもそれは不可避なので、アパートには定期的なメンテナンスが必要です。それが修繕であり、その費用がアパート修繕費です。

アパートの外側では屋根や外壁、金属部品の改修などが主な修繕箇所で、アパートの内部では給湯器やエアコン、内装などが主な対象となります

(2)2種類のアパート修繕

アパート修繕と一口に言っても、その目的や内容によって違いがあります。まずは、その主な分類を明確にしておきたいと思います。

①大規模修繕

アパートに限らずマンションや団地などの集合住宅に共通して必要なのが、大規模修繕です。おおむね10年から15年に一度の周期で必要になるとされているもので、アパートの機能に直接関わる設備や外壁、雨漏り防止などの工事がメインです。

これらの工事は定期的にやっておかないとアパートが本来持っている機能を損ねるばかりか資産価値を下げてしまうことにもなるため、10年から15年に一度の修繕工事に備えて修繕金積み立てをしておく必要があります。

②入退去時の修繕(原状回復修繕)

アパートは賃貸住宅なので、入居者の出入りがあります。通常入居者が退去して次の入居者を募集する際には部屋のクリーニングを行いますが、それに伴って修繕が必要な個所があったらその修繕も行います。

具体的には襖や網戸の張り替え、クロスの張り替えなどが主な修繕項目で、その他には設備に不具合が出ている場合は機器類の交換なども行います。

次の入居者に気持ち良く住んでもらうことは、アパート経営の満足度向上につながります。評判が悪いとリーシング(客付け)をする不動産業者も紹介しづらいので、こういった修繕は必要に応じて行いましょう。

(3)アパートの主な修繕箇所

アパートの維持管理に必要な修繕箇所について、それでは主な項目別に見てみましょう。それぞれの修繕費については、詳しく後述します。

以下の項目には大規模修繕だけでなく原状回復修繕、さらに日常的に入居者からクレームが出た場合などに対応する修繕も含まれています。アパート経営をしているとこうした修繕項目があるというイメージをつかんでください。

  • 屋根、屋上の防水工事
  • ベランダの防水工事
  • 外壁改修
  • 給水ポンプ交換
  • 給湯器交換
  • エアコン交換
  • 鉄製部品の防錆工事
  • クロス張り替え
  • クッションフロア張り替え
  • 障子、襖、網戸張り替え

厳密なものではありませんが、上から規模の大きなもの、周期の長いものという順に並べています。つまり、下にいけばいくほど頻度の高いものです。

(4)アパート修繕費は誰が払うべき?

アパートの修繕費は果たして、誰が支払うべきものなのでしょうか。過去に幾度となく争われた事例があるのは、入居者に法外な請求がきたケースや、入居者の明らかな瑕疵なのに支払いを拒否した例などがあるからです。

原則としてアパートなど賃貸住宅には原状回復義務があります。入居者が退去する時には、入居時の状態に戻しておかなければならないという義務です。とはいえ、長年そこに住んでいれば汚れたり劣化するのは避けられません。こうした自然に劣化した部分については修繕費を支払う義務はないというのが一般的な認識です。

しかし、入居者の瑕疵によって大きな傷や汚れがある場合や、取り扱い方が悪かったせいでまだ耐用年数を経ていない設備を壊してしまった場合などは、修繕費を入居者が負担するのが通例です。

こうした修繕費用は保証金や敷金の名目で預けているお金から差し引かれ、その残りが入居者に支払われるという形になります。

これを整理すると、入居者の瑕疵によらない自然な摩耗や汚損について、アパートの修繕費はオーナーの負担になるということです

(5)アパート経営と修繕費の関係

アパート経営で少しでもキャッシュフローを多く残したいと思うと、家賃を高くするかコストを切り詰めるかのどちらかです。家賃を高くすると近隣物件との競争力が低下して空室率が上がってしまうため、余地があるとすればコストの部分です。

当然ながらアパート修繕費もコストの一部なので「何とか安くしたい」という意識が働きやすい部分です。もちろん不要なアパート修繕費までかける必要はありませんが、必要な修繕をケチるのは良くないというのが「不動産投資の教科書」の考えです。なぜなら、些細な修繕箇所を放置しているとやがて必ず大きな修繕を要し、かえってコスト増になるからです。

また、些細な修繕箇所を放置したまま入居した人からクレームが発生しては、アパート物件の評判にも影響します。

アパート経営に修繕費は付き物、必要なものは惜しむことなく修繕を行うというのが、長い目で見た場合にアパート経営の収入を最も安定化させます

2、修繕箇所別アパート修繕費の相場〜大規模修繕編〜

アパートの修繕費は実際にどれくらい必要なのか、その具体的な相場観を持っておくために項目別に解説します。まずは費用も大きくなりがちでオーナーにとっても関心の高い「大規模修繕」からです。

(1)屋上、屋根の防水工事

アパートの屋根には防水加工が施されています。この防水加工は半永久的なものではなく15年前後で経年劣化して雨漏りの原因になります。雨漏りはクレームの発生源になるだけでなく建物を著しく損傷するため、アパートの築年数が10年を超えたら意識しておくべき修繕項目です。

アパートの防水工事を行う際の修繕費用相場は、1平方メートルあたり1万円前後です。

(2)ベランダの防水工事

ベランダ各戸における「外と内」の接点です。もちろんこの部分にも防水加工が施されているので、屋根と同程度の時期に経年劣化します。各戸に雨水が侵入するのを防ぐために、1015年スパンで修繕工事が必要になります。

屋根よりも工事をしやすい箇所のため屋根と比べると若干安く、修繕費の相場は1平方メートルあたり7,000円程度です。

(3)外壁改修

外壁は雨風に晒されているだけでなく、紫外線が当たっているため、自然からの作用で劣化が進みます。これを放置していると見た目が悪くなることで集客力が低下するだけでなく、外壁だけではなくその内側の劣化を進めることもあります。

目安としては1015年に一度のスパンで改修工事が必要とされていますが、10年経過時点で劣化が目立つようであれば早めに修繕工事を検討しても良いと思います。

アパートの外壁改修は修繕費の相場が1平方メートルあたり13万円と開きがあります。これはアパートの階数によって足場が必要になったり、塗装を何度塗りにするか、洗浄などの作業を含むかなどによって変動するためです。

(4)給水ポンプ交換

アパート内の各戸に給水するための設備として、アパートには必ず給水ポンプが設置されています。この給水ポンプにも寿命があり、おおむね1520年程度と言われています。つまり、給水ポンプも大規模修繕の項目に含まれます。

給水ポンプについては購入してきて自分で取り付けるわけにもいかないので、工賃込みで70150万円程度が修繕費の相場となります。

(5)給湯器、エアコン交換

給湯器やエアコンは、アパート内にある各戸の住宅設備です。いずれも生活に欠かせないものなので使用頻度も高く、1015年で寿命を迎えます。これらの機器類はそれほど高いものではなく1台あたりの修繕費は工賃込みで10万円前後ですが、それが戸数分だけ必要になります。

(6)鉄製部品の防錆工事

鉄製部品は雨水に晒されると錆びてしまい、美観が悪くなるだけでなく本来の性能を失ってしまいます。そこで塗装による防錆工事が必要になり、これはおおむね5年程度のスパンになります。

修繕費の相場は1平方メートルあたり4,000円前後となっています。周期的に見てアパートの大規模修繕と同時に行うのは3回のうち1回程度です。

3、修繕箇所別アパート修繕費の相場〜入退去時の修繕編〜

入居者が退去して次の入居者を迎え入れるまでの期間に行われるアパート修繕は原状回復を目的としたものなので、大規模修繕ほど大がかりなものにはなりません。しかし、だからと言って手抜きをすると集客力を低下させることになるため、次の入居者を早急に見つける意味でも怠りなくメンテナンスをしておきたいところです。

(1)クロス張り替え

クロスとは、壁紙のことです。前の入居者が故意に破いたり汚したりしていなくても、何年も入居していたのであれば色褪せていたり細かい傷や汚れがついているのが普通です。内装業者に依頼すると1戸あたり46万円が相場なので、これをアパート修繕費の1つとして見積もっておくのが良いと思います。

(2)クッションフロア張り替え

クッションフロアとはキッチンやトイレなどに敷かれている、少し柔らかい素材の床材のことです。食器などを落としても割れないようにすることや階下への音漏れを防ぐ配慮から多くのアパートで敷かれています。

床材なので日常生活の中でどうしても汚れが目立ってくるため、入退去時にはアパート修繕の一環として張り替えるケースが多く見られます。修繕費用の相場は1戸あたり45万円程度です。

(3)障子、襖、網戸張り替え

和室でなければ障子や襖(ふすま)はないと思いますが、該当するアパートの場合の修繕費はそれぞれ数万円程度です。網戸の修繕も含めて、大規模修繕と違って工務店やリフォーム業者などに依頼しなくても、オーナー自身が作業をすることもよくあります。その場合は材料費だけでOKなので、全て合わせても1万円を超えることはないでしょう

(4)ハウスクリーニング

退去時に部屋をきれいに掃除するのは当然のことですが、それよりもさらに専門的に普段は手を入れないようなところも含めて徹底的に大掃除をするのが普通です。その大掃除のことを「ハウスクリーニング」といいます。

厳密にはアパートの「修繕」ではありませんが、メンテナンスの一環として必要なものとして認識しておいてください。ハウスクリーニングについては「不動産投資の教科書」に詳しい記事がありますので、「ハウスクリーニングの料金の相場と失敗しない業者選びの傾向と対策5選」も参考にお読みいただければと思います。

4、中古アパートの購入で注意したい修繕費

(1)購入直後に修繕費が必要になることも

アパートの維持には定期的な修繕が必要になることは、ここまでの解説で具体的な項目もあわせてお分かりいただけたと思います。そうなると気になるのが、収益物件として売られている中古アパートの修繕状況です。築年数が5年未満という物件であれば少なくとも10年先くらいまでは大規模修繕がいらないと見込むことができますが、問題は築年数が10年以上経過している中古アパートです。

前オーナーが大規模修繕の出費を嫌って出口戦略として売りに出しているとしたら、その中古アパートの価格に修繕費を加算した金額が必要になるという感覚で物件選びをする必要があるでしょう。

(2)物件選びでは修繕履歴を精査しよう

中古アパートの修繕状況を知ることは、物件選びの段階でとても大切なことです。そこで注目したいのが、アパートの修繕履歴です。いつ、どんな修繕をしたのかを記録した書類で、ここから次に必要となる修繕項目が分かります。

特に屋根の防水や給水ポンプは100万円を超える修繕費を伴うことがあるので、修繕時期、交換時期がいつなのかを修繕履歴から把握しておきたいところです

この修繕履歴がない場合や不明確な場合は、購入対象から外すのが無難です。

5、(入居者向け)アパート修繕費でトラブルにならないために

(1)すべての答えは、契約書と重要事項説明書にある

アパートなど賃貸住宅に入居する際には、必ず契約の締結と重要事項の説明があります。これらは退去時の取り決めも含まれているので、入居時にしっかりと確認をしてください。

もし契約書に原状回復費用の負担について不明瞭であったり不満がある場合は、契約前の段階でその意思を伝えます。契約を交わしてからだと同意したことになるため、思ってもいなかったアパート修繕費を請求される可能性もあります。

なお、この原状回復については国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」というルールを提示しています。あくまでもガイドラインなので法的な拘束力はありませんが、多くの賃貸契約はこのガイドラインに準拠しています。

よく分からない場合は「国土交通省の原状回復ガイドラインに準拠しているか」を確認するのも良いかも知れません。

(2)契約書にない修繕費の請求に支払い義務はない

前項にある契約前の段階で原状回復義務に含まれないものについての請求が来たとしても、支払う義務はありません。法的に争ったとしても大家側に勝ち目はないので、自信をもって突っぱねても問題はありません。

こうしたトラブルのほとんどは、契約内容の確認が曖昧であることに原因があります。契約段階でちゃんと確認をしておけば悪意のある請求もしづらくなるので、トラブル防止と同時に釘を刺しておくという効果もあります。

契約内容と重要事項説明の内容はしっかりと確認をして、分からないことはその場で全てクリアにしておきましょう。

まとめ

ここまでアパート経営に付き物の修繕費について目的別、項目別に解説してきました。こんなに多岐にわたる修繕費がかかるようだとアパート経営は儲からないのでは?と思われるかも知れませんが、すべてのアパートは修繕費をかけた上で経営を成り立たせているので、ご安心ください。

実際に修繕を依頼するのは管理会社などになることが多いですが、その際にも修繕費を鵜呑みにするのではなく、ここで解説した費用感を参考に修繕費の妥当性などをチェックした上で依頼するようにしてください。

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